虹色のオセロ
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#756 [ゆーちん]
「栄之助、無理だよ。二面しかない石を虹色にしちゃったら、もうその時点でオセロじゃないしルール変わっちゃうよ」

私もりんご飴を舐めながら栄之助に忠告。

白と黒しかないオセロを、赤青黄色だなんて…

「不可能」

仁士が言った、その不可能って言葉が妙に頭に残ってしまう。

⏰:09/05/14 10:03 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#757 [ゆーちん]
「俺の辞書に不可能なんて‥」

「あるだろ。そこカッコつけるとこじゃない」

「もぉー!いちいちクールだな瀬川仁士さんよぉ?」

「お前はいちいちバカだな栄之助ちゃん」


仁士と栄之助のこういう会話を見てるのが楽しかった。

⏰:09/05/14 10:04 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#758 [ゆーちん]
「俺は絶対に虹色のオセロ、作るからな〜。んで、将来は教科書に残るような発明者として活躍すんの」

「虹色のオセロを作った、渡辺栄之助って?」

「そう!」

「あっそ、せいぜい頑張ってねー」

「つーわけで、もう一戦!ほらママ、ぼーっとしてないでやるよ」

⏰:09/05/14 10:04 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#759 [ゆーちん]
―――…

あれから栄之助は、虹色のオセロの事なんて忘れちゃってたし、私と仁士も忘れてた。

栄之助がこれを渡す今の今まで、虹色のオセロは不可能だって思ってたんだから。

「あんた…バカ?」

⏰:09/05/14 10:05 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#760 [ゆーちん]
「バカじゃないよ。将来は発明者として名を残す偉い人」

「こんなんじゃ名前残る訳ないでしょ」

栄之助に渡されたもの、それは、虹色のオセロ。

盤が虹色になった、虹色のオセロ。

⏰:09/05/14 10:05 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#761 [ゆーちん]
「これだって、れっきとした虹色のオセロだよ。不可能なんて無い。考え方や違う方向から見てみれば、不可能も可能になるんだよ」

バカ猿にこんな事教えられるなんて思ってもみなかった。

「ママと仁士が付き合うのだって不可能じゃない。先生と生徒が付き合うのだって考え方や見方を変えれば、無理な事なんかじゃないんだよ」

⏰:09/05/14 10:06 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#762 [ゆーちん]
あぁ、やだ…泣きそう。

「それ言うために、このカラフルな盤、作ってくれたの?」

「これ作るの大変だったんだよ?3日かかった?なぁ仁士」

仁士は今だに口を開かない。

「仁士と栄之助で作ったの?」

「そうだよん。キラキラしてて綺麗でしょ?ペンキ乾かすのって結構時間いるんだね」

⏰:09/05/14 10:07 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#763 [ゆーちん]
「こんな板とか、どうしたの?」

「それはー…そういう話は、仁士に聞きなよ?俺そろそろ帰るね」

えっ、やだ、待ってよ。

今あんたが帰ったら、仁士と二人きりじゃん。

気まずいし、恥ずかしいし、緊張だし…どうすればいいのかわかんない。

⏰:09/05/14 10:07 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#764 [ゆーちん]
「えっ、栄之助…」

「俺は、ママが好きだから仁士と幸せになってもらいたいの。変な意地張んなくていいから、そろそろ自分の幸せ考えなよ、ママ」

栄之助は最後まで笑ってた。

意地じゃなくて怖いんだよ。

あんたの時みたいに、無意識のうちに相手を傷つけちゃうから。

⏰:09/05/14 10:08 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


#765 [ゆーちん]
ガチャンと閉まった扉。

二人きりの更衣室。

目の前にいるのに目が合わない、好きな人。

「その板ねー」

「え?」


3日ぶりの仁士の声は床に向かって吐き出される。

俯いてないで私を見てよ。

⏰:09/05/14 10:09 📱:SH901iC 🆔:UWYIjbJY


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