こいごころ
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#531 [向日葵]
ミュシャに潤ませた目を向けながら、宗助の方を忙しい動きで指差す。

「違う!本当に違うんだ!俺はあんなの興味ないし!」

「ちょっとバカップル、話が見えないから順を追って話をしなさい」

話はこうだった。

茉里と宗助の共通して好きな漫画があった。
宗助はその漫画の最新刊を茉里から借りていたらしい。
読み終えた宗助は、さっき茉里に返したのだが、茉里が好きな場面を話そうと、漫画を開いたところ、中に描いていたのは茉里が好きな場面ではなく、見覚えのない絵で描かれた男女が裸で絡まっている場面だった。

⏰:10/08/13 20:00 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#532 [向日葵]
いわばその本は、思春期の男子が家族に見られないようベッドの下に隠し持っているバイブルだったのだ。

カバーだけは、茉里たちが知っている漫画であり、中身だけが変わっていたのだ。

茉里はそれはカムフラージュで宗助が仕込んだもので、そのカムフラージュをとくのを忘れたのだと思い込んでいる。

しかし、宗助は一般男子のそういったバイブルには興味がなく、それは自分のではないと主張している。

それが、今の騒ぎの全てだった。

ミュシャは呆れ半分、宗助に軽蔑の眼差し半分で話をきいていた。

⏰:10/08/13 20:00 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#533 [向日葵]
「まあ……流れから言えば笹部、アンタはクロだわね」

「ちっがう!俺は本当に知らない!」

「私に手出さないくせに、そういうのは進んで見るとかどういうこと!?」

「だーーかーーらっ!」

だが、ミュシャは宗助のことは半分信じていた。

見るからに奥手で、どちらかと言えばそういった本を見せれば恥ずかしがる、いや、もしかしたら軽蔑するぐらい嫌がりそうな宗助だ。

⏰:10/08/13 20:01 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#534 [向日葵]
興味があるならもっと茉里に対しても積極的だろうに。

それにもう1つ、思いあたる節がある。

―――――――――…………

「栞ちゃん」

すでに友達が出来た栞は、6人ほどのグループの中にいた。

「なあに?」

「彼氏とかいるの?」

「えー、いるわけないじゃん!あたしなんて可愛いくないもん!」

「えー!何いってんのー!めちゃめちゃ可愛いじゃん!」

うそつけ。

⏰:10/08/13 20:01 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#535 [向日葵]
栞は心の中で悪態づいた。

女子の定番台詞だ。
可愛いと褒めればいいと思ってるのが馬鹿らしい。

結局は

「皆の方が可愛いよ!」

と言って欲しいだけ。
そしてまた否定しながら他人を褒める。
無限に続く言葉のループは、退屈なだけだ。

栞は女の子が嫌いだ。

昔、好きな人を巡って、いじめられた経験があった。
好きでもない男子が、栞を好きと言ったからと、栞が悪者にされ、仲間はずれにされたのだ。

⏰:10/08/13 20:02 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#536 [向日葵]
理不尽な出来事は栞の心を歪ませ、宗助の妹である華名以外、女の子は皆敵と見るようになった。

それならば、アンタたちなんか利用してやるんだから、と。

それに女の子は、宗助を好きになる。
それも、女の子を嫌いになる原因の1つだった。

あたしの方が、宗助をずっと好きだったのに。
横取りなんて許さない。

主人公は、それを許される。
だから嫌い。

例えば、好きな人に恋人がいる。主人公は、好きな人に好きになってもらえるよう努力する。
好きな人はやがて主人公に惹かれる。

⏰:10/08/13 20:02 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#537 [向日葵]
待って。
ねえ待って。

じゃあ恋人は?

もし恋人が主人公なら、そんな人は嫌われるのに、どうして主人公が変われば、それを応援出来るようになるの?

[アンタだって邪魔者で、消えて欲しいのよ]

正月、ミュシャに言われたことを思い出す。

主人公は、どうして悪者にはならないの?

「―――――っ!」

体を少し震わせて、栞はお腹をおさえながらゆっくりと立ち上がった。

⏰:10/08/13 20:03 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#538 [向日葵]
「ん?栞ちゃん?」

「ごめんね話の途中に。ちょっとトイレに行ってくる」

にこりと笑ったが、その顔は少し青くなっていた。

…………………………

水を流すと共に、栞はため息をつく。

月のものはこれだから嫌だ。

栞は人よりも痛みがひどく、薬でいつも和らげていたが、今日はたまたま薬を飲むのを忘れていた。

⏰:10/09/06 23:59 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#539 [向日葵]
仕方ない、保健室で貰うか。

休み中、学校へ入り、ある程度どこに何があるかを把握している為、誰にも頼らず保健室を目指すことが出来た。

歩く度に鈍痛がひどくなっていく気がして、速度がだんだんと落ちていく。

保健室のプレートを見た瞬間は、安堵で倒れそうになった。

「失礼しまー……」

途中で口を閉じる。
中に見知った人物がいたからだ。

おそらく学校一綺麗とうたわれているだろう人物だ。
少しピンク色が入った金髪はフワッと柔らかそうで、それを際立たせるような白い肌は透き通り、手足はすらりと長い。
目は憧れるような蜜の色をしていて、唇は触れたくなるくらいふっくらとしている。

⏰:10/09/07 00:00 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#540 [向日葵]
「あら」

声は凛としていて、栞を更に嫌な気持ちにした。

ミュシャの顔を出来るだけ見ないようにしながら、栞は戸を後ろ手に閉め、その場に立ちつくす。

「具合でも悪いの?」

「あなたには関係ないことですから……」

「そんな顔色してる子に攻撃なんかしないから安心なさい。で、どうかした?」

「体調のことなら保健医に言います」

正月のこともあり、警戒の気配を漂わせる。
しかしミュシャは本当に攻撃する気はないらしく、なんの感情もなく、至って事務的に栞に話す。

⏰:10/09/07 00:00 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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