こいごころ
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#838 [向日葵]
「そういえば……」
ミュシャが茉里のクッキーをつまみながら言う。
「笹部って意外にモテるのね。何回か女子の会話がきこえた時、笹部に渡すって言ってた子が何人かいたわ」
「えっ!?なにその聞き捨てならない話!!」
思わずラッピング途中のクッキーを握り潰しそうになった。
宗助はミュシャとは違い、物語で言えば生徒A扱いでもされそうなほど目立つ容姿はしていない。
:11/07/30 15:47
:SH05A3
:☆☆☆
#839 [向日葵]
無愛想、無難、地味、パッとしないなどの表現が似合いそうなのだ。
しかし、茉里と付き合うことにより、笑ったり話したりしている姿に好感を抱き、接しやすくなったと評判になっていた。
そんなことを茉里は知らない。
「ど、どどどどうしよう……っ!突然現れた可愛い子に宗助をとられたら……っ!!」
「アンタ彼女なんだから堂々としてなさいよ。ってか彼女のくせに、いつまで自分に自信がないのよ」
「不安が拭いきれないのは恋する乙女の決まった問題ですから……」
「あんまりうっとおしいと、今年の生チョコはあげないわよ」
:11/07/30 15:47
:SH05A3
:☆☆☆
#840 [向日葵]
「そんな血も涙もない……っ!!」
「そんなしょうもないことをウジウジウジウジいつまでも考えるからよ。これがまだ片思いでどうのこうの言ってるんだったらまだ良心のかけらで慰めてあげるけど」
「片思いでも良心のかけらぐらいしかくれないのね……」
逆に泣きたい。
やっぱりいつもの調子が出ないなーと難しい顔をしていると、携帯が鳴った。
このバイブは電話だと思い、誰からだと確認せずにとってしまう。
:11/07/30 15:47
:SH05A3
:☆☆☆
#841 [向日葵]
「はい、もしもし」
「もしもし、俺だ」
「あら宗助。どうしたの?私が恋しくなったとか?」
「いや違うけど」
「即答するな!悲しくなるわ!」
ミュシャはやれやれといった風に首を振ると、台所へと向かっていった。
「私が恋しくないなら何の用でございますか?愛しの笹部宗助くん」
「なんかトゲがあるんだが……」
「気のせいじゃなくって?」
:11/07/30 15:48
:SH05A3
:☆☆☆
#842 [向日葵]
こっちは宗助の喜ぶ顔がみたくて、クッキーを作ってたっていうのに!!
クッキーに色づけとでも称して唐辛子のパウダーでもかけてやろうかしらっ。
怒りで半目になりながら、その声に耳を傾ける。
「華名が会いたがってるんだ。今どこだ?」
「ミューの家だけど」
「ああ先約があったのか。じゃあ無理だな」
:11/08/06 00:55
:SH05A3
:☆☆☆
#843 [向日葵]
先約は先約だけど……!
そうじゃなくて……っ。
「夕方くらいなら空いてるから、宗助の降りる駅で待っててって伝えてくれる?私がそっちに行くから」
「いや、俺がそっちに華名を連れて……」
「明日まで宗助と会いたくない!!」
そのまま電源ボタンを押す。
衝動的に押したものの、後悔が後から後から押し寄せてきた。
:11/08/06 00:55
:SH05A3
:☆☆☆
#844 [向日葵]
ああもうっ!
なにやってるの私!
色んな不安を、宗助に八つ当たりしたって、なにも始まりはしないのに。
テーブルの上にある、綺麗にラッピングされた袋をちらりと見る。
明日こんな気分で、にこやかに、愛情たっぷりに、「どうぞ」と言って渡せるのだろうか。
なにも今日喧嘩しなくてもよいではないか。
携帯を握りしめたまま、茉里はうなだれる。
:11/08/06 00:56
:SH05A3
:☆☆☆
#845 [向日葵]
「ハイハイ、萎れない萎れない」
ポンと、ミュシャが茉里の頭に手をのせる。
「あたしも余計なこと言った。それは謝る。でもアンタがいつまでもそんなんじゃ、笹部も信じれるものが信じれなくなるわよ。アンタがまず、笹部を信じなさい」
ミュシャの言葉が、胸にしみる。
信じてないわけじゃない。
ただ悲しい。
好きだと思っていても、宗助が思っている好きと茉里の好きには違いがありすぎる気がする。
:11/08/06 00:56
:SH05A3
:☆☆☆
#846 [向日葵]
宗助は好きだと言ってくれた。
してほしいことは言ってくれと言ってくれた。
それだけで、宗助の愛情は十分だし、茉里は宗助がそういう方面が苦手なのもわかっている。
けれど、求めるばかりじゃなくて、求められたいとか、甘えられたいとか思ってしまうのは、贅沢なことなのだろうか。
このクッキーを渡して、本当に喜んでくれるだろうか……。
―――――――…………
「あ、茉里ちゃーん」
:11/08/06 00:56
:SH05A3
:☆☆☆
#847 [向日葵]
夕方、電車に乗った茉里は、華名と待ち合わせをしている駅へとやって来た。
改札口のすぐそばに、あったかそうで可愛らしいなポンチョを着た華名が立っていた。
こちらにいると、背伸びして、めいっぱい手を振っている。
茉里は駆け寄って、そのまま華名を抱きしめた。
華名も抱きしめ返し、茉里に甘えるように頭をすり寄せる。
「ごめんね、お待たせっ」
「ううんー。華名も、今来たとこだからぁ大丈夫だよぉ」
:11/08/06 00:57
:SH05A3
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