サークル ー番外編ー
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#159 [柚子]

時計の針は10時44分を指していた。

「足音が聞こえるように」

と、亮太が消したテレビのせいで部屋には沈黙が訪れた。

⏰:09/06/25 17:01 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#160 [柚子]

沈黙も作ったのが亮太なら沈黙を破ったのも亮太だった。

「純、その袋取ってくれ」

うちに来た時、亮太が手に下げていたコンビニ袋の中身は予想通り差し入れだった。

⏰:09/06/25 17:03 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#161 [柚子]

さっき一人になった時にちらっと袋の中を見ていた俺は、中に入っているものが何か分かっていた。

缶コーヒーが二本、お茶が一本、それとリンゴジュースだ。

どれでも好きなのを、と勧められた俺は、明らかに桃の為に買ったであろうリンゴジュースを指差した。

⏰:09/06/25 17:07 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#162 [柚子]

あっ…という顔をした桃に笑いそうになりながら

「俺、カフェインアレルギーなんです」

と、存在するのかもわからないアレルギー名を述べた。

⏰:09/06/25 17:08 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#163 [柚子]

「部室でコーヒー飲んでただろ。それもブラックで」

そう言って亮太は、俺の手から取ったリンゴジュースを桃の前に置いた。

イタズラが失敗して苦笑している俺を、桃はちょっと怒ったような顔で見ていた。

⏰:09/06/25 17:12 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#164 [柚子]

言い訳をするのも見苦しいので、俺は大人しくブラックの缶コーヒーを手に取った。

その缶コーヒーの蓋を開けた時だった。

唐突に、でもハッキリとあの足音が聞こえた。

⏰:09/06/25 17:24 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#165 [柚子]

俺の部屋にいれば全員に聞こえるのか、三人とも身動きもせず耳を澄ませていた。

亮太が立ち上がったのは、エントランスから階段へと足音が移動した時だった。

「行くぞ」

⏰:09/06/25 17:26 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#166 [柚子]

どこに?と聞く暇もなく、亮太と純は部屋を出て行ってしまった。

出遅れたらしい桃は、まだ恐怖のあまり固まっていた。

今にも泣きそうになりながらも、必死に我慢している桃の姿に俺はある衝動に駆られた。

⏰:09/06/25 17:38 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#167 [柚子]

(抱きしめたい…)

あの時、そんなことしたら怖がられるという思いと、守ってやりたいという思いで、俺の頭の中でバトルが勃発していた。

怖さなんて、すっかり忘れてた。

⏰:09/06/25 17:41 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


#168 [柚子]

散々迷った挙げ句、俺はベッドにあった布団を体育座りで震えていた桃にかけた。

頭からすっぽり布団にくるまった桃を、布団の上から抱きしめた。

「大丈夫だから…」

⏰:09/06/25 17:42 📱:P906i 🆔:qTAOTeVI


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