死に至る病
最新 最初 🆕
#147 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
のほほんとした光景に、僕と湊は黙って見守っていた。

けれど僕は知っている。

これから待ち受ける、あの重箱の甘ったるい恐ろしさを知っている。

笑ってられるのも今のうち。

別腹がはち切れて、満腹死するまで食べるがよい。

りこめ、いつも僕にプロレス技をかける天罰だと思いたまえ。

⏰:09/08/09 20:16 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#148 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「ありゃりゃ…、もう桃ゼリー無くなっちゃったねぇ。ごめん直央ちゃん。つい美味しくて遠慮なしに食べちゃった」

りこは言った。

「大丈夫だよぅ〜。まだまだいっぱいい〜っぱい、あるから」

直央は重箱を解体していくと、そこには僕の予想していた光景があった。

⏰:09/08/09 20:18 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#149 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
二段目は和菓子の詰め合わせ。

三段目はイチゴとクリームたっぷりのショートケーキ。

四段目はチョコケーキ。

五段目はモンブラン。


とどめは、湯がしただけのチョコかと思うくらいどろどろした、アイスココアだった。

⏰:09/08/09 20:20 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#150 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「……あ、あはは、こりゃすごい…」

りこは唖然として、引きつった笑顔と渇いた笑い声を上げた。

もう満腹らしい。

りこがバトンタッチと僕にスプーンを渡したその時、彼女の肩を直央が鷲づかみにした。

彼女は恐る恐る振り返った。

⏰:09/08/09 20:22 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#151 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「まだ残ってるよぅ? 最後まで食べてくれるよねっ?」

「な、直央ちゃん、ごめんけどあたしもうお腹いっぱいで、」

りこはそこまで言って、直央からどす黒いオーラがでているのに気づきあわてはじめた。

⏰:09/08/09 20:28 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#152 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
食べ物の痛みはわたしの痛み。

食べ物の敵はわたしの敵。

食い物をないがしろにされると、直央はものすごく怒る。

食べる前に断ればセーフ。

許してくれる。

⏰:09/08/09 20:29 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#153 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
しかし手をつければ最後、しゃれにならないほど腹がはち切れるまで食べさせられるのだ。

泣く泣く食べはじめたりこをからかっていると、どす黒いオーラを僕の背後から感じた。

ふき出る冷嫌なひや汗。

僕は先ほどのりことまったく同じように、恐る恐る振り返った。

⏰:09/08/09 20:30 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#154 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「わたし、渉ちゃんのためにお弁当作ってきたんだけどぉ…。食べるよねっ?」

「お、お、俺は…、」


「食・べ・る・よ・ね……?」


直央が僕の顎をつかみ、いちごを刺したフォーク片手にすごんできた。

後退る僕に合わせて、直央はずりずりと間を詰めてくる。

中庭に僕の悲鳴がこだました。

⏰:09/08/09 20:33 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#155 [chimu◆Hi9o8eIXuA]



なんとか完食した。

僕とりこは異様に膨れた腹を撫でながら、ウンウン唸っていた。

そんな僕らを満足げに見つめながら、直央はアイスココアを優雅にすすっていた。

…もう甘いものはしばらく食べたくないし、見たくもない。

⏰:09/08/10 20:41 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


#156 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
トイレに行こうか迷っていると、僕たちの前に女の子が現れた。

両手に数冊の本を持っていた。

肩までに切り揃えられた、艶のある黒髪。

丁寧にアイロンがけされて、パリッとしたブラウスが、彼女の几帳面さを物語っている。

一本の棒のように凛と立って、眉根にしわをよせて、ぶすっとしていた。

⏰:09/08/10 20:48 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194