こいごころ
最新 最初 🆕
#677 [向日葵]
ーーーーーー………………

「お前たちって仲良いな」

上司の田辺が言う。

裕之と花形、2人して田辺を見る。

「普通じゃないですか?なあ花形」

「ねえ加賀さん」

「そういうのほほんとした会話が仲良いって言ってんだよ」

実際に仲は良かった。
彼女はやっぱり馨に似ていて、会話から動作まで似ているから、どうしても、馨と接しているようになってしまう。

⏰:11/04/17 00:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#678 [向日葵]
裕之はそれでも、馨と花形は違うと思っていたから、ただの同僚としてしか思っていない。

「あ、そうだ加賀、この資料まとめといてな」

「え、昨日やりましたよね?」

「訂正の部分が出たんだ。悪いな」

肩を叩いて去っていく上司は、ちっとも悪いと思っていない。
ちぇっと、訂正しなくてはならなくなった書類を苦々しくみつめる。

残業決定か。

最近こんなことが多くなって、茉里と遊べないし、馨ともゆっくり出来ない。

⏰:11/04/17 00:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#679 [向日葵]
茉里ももう小学3年生になった。
この前も、父の日だからと、少ないお小遣でネクタイを買ってくれた茉里は、裕之にあげるのを楽しみにしていたのに、裕之はその日残業で、結局あげたのは次の日だった。

「気に入った?これを見てたまには茉里のことも思い出してね」

幼く、いじらしいその言葉は、裕之は胸を痛めた。

だから早く帰って、力いっぱい抱きしめてやりたいのに。
少し疲れ気味の裕之は嘆息する。

「あの加賀さん、私も手伝いますよ」

明らかに肩を落としている裕之を気遣ってか、花形は控えめに申し出た。

⏰:11/04/17 00:21 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#680 [向日葵]
「ああ……悪いな……。頼む」

「任せてください!」

にっこりと微笑む。
その笑顔が、馨と重なる。
疲れた心が、癒される。

手を伸ばした裕之は、何か迷って、花形の頭を撫でた。

「ありがとな。ちょっとコーヒーでも飲んでくるわ」

花形の隣を通れば、あの香り。

裕之は頭を撫でるつもりなんてなかった。
そして自分のしようとしてたことを、歩きながら心の底から戒めた。

撫でるつもりなんてなかった。
本当はーーーーーー。

⏰:11/04/17 00:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#681 [向日葵]
ーーーーー抱きしめようとした。

⏰:11/04/17 00:22 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#682 [向日葵]
「なにを……してるんだ……っ」

疲れて頭がおかしくなったか!
いくら馨に似てるといっても彼女は違うではないか。

代わりにしようとするなんて、最低な男のやることだ。

ーーーーーーーー………………

「あーっ!!やっと終わりましたねー!!」

残業してから3時間。
2人共椅子の背もたれにもたれきって背伸びをする。

もう目がチカチカして、しばらくはパソコンの画面とにらめっこしたくはない。

⏰:11/04/17 00:23 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#683 [向日葵]
「あー……。なんで僕ばっかり……」

「珍しい。加賀さんが愚痴ってる」

おっとっと。
みっともないところを見せるとこだった。
こういうところは、愛する人しか見せたくない。

「帰る前に一息つきましょうか。コーヒーいれますね」

立った花形は、裕之のデスクの左側にある、コーヒーメーカーがある場所へと歩いていった。

しかし、急にめまいが彼女を襲い、ぐらりと体が傾く。
いち早く気づいた裕之は、花形の体を支える。
裕之は椅子から立ち上がって支えたが、バランスを崩して、また椅子に座ることとなった。

⏰:11/04/17 00:23 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#684 [向日葵]
そしてその上に花形が座る形になった。

「だ……大丈夫か……?」

「ご……ごめんなさ……。最近けっこうこんなのがよくあって……」

「ちゃんと休めているのか?」

「はい……。助けて頂いて、ありが……」

花形が顔をあげれば、裕之との距離は、数センチしかなかった。
2人共、離れようとしない。

「…………好きです」

こぼれ落ちるように、花形の口からそうきこえた。

「加賀さんが好きです……。ずっとずっと……好きでした……っ」


やめてくれ。

⏰:11/04/17 00:24 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#685 [向日葵]
「奥さんがいてもいいんです……。私、代わりでもいいんです」

やめてくれ。
彼女と同じような顔で、香りで、声で、僕を求めないでくれ。

彼女ですら、こんなに情熱的に求めたことはない。
いつも裕之が求めて、馨がそのふんわりとした空気で受け止めてくれる。

それはもちろん、馨が嫌がっているのではなく、それが2人の愛し合い方だから、裕之は幸せに満ちあふれていた。

「好き……。加賀さん……。好きなの……。」

頭が、疲れているから、働かない。

馨……。

⏰:11/04/23 20:29 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#686 [向日葵]
僕は今、君を、こんなにも欲している。

働かない頭のせいにする。
なにもかも。

気づけば、花形に唇を寄せていた。
今すぐ、自分を癒してほしくて、無我夢中で、花形を抱いた。

「加賀さん……」

「……花形。ーーーーーっ!?」


裕之は、ハッとした。

今、誰の名を呼んだ?

わからなくなった。
僕は馨を愛してるのか、花形を愛しているのか。

あんなに馨を欲していたのに、紡いだ名前は、違う名だった。

⏰:11/04/23 20:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194