あの場所まで
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#132 [ミツバ]
「おいおい。ゆーたはママを探してんだろ?」
「おれは、レッドレンジャーを探してたんだ。…そしたら…うわーん」
ゆーたはしどろもどろになりながら話すと、また泣き出した。
「わかったよ、すぐそこにいるから泣くな」
勇太はなだめるように言った。
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:09/07/23 10:09 :D904i :Kyi.5K4c
#133 [ミツバ]
今時の子供はたくましいんだかわからない。
勇太はそんな事を考えながら再び、佐伯、もといレッドレンジャーがいる騒がしい舞台へと歩き始めた。
自分もいつかは佐伯のように子供から好かれる役をこなし、悪と戦いたいと思い今のバイトを始めた。
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:09/07/23 10:14 :D904i :Kyi.5K4c
#134 [ミツバ]
しかし、そんな簡単に主役を貰えるわけはない。
初めてから3ヶ月、やっと舞台の役が来たかと思えば雑魚キャラ。
夢を見るのを辞め、本格的に就職活動を始めなくてはならない。
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:09/07/23 10:18 :D904i :Kyi.5K4c
#135 [ミツバ]
「おい、ゆーた。レッドレンジャーはかっこいいか?」
何気なく勇太は聞いた。
「一番かっこいいッ」
ゆーたはこれから間近で会える正義の味方に興奮しながら鼻息荒く言った。
(うらやましいよ、佐伯さん)
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:09/07/23 10:22 :D904i :Kyi.5K4c
#136 [ミツバ]
前を駆け抜ける子供たちは目を輝かせ彼を見る。
夢も希望も疑う事のない瞳は真っ白な光を降り注ぐ。
照りつける太陽をも蹴散らす正義の味方に熱い視線を向けるのだ。
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:09/07/23 18:05 :D904i :Kyi.5K4c
#137 [ミツバ]
長蛇の列を作っていたらしい列はもう十数人しかいなかった。
佐伯はこの炎天下の中、劇が終わって疲れていながらも自ら進んで握手会に参加している。
一時間以上、あのコスチュームを着ている事になる。
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:09/07/23 18:09 :D904i :Kyi.5K4c
#138 [ミツバ]
勇太は人を上手く避けながら最後尾に付いた。
「ほら、ゆーた。もうすぐだからな」
「うんッ」
もう肉眼で捉えられる距離にまで達した事に興奮気味らしく勢い良く答えた。
「レッドレンジャーと握手したら迷子センター行くんだからな、わかったか?」
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:09/07/23 18:13 :D904i :Kyi.5K4c
#139 [ミツバ]
「おうッ」
ゆーたは目を輝かせ言った。
調子のいいヤツだなと勇太は思いながらも弟が出来たようで内心嬉しかった。
辺りでは女の子も男の子も親に手を引かれ、レッドレンジャーに会ったとはしゃいでいた。
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:09/07/23 18:17 :D904i :Kyi.5K4c
#140 [ミツバ]
列は何事もなくスムーズに流れあっという間に自分たちの番になった。
「おッお兄ちゃん、レッドレンジャーがいるよ」
さっきからいたというのに、えらく興奮しているゆーたはそう口にした。
そんなに会いたくて、母親からはぐれても一人でここを目指してたんだなと勇太は改めて思った。
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:09/07/23 18:23 :D904i :Kyi.5K4c
#141 [ミツバ]
「そういやお前、レッドレンジャーの劇見なかったのか?」
ふと疑問に思い訊ねた。
「…ママが時間間違えたんだ」
明らかにふてくされた声がしたので、おかしくなり勇太は笑った。
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:09/07/23 18:26 :D904i :Kyi.5K4c
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