柚子 ー短編・中編ー
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#59 [柚子]
店を出た彼女はカバンから携帯を取り出し、誰かと電話を始めた。
話ながら歩く彼女の後を車で追った。
かなり不審な車だったと思うが、彼女は全く気に止める様子もなく電話を続けていた。
:09/06/28 15:16
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#60 [柚子]
ほんとは気付いて欲しかったのかもしれない。
俺があの時の事件の被害者だと思い出した彼女が、俺に謝る…そんな考えが頭の片隅にあった。
俺はただ謝ってほしかったのだ。それは裁判に出たあの日から変わず俺の中に存在している気持ちだった。
:09/06/28 15:20
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#61 [柚子]
彼女はコンビニから一番近い駅で足を止めた。
電話を切った彼女は、鏡を取り出し髪型を整えていた。
誰かと待ち合わせをしているのだと、名探偵じゃない俺にも容易に想像できた。
:09/06/28 15:22
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#62 [柚子]
彼女が見える位置に車を路駐し、煙草に火をつけた。
彼女が嬉しそうに手を振って車に駆け寄ったのは10分ほど経ってからだった。
そのまま車に乗り込んだ彼女を乗せた車を、俺はまた追いかけた。
:09/06/28 15:23
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#63 [柚子]
その車がファミレスに入ったので、俺も後に続いた。
車から降りてきたのは彼女と男だった。二人は手を繋ぎ店内へと姿を消した。
少し迷って、俺も店内へ入ることにした。
:09/06/28 15:24
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#64 [柚子]
(ここまできたらとことん尾行してやろう)
そんな意気込みで、入り口のドアを開けた。
店内を見回すと窓側の席に彼女の姿を見つけた。
:09/06/28 16:14
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#65 [柚子]
案内された席からは相手の男の姿は背中しか見えなかった。
注文を済ませるとトイレへ向かった。
トイレへは、彼女のいる席の横を通るのが自然なルートだったからだ。
:09/06/28 16:15
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#66 [柚子]
ちょうどその席の横を通る時、男の話し声が耳に入ってきた。
「クリスマスと言えばやっぱ酒だよな!」
聞き覚えのある声だった。
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#67 [柚子]
「去年もその前も、塀の中だったもんねー」
通りすぎようとしていた足を止め、振り返って男の顔を見た。
忘れもしない。渚を暴行したあのグループの一人の顔がそこにはあった。
:09/06/28 16:17
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#68 [柚子]
「あ?何ジロジロ見てるんだよ、おっさん!」
威勢良く言葉を吐くそいつは、俺の顔など覚えてもいないようだった。
殴りかかりたい衝動を必死で抑え、席へ戻った。
:09/06/28 16:19
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