柚子 ー短編・中編ー
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#48 [柚子]

中村刑事が事件の話をしてくれたおかげで、渚は自殺として処理された。

俺が行ったあの行為は、俺と渚以外誰にも知られることはなかった。

渚がいなくなって一年が経とうとした頃、俺は同僚からある女性を紹介された。

⏰:09/06/28 14:53 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#49 [柚子]

クリクリとした大きな黒目が可愛らしい、三つ年下の女性だった。

渚のことを忘れたわけではなかったが、彼女と食事をする仲になった。

何度目かの食事は居酒屋だった。

⏰:09/06/28 14:54 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#50 [柚子]

酒の勢いで彼女とラブホテルへ入った。

しかしこれからという時になって、急に興奮と勢いが冷めた俺は何もせずにホテルを出た。

「お酒のせいだよ」

⏰:09/06/28 14:55 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#51 [柚子]

と、彼女は俺の不能さを責めなかったが、彼女とはそれっきりになった。

彼女からの連絡を俺が無視したからだ。

彼女を紹介した同僚も、何も言ってこなかった。

⏰:09/06/28 14:56 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#52 [柚子]

渚がいなくなって、二度目のクリスマスだった。

定時に仕事を終えた俺は、酒を買いに帰宅途中にあるコンビニへ寄った。

雑誌を立ち読みしてから、ビールとつまみ、缶コーヒーをカゴに入れレジへ向かった。

⏰:09/06/28 14:58 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#53 [柚子]

クリスマスにも関わらず、レジにいたのは若い女だった。

(クリスマスにバイトなんて恋人いないのかな)

ちょっとした好奇心から、店員の顔に目をやった。

⏰:09/06/28 14:59 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#54 [柚子]

その瞬間、フラッシュバックするみたいに記憶が蘇ってきた。

裁判の日に、傍聴席でガムを噛んでいたあの女だった。

予期せぬ偶然に全身に鳥肌が立った。

⏰:09/06/28 15:00 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#55 [柚子]

だが、さすがに

「あの日裁判所にいただろう?」

とは聞けず、そのまま会計を済ませ車に乗った。

気持ちを落ち着けようと、買ったばかりの缶コーヒーを口に含んだ。

⏰:09/06/28 15:01 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#56 [柚子]

缶コーヒーを飲みながら、改めて彼女に視線を戻した時だった。

レジに若い男が現れた。

彼の姿を見た彼女は壁にかけてある時計に目をやり、笑顔を見せた。

⏰:09/06/28 15:07 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


#57 [柚子]

どうやら上がりの時間らしく、レジの点検をする彼女を遠目に眺めていた俺に、ある考えが浮かんだ。

(あの女をつけてみよう)

何故そんなことを思ったのかわからない。

⏰:09/06/28 15:08 📱:P906i 🆔:rbYytCdI


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