こいごころ
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#486 [向日葵]
幸せそうに笑う茉里と宗助。
つい最近まで殺伐としていた空気を持っていただなんて誰が思うだろうか。
でもミュシャは、あんな茉里よりは、恋愛バカと言えるような茉里の今のあの気の抜けた顔のほうが断然良かった。
もう、自分の無力さを知るのは、こりごりだ。
今も、昔も……。
――――――――…………
委員会で遅くなった小学生のミュシャは、ぶつぶつ言いながら自分の教室を目指していた。
:10/05/15 23:29
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#487 [向日葵]
ったく、誰もやろうとしないから私がやるはめに……。
イライラしながら教室につくと、同い年の友達より背が高いミュシャは、皆が見にくいであろうドアの窓から、教室の中を見る。
誰かいる……?
目をこらすが、オレンジ色の光が差し込んでるせいで、眩しくて見えない。
とりあえず入らなきゃ始まらない。
ガラッと開けると、教室にいた人物が振り向いた。
振り向いたのは、ミュシャもよく、いや、知りすぎているぐらいの人だった。
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#488 [向日葵]
「あ、ミュー……」
茉里だった。
大人っぽくもあり、小学生らしい可愛らしさもそなえている彼女は、少し気取っている自分よりも魅力があった。
それ故に、好きになる男子も数知れなくはない。
女子にも好かれている。
「あ、委員会?お疲れ様」
「うん」
ランドセルに筆記用具を入れ、帰り支度をする。
そんなミュシャを、ぼんやりとみつめる茉里。
ミュシャがランドセルを背負っても、茉里は帰るそぶりを見せない。
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#489 [向日葵]
そういえば、この頃変に帰るのを嫌がってる気がしなくもないわね。
今日はたまたまミュシャが委員会があって一緒に帰ることは無理だと思っていたが、それ以外の日は、なぜか一緒に帰ろうとはしなかった。
時計をちらりと見れば、もう4時半を過ぎている。
子供っぽい男子ならば一目散に帰り、5時までには帰ってくるようにという親の言い付けを守っている頃だというのに。
それに、どこか上の空だし。
「帰らないの?」
ミュシャが訊く。
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#490 [向日葵]
「夕日が綺麗だから……」
きっぱりとしない否定は、逆に言ってしまえば帰ることを拒絶しているかのようにも聞こえた。
言ってくるまで訊かないつもりだったがもう限界だ。
「何かあったの?」
その言葉を聞いた途端、わずかに口元に笑みを残していた茉里は、悲しみに口を震わす。
そして、涙を静かに流し始めた。
:10/06/06 23:30
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#491 [向日葵]
「お父さん……がね……」
ぽつりぽつりと紡がれたのは、まだ幼い親友を苦しめる出来事だった。
―――――――――…………
「おい久瀬!」
自分の世界から帰ってきたミュシャは、呼んだ宗助を見る。
「なに」
「勝手に行動するな。はぐれたらどうするんだ……って言っても遅かったか……」
:10/06/06 23:30
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#492 [向日葵]
後ろを見れば、華名はいたが、栞がいなかった。
おそらく人波に紛れてどこかに行ってしまったのだろう。
「いやむしろいない方が……」
「え?なに?」
「いや別に。……ってか、アンタこそ茉里はどうしたのよ」
「いるじゃないか、ちゃんとここ……」
と振り返った宗助の後ろは、知らない人達が行き来してるだけだった。
固まり、言葉をなくす宗助。
:10/06/06 23:31
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#493 [向日葵]
あまりのコントのような状況に、腹を抱えて笑い転げたくなったミュシャだが、宗助の前で素の自分をさらけ出すのには抵抗があった。
携帯をコートのポケットから出し、電話をするが、多分気づいてないのだろう、出てくれない。
その後何回かかけ直したが、やっぱり出ないので、諦めてメールを打つことにした。
神社の階段の横に、確か公園があったので、そこで待つと入れる。
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#494 [向日葵]
ミュシャ達も、その場に向かう。
屋台などがある近くのベンチで、華名だけが座り、ミュシャと宗助は立ったまま待つ。
「あ、そういえば宗兄いー」
ゆったりとした口調で、華名は宗助に話し掛ける。
「茉里ちゃんを好きになったきっかけってえー、なあにいー?」
思わず噴き出す宗助。そして咳込む。
「そ、そんなこと、なんで兄弟で語り合わなきゃならないんだよ!」
:10/06/06 23:31
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#495 [向日葵]
「あらいいじゃない。私は1人っ子だから、そういうの憧れるけど」
「兄と妹だと、話題だって違うだろ。せめて兄貴とするならまだしも、なんで妹と……」
「男尊女卑いー。兄弟なんだからそんなのなしだと華名は思いますうー」
「男尊女卑て……」
頬を可愛らしく膨らませて、バタバタと足を振り、華名は茉里との馴れ初めをねだる。
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