死に至る病
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#76 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
>>752行目に「東京がら〜…」とありますが、訂正します。
「東京から〜…」です。
誤字すみません。
また夜に更新します(^ω^)
:09/08/05 15:12
:N03A
:/M/uXit.
#77 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「黒木さん、直央です」
直央は慣れた調子で言った。
門は重そうにゆっくりと開き、僕達を招き入れた。
僕達が門をくぐり玄関に近づくと、センサーが反応してひとりでに外灯が灯った。
直央の家はこの田舎には不釣り合いな立派な洋式豪邸で、ここいらでは有名だった。
:09/08/05 18:52
:N03A
:/M/uXit.
#78 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
見かけ倒しじゃなく、内装も家具もすごいし、たくさんのお手伝いさんがいる。
直央はあまり口に出したがらないが、お小遣いも平均を軽く上回っているらしい。
さすがご令嬢。
だから頻繁にファミレスで大食いしても、福沢諭吉を惜しみなくぽんぽんだせるわけなのだ。
…お金持ちって羨ましい。
:09/08/05 18:53
:N03A
:/M/uXit.
#79 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央は僕に借りていた制服を両手で差し出して言った。
「今日はとっても楽しかったよぅ。またファミレス行こうねぇ」
満天の笑顔がまぶしい。
僕は黙って制服を受け取り、すぐに羽織った。
重く長い沈黙。
ありがとうも言えなかった。
:09/08/05 18:54
:N03A
:/M/uXit.
#80 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
さすがに直央は困った顔をして、苦し気に小さく笑った。
「あと……、明日からも、これまでと同じように仲良しでいようね。渉ちゃんの気持ち、わたしすごく嬉しかったよぅ。これは本当、嘘なんかじゃないから…」
直央は言った。
いつもの軽い感じじゃなく、とてもしっかりしたもので驚いた。
誰にも頼らない、この意志だけは譲らない、そんな強い光をもった瞳でまっすぐ僕を見ている。
しっかりとそらさずに。
:09/08/05 18:55
:N03A
:/M/uXit.
#81 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕はそれが恐ろしかった。
一人じゃなにもできなくて、見守ってやらなきゃ危なっかしい直央が、いつの間にか僕を必要しなくなることを何より恐れていた。
だって僕は、直央に必要とされているからいまも親友であれるわけで、必要とされなくなれば、直央は僕から離れていくに違いない。
僕は、直央の特別ではないから。
ずっと、親友のままだから。
:09/08/05 19:19
:N03A
:/M/uXit.
#82 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
胸が痛んだ。
このまま握り潰してしまえたら楽なのに、と思った。
:09/08/05 20:30
:N03A
:/M/uXit.
#83 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
玄関の横にある勝手口から、メイド服姿の女性が出てきた。
黒木さんだった。
「直央お嬢様、お帰りなさいませ。そして渉さんこんばんは。お帰りが遅いのでお父様がご心配なさっておられますよ」
黒木さんは言った。
直央は冗談っぽく照れてみせた。
:09/08/05 20:34
:N03A
:/M/uXit.
#84 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
黒木さんは、切れ長のどこか冷たい目と無表情が印象的な女性だった。
年齢はまだ若い。
私語はつつしみ妥協を許さず仕事に徹底するメイドの鏡で、狩山家に信頼をおかれているという。
付け加え、仕事が終わるとすごく優しいお姉ちゃん。
直央いわく、そうらしい。
:09/08/05 21:18
:N03A
:/M/uXit.
#85 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「暗いですから、門まで私がお見送りいたします」
黒木さんは僕に言った。
それには直央も賛成らしい、大急ぎで懐中電灯を持ってきた。
「わたしも行くよぅ」
直央は言った。
僕はそれを断わった。
最後の最後まで僕を楽しくさせようとする努力が嬉しくもあり、悲しくもあった。
:09/08/05 21:20
:N03A
:/M/uXit.
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