悪 魔 の 誕 生 日
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#501 [七瀬]
「寒‥っ」
容赦ない雨に体が凍える。
雷‥どこにいるの?
あれから、学校を出たのはいいけど、傘を忘れてしまった。
とりに行こうか迷ったけど止めた。
:09/05/06 01:31
:N703iD
:p8oeFPTc
#502 [七瀬]
私としたことが、
とんだミスをしちゃった。
「はあ‥」
自然に漏れるため息と
雨の冷たさで震える手。
そして、不安。
私らしくない。
“真姫”はもっと強くて、賢くって‥‥
:09/05/06 01:35
:N703iD
:p8oeFPTc
#503 [七瀬]
雷もきっと、
そんな私が好きなの。
“私”じゃなくて“真姫”
でも、私、
雷に出会ってから、
バカで
弱虫な
真姫に
なっちゃったみたい‥
:09/05/06 02:26
:N703iD
:p8oeFPTc
#504 [七瀬]
寒い
冷たい
怖い
苦しい
雷に会いたい‥
:09/05/06 02:28
:N703iD
:p8oeFPTc
#505 [七瀬]
そんな中で
ただ耳の全てを支配する
ザーーという音を聞いていた。
:09/05/06 02:30
:N703iD
:p8oeFPTc
#506 [七瀬]
うーん、
これからどうしようか。
俺はまだ、
ホテルの入り口にいた。
ゆかちゃんは、
「彼氏に誕生日お祝いしてもらうの〜!!」
って雨の中、走っていった。
:09/05/06 13:35
:N703iD
:p8oeFPTc
#507 [七瀬]
『うう〜、寒〜』
雨は止む気配すら、
見せない。
姫は、委員会終わって、
ちゃんと帰ったかな。
‥って、
きっと大丈夫だな。
姫のことだから、
事前に傘を持っていっているはず。
:09/05/06 13:39
:N703iD
:p8oeFPTc
#508 [七瀬]
あの悪魔のことだし、
今ごろ、意地悪な笑みを口に浮かべているはず。
‥なのに、
なぜこんなに
不安なんだろう。
なぜか、
姫が呼んでるような気がした。
バカな俺の勘なんて、
当てにできない。
:09/05/06 13:46
:N703iD
:p8oeFPTc
#509 [七瀬]
だけど、
居ても立ってもいられなくて、
当てにならない勘だけを頼りに、姫の元へと向かった。
足下を雨で濡らしながら。
:09/05/06 13:49
:N703iD
:p8oeFPTc
#510 [七瀬]
やっぱり俺の勘は
当てにならなかった。
あ〜、どこに行んだよ。
寒さと不安ばかりが増し、雨を含んだ靴が重い。
頭もびしょびしょ。
今日、風呂入んなくても、いいかも。笑
:09/05/06 13:52
:N703iD
:p8oeFPTc
#511 [七瀬]
『‥っくしょん‥!!』
やっぱ撤回。
こりゃ今すぐ、風呂入んないと。
ほんと、今は4月下旬なのだろうか。
寒い、寒過ぎる。
:09/05/06 13:56
:N703iD
:p8oeFPTc
#512 [七瀬]
「‥‥い!らい!!」
『んあ?』
俺を呼ぶ声が聞こえて、
その声を辿っていくと
『京介。』
ばかやろーなダチの姿。
「お前、こんな雨降ってんのに、傘も差さねぇで、バカじゃねーの!?」
:09/05/06 14:00
:N703iD
:p8oeFPTc
#513 [七瀬]
『‥傘、忘れたんだから、しょーがねぇじゃん。』
またバカ呼ばわりかよ。
「はあ。
お前ら、どいつもこいつも‥」
京介が呆れたようにいう。
ん?
『京介、“どいつもこいつも”って‥』
:09/05/06 14:03
:N703iD
:p8oeFPTc
#514 [七瀬]
「はい、これ。」
そうやって、
手を差し出される。
『これって‥』
まだ、かすかに濡れているもの。
「そ。真姫ちゃんの傘。」
姫の傘。
:09/05/06 14:05
:N703iD
:p8oeFPTc
#515 [七瀬]
『なんで、京介が‥』
「真姫ちゃん、ここに来たし。」
京介は、
すぐそこの俺の学校を指さした。
『なんで…』
「お前が、傘ないんじゃないかって、心配してたみたい。」
:09/05/06 14:08
:N703iD
:p8oeFPTc
#516 [七瀬]
胸が熱くなるのを感じた。
「で、お前がハナジョウの子と、どっか行ったって、言ったら、血相変えて雨ん中、傘も差さずに飛び出していった。」
ゆかちゃんだ。
「俺はてっきり、真姫ちゃんだと思ってたから‥すまん‥。」
『いや、さんきゅ。京介』
:09/05/06 14:35
:N703iD
:p8oeFPTc
#517 [七瀬]
そして、
また雨の中、飛び出す。
さっきよりも、
早く足を動かすと、やっぱり水が掛かって冷たい。
でも、そんなこと気にしている暇はなくって
今はただ、お姫さまを探すだけ。
:09/05/06 14:39
:N703iD
:p8oeFPTc
#518 [七瀬]
「ハァ‥ハァ‥‥」
やっぱ、俺の勘は当てにならない!!
それは、この30分間ほどで十分思ったこと。
姫は未だに見つからない。
でも、まだ京介が預かっててくれた姫の傘があったから、全身びしょびしょということは、免れた。
と、いってもピンクの傘は恥ずかしいけど。
:09/05/06 14:46
:N703iD
:p8oeFPTc
#519 [七瀬]
そうだ!
姫の携帯に‥
って、
俺、ケー番どころか、アドレスも知らない!!
デートの時は、姫がいつも校門に待ってたから‥
ああ〜っ、
俺って、役たたず!!
:09/05/06 16:50
:N703iD
:p8oeFPTc
#520 [七瀬]
無駄に光るディスプレイを見ながら、むしゃくしゃする。
しょうがない。
姫の家へ、行くか。
俺は、駅へ向かった。
:09/05/06 16:52
:N703iD
:p8oeFPTc
#521 [七瀬]
さすがに、
駅の近くまで行くと、
人も多くなる。
駅付近には商店街もあって老若男女で賑わっている。
‥ピンクの傘は恥ずかしい。
そんな羞恥心を持ちながらも、足を休めるこてはできない。
:09/05/06 16:56
:N703iD
:p8oeFPTc
#522 [七瀬]
が、俺の足は止まってしまった。
それは、痛くなったとか、疲れたとか、
ましてや、他の女に捕まったとかではない。
『‥ひめ!?』
愛しのお姫さまを見つけたから。
:09/05/06 17:01
:N703iD
:p8oeFPTc
#523 [七瀬]
そこには、商店街の隅っこで、雨宿りしている姫が。
『姫‥!』
もう一度、大きく叫ぶと、
「あ‥らい。」
小さく答えた。
『姫、
どこにいたんだよ!?』
:09/05/06 17:56
:N703iD
:p8oeFPTc
#524 [七瀬]
ぎゅっと小さい体を抱き締める。
‥冷たい。
びちゃびちゃに濡れた体は驚くほど、ひんやりしていた。
「雷こそ‥どこにいたのよ」
でも、その冷たさの中に、少し体温が感じられ、安心する。
:09/05/06 18:00
:N703iD
:p8oeFPTc
#525 [七瀬]
「ずっと‥探してたのに‥」
『ごめん‥っ、ひめ‥。』
安心したと同時に、
溢れる気持ち。
やっぱり、俺は姫が好き。
遊びなんかじゃなく、
本気で。
:09/05/06 18:03
:N703iD
:p8oeFPTc
#526 [七瀬]
お互い、雨に濡れていて、冷たかった。
でも、その中でも俺の胸が特に、濡れていたのは
「うっ‥うぅ〜‥‥ぐずっ‥」
お姫さまの涙のせい。
でも、その涙は
あったかかった。
:09/05/06 20:49
:N703iD
:p8oeFPTc
#527 [七瀬]
なんか‥
『ひめ‥ごめん‥‥』
俺も泣きそう。
ほんと、かっこわりぃ‥
「ふぇ‥ぐずっ‥‥」
ずっと泣いてる姫。
ゆかちゃん以上だな、これは。
:09/05/07 07:03
:N703iD
:ib47kqmk
#528 [七瀬]
『とりあえず、帰ろう。』
俺は姫を送ることにした。
電車の中、ふらふらな姫を座らせてあげたかったけれど、
びしゃ濡れだし、座るわけにもいかず、結局支えてあげるだけしかできなかった。
『姫‥大丈夫?』
「うん‥」
:09/05/07 07:07
:N703iD
:ib47kqmk
#529 [七瀬]
そんな、俺たちにやはり周りの目は痛かった。
いつもとは違って
弱気の姫。
それは冷めた体のせいだろうか。
それとも…
昨日の顔が忘れられない。
:09/05/07 07:12
:N703iD
:ib47kqmk
#530 [七瀬]
ピンポーン
この家のインターホンを
実際に押したのは、昨日が初めて。
ガチャ
「あら‥雷くん‥‥」
扉を開けた真姫のお母さんは、目を大きくしていた。
:09/05/07 22:16
:N703iD
:ib47kqmk
#531 [七瀬]
『いきなりすみません。』
「いや、いいのよ。
真姫は今、いないみた‥」
そこまで言って、
もう少しドアを開けると、
俺にぐったりと横たわっている真姫が目に入ったようで、
「真姫‥!!」
悲嘆する真姫のお母さん。
:09/05/07 22:40
:N703iD
:ib47kqmk
#532 [七瀬]
「え‥あ、えと‥‥」
あたふたと混乱する、
真姫ママに、
『お風呂、お願いします』
姫を抱き抱えた。
「は‥はい‥」
混乱しながらも、駆け足でお風呂場に向かっていった。
:09/05/07 22:44
:N703iD
:ib47kqmk
#533 [七瀬]
玄関へ上がると
「大丈‥夫。
一人で歩けるから。」
弱々しく姫が立ち上がった。
『ほんとに大丈夫?
今、お母さんにお風呂沸かしてもらってるから。』
「うん‥大丈夫。
ありがと‥‥」
:09/05/07 22:47
:N703iD
:ib47kqmk
#534 [七瀬]
相も変わらず、弱々しい足取りで階段を上り始める姫を支える。
「ほんと‥ありがとね。」
やけに素直なところが、
余計に弱っているように見えた。
『いいから、早く自分の部屋行って、着替えて‥』
コクリて頷くだけだった。
:09/05/07 22:50
:N703iD
:ib47kqmk
#535 [七瀬]
ふぅ
俺は姫の部屋の前で、
一息ついた。
今、姫は部屋で、着替えている。
バスタオルも渡したし、
後はお風呂に入って‥
そう思うと、少し安心した。
:09/05/07 22:53
:N703iD
:ib47kqmk
#536 [七瀬]
「らい‥」
カチャっと、ドアが開いて姫が顔を出した。
『お風呂、
もうちょっと待ってな。』
優しく微笑みかけた。
「うん。あのね‥雷。」
「お風呂、沸いたわよー」
姫がなにか言いかけた瞬間、下から声がした。
:09/05/08 17:17
:N703iD
:6lSCKeqg
#537 [七瀬]
『早く入っといで。』
「うん‥」
姫は階段を下りていった。
なにを
言いかけてたんだろう‥
:09/05/08 18:56
:N703iD
:6lSCKeqg
#538 [七瀬]
「真姫も、もう上がるだろうし雷くんも入ってって」
真姫ママがニコッと笑った。
『いや‥いいっすよ。』
「入って。」
風呂から、姫が出てきた。
『ひめ‥』
「風邪、引くから。」
:09/05/09 19:36
:N703iD
:pseT6E7s
#539 [七瀬]
『でも‥』
俺は傘があったから、姫ほど濡れてないし、
いきなり来て、迷惑だろうし、
『やっぱり‥』
「早く、入って。」
茶色い瞳に捕らえられる。
「上がったら‥話あるから」
:09/05/09 19:39
:N703iD
:pseT6E7s
#540 [七瀬]
ドクン
心臓の音が聞こえた。
『‥‥わかった。』
風呂場へと、体を向けた。
:09/05/09 19:41
:N703iD
:pseT6E7s
#541 [七瀬]
この、無駄にデカい風呂に入るのも二回目だなあ。
今はいらないけど、
歯ブラシの置き場所もわかるし、
もうシャンプーとリンスを間違えることもない。
冷えた体にシャワーを当てる。
温かい。
:09/05/09 22:15
:N703iD
:pseT6E7s
#542 [七瀬]
‥なんだろう、話って。
水の流れる音が耳に入る。
俺の小さなため息は、
その音にかき消された。
シャワーは、体を温めてはくれたけど、
前みたいに疲れを流してはくれなかった。
:09/05/09 22:31
:N703iD
:pseT6E7s
#543 [七瀬]
風呂から出ると、
湯気の立ったマグカップが2つ、テーブルに。
「体、冷えたでしょ?」
そして、一昨日豪華なディナーが並んだそのテーブルのイスには、真姫が一人。
『ありがとう。
あれ、お母さんは?』
ふと、その広いリビングを見渡すと俺ら以外だれもいない。
:09/05/09 22:37
:N703iD
:pseT6E7s
#544 [七瀬]
「ママなら、寝室でテレビ見てる。」
なんだかんだ言っても、
姫の家族は気を遣ってくれる。
あのシスコン野郎も前に、気遣ってくれたし‥
「あ、ちなみに真王は部屋で勉強してる。」
‥ほらな。
:09/05/09 22:45
:N703iD
:pseT6E7s
#545 [七瀬]
だてに、常識外れなセレブじゃなくて、
だてに、子供に関心がないわけではない
って、やっと気付いた。
周りから、見たら冷たいとか、ほったらかしとかいう風に見えるんだろう。
事実、俺も最初はそう思ってた。
なんて、
いい加減な親なんだって。
:09/05/09 22:50
:N703iD
:pseT6E7s
#546 [七瀬]
だけど、そうじゃなくて
これがこの家の、愛し方なんだって思ったんだ。
顔が全然似てなくたって、姫と姫のお母さんもお父さんも弟も
みんなみんな家族なんだって、やっと気付いたよ。
:09/05/09 22:53
:N703iD
:pseT6E7s
#547 [七瀬]
『‥俺、ダメだな。
姫のこと、全然分かってなかったよ。』
自分が憎い。
マグカップへ向かいかけてた姫の手が止まる。
俺の顔は下へ。
だけど、見てなくても
姫がこっちを見てるんだってオーラが伝わってきた。
「そうね。」
:09/05/09 22:57
:N703iD
:pseT6E7s
#548 [七瀬]
ポツリと広いリビングに響いた。
「雷は私のこと、全然理解してない。」
俺は顔を上げることが
出来ない。
「わたし‥“真姫”のことを分かってない。」
:09/05/09 22:59
:N703iD
:pseT6E7s
#549 [七瀬]
“真姫”のことを分かってない‥
頭の中で、何回も何回も、鳴り響いた。
「らい‥顔上げて。」
それでも、まだ見れない。姫を見れない。
「おねがい‥おねがいだから‥」
悲しそうな声。
:09/05/09 23:21
:N703iD
:pseT6E7s
#550 [七瀬]
「やっと上げてくれたね。」
姫のそんな声を聞きたくない。
その一心で顔を上げて、
また後悔する。
だって‥そんな顔するから。
それは、怒っているわけでもなく、悲しんでいるわけでもない。
昨日と同じ。
声と恐ろしく反対な表情。
:09/05/09 23:25
:N703iD
:pseT6E7s
#551 [七瀬]
“無表情”
まさしくそれ。
『ひめ?』
なにを考えているのか‥
まったく読めない。
心のブロックがあって、
入ろうとするのを邪魔する。
:09/05/10 00:41
:N703iD
:fjEZONms
#552 [七瀬]
「雷は、なにも分かってない。」
頭痛くなってきた。
「でもね。」
声が柔らかくなった。
「それは、雷が悪いんじゃないの。私なの。姫が全部悪いんだよ。」
今度は、姫が顔を下げた。
:09/05/10 00:44
:N703iD
:fjEZONms
#553 [七瀬]
「私ね‥ほんとはこんなんじゃないの。」
下を向いたまま、話す姫。
「いつも雷に意地悪してるけど、ほんとは違うの。」
声が震えていた。
「昨日だって、雷がゆかちゃんのところへ行っちゃうんじゃないかって怖かった。それは今も同じ。」
:09/05/10 00:49
:N703iD
:fjEZONms
#554 [七瀬]
不安なの‥だろうか。
『‥そんな顔だったから気付かなかった。』
「姫‥不安になると無表情になっちゃうから。」
ハハっと笑った。
『そう‥なんだ。』
ああ、
やっぱ、なんも分かってない。
:09/05/10 00:53
:N703iD
:fjEZONms
#555 [七瀬]
「だから‥っ!!」
姫が意を決したように、
顔を上げた。
「私は、ほんとのほんとの“真姫”は、バカで泣き虫で弱虫なの‥‥っっ!」
『そっ‥そう。』
すごい勢いで言うもんだから、びっくりした。
姫はイスから立ち上がって手は机についていた。
:09/05/10 00:57
:N703iD
:fjEZONms
#556 [七瀬]
『ちょ‥落ち着いて!』
「ああ、ごめん‥
ちょっと興奮しすぎた‥」
ふぅーと一息つくと、
またイスに座った。
自分も落ち着こうと、
マグカップへ、口を運ぶと甘さが広がった。
「でね、だから‥
私、不安なの。とっても」
茶色い瞳に自分の姿が映る。
:09/05/10 14:09
:N703iD
:fjEZONms
#557 [七瀬]
やはり、
不安だったようだ。
『気付いてあげられなくてごめん。』
瞳に映った自分自身を見ながら、言った。
『でも、今日終わらせた。ゆかちゃんとも、昔の俺とも。』
その中の俺が、ぼやけて見えてきたのは、さっきのあったかい涙のせい。
:09/05/10 16:30
:N703iD
:fjEZONms
#558 [七瀬]
『だから安心して。』
そう笑った。
「‥…ありがと‥う‥」
瞳は、ますます潤んで、 とうとう俺は完全に映らなくなってしまった。
不謹慎かも、しれないけど、
真っ白な雪のような頬に伝うひとすじの涙は、この世のものとは思えないほど、きれいだった。
:09/05/10 19:56
:N703iD
:fjEZONms
#559 [七瀬]
美里
ゆかちゃん
姫‥
“女の子は恋をすると、
きれいになる”
それはきっと、おとぎ話でも、童話でもない。
まぎれもない真実なんだ。
そして、俺も‥ね。
:09/05/10 19:59
:N703iD
:fjEZONms
#560 [七瀬]
姫も俺も、きっと同じだったんだ。
バカで
不安で不安定。
泣き虫で弱虫。
同じくらい成長もした。
人を好きになった。
本気で笑えた。
:09/05/10 20:04
:N703iD
:fjEZONms
#561 [七瀬]
「らい‥好き。」
そういうことに、気付いた時、
俺は改めてお姫さまに目覚めのキスをもらえるんだ。
でも、まだ夢は覚めない。
『ひめ‥俺も好き。』
これからが、ほんとの甘い悪夢の始まりだから。
:09/05/10 20:08
:N703iD
:fjEZONms
#562 [七瀬]
テーブル越しに触れ合ってた唇同士が離れる。
目と目が合う。
瞳には、俺がはっきりと映っている。
「‥足りない?」
ん‥?
もしや‥悪魔復活?
:09/05/10 20:12
:N703iD
:fjEZONms
#563 [七瀬]
以前と変わらない意地悪な笑みに、ふと疑問が浮かぶ。
けれど、
『‥‥足りない。』
以前と変わらないバカな俺がいることも事実。
「姫も‥足ーりない。」
そうクスクス笑う姫を見る限りではやっぱ悪魔復活?
:09/05/10 20:17
:N703iD
:fjEZONms
#564 [七瀬]
さっきの姫はどこへやら‥
でも、そんなことよりも、まだ姫と触れ合ってたい。
そんな欲望が勝っていた。
『じゃあ、
もっかい、ちゅーしよ?』
仕方なく俺からおねだり。
すると、満足そうに微笑む。
:09/05/10 20:22
:N703iD
:fjEZONms
#565 [七瀬]
「じゃあ、ごほーびね。」
そうやって、また唇を近付ける。
悔しいけど、嬉しい俺ってやっぱ‥M?
なんて思っていると、
「やっぱ‥ちゃんと話してから。」
ひょいと顔を逸らされた。
:09/05/10 20:25
:N703iD
:fjEZONms
#566 [七瀬]
:09/05/10 21:23
:N703iD
:fjEZONms
#567 [柚ちあ´ω`]
ぁげ☆
:09/05/18 20:17
:913SH
:yMhd95UY
#568 [七瀬]
柚ちあさん
あげありがとです(^^)!
:09/05/19 22:01
:N703iD
:VkWa23k.
#569 [七瀬]
みなさんお久しぶりです!!七瀬です(^^)
実は豚インのせいで学校が、日曜までお休みになってしまいました。
今週の木曜からテスト期間が始まる予定だったのですが…
試験も延期です(◎-◎;)
というわけで、少しずつですが、また更新を再開したいと思います。
※試験が延期された分、また更新ストップも延期するかもしれませんが、ご了承下さい。
:09/05/19 22:11
:N703iD
:VkWa23k.
#570 [七瀬]
「ふ〜ん」
‥どうしよう。
「へぇ〜」
‥めちゃめちゃ怒ってますよね?
「ゆかちゃんと、ホテルに行ったんだぁ〜」
‥‥やっぱり。
:09/05/19 22:30
:N703iD
:VkWa23k.
#571 [七瀬]
『いや‥でも‥‥でもね!行っただけで‥』
「部屋に入ったんでしょ?」
入りました。
「で、キスもした‥」
‥しました。
やばい‥
完全キレてるよ、姫。
:09/05/19 22:33
:N703iD
:VkWa23k.
#572 [七瀬]
「雷のばか」
フイとそっぽを向く姫。
『え〜‥あ、あの〜‥』
「なに」
俺の方をちっとも見ない。
『その‥ぜんぶ話し終えたけど‥‥』
「だからなに!」
:09/05/19 22:38
:N703iD
:VkWa23k.
#573 [七瀬]
『‥ご褒美は‥‥』
「もう、そんなのないに決まってんじゃんっっ!」
‥ですよね。
はぁ‥
どうしよ。
イスにもたれた。
:09/05/19 22:41
:N703iD
:VkWa23k.
#574 [七瀬]
相も変わらず、
ぶすっとしたままの姫。
そんな顔してたら、
せっかくのかわいい顔が台無しだ。
…そんな顔させたのは、
俺だけど。
『‥姫、ごめん…』
:09/05/19 22:44
:N703iD
:VkWa23k.
#575 [七瀬]
正直に謝るしか、
姫に許してもらうすべが分からない。
「まあ‥いいけど。」
『‥ほんとに?』
「今回だけね。」
『‥うん。』
「次はもうしないでよ?」
『‥うんうん。』
:09/05/19 22:47
:N703iD
:VkWa23k.
#576 [七瀬]
「しょうがないなぁ。」
もう頷くしか出来ない。
何度も何度も首を縦に振った。
「じゃあ、はい。
仲直りの‥」
『‥キス?』
「…んなわけないでしょ」
:09/05/19 22:51
:N703iD
:VkWa23k.
#577 [七瀬]
『……ごめんなさい。』
そう少しうつむくと、
スッと白い手首が伸びてきた。
『…?』
「手。」
『え?』
「手。出して。」
:09/05/19 22:54
:N703iD
:VkWa23k.
#578 [七瀬]
ああ、なんだ。
そういうことか。
『仲直りのあくしゅ‥』
そうやって、
俺も手を出した。
その時だった。
ぎゅっ
「‥仲直りのハグね。」
:09/05/19 22:57
:N703iD
:VkWa23k.
#579 [七瀬]
その一言で、
俺はやっと、“仲直り”の意味を知った。
「あと、ご褒美も含めて。」
机越しに抱き合うと、
なんかぎこちない。
『‥最高のご褒美だ。』
だけど、今はそのぎこちなさが大切に思えた。
:09/05/19 23:01
:N703iD
:VkWa23k.
#580 [七瀬]
「でしょ?お馬さんには、もったいないかな。」
『ひどい、姫‥』
「これは、お仕置きね。」
そうやって、
クスクス笑うたびに漏れる息が、
首筋に当たって、くすぐったかった。
:09/05/19 23:05
:N703iD
:VkWa23k.
#581 [豪希]
ヤバい!!
おもしろすぎやしませんか?
:09/05/20 01:31
:831P
:BsbwZbbI
#582 [七瀬]
豪希さん
ヤバい!!!
その言葉、
うれしすぎやしませんか?^ー^)人(^ー^
:09/05/20 19:00
:N703iD
:TaVmUvNI
#583 [七瀬]
「ね、お二人さん。
いつまでそうしてるの?」
バッ
とっさに離れた。
「ちょっと真王、のぞきなんて、悪趣味ね。」
:09/05/20 19:21
:N703iD
:TaVmUvNI
#584 [七瀬]
「…いやいや、見たくて見たわけじゃないし。
そもそも迷惑だし。」
言ってること、正しいよ。真王くん。
「そういうことは、ホテルでやってくれ。頼むから」
そういうと、真王くんは冷蔵庫を開けた。
「おかげで、ここにも来づらい来づらい。」
:09/05/20 19:23
:N703iD
:TaVmUvNI
#585 [七瀬]
真王くんの注ぐジュースがとても色鮮やかだ。
「だって、雷。」
『え?』
「だから、真王はこう言ってるけど。」
『う、うん?』
よく意味が分からないまま頷いた。
:09/05/20 19:25
:N703iD
:TaVmUvNI
#586 [七瀬]
「分かった?」
『うん。』
‥嘘。
分かんない。
「そっかぁ。じゃあ約束ね」
んん?
にっこり笑う姫に、疑問は増えてゆくばかり。
:09/05/20 19:27
:N703iD
:TaVmUvNI
#587 [七瀬]
「よかったよかった。」
でも、うれしそうな姫の姿に、“分かんない”なんて言えない。
『真王くん、これは‥』
仕方なく、弟にヘルプを求めた。
すると、例の弟くんは、
「ガンバレ」
姫と同じ顔して一言。
:09/05/20 19:43
:N703iD
:TaVmUvNI
#588 [七瀬]
ますます意味不明。
まあ‥なんとかなるだろう。
ただ、
安易にそう考えていた。
姫の笑顔の理由も、
弟の「ガンバレ」の意味にも気付かずに。
:09/05/20 21:37
:N703iD
:TaVmUvNI
#589 [七瀬]
「ら〜い〜」
今日も、姫の家で勉強している。
……が。
『はいはい。』
最近、やけに姫が甘えてくる。
『ここ教えて?』
今もぎゅーってしてくる。
:09/05/20 21:39
:N703iD
:TaVmUvNI
#590 [七瀬]
これじゃ勉強にならない。
いや、俺はぜんぜん困らないよ?
むしろラッキーって感じ。
勉強はしなくていいし、
姫のかわいい姿を見れる。
だけど改めてこう甘えられると‥照れるんだよなぁ。
それに恥ずかしい。
:09/05/20 21:41
:N703iD
:TaVmUvNI
#591 [七瀬]
「もうっっ!」
俺から、離れる姫。
なにをそんなに、怒ってるんだ‥?
「ここは、こうして‥」
怒りながらも、
丁寧に教えてくれた。
だから、やっぱりまだ簡単に考えてた。
:09/05/20 21:45
:N703iD
:TaVmUvNI
#592 [七瀬]
『ひめ?ひーめっ!!
姫ってば〜、真姫ちゃん?』
今日は日曜日。
姫と家でのーんびり過ごす楽しい楽しい一日‥
のはずが…
「…………」
あれ?無視?
:09/05/20 21:53
:N703iD
:TaVmUvNI
#593 [七瀬]
『おーい、ひめ〜』
「…………」
また無視。
なんか機嫌悪いよな、姫。
最近、まったく甘えてくんないし。
‥寂しいじゃん。
:09/05/20 21:55
:N703iD
:TaVmUvNI
#594 [七瀬]
もう、知らない。
また沈黙が流れだす。
あつーい。
喉乾いたー。
アイス食べたーい。
気が付けば、
もう6月の下旬。
さすがにまだ蝉は鳴いてないけど、汗は滝に近いくらい溢れる。
:09/05/20 21:59
:N703iD
:TaVmUvNI
#595 [七瀬]
「雷。」
そんな、じめじめ暑い中、姫が口を開く。
『ん?』
なんか、姫の声聞くの久々かも。
軽くテンション上がりながらも、返ってきたのは意外な言葉だった。
「約束‥いつ守ってくれるの?」
:09/05/20 22:03
:N703iD
:TaVmUvNI
#596 [七瀬]
『‥約束‥?』
ってなんだ?
俺、なんか姫と約束してたっけ。
小さい小さい脳ミソを、
最大限に奮う。
『‥約束‥約束‥‥』
:09/05/22 20:51
:N703iD
:AuTS5hpo
#597 [七瀬]
‥ダメだ。
まったくわからない。
「もしかして、忘れちゃった?」
うっ…
頼むから、そんな目で見ないで。
そんな潤んだ目で見られたら、なにも言えなくなる。
:09/05/22 20:53
:N703iD
:AuTS5hpo
#598 [七瀬]
最近、姫はよりいっそう、ズル賢さを増した。
前みたいに、強引だったり、命令するんじゃなくて
今みたいに、男心をくすぐるような、
支配するような。
そんな感じで、俺を言いなりにさせる。
これも、半ば命令みたいなもんだと思うけど。
:09/05/22 20:56
:N703iD
:AuTS5hpo
#599 [七瀬]
『‥ごめん。いっぱい考えたけど、わかんない。』
「もぉー、ほんとにわからないの!?」
またプリプリしだす姫。
『ごめ‥』
「雷の好きなこと」
『え?』
:09/05/22 21:25
:N703iD
:AuTS5hpo
#600 [七瀬]
「2つ目のヒントね。」
『だから、さっきから言ってること、わからな‥』
「ここじゃ出来ないこと。真王が嫌がるからね。」
『‥‥‥』
それって‥
『それって‥まさか‥』
:09/05/22 21:26
:N703iD
:AuTS5hpo
#601 [七瀬]
「最後のヒントね。」
俺の言葉をさえぎる、
その先には
「よーく聞かないと損するよ?」
最近、ご無沙汰だった
あの妖艶な笑み。
「‥2人ですること」
:09/05/22 21:28
:N703iD
:AuTS5hpo
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