星とぽんず。
最新 最初 🆕
#154 [七瀬]
 
 
「ねー、お母さん。
浴衣出してくんない?」

その日の
夕方のことだった。


「浴衣?‥ああ。そういえば。今年も行くの?」

「うん、友だちと」



‥あ、まさか。
 

⏰:09/06/20 21:33 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#155 [七瀬]
 
 
『夏祭り‥?』


まさかまさか。

「うん。駅前のー」


まさかまさかまさか!

「わかった。浴衣出しとけばいいのね」


『‥ま、待って!』

ガタンと立ち上がった。
 

⏰:09/06/20 21:36 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#156 [七瀬]
 
 
『あ‥あたしの分も‥出しといてくれない‥かな?』


お母さんは、
目を大きくした。

「あら。去年、まりちゃんと行ったときは歩きにくいからって、着ていかなかったじゃない。どうしたの、急に。」


『‥え、あ、
‥い‥いやあ‥』

確か、そうだった。

⏰:09/06/20 21:40 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#157 [七瀬]
 
 
『そうなんだけど‥』


でも‥

『たっ‥たまには、いーかなーと思って』

「‥そう。わかったわ」



ちょっと、女の子らしいとこ見てもらいたかったのかも。
 

⏰:09/06/20 21:42 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#158 [七瀬]
 
 
あ、やば。
遅れちゃう。


でも

「ゆ〜ず〜!もうそろそろ出たほうが、いいんじゃない?4時半に待ち合わせしてるんでしょー?お友だちと」

『もうちょっと待って〜!すぐ行くから!』


鏡の前で
最終チェックする。

⏰:09/06/20 21:52 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#159 [七瀬]
 
お母さんが出してくれた
浴衣は

おばあちゃんが去年に、あたしとお姉ちゃんに買ってくれたけど、
あたしは一回も着たことがなかった。


浴衣って、歩きにくいし。

かき氷のシロップつけて帰ったら、お母さんに100%怒られるし。

おもいっきり遊べないからって理由で、拒否してた。

⏰:09/06/20 21:56 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#160 [七瀬]
 
 
でも、今日は‥


「ゆーーずー?まだ?」

『はぁい。今行くー』


初めて袖を通した浴衣は、柔らかくて、冷たくて。

新品独特の匂いがした。


山吹色に、うすいピンクは少しおとなっぽすぎたかも。

⏰:09/06/20 22:00 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#161 [七瀬]
 
 
でも、

少しでもかわいいと思ってくれればいいな。


淡い色の浴衣と、淡い願いとともに家を出た。


電車ー。早く着けー。

そんな思いを乗せた電車は長く感じた。
 

⏰:09/06/20 22:02 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#162 [七瀬]
 
 
駅に着くと、見えてくる、ちらほらと灯る明かり。

年に一度の行事、
夏祭り。


駅前‥着いたけど、
どこかな、歩志。

慣れない浴衣と、
おぼつかない足取りで
辺りを見渡す。


「あ、浴衣発見」
 

⏰:09/06/20 22:54 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


#163 [七瀬]
 
 
声が聞こえた。


「ってか、遅い」

あの声が。


『歩志!』

振りかえると


「何分待ったと思ってんの」

声はぶっきらぼうだけど、優しい笑顔だった。
 

⏰:09/06/20 22:57 📱:N703iD 🆔:15LlxJw2


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194