悪 魔 の 誕 生 日
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#541 [七瀬]
この、無駄にデカい風呂に入るのも二回目だなあ。
今はいらないけど、
歯ブラシの置き場所もわかるし、
もうシャンプーとリンスを間違えることもない。
冷えた体にシャワーを当てる。
温かい。
:09/05/09 22:15
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#542 [七瀬]
‥なんだろう、話って。
水の流れる音が耳に入る。
俺の小さなため息は、
その音にかき消された。
シャワーは、体を温めてはくれたけど、
前みたいに疲れを流してはくれなかった。
:09/05/09 22:31
:N703iD
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#543 [七瀬]
風呂から出ると、
湯気の立ったマグカップが2つ、テーブルに。
「体、冷えたでしょ?」
そして、一昨日豪華なディナーが並んだそのテーブルのイスには、真姫が一人。
『ありがとう。
あれ、お母さんは?』
ふと、その広いリビングを見渡すと俺ら以外だれもいない。
:09/05/09 22:37
:N703iD
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#544 [七瀬]
「ママなら、寝室でテレビ見てる。」
なんだかんだ言っても、
姫の家族は気を遣ってくれる。
あのシスコン野郎も前に、気遣ってくれたし‥
「あ、ちなみに真王は部屋で勉強してる。」
‥ほらな。
:09/05/09 22:45
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#545 [七瀬]
だてに、常識外れなセレブじゃなくて、
だてに、子供に関心がないわけではない
って、やっと気付いた。
周りから、見たら冷たいとか、ほったらかしとかいう風に見えるんだろう。
事実、俺も最初はそう思ってた。
なんて、
いい加減な親なんだって。
:09/05/09 22:50
:N703iD
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#546 [七瀬]
だけど、そうじゃなくて
これがこの家の、愛し方なんだって思ったんだ。
顔が全然似てなくたって、姫と姫のお母さんもお父さんも弟も
みんなみんな家族なんだって、やっと気付いたよ。
:09/05/09 22:53
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#547 [七瀬]
『‥俺、ダメだな。
姫のこと、全然分かってなかったよ。』
自分が憎い。
マグカップへ向かいかけてた姫の手が止まる。
俺の顔は下へ。
だけど、見てなくても
姫がこっちを見てるんだってオーラが伝わってきた。
「そうね。」
:09/05/09 22:57
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#548 [七瀬]
ポツリと広いリビングに響いた。
「雷は私のこと、全然理解してない。」
俺は顔を上げることが
出来ない。
「わたし‥“真姫”のことを分かってない。」
:09/05/09 22:59
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#549 [七瀬]
“真姫”のことを分かってない‥
頭の中で、何回も何回も、鳴り響いた。
「らい‥顔上げて。」
それでも、まだ見れない。姫を見れない。
「おねがい‥おねがいだから‥」
悲しそうな声。
:09/05/09 23:21
:N703iD
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#550 [七瀬]
「やっと上げてくれたね。」
姫のそんな声を聞きたくない。
その一心で顔を上げて、
また後悔する。
だって‥そんな顔するから。
それは、怒っているわけでもなく、悲しんでいるわけでもない。
昨日と同じ。
声と恐ろしく反対な表情。
:09/05/09 23:25
:N703iD
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