星とぽんず。
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#154 [七瀬]
「ねー、お母さん。
浴衣出してくんない?」
その日の
夕方のことだった。
「浴衣?‥ああ。そういえば。今年も行くの?」
「うん、友だちと」
‥あ、まさか。
:09/06/20 21:33
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#155 [七瀬]
『夏祭り‥?』
まさかまさか。
「うん。駅前のー」
まさかまさかまさか!
「わかった。浴衣出しとけばいいのね」
『‥ま、待って!』
ガタンと立ち上がった。
:09/06/20 21:36
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#156 [七瀬]
『あ‥あたしの分も‥出しといてくれない‥かな?』
お母さんは、
目を大きくした。
「あら。去年、まりちゃんと行ったときは歩きにくいからって、着ていかなかったじゃない。どうしたの、急に。」
『‥え、あ、
‥い‥いやあ‥』
確か、そうだった。
:09/06/20 21:40
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#157 [七瀬]
『そうなんだけど‥』
でも‥
『たっ‥たまには、いーかなーと思って』
「‥そう。わかったわ」
ちょっと、女の子らしいとこ見てもらいたかったのかも。
:09/06/20 21:42
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#158 [七瀬]
あ、やば。
遅れちゃう。
でも
「ゆ〜ず〜!もうそろそろ出たほうが、いいんじゃない?4時半に待ち合わせしてるんでしょー?お友だちと」
『もうちょっと待って〜!すぐ行くから!』
鏡の前で
最終チェックする。
:09/06/20 21:52
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#159 [七瀬]
お母さんが出してくれた
浴衣は
おばあちゃんが去年に、あたしとお姉ちゃんに買ってくれたけど、
あたしは一回も着たことがなかった。
浴衣って、歩きにくいし。
かき氷のシロップつけて帰ったら、お母さんに100%怒られるし。
おもいっきり遊べないからって理由で、拒否してた。
:09/06/20 21:56
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#160 [七瀬]
でも、今日は‥
「ゆーーずー?まだ?」
『はぁい。今行くー』
初めて袖を通した浴衣は、柔らかくて、冷たくて。
新品独特の匂いがした。
山吹色に、うすいピンクは少しおとなっぽすぎたかも。
:09/06/20 22:00
:N703iD
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#161 [七瀬]
でも、
少しでもかわいいと思ってくれればいいな。
淡い色の浴衣と、淡い願いとともに家を出た。
電車ー。早く着けー。
そんな思いを乗せた電車は長く感じた。
:09/06/20 22:02
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#162 [七瀬]
駅に着くと、見えてくる、ちらほらと灯る明かり。
年に一度の行事、
夏祭り。
駅前‥着いたけど、
どこかな、歩志。
慣れない浴衣と、
おぼつかない足取りで
辺りを見渡す。
「あ、浴衣発見」
:09/06/20 22:54
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#163 [七瀬]
声が聞こえた。
「ってか、遅い」
あの声が。
『歩志!』
振りかえると
「何分待ったと思ってんの」
声はぶっきらぼうだけど、優しい笑顔だった。
:09/06/20 22:57
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