こいごころ
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#527 [向日葵]
繋がれた手を、お互いに強く、しかし優しく握る。

ぎこちなく触れる唇がいとおしい。
心がとかされていく。
黒い闇が、なくなっていく。

またあなたを好きになる。
好きで好きで、大好きになって、それから……。

ううん、この言葉を使うのは、きっとまだ早い。

まだ、その言葉の意味を知ってはいない。
だからいつか言わせて。
そして言って欲しい。

あなたを、愛してます。

⏰:10/07/28 01:07 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#528 [向日葵]
[14]ヒロイン

いつだって、漫画の主人公は幸せになる。
お伽話さえも。

だから、主人公なんか、大嫌いなんだ。

―――――――――…………

1年生のある教室が騒がしい。

ざわざわと声が飛び交うなか、チョークが黒板をかする音がきこえる。

その黒板には、栞の名前が書かれていた。

⏰:10/08/13 19:59 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#529 [向日葵]
冬休みがあけ、栞は茉里たちの学校へと転校してきた。

我ながら周りをコントロールする力には長けていると思っているので、とくに媚びをうってまで友達は作ろうだなんて思ってないし、作る前に寄ってくることはわかっている。

ただ、宗助とは別々なのが嫌だ。

そんな不満を、あの2人にぶつけてみた。
今頃騒いでいるのだろうと思えば、少しだけ胸がすく気がした。

―――――――…………

「しんっじらんなあーい!」

一方、こちらは茉里たちのクラス。

⏰:10/08/13 19:59 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#530 [向日葵]
いつもどおりの毎日がまた始まると思いきや、なにやら事件が勃発していた。

「何事……?」

茉里よりも少し遅れて登校してきたミュシャが、馴染みのバカップルを見て呟く。
その顔には、「朝からうっとうしい」と書かれているように見える。

ミュシャに気づいた茉里は、持っていた漫画らしい本を宗助に投げつけると、駆け寄ってミュシャに抱き着いた。

「ミュー!宗助ったら私というものがありながらねー!」

⏰:10/08/13 19:59 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#531 [向日葵]
ミュシャに潤ませた目を向けながら、宗助の方を忙しい動きで指差す。

「違う!本当に違うんだ!俺はあんなの興味ないし!」

「ちょっとバカップル、話が見えないから順を追って話をしなさい」

話はこうだった。

茉里と宗助の共通して好きな漫画があった。
宗助はその漫画の最新刊を茉里から借りていたらしい。
読み終えた宗助は、さっき茉里に返したのだが、茉里が好きな場面を話そうと、漫画を開いたところ、中に描いていたのは茉里が好きな場面ではなく、見覚えのない絵で描かれた男女が裸で絡まっている場面だった。

⏰:10/08/13 20:00 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#532 [向日葵]
いわばその本は、思春期の男子が家族に見られないようベッドの下に隠し持っているバイブルだったのだ。

カバーだけは、茉里たちが知っている漫画であり、中身だけが変わっていたのだ。

茉里はそれはカムフラージュで宗助が仕込んだもので、そのカムフラージュをとくのを忘れたのだと思い込んでいる。

しかし、宗助は一般男子のそういったバイブルには興味がなく、それは自分のではないと主張している。

それが、今の騒ぎの全てだった。

ミュシャは呆れ半分、宗助に軽蔑の眼差し半分で話をきいていた。

⏰:10/08/13 20:00 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#533 [向日葵]
「まあ……流れから言えば笹部、アンタはクロだわね」

「ちっがう!俺は本当に知らない!」

「私に手出さないくせに、そういうのは進んで見るとかどういうこと!?」

「だーーかーーらっ!」

だが、ミュシャは宗助のことは半分信じていた。

見るからに奥手で、どちらかと言えばそういった本を見せれば恥ずかしがる、いや、もしかしたら軽蔑するぐらい嫌がりそうな宗助だ。

⏰:10/08/13 20:01 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#534 [向日葵]
興味があるならもっと茉里に対しても積極的だろうに。

それにもう1つ、思いあたる節がある。

―――――――――…………

「栞ちゃん」

すでに友達が出来た栞は、6人ほどのグループの中にいた。

「なあに?」

「彼氏とかいるの?」

「えー、いるわけないじゃん!あたしなんて可愛いくないもん!」

「えー!何いってんのー!めちゃめちゃ可愛いじゃん!」

うそつけ。

⏰:10/08/13 20:01 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#535 [向日葵]
栞は心の中で悪態づいた。

女子の定番台詞だ。
可愛いと褒めればいいと思ってるのが馬鹿らしい。

結局は

「皆の方が可愛いよ!」

と言って欲しいだけ。
そしてまた否定しながら他人を褒める。
無限に続く言葉のループは、退屈なだけだ。

栞は女の子が嫌いだ。

昔、好きな人を巡って、いじめられた経験があった。
好きでもない男子が、栞を好きと言ったからと、栞が悪者にされ、仲間はずれにされたのだ。

⏰:10/08/13 20:02 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#536 [向日葵]
理不尽な出来事は栞の心を歪ませ、宗助の妹である華名以外、女の子は皆敵と見るようになった。

それならば、アンタたちなんか利用してやるんだから、と。

それに女の子は、宗助を好きになる。
それも、女の子を嫌いになる原因の1つだった。

あたしの方が、宗助をずっと好きだったのに。
横取りなんて許さない。

主人公は、それを許される。
だから嫌い。

例えば、好きな人に恋人がいる。主人公は、好きな人に好きになってもらえるよう努力する。
好きな人はやがて主人公に惹かれる。

⏰:10/08/13 20:02 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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