サークル ー番外編ー
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#75 [柚子]
「どこにいるか分かった」
電話を切った亮太さんは、一度も迷うことなく純くんのいる場所まで車を走らせた。
純くんは、中学生くらいの男の子と一緒に一軒家の前に立っていた。
:09/06/23 19:57
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#76 [柚子]
亮太さんの車を見つけ、車に向かって手を振る姿を見て私はホッとした。
事故に遇わないのが不思議なくらいのスピードで走っていたから。
「あのさ…」
:09/06/23 19:58
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#77 [柚子]
車のそばまで来た純くんは、私を見ながら言った。
「あの自転車返してあげてもいいかな?」
「えっ?」
「あの自転車…あそこにいる男の子のお母さんのなんだ」
:09/06/23 19:59
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#78 [柚子]
純くんは男の子に目をやりながらそう言った。
「でも私、リサイクルショップで買ったんだけど…」
純くんは少し声を落とし、頼むよって顔をした。
:09/06/23 19:59
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#79 [柚子]
「あの子のお母さん、いつも自転車に乗ってたんだって」
「乗って…た?」
「うん。三ヶ月前に事故で亡くなったらしい」
私は返事に困った。
:09/06/23 20:01
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#80 [柚子]
「いつもは自転車なのに、その日に限って乗り慣れてない車に乗った。酷い雨だったらしい」
純くんは、まるでその光景を見ていたかのような話し方だった。
お母さんかあの男の子のかどちらから聞いた話なのかは分からなかった。
「でも何で自転車がリサイクルショップに…」
:09/06/23 20:02
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#81 [柚子]
私の質問の答えも、純くんは知っていた。
「盗まれたんだって。多分リサイクルショップに売ったのは、自転車を盗んだ犯人だと思う」
私も純くんも黙っていると、亮太さんが口を開いた。
「俺からも頼むよ。新しい自転車なら、俺が用意するから」
:09/06/23 20:02
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#82 [柚子]
断る理由はなかった。
「返してあげて」
純くんの顔を見ながらそう告げると、純くんはホッとした表情をした。
何度も頭を下げ、お礼を口にする男の子に見送られながら、その家を後にした。
:09/06/23 20:04
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#83 [柚子]
私が自転車を置いたままになっていたコンビニまで戻ると、亮太さんは後部座席に乗っていた純くんに車から降りるように言った。
「え?」
純くんは、ちょっと間抜けな母音を口にした。
:09/06/23 20:05
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#84 [柚子]
「あの自転車、お前のだろ?」
「あ…」
純くんは諦めたように車を降りた。
「じゃ、明日部室で」
力なく手を振る純くんを置いて、車は発進した。
:09/06/23 20:05
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