あの場所まで
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#48 [ミツバ]
「面白い形してるな」
優介は興味津々に展望台を見る。
「思ったより小さいんだね」
紗代里は改めて見る展望台の大きさに驚いた。
「小学生の時はもっと大きく見えたんだよ」
紗代里は優介に話した。
:09/07/05 14:46 :D904i :zokoJNWk
#49 [ミツバ]
「紗代里も成長したってことだな」
笑って優介が言う。
「なに言ってんの、誰だって成長しますぅ」
膨れっ面になる紗代里を優介が笑いながらなだめた。
柔らかな風が吹く。
:09/07/05 14:50 :D904i :zokoJNWk
#50 [ミツバ]
「俺喉渇いたし、なんか買ってくるから紗代里はそこ座って待ってて」
優介は展望台にあるベンチを指差して言った。
心配性な優介のさり気ない配慮だった。
「わかった、待ってるね」
紗代里は微笑んだ。
:09/07/05 14:57 :D904i :zokoJNWk
#51 [ミツバ]
ベンチに腰を下ろす。
空を眺めると、いつ降ってきてもおかしくない厚い雲が広がっていた。
ふぅと一息つく。
:09/07/05 15:01 :D904i :zokoJNWk
#52 [ミツバ]
訂正
>>50『展望台前にある〜』
脱字申し訳ありません
:09/07/05 15:07 :D904i :zokoJNWk
#53 [ミツバ]
「いや〜どんよりしとるのぉ」
ドキンっ。
心臓が跳ね上がった。
ぼんやりしていて、人の気配に気づかなかったのだ。
:09/07/05 15:13 :D904i :zokoJNWk
#54 [ミツバ]
灰色のズボンに白いポロシャツ、白い帽子。
紗代里は目を見開いた。
「…おじい…ちゃん…」
隣に腰掛ける老人は紛れもなく、紗代里の祖父だった。
:09/07/05 15:19 :D904i :zokoJNWk
#55 [ミツバ]
「さよちゃんが捜すから、来てしまったよ」
祖父はしわくちゃの顔に優しい瞳で紗代里の頭を撫でた。
紗代里は目の前にいる祖父が霞んでしまうほど、涙が溢れ出した。
嗚咽が零れる。
:09/07/05 15:29 :D904i :zokoJNWk
#56 [ミツバ]
「おじいちゃん、ごめんね。寂しかったよね、会いに行けなくてごめんね」
手のひらに温もりを感じる。
「私、自分の事ばっかりで全然おじいちゃん所に行けなかった。死んじゃってから何度も何度も後悔したの。遊びにおいでって毎年夏になる度言ってくれたの断った。会えなくなるなんて思ってもなかったんだよ…」
:09/07/05 15:37 :D904i :zokoJNWk
#57 [ミツバ]
紗代里は泣きながら祖父に想いの全てを話した。
「いいんだよ」
祖父は変わらない表情で紗代里に告げた。
「おじいちゃんは紗代里が生まれてきてから、本当に楽しい事ばかりだった。お父さんとお母さんに感謝してるよ」
祖父は撫で続ける。
:09/07/05 15:40 :D904i :zokoJNWk
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