こいごころ
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#392 [向日葵]
キンとした、肌を切るような寒さの中、まるで暖めあうように2人はしばらくそのまま抱き合っていた。

茉里にとっても、宗助にとっても、忘れられないクリスマスになった。

⏰:09/11/23 23:24 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#393 [向日葵]
[11]いとおしい

試合が終われば、もう年末で、試合後の休みが明けてから1日しか練習はなく、早めの長期休暇に入った。

茉里の予想とは違い、部活に来ても、2人をからかったり騒ぎ立てたりする事はなかった。

もしかすると、たまたまあの日に茉里の複雑な想いを知った綾香が注意してくれたのかもしれない。

その気遣いに感謝しつつ、茉里は宗助と仲良く手を繋いで帰っていた。

「明日から来年の4日まで部活休みだねー」

⏰:09/12/10 23:53 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#394 [向日葵]
「冬休みの課題終わらすチャンスだな」

色気のない会話だなー……。
デートに誘うとかしてくれなうのかなー……。

「年末は何してんの?」

宗助が訊く。

「片付けとかかな。あとは1人で夜になるまで出かける」

「なんで?」

「くそ馬鹿親父が家にいるから」

にっこりと笑って嫌味を言う茉里に、宗助は苦笑する。

⏰:09/12/10 23:53 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#395 [向日葵]
毎年29日に茉里の父は休みに入り、家にいる事が多くなる。
顔を合わせるのが嫌なので、茉里はいつも出かけるか部屋にこもるかしていた。

幸い部屋にはテレビもDVDレコーダーもあるので、見たい映画をレンタルで貸りたりすれば、すぐに飽きることもない。

それに茉里は本好きで、部屋に行けば本があるので、1度見たものでもまた読んだりしている。

「でも夜までなんて危ないだろ。冬場は日暮が早いし」

「大丈夫よ。別にそんな危ないところに行くわけじゃないんだから」

「変質者に襲われかけた奴がなにを偉そうに」

⏰:09/12/10 23:54 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#396 [向日葵]
「ちょっと、なにその言い方」

「心配してんだよ」

あっさりと言われて、思わず立ち止まる。

「なに?」

「宗助ってそんなキャラだった?」

「キャラって……なんの話?」

「そんなことサラッと言うタイプだっけ?」

ムッと眉を寄せ、少し顔を赤らめる宗助は、ふてくされたように横を向く。

「じゃあもうなにも言わない」

⏰:09/12/10 23:54 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#397 [向日葵]
「えー!ヤダヤダ!ごめんごめん!」

「じゃあさっさと歩く!」

繋いでいた手をグンと引っ張られ、前につんのめる。
キャハハと茉里は子供のようにはしゃぐ。

「で、話戻すけど」

「え、なんの話してたっけ?」

「アンタの話だろ!」

「もー怒んないでよー!」

片耳を繋いでない方の手でふさぎ、うるさいとアピールする。

⏰:09/12/10 23:54 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#398 [向日葵]
そんな茉里に宗助は角を生やす。

「アンタが脱線させるわ忘れるわのせいだろ!」

「脱線ついでにいいかしら?」

もう突っ込む元気もなくなった宗助は、脱力しながら「なに」と訊いた。

「いつになったら私の名前を呼んでくれるの?」

「呼んでるだろ、加賀って」

「それは苗字でしょ、それ」

「別にいいだろ名前なんて」

⏰:09/12/10 23:55 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#399 [向日葵]
「名前なんてえ?!ちょっと聞き捨てならないわよ!」

それきり、本題はどこかへ行ってしまい、ずっと名前のことで言い争いながら帰ってしまった。

―――――――…………

次の日。
茉里は朝早くから家を出ていた。

父が仕事が終わって、朝に帰ってくると母から聞いたからだ。

ばったり会いでもすれば、その日1日は最悪な日になると茉里は思っている。

⏰:09/12/10 23:55 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#400 [向日葵]
なのでそうならないように外に出た。

朝9時なのに、街中は若者がそれなりにいるのは、冬休みで皆浮かれているせいかもしれない。

ただ困るのは、この時間では、茉里が入るような店が開いていない。
開いているとすれば、コンビニか、流行りのカフェぐらいだ。

仕方ないので、その流行りのカフェで、キャラメルラテを買って、呑気に近くの公園で過ごすことにした。

うーんこれからどうしようかな……。

その時、どこからともなく、バドミントンの羽が飛んできた。

⏰:09/12/10 23:56 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#401 [向日葵]
「すいませえん」

そう言って、走ると言っていいのかわからないくらいゆっくりとこちらにきたのは、髪の毛をふわりと内側に膨らませた、背の低い可愛らしい女の子だった。

「それえ、カナのなんですう」

ゆっくりとした喋り方が、その可愛さをゆり引き立たせる。
ぶりっ子しているような作った喋り方ではなく、本当にそういう喋り方らしいので、茉里は好感が持てた。

「はい、どうぞ」

笑いかければ、カナと名乗る少女も、垂れ目がちの目を更に垂れさせ、ふにゃりと笑った。

⏰:09/12/10 23:56 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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