虹色のオセロ
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#582 [ゆーちん]
「大丈夫、大丈夫」


鼻をすする栄之助を抱き締めてあげた。


ママから子への応援ハグ。


栄之助が抱き締め返してくる事はなかった。


「ありがとう、ママ」

⏰:09/05/09 12:38 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#583 [ゆーちん]
それだけ言って、涙を拭いた栄之助は帰ってった。


きっと今からすみれちゃんのところに向かうに違いない。


まだまだ未熟なガキんちょに、幸あれ。

⏰:09/05/09 12:39 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#584 [ゆーちん]
―――

栄之助とすみれちゃんが結局どうなったのか、わからないまま週が開けた。


月曜日の朝はとても寒い。

火曜日の朝もとても寒い。

そして水曜日の朝ももちろん寒かった。


「ななみん、おはよう」

ガキは朝から元気だ。

おばちゃんは足先が冷えて泣きそうだよ。

⏰:09/05/09 12:45 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#585 [ゆーちん]
「ななみん先生、おはようございまーす」

…このおっさんも朝から元気だ。


「おはようございます、保泉先生」

「もうすぐ期末テストですよ〜」

「あ、そっか。このテストで進学とか留年とか決まってくるんですよね」

⏰:09/05/09 12:46 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#586 [ゆーちん]
懐かしい〜。

毎年必死だったっけ、私。


「留年ギリギリの奴らにはラストチャンスみたいなもんですね」

「なるほどー」


なるほど、なんて言ってるけど学年末テストの大変さを一番味わって来た私なんだ。

わからない訳がない。

⏰:09/05/09 12:49 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#587 [ゆーちん]
「でも、その前にマラソン大会ですね」

「…あぁ。結局マラソン大会に決まったんですか」

「予算が足りないらしくて、例年通りのマラソン大会なんです。教師はマラソンコース誘導とかです」

「了解しました」

⏰:09/05/09 12:50 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#588 [ゆーちん]
保泉はさ、変態だけど新人の私に色々教えてくれるから、ありがたいんだよね。


まぁ、その気づかいもできないんじゃ、ただの変態男か。

⏰:09/05/09 12:51 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#589 [ゆーちん]
「はい、それじゃあ今日はここまでです。委員長の瀬川くん、この資料を職員室まで運ぶの手伝ってね」

「…はーい」


2Cでの授業が終わり、起立、礼、休み時間。


仁士は私を睨みながら教壇に向かって来た。

⏰:09/05/09 12:53 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#590 [ゆーちん]
「せっかくの休み時間がパシりで終わっちゃいまーす」

「エヘッ、ごめんねぇ」


そんなブリっ子、可愛くねぇぞってな目で睨み、資料を持ってくれた。


廊下を歩く。


周りの生徒に聞かれないように小声で喋った。

⏰:09/05/09 12:54 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


#591 [ゆーちん]
「登山ダメだったんだね」

「予算がアウト」

「ふーん、ドンマイ」

「…まさか、それ言う為に俺をパシりにした?」

「そうだよ」

「…最悪」

「なんで、いいじゃな〜い。それより、栄之助…」

「あぁ、うん。今日も来てない」

⏰:09/05/09 12:54 📱:SH901iC 🆔:JSeFKct6


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