あの場所まで
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#5 [ミツバ]
♪♪♪
すぐに紗代里の着信音が鳴った。
寝っ転がったまま電話に出た。
体調の確認をし、どうやら一緒に行ってくれるみたいだ。
:09/07/02 12:56 :D904i :VF6A2bjE
#6 [ミツバ]
窓を再び見るとまだ、しとしとと雨は降っていた。
紗代里はゆっくりと白いTシャツに袖を通した。
:09/07/02 13:26 :D904i :VF6A2bjE
#7 [ミツバ]
━━━━━━━━━━
2人並んで立っていると、運良く片瀬江ノ島行きの電車がホームへと流れ込んできた。
お昼を過ぎて、あまり人が乗っていない車両へ足を踏み入れた。
窓ガラスは曇り、水滴が斜めに流れていた。
:09/07/02 13:32 :D904i :VF6A2bjE
#8 [ミツバ]
シュー…
ドアが閉まりゆっくりと電車は海へと走りだした。
建ち並ぶ住宅を通り過ぎ一つ一つの家の間が広がってくる時、優介は口を開いた。
「具合悪くなったら、すぐ帰るからな?」
心配そうに覗き込んできたので、紗代里はゆっくりと微笑んだ。
:09/07/02 13:53 :D904i :VF6A2bjE
#9 [ミツバ]
ガタン、ゴトン
心地良く揺れる。
古くなって、少しザラザラしたシートを紗代里は逆撫でしながら車内に貼ってある無数の広告をぼんやり見つめていた。
シュー…
電車はゆっくり止まり、老夫婦が乗車した。
:09/07/02 17:04 :D904i :VF6A2bjE
#10 [ミツバ]
「よいしょ、ふぅ〜」
手すりに掴まりながら、私達と向かい合わせに老夫婦はゆっくりと腰を下ろした。
「こっちはジドジドしてんなぁ」
「梅雨だば仕方ねぇ」
老夫婦は話し始めた。
老夫婦が話す方言が紗代里にはどこか懐かしく聞こえる。
:09/07/02 17:13 :D904i :VF6A2bjE
#11 [ミツバ]
微笑ましいなぁと思い、紗代里は優介を見ると彼はこくり、こくりと眠っていた。
紗代里は優介の肩に自分の頭をのせ、自分もいつかあぁなりたいと思っていた。
:09/07/02 17:20 :D904i :VF6A2bjE
#12 [ミツバ]
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紗代里はおじいちゃんっ子だった。
小学生の頃、夏休みになると田舎へ車か新幹線で毎年行く。
山ばっかりの場所で遊園地なんてないけど、そんな事構わなかった。
:09/07/02 17:28 :D904i :VF6A2bjE
#13 [ミツバ]
庭にある野菜をおばあちゃんと採って、夕飯のおかずにしたり、おやつに食べたりする。
夏休みの宿題なんか目も触れず一緒に来た幼いイトコと一日中走り、遊び回る。
小学生らしく本当に自由気ままな生活だった。
:09/07/02 17:33 :D904i :VF6A2bjE
#14 [ミツバ]
どこか行く時は必ずおじいちゃんが車を運転してくれた。
それに乗って一緒に好きな物を買ってもらっていた。
今思えば、本当におじいちゃんは孫に甘かったなとしみじみ思う。
:09/07/02 17:36 :D904i :VF6A2bjE
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