死に至る病
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#26 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
2 寄り道
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もうすっかり夕方だった。

空は羊雲におおわれ、ぼんやりした茜色に染まっていた。


放課後、僕達はファミレスで他愛ない話に花を咲かせていた。

小テストの結果、はまってるテレビドラマの展開、クラスメイトの面白いエピソード、話しだしたら止まらない。

直央となら、どんな話題でも楽しくてしょうがないから不思議だ。

⏰:09/07/26 13:31 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#27 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
――しかし、調子よく会話がはずんだのは最初だけで、すぐに僕は退屈になってしまった。

直央がテーブル一面に料理を頼み、僕そっちのけで食事に専念し始めたからだった。

もう慣れているから別にどうってことない。


「渉ちゃんも食べるぅ?」

直央がグラタン皿を差し出したが、僕は丁重にお断りした。

夕飯が食べれなくなる。

⏰:09/07/26 13:36 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#28 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「相変わらずよく食べるよな。夕飯食べれなくなるぞ」

「大丈夫、これっぽっちじゃ小腹もいっぱいにならないよぅ」

「…これがこれっぽっちとは、恐れ入りますな。……ところで口まわりにクリームがついてますぞ直央さん」

すごい量だが、彼女にしてみれば前菜のようなものでしかない。

着実に、料理をテーブルから減らしていくのだった。

⏰:09/07/26 13:37 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#29 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
見ているだけで胸焼けする食いっぷりは、ファミレス店員の間でもかなり有名らしい。

それは納得できる。

スタンプカードを異例の早さでつませてしまうとして、お得意様カードを店長直々に贈呈されたほどだ。

……しかも無料で。

お得意様カードは有料のプレミア会員に与えられるもので、これは特例だった。

⏰:09/07/26 13:39 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#30 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
風の噂では、店長との食い倒れ勝負の戦利品だとか、そうじゃないとか。

直央に聞いても誤魔化して教えないので、真相は知らない。

カードは店員に見せると、予約なしでも優先的に席を確保、全メニュー一割引き、お子様連れなら毎回オモチャ一つプレゼントの特典つきだからすごい。

その他にもたくさん特典がある。

町ではプレミア会員になることがちょっとしたステータスだったりする。

……僕も一度プレミア会員に入会しようと思ったが、小遣いではまかないきれず諦めてしまった。

⏰:09/07/26 13:51 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#31 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店内はぺちゃくちゃと騒々しいほどたくさんの会話が飛び交っていた。

何しろ田舎だから、いつも満員で熱気に満ちあふれている。

学生に嬉しい値段で、料理が美味しいところといったらここらはこのファミレスしかない。

ファーストフードやコンビニは遠出しないとなく、めったにお目にかかるものではなかった。

⏰:09/07/26 15:55 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#32 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央といつか、行ってみたいな。

もうすぐ夏休みだから、電車なんか使って行けるかもしれない。

直央の食いっぷりを初めてみる奴らは、大食いテレビ番組の収録かと、さぞや驚くことだろう。

もしかしたらスカウトされたりして。

想像したらだらしなく口元が緩んでしまった。

⏰:09/07/26 15:59 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#33 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
…僕はハッとする。


いつからか、直央は見ていた。

スプーンをくわえたまま、僕をじろじろ見ていた。

舐めるようにねっとりした視線が痛い。

「な、なに見てんだよ」

僕は言った。

⏰:09/07/26 16:01 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#34 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「さっきまで渉ちゃんがニヤニヤしてたぁ。なに考えてたのぉ?」

てっきりジャンボパフェに夢中になってると思っていたのに、こういう時はちゃっかり見たり聞いたりしてる。

昼ドラでよくみる、どっかの探偵顔負けの家政婦みたいだ。

直央の勝ち誇った目からして、きっと僕が変な妄想をしてたと勘違いしてるに違いない。

絶対そうだ。

⏰:09/07/26 16:01 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


#35 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「別に変なことじゃねーよっ」

「あり? 私一言だってそんなこと訊いてないよぅ。
……もしかして考えてたぁ? 話し相手がいなくて退屈しのぎに変なこと想像しちゃってたのぉ?」

直央はテーブルの下で足を伸ばして、僕の股辺りを探ってきた。

思わず叫びそうになる。

⏰:09/07/26 16:06 📱:N03A 🆔:fN2V2MIo


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