こいごころ
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#232 [向日葵]
「宗助!」
誰か、女の子が、宗助を呼ぶ。
それが聞こえた方を、ミュシャは見た。
宗助は、今帰るとこらしかった。
女の子は、1つ上の学年らしい。
その女の子に、宗助ははにかんでいる。
そんな宗助を見て、ミュシャはその綺麗な顔を怒りに歪ませた。
宗助の方へ歩いて行く。
あと少しで宗助に近づくとき、女の子はどこかへ行ってしまった。そして宗助はこちらに気づいた。
:09/06/17 01:01
:SO906i
:☆☆☆
#233 [向日葵]
「久瀬?帰ったんじゃなかったのか?」
「私がいつ帰ろうが帰らまいが、アンタに関係ないでしょ?」
「まあ、そうだけど……」
「さっきの先輩、アンタの好きな人?」
「……それこそ、関係ないだろ」
「まあね」
2人の間に、生ぬるい風が吹く。
ミュシャの柔らかそうで、少し波立っている長い髪を遊ぶかのように吹き上げる。
「人の恋愛に、どうこう言おうなんて気はない。」
:09/06/17 01:01
:SO906i
:☆☆☆
#234 [向日葵]
ミュシャの目が鋭くなり、宗助を射抜く。
宗助は少しだけピクリとする。
「本人たちの問題だし、第三者が出てきたからって何か変わるものでもないだろうからね」
「ただ」と、ミュシャは続ける。
怒りをはらんでいるだろうその蜂蜜のような色をした目が、怒りの赤い色が混じっているのではないかと宗助は感じた。
「アンタは、茉里をどうしたいの?」
宗助の表情が、風のせいで、髪が顔にかかっているから分かりにくい。
:09/06/17 01:02
:SO906i
:☆☆☆
#235 [向日葵]
「さっきの人が、アンタの好きな人なんでしょ?ならなんで、茉里の事をちゃんとフラないの?」
「……久瀬には関係ない」
「それは承知だっての。さっき言ったでしょ」
風が徐々にやむ。
宗助の目に、苦しさが滲んでいる気がした。
日差しのせいだろうか。
「茉里のこと、キープだとか思ってんの?」
「……違う」
「じゃあなに?」
そう言うと、宗助は口を閉ざしてしまった。
:09/06/17 01:02
:SO906i
:☆☆☆
#236 [向日葵]
風が徐々に止む。
宗助の目に、苦しさが滲んでいる気がしたが、それは日差しのせいだろうか。
「茉里をこれ以上悩ませないで。もしもなんかあれば、私はアンタを許さない」
それだけ言って、ミュシャは来た道を引き返していった。
残された宗助は、ただその背中を見るしか出来なかった。
自分の気持ちが、整理出来なかった……。
ミュシャが校門まで行けば、茉里だけしかいなかった。
どうやら沢口は帰ったらしい。
:09/06/23 03:42
:SO906i
:☆☆☆
#237 [向日葵]
「あ、ミュー。ゴメンネ待たせて」
「いいの。私も、ちょっとケンカ売りたい相手がいたから」
「え?ケ、ケンカ、売ったの?」
「相手が無抵抗だったから、張り合いなくて帰ってきちゃったよ」
心配そうにこちらを見る茉里に、ミュシャはそっと微笑む。
ミュシャは、茉里の家庭事情を知っている。
あの時、どうしようもなく傷ついている茉里を見て、ミュシャは茉里には幸せになってほしいと願った。
:09/06/23 03:42
:SO906i
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#238 [向日葵]
自分よりも、ずっとずっと。
何があったとしても、茉里は笑顔を絶やさない。
だから、この笑顔を奪った奴は、誰だろうと許さない。
ミュシャは、そう思っていたのだった。
―――――――――…………
「夏祭りかあ……。いいねっ。皆、きいてきいて!」
次の日、茉里は沢口から誘われた夏祭りの事を、とりあえず綾香に話してみた。
「明日、夏祭りがあるんだって!行かない?皆でっ!」
:09/06/23 03:43
:SO906i
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#239 [向日葵]
何人かは、予定があるとかで断ったが、ほとんどは行くと行った。
宗助も。
皆は道場の真ん中に集まって、あれやこれやと話し合っている。
皆が飲んだコップを重ねていると、宗助が静かに隣に立った。
ドキリとして、思わず手が止まってしまう。
「……宗助も、行くんだ」
「ああ」
「先輩が……来るの……?」
「なんで?」
「宗助、こういうの苦手そうだから。来るって言うとは思わなかったの」
:09/06/23 03:43
:SO906i
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#240 [向日葵]
「……あの、さ……、前の事だけど」
「集合場所決まったよー」
綾香が言った。
「え、どこどこー?」
茉里はコップを置き、宗助から逃げるようにして綾香の元へと行った。
今更、言い訳なんて聞きたくなかった。
それならすぐに、あの時、訂正してほしかった。
今は何も、先輩の事は聞きたくなかった。
もう……潮時なのかな……。
諦めろって、神様が言ってるの?なら言わせてよ、宗助に。
:09/06/23 03:44
:SO906i
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#241 [向日葵]
「アンタの事は、好きになれない」って。
そう言わすように、仕向けてよ。じゃないと私……。
諦められないよ……。
[そうやって、裏切られたのに、加賀が変わらず、人の愛情や優しさを信じている人になってて、俺は良かったと思う]
そうやって言ってくれた人を、どうやって嫌いになれって言うの?
――――――――…………
夏祭り当日。
校門前で待ち合わせになった。
:09/06/23 03:44
:SO906i
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