死に至る病
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#61 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「し〜らない」
直央はそう言うと、僕の隣に座って、肩に頭をもたれてきた。
僕が離れようとすると、直央は僕の手を強く握ってそれを制した。
心臓が早鐘をうつ。
長いまつげが、髪の匂いが、白い肌が、手の温もりが、僕の思考を鈍らせてしまう。
理性を抑えてしまう。
:09/07/30 22:23
:N03A
:jOlV9rkE
#62 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「や、……」
やめろ。
その一言が、言えない。
僕は臆病者だから、拒めば二度とこうしてくれないんじゃないかと怯えてる。
それに、僕達には決まりがある。
:09/07/30 22:24
:N03A
:jOlV9rkE
#63 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
はっきり口にしたわけではないけど、直央は昔、僕の友情を越えた好意を拒否した。
それ以来、恋人でなく、親友のままでいようというのが暗黙の掟として僕達の胸に深く刻まれた。
失恋の傷。
それは癒えることなく、僕の胸の中で今でも血を流していた。
:09/07/30 22:25
:N03A
:jOlV9rkE
#64 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
――直央が僕を見つめる。
青い瞳には泣きそうな顔した僕が映っていた。
ひどくみっともない。
その気もないくせに、そんな瞳で僕を見るな。
近寄るな。
触れるな。
:09/07/30 22:25
:N03A
:jOlV9rkE
#65 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「渉ちゃん…」
僕の名前を呼ぶな、もう止めてくれ。
僕はもう。
二度と傷つきたくない。
…それなのに、気づいたら僕は彼女の頬へ手のひらをあてて親指で唇を撫でていた。
もう、だめだ。
:09/07/30 22:26
:N03A
:jOlV9rkE
#66 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「いやなんだろ。早く俺の手をどけてみろよ」
自分では出来ない臆病者は、生意気に言ってみせた。
「い…嫌じゃないよ…」
「……」
「渉ちゃんなら、嫌じゃない…」
:09/07/30 22:32
:N03A
:jOlV9rkE
#67 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
ほら、期待させる。
どうして。
そういうこというから、臆病者はつけあがるんだよ。
「どうせ、嘘なんだろ」
唇が重なる。
吐息が重なる。
もうすべてがどうでもいい。
:09/07/30 22:33
:N03A
:jOlV9rkE
#68 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
目を開けると、直央は我慢するようにかたくまぶたを閉じていた。
…馬鹿なやつ。
嫌なら早く、突き飛ばせばいいのに。
僕は直央の肩に手をやると、滑るように首に舌を這わせた。
上から聞こえる小さな吐息。
「 」
そして僕は、言ってはならない言葉を口にした。
:09/07/30 22:35
:N03A
:jOlV9rkE
#69 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
――その時だった。
「い…いやっ……!!」
思い切り、容赦なく、残酷な言葉をそえて直央は僕を突き飛ばした。
直央は泣いていた。
いや、違う。
そうじゃない。
僕が泣かせてしまったんだ。
:09/07/31 07:29
:N03A
:nWXaJZio
#70 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「直央、ごめん…」
自分が許せなかった。
直央が怯えていたのは分かっていたのに、どうして止めなかったんだろう。
直央はただ、いつもみたいにじゃれたかっただけなんだ。
夜空を一緒にみて、寒いから手を繋いでみただけ。
……それなのに僕はまた分かりきったことを繰り返して、直央の信頼を傷つけた。
:09/07/31 15:06
:N03A
:nWXaJZio
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