サークル ー番外編ー
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#301 [柚子]

「昔っからだよ。しかも今回はグーで殴りやがった」

「亮太のことが心配なんだよ」

ふてくされている部長に、優ちゃんがそう言った。

⏰:09/11/07 12:48 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#302 [柚子]

でも部長の怒りはおさまらないようで、最後には

「あいつの会社に就職するのやめた」

などと言い出したのでさすがに空さんも優ちゃんも困った顔をしていた。

⏰:09/11/07 12:50 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#303 [柚子]

「就職しないって…それは亮太の勝手だけど生活はどうするつもりなの?」

空さんにしてはめずらしくまともな意見だった。

部長も黙ったまま聞いていた。

⏰:09/11/07 12:52 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#304 [柚子]

「就職しないと収入だってないんだよ。そしたらどうするの?結局はお父さんのお金をあてにするしかなくなるんじゃない?」

怒るかと思ったら、部長は笑いだした。

ふっふっふって感じの不適な笑い方で。

⏰:09/11/07 12:54 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#305 [柚子]

「決めた!俺が自分で会社を立ち上げる!!」

部長の言葉で一瞬静まり返った部室に、空さんの反論が飛んだ。

「バカか、あんたは。会社を作るのにもお金がいることくらいわかってんでしょ?資金は?どうするの?」

⏰:09/11/07 12:57 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#306 [柚子]

「金銭的なことは心配ない。小学校からやってたデイトレやら株やらで貯金なら余ってるからな」

小学生が株って!!とつっこむ雰囲気でもなく、俺は黙ったままだった。

結局何故か一人元気を取り戻した部長が

⏰:09/11/07 13:07 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#307 [柚子]

「そうと決まれば早速準備しないとな」

と、いそいそと部室を出ていくのをみんなで見送るしかなかった。

その時はとりあえず部長が元気になってくれてよかったくらいにしか考えてなかった。

⏰:09/11/07 13:09 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#308 [柚子]

三日ほど部室に顔を見せなかった部長が、満面の笑みで部室のドアを開けた時、部室には俺しかいなかった。

「なんだ、純しかいないのか」

「ちょっと!なんだって何ですか、なんだって」

⏰:09/11/07 13:12 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#309 [柚子]

「まぁいいか。お前に最初に見せてやるよ」

そう言って部長は一枚の名刺を俺に渡した。

「RYSM…?何ですか、これ」

⏰:09/11/07 13:19 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#310 [柚子]

「社名だよ、まだ仮のだけどな」

「ほんとに会社立ち上げちゃったんですか!?」

俺の反応が面白いのか部長は上機嫌で俺に訊いた。

⏰:09/11/07 13:22 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#311 [柚子]

「純、お前その社名の意味わかるか?」

「え…R霊感ある人、Y寄よっといで、S心霊現象、M求む…??」

全くわからずに適当にゴロを合わせただけの俺の答えは部長の笑いのツボをくすぐってしまったらしい。

⏰:09/11/07 13:25 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#312 [柚子]

「お前ほんっとバカだな」

と、散々笑った挙げ句俺の手から名刺を取り上げた。

右手に持った名刺を俺に見せながら

⏰:09/11/07 13:26 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#313 [柚子]

「ヒントをやろう」

と、笑った。

「ヒントですか…」

部長はSとMの間を指差し言った。

⏰:09/11/07 13:28 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#314 [柚子]

「もしお前も協力するならここにJの文字を入れてやる」

「あ…!」

ようやく社名の意味の理解できた俺は、不覚にも泣きそうになってしまった。

⏰:09/11/07 13:29 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#315 [柚子]

RYSJM

亮太、優、空、純、桃

安易にも思えるその社名は俺の涙腺を刺激するには、十分だった。

⏰:09/11/07 13:31 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#316 [柚子]

「なんだ、お前。もしかして泣いてんのか?」

「なっ…泣いてないですよ!」

「まぁ、いい。それでお前の返事は?」

もちろんイエスだった。まだみんなと過ごせる。断る理由はなかった。

⏰:09/11/07 13:34 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#317 [柚子]

次の日、新しく印刷した名刺が届いた。

五人全員揃ってから部長が一人一人に配ってくれた。

「ちょっと…これ、おかしいんじゃない?」

⏰:09/11/07 13:36 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#318 [柚子]

口を開いたのは空さんだった。

「何であたしの名前が三番目なのよ?」

と、頬を膨らませている。

部長は思い出したように笑いながら

⏰:09/11/07 13:37 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#319 [柚子]

「ゴロを合わせたらその順番になったんだ」

と、俺が言った言葉を引用して説明した。

「霊感ある人寄っといで、心霊現象じゃんじゃん求む…だからな」

⏰:09/11/07 13:39 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#320 [柚子]

「何それ。バカじゃない」

空さんの言葉に優ちゃんも桃ちゃんも笑いだした。

「考えたのは純だ」

みんなの視線が集まるのを感じ、俺は下を向いた。

⏰:09/11/07 13:41 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#321 [柚子]

部長だけでなく、優ちゃんや空さん、桃ちゃんにまで笑われながらも無事に社名が決まった。

簡単に言えば“何でも屋”のような仕事内容を考えているらしい。

もちろん心霊系の依頼がくることを部長は期待しているのだろうけど。

⏰:09/11/07 13:45 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#322 [柚子]

空さん、優ちゃんは就職したこともあって毎日ではないが手伝いに来てくると話していた。

俺と桃ちゃんも大学があるのだが、多分毎日のように呼び出されるのだろう。

部室が事務所になったくらいの変化しかないかもしれないなと思っていた。

⏰:09/11/07 13:52 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#323 [柚子]

実際しばらくは俺の予想通りだった。

新しく事務所となったマンションにみんなが集まり、依頼がない日はのんびりする。

サークルの延長みたいだった。

⏰:09/11/07 13:54 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#324 [柚子]

大学で依頼を受けた人の口コミでいくつか依頼が来ただけで、暇な日のほうが圧倒的に多かった。

最初に痺れを切らしたのは部長だった。

「何か心霊現象ないのか?浮気調査とかそんな依頼じゃなくて」

⏰:09/11/07 13:58 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#325 [柚子]

“何でも屋”として売り出したのが悪かったのか依頼と言っても心霊現象は一つもなかった。

彼氏が浮気してるかもしれない。

とか、探偵に頼むのは恥ずかしいというような依頼がいくつか来ただけだった。

⏰:09/11/07 14:02 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#326 [柚子]

おもちゃを買って貰えなかった子供みたいに拗ねている部長をみかねて、俺は口を開いた。

「お金になりそうにない依頼ならありますよ」

「ほんとか!?心霊関係の依頼だろうな?」

⏰:09/11/07 14:05 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#327 [柚子]

「心霊関係というか霊からの依頼…ですかね」

俺の言葉に部長は目を輝かせていた。

やっぱり子供だこの人。

俺はため息を一つつくと、その依頼について話し始めた。

⏰:09/11/07 14:08 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#328 [柚子]


*捕捉*

この辺りからもう一つ書いている来栖という小説と話がリンクしてくるので一応URL貼っておきます。

bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/11035/

⏰:09/11/07 14:11 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#329 [柚子]

「部長僕の家は知ってますよね」

「あぁ」

「大学から僕ん家に行く途中に地下鉄の駅があるのはわかります?」

⏰:09/11/07 15:11 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#330 [柚子]

俺の質問に部長はそれくらい当然だろっていうような顔をした。

「最近その駅の辺りを歩いていると聞こえるんです。女の子の声が」

「霊なのか?」

⏰:09/11/07 15:13 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#331 [柚子]

「まわりを見ても誰もいないし僕以外の人には聞こえてないみたいなので、多分…」

霊と聞いてテンションが上がったのか、暇を持て余していたからなのか、部長は今にも立ち上がって駅に向かいそうな勢いで

「霊に間違いない!」

⏰:09/11/07 15:15 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#332 [柚子]

と、断定した。

「でも自信ないですよ。僕には視えないんで…」

「いや、それは霊だな。間違いない」

笑うしかなかった。笑うというより苦笑?

⏰:09/11/07 15:17 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#333 [柚子]

「まぁ、霊かどうかは置いておいてですね、その声が言うんですよ。助けて。家に帰りたいって」

部長は真剣に俺の話を聞いていた。

「毎日じゃないんですけど聞こえるのはいつも同じ高校生くらいの女の子の声なんです」

⏰:09/11/07 15:20 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#334 [柚子]

「よし!」

そう言って部長は立ち上がった。

「その依頼受けよう」

「えっ?いや、でも確証はないですよ。しかも霊だったらお金にならないし…」

⏰:09/11/07 15:22 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#335 [柚子]

俺の言葉に部長は俺に軽蔑の眼差しを向けた。

「純、お前はいつからそんな金の亡者になってしまったんだ?」

いやいやいや。俺はただ部長の作ったこの会社の経営を心配してるだけですからっ!!

⏰:09/11/07 15:24 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#336 [柚子]

と、反論する暇もなく部長に連れられ地下鉄の駅へと向かうことになった。

久しぶりにカメラを首から下げている部長は、ここ最近で一番楽しそうに見えた。

「声が聞こるのはこの辺です」

⏰:09/11/07 15:35 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#337 [柚子]

そう伝えると部長は写真を撮り始めたので、俺も耳を澄ませて声が聞こえないか試してみた。

でも何分経ってもあの声は聞こえてこなかった。

「今日は何も聞こえませんね…」

⏰:09/11/07 15:41 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#338 [柚子]

だからそんなに張り切って写真を撮っても何も写らないかもしれませんよって意味で言ったのだが、部長の耳には届いていないようだった。

「帰ったら早速現像してみよう」

と、ニコニコしている。

⏰:09/11/07 15:43 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#339 [柚子]

仕方がないから部長の気の済むまで付き合うかと覚悟を決めた時だった。

「お前ら何やってるんだよ!」

背中から突然怒鳴り声が聞こえた。

⏰:09/11/07 15:45 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#340 [柚子]

明らかに俺と部長に向けられたその声に、写真を撮っていた部長も手をとめた。

「人が殺された場所の写真なんか撮って楽しいかよっ!!」

その言葉に最近この辺りのマンションで事件があったという話を思い出した。

⏰:09/11/07 15:52 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#341 [柚子]

ニュースでちらっと見ただけなので詳しい内容は覚えてないけど、今目の前にいる彼は事件の関係者なのだろうか。

今にも部長に殴りかかりそうな勢いだったので慌てて口を挟んだ。

「ちょ…ちょっと待って下さい。僕たちは別に楽しんでるわけではなくて…」

⏰:09/11/07 16:45 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#342 [柚子]

説明を終えないうちに部長が

「助けにきたんだ」

そう言った。

「はっ?」

今度は彼が呆気にとられたような顔をした。

⏰:09/11/07 16:50 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#343 [柚子]

「えっと…うまく言えないんですけどほんとです。助けにきたんです」

部長の言葉を捕捉しようとしたけど、なかなかうまい説明が思い付かなかった。

「説明難しいな…部長も何とか言って下さいよ」

⏰:09/11/07 16:51 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#344 [柚子]

横目で部長を見たけど助け船を出してくれる気はないようだった。

「多分言っても信じてもらえないと思うけど…」

一人テンパりながらも俺は説明を続けた。

⏰:09/11/07 16:53 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#345 [柚子]

「この道、大学の通学路なんだ。だからよく通るんだけど最近助けてって声がよく聞こえてて…」

こんな話をしてもどうせ信じてもらえないだろうなと思っていたらそこで初めて彼の表情に変化があった。

「…助けて?」

⏰:09/11/07 16:58 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#346 [柚子]

「はい。あと帰りたいって声も。多分同じ声だと思うんだけど」

「その声って高校生の女の子みたいな声じゃ…?」

一瞬聞き間違えかと思ってまじまじと彼の顔を見てしまった。

⏰:09/11/07 17:03 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#347 [柚子]

「お兄さんも聞いたんですか?あの声」

多分年上であろう彼に、お兄さんと名称をつけそう訊いた。

「聞いたというか…その声の主に会った…?のかな」

⏰:09/11/07 17:07 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#348 [柚子]

その言葉に部長が反応し

「それは生きてる時と死んでからとどっちだ!?」

って言いながら顔面ごと近付いて行った。

お兄さんはかなり焦った顔をしてた。

⏰:09/11/07 17:09 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#349 [柚子]

次々と質問を投げかける部長が怖かったのか、バイトに遅れそうだったのか、お兄さんは

「この先の来栖ってバーでバイトしてるんで、良かったら今度来て下さい」

と言って逃げるようにその場を去ってしまった。

⏰:09/11/07 17:11 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#350 [柚子]

それ以上その場にいても仕方なさそうなので、部長を説得して一度事務所に戻ることにした。

事件のことも調べたかったしね。

とにかく、この偶然が彼らとの出逢いのきっかけだったんだ。

⏰:09/11/07 17:14 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#351 [柚子]

「あ!ありましたよ部長。この事件じゃないですか?」

事務所に運んできたパソコンでニュースを検索していると、ちょうどあの駅の隣にあるマンションで女の子の遺体が発見されたというニュースが載っていた。

⏰:09/11/07 17:40 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#352 [柚子]

「酷い事件ですね…」

「そうだな」

いつもならこうゆう時、俺を押しのけてでもパソコンを見ようとするのにその時の部長はどこか上の空だった。

⏰:09/11/07 17:42 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#353 [柚子]

「写真現像しないんですか?」

と訊いてみても返ってきたのは「あぁ…」という生返事だった。

どうやらあの声の女の子よりも幽霊に会ったというあのお兄さんのことのほうが気になっているようだ。

⏰:09/11/07 17:45 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#354 [柚子]

俺は一度ニュースの画面を閉じると『来栖』と『BAR』で検索をかけてみた。

お兄さんの言っていたバーはすぐに見つかった。

営業時間や料金の書かれただけの簡単な紹介だったが住所はあの地下鉄の辺りだったから間違いないだろう。

⏰:09/11/07 17:50 📱:P906i 🆔:j/HSyc7s


#355 [柚子]

「部長これ見て下さい」

俺に促されて再度パソコンを覗き込んだ部長はさっきとは全く違う反応を見せた。

「8時からか…」

⏰:09/11/08 12:25 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#356 [柚子]

真剣な顔つきでそう呟いた部長は腕時計に目を落とした。

「行くか」

「えっ?」

「このバーにだよ。もうすぐ開店時間だし開店してすぐの方が店も空いてるから話聞きやすいだろ?」

⏰:09/11/08 12:27 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#357 [柚子]

そう言うと部長は優ちゃんと空さん、桃ちゃんに電話をし集合をかけた。

「今すぐ事務所集合」

という無茶苦茶な要求にも関わらず30分後には全員が事務所に集まっていた。

⏰:09/11/08 12:30 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#358 [柚子]

「ただ酒が飲めるって聞いたからさぁ」

と、空さん。

「何か面白い子がいるって亮太が…」

と、優ちゃん。

⏰:09/11/08 12:53 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#359 [柚子]

「部長命令は絶対です」

と、言ったのは桃ちゃんだった。

全員の色々な思惑を抱えながら来栖の店内へと続くドアを開けた―――。

⏰:09/11/08 12:55 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


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