こいごころ
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#843 [向日葵]
先約は先約だけど……!
そうじゃなくて……っ。

「夕方くらいなら空いてるから、宗助の降りる駅で待っててって伝えてくれる?私がそっちに行くから」

「いや、俺がそっちに華名を連れて……」

「明日まで宗助と会いたくない!!」

そのまま電源ボタンを押す。

衝動的に押したものの、後悔が後から後から押し寄せてきた。

⏰:11/08/06 00:55 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#844 [向日葵]
ああもうっ!
なにやってるの私!

色んな不安を、宗助に八つ当たりしたって、なにも始まりはしないのに。

テーブルの上にある、綺麗にラッピングされた袋をちらりと見る。

明日こんな気分で、にこやかに、愛情たっぷりに、「どうぞ」と言って渡せるのだろうか。

なにも今日喧嘩しなくてもよいではないか。

携帯を握りしめたまま、茉里はうなだれる。

⏰:11/08/06 00:56 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#845 [向日葵]
「ハイハイ、萎れない萎れない」

ポンと、ミュシャが茉里の頭に手をのせる。

「あたしも余計なこと言った。それは謝る。でもアンタがいつまでもそんなんじゃ、笹部も信じれるものが信じれなくなるわよ。アンタがまず、笹部を信じなさい」

ミュシャの言葉が、胸にしみる。

信じてないわけじゃない。
ただ悲しい。

好きだと思っていても、宗助が思っている好きと茉里の好きには違いがありすぎる気がする。

⏰:11/08/06 00:56 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#846 [向日葵]
宗助は好きだと言ってくれた。
してほしいことは言ってくれと言ってくれた。
それだけで、宗助の愛情は十分だし、茉里は宗助がそういう方面が苦手なのもわかっている。

けれど、求めるばかりじゃなくて、求められたいとか、甘えられたいとか思ってしまうのは、贅沢なことなのだろうか。

このクッキーを渡して、本当に喜んでくれるだろうか……。

―――――――…………

「あ、茉里ちゃーん」

⏰:11/08/06 00:56 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#847 [向日葵]
夕方、電車に乗った茉里は、華名と待ち合わせをしている駅へとやって来た。

改札口のすぐそばに、あったかそうで可愛らしいなポンチョを着た華名が立っていた。
こちらにいると、背伸びして、めいっぱい手を振っている。

茉里は駆け寄って、そのまま華名を抱きしめた。
華名も抱きしめ返し、茉里に甘えるように頭をすり寄せる。

「ごめんね、お待たせっ」

「ううんー。華名も、今来たとこだからぁ大丈夫だよぉ」

⏰:11/08/06 00:57 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#848 [向日葵]
相変わらずのゆったりのんびりな口調に、茉里は顔をほころばせた。

メールのやりとりはしていたものの、会うのは正月以来だ。
茉里も華名に会いたかった。

「えっと、私の家まで来る?そしたらゆっくり喋れるよ」

すると華名は顔を動かさずにちらりと目だけで後ろを見て、茉里の耳に口を近づけた。

「実はねー、そこの物陰に、宗兄がいるの」

は?

⏰:11/08/06 00:57 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#849 [向日葵]
「気づかれないように、そろっと見てみて」

物陰と言っても、物陰はたくさんある。
探しているのを気づかれないよう、ゆっくりと目だけを動かす。

「あ」

いた。

切符販売機の近くの太い柱に、宗助がいる。
遠くにいるので表情はわからないが、あちらもこっちに気づかれないように、こそっと見ていた。

⏰:11/08/06 00:58 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#850 [向日葵]
その様があまりに馬鹿らしく見えて、茉里はぽかんとした顔のまま華名に顔を向ける

「なにしてんのあの人」

「きっと茉里ちゃんがこわいのよぉ」

「なにそれ?」

「茉里ちゃん、宗兄と喧嘩したんでしょぉ?華名、あの時近くにいてねぇ。茉里ちゃんの怒ってる声が聞こえちゃってぇ」

恥ずかしい……。

⏰:11/08/06 00:58 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#851 [向日葵]
「宗兄もデリカシーというか、乙女心わからない人だからぁ、茉里ちゃんごめんねぇ」

「それと宗助があそこにいるのとどう関係が?」

「謝りたいけど、どう謝ればいいかわからないみたいー。とりあえずぅ、あそこで様子見してるんじゃないかなぁ」

ああまったく……。

宗助だけが悪いわけじゃないけど、確かに謝られても、今の気持ちでは火に油な気もする。

⏰:11/08/06 00:58 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#852 [向日葵]
「華名ちゃん。宗助が、私を家族に紹介してくれないのはどうしてだと思う?宗助は、私のことどれだけ好きだと思う?」

「宗兄はすごく茉里ちゃんのこと好きだと思うよぉ。家族に紹介しないのは、お父さんもお兄ちゃんも女好きなのと、お母さんを筆頭にイジられるのが嫌だから」

はい?

茉里はまたぽかんとした顔になってしまった。

「前に、話の流れで茉里ちゃんの話が出たのねぇ。お父さんとお兄ちゃんはさっき言ったとおり、そういう人だからぁ、好きな人を家族だろうがなんだろうが、そういう目で見られるの嫌だって言ってたのぉ」

私の、話……?

⏰:11/08/06 00:59 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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