柚子 ー短編・中編ー
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#67 [柚子]
「去年もその前も、塀の中だったもんねー」
通りすぎようとしていた足を止め、振り返って男の顔を見た。
忘れもしない。渚を暴行したあのグループの一人の顔がそこにはあった。
:09/06/28 16:17
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#68 [柚子]
「あ?何ジロジロ見てるんだよ、おっさん!」
威勢良く言葉を吐くそいつは、俺の顔など覚えてもいないようだった。
殴りかかりたい衝動を必死で抑え、席へ戻った。
:09/06/28 16:19
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#69 [柚子]
あの再会は、神様からのクリスマスプレゼントだったんじゃないかと思う。
あのクリスマスの日、俺は生き返った気分だった。
渚がいなくなって死んでいた心が、感情を取り戻したのだ。
:09/06/28 16:22
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#70 [柚子]
止まっていた時間が動き出すとは、ああいうことを言うのだろう。
俺の時計は動き出した。
憎しみと怒りを単3電池の代わりにして。
:09/06/28 16:23
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#71 [柚子]
その日から、会社を定時に上がりコンビニへ向かうというサイクルが出来上がった。
彼女の姿を見つけた日は、車をコンビニの駐車場から移動させ、少し離れた場所で彼女のバイトが終わるのを待って尾行した。
いない日は、真っ直ぐ家へ帰った。
:09/06/28 16:24
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#72 [柚子]
一ヶ月も経つ頃には、彼女のシフトと住んでいるアパート、交遊関係などを把握していた。
月曜と水曜が休みで、他の平日は八時まで、土日は朝から夕方までというのが彼女のシフトだった。
かなりの確率でバイト帰りにあの男の部屋に泊まりに行っていた。
:09/06/28 16:28
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#73 [柚子]
アパートで一人で過ごすことの少ない彼女に近付くのは困難にも思えた。
その絶好の機会が訪れたのは二月に入ってすぐのことだった。
いつものようにコンビニ近くの道路に車を停め、彼女を待っていた。
:09/06/28 16:29
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#74 [柚子]
その道路が、彼女が帰りに必ず通る道だということはすでに熟知していた。
吸っていた煙草の煙を逃がす為に、少し開けていた窓から彼女の声が聞こえてきた。
「はぁー?スノボ行くなんて言ってなかったじゃん」
:09/06/28 16:30
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#75 [柚子]
電話をしながら歩いてきた彼女は酷く怒っていた。
恐らく電話の相手はあの男だろう。
「で、いつ行くの?は?来週?まじありえん」
:09/06/28 16:32
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#76 [柚子]
いかにも若者らしい口調で話している彼女の話に、俺は聞き耳をたてた。
来週彼女が一人になるチャンスが訪れるかもしれない。
(いつだ?曜日でもいい。口にしろ…!)
:09/06/28 16:36
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