死に至る病
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#86 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕がこうさせているんだ。

これ以上、どんなささいなことでも僕のせいで直央に迷惑をかけたくない。

直央に別れも告げないまま立ち去ろうとした、…その時だった。


直央がかけよってきて僕の背中をばしーん、と思いきり叩いた。

すごい力だった。

僕が驚いて振り返ると、なんの容赦もなしにもう一発すごいのを食らわせられた。

⏰:09/08/05 21:21 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#87 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
…突然の出来事だった。

僕はすっかりひるんでしまって、彼女になにも言えず呆然としていた。

黒木さんも全く同じように、目を丸くしていた。


直央は僕を睨みつけて、すこしためらってから力強く言った。

⏰:09/08/05 21:31 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#88 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「私、渉ちゃんのこと大好きだって言ってる。信じてる。だから渉ちゃんには笑っていて欲しい。これからもずっと、私のそばにいて欲しい。渉ちゃん以外には考えられない。なのにどうして素っ気なくするの。恋人になれないから?」

「……直央、…」

「恋人になっても、きっと私達は変わらない。手も繋げるし、キスだってできるよ。だから笑ってよ渉ちゃん。渉ちゃんが笑ってくれないと、私困る。私は、」

そこまで言うと、直央はいきなり頭を押さえて崩れるように座り込んだ。

持っていた懐中電灯が地面に落ちる、鈍い音が響く。

⏰:09/08/05 21:32 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#89 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
弾けるように黒木さんと僕は彼女にかけよった。

直央がうつろな瞳で僕をみる。

小さな手がそっと、僕の頬に触れた。

僕はその手に手を重ねた。

頬に手で触れるのは、ずっと仲良しだよのサイン。


僕達だけの、サイン。

⏰:09/08/05 21:34 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#90 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「笑って、渉ちゃん…」

直央は続けた。


「大好きだよぅ」

そして、僕も笑う。

直央の笑顔が、涙で滲んだ。


…ちゃんと笑えてるかな。

変じゃないかな。

⏰:09/08/05 21:35 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#91 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
本当に僕は鈍感なやつだ。

直央の特別になろうなんて悩んで、迷って、傷つけて、馬鹿らしかった。

最初から特別だった。

必要とされていた。


…僕は鈍いから、言葉にされないと気づけなかった。

⏰:09/08/05 21:36 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#92 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
…ごめんな、直央。

今ならきちんと笑ってあげられるよ。

明日からもずっと、僕達は仲良しだ。


ずっと、仲良しでいよう。
ずっとだ。


「俺も大好きだよ、直央」

⏰:09/08/05 21:37 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#93 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
寄り道(Side Story)
「食い倒れ勝負」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

甘い幸せをあなたに。

店頭に並べ立てられたのぼりのキャッチフレーズが風にはためいている。

期間限定のスイーツ食べ放題は女性に好評、満員御礼で店長は大喜びだった。

若い客を増やしたいと考えておこした企画がここまで上手くいくとは思わなかった。

喜ばずにはいられない。

⏰:09/08/05 23:40 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#94 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店長は深く椅子にもたれかかり、珈琲を一口飲んだ。

うむ、旨い。


新聞を広げてまさに読もうとしたとき、扉が荒々しく開かれた。

開けたのは新人のアルバイト店員だった。

深刻な表情をしている。

…ただ事ではない。

⏰:09/08/05 23:47 📱:N03A 🆔:/M/uXit.


#95 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店長は珈琲をテーブルに置いた。

「大変です、店長」

「なにがだね」

「スイーツ食べ放題をいいことに、片っ端から食べてるやつがいます。そのおかげで、スイーツの種類は激減、材料も不足、
…もはやスイーツ食べ放題といえるレパートリーはありません」

「な、なんだと……」

⏰:09/08/06 00:15 📱:N03A 🆔:hRVRSZQ.


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