死に至る病
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#151 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「まだ残ってるよぅ? 最後まで食べてくれるよねっ?」

「な、直央ちゃん、ごめんけどあたしもうお腹いっぱいで、」

りこはそこまで言って、直央からどす黒いオーラがでているのに気づきあわてはじめた。

⏰:09/08/09 20:28 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#152 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
食べ物の痛みはわたしの痛み。

食べ物の敵はわたしの敵。

食い物をないがしろにされると、直央はものすごく怒る。

食べる前に断ればセーフ。

許してくれる。

⏰:09/08/09 20:29 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#153 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
しかし手をつければ最後、しゃれにならないほど腹がはち切れるまで食べさせられるのだ。

泣く泣く食べはじめたりこをからかっていると、どす黒いオーラを僕の背後から感じた。

ふき出る冷嫌なひや汗。

僕は先ほどのりことまったく同じように、恐る恐る振り返った。

⏰:09/08/09 20:30 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#154 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「わたし、渉ちゃんのためにお弁当作ってきたんだけどぉ…。食べるよねっ?」

「お、お、俺は…、」


「食・べ・る・よ・ね……?」


直央が僕の顎をつかみ、いちごを刺したフォーク片手にすごんできた。

後退る僕に合わせて、直央はずりずりと間を詰めてくる。

中庭に僕の悲鳴がこだました。

⏰:09/08/09 20:33 📱:N03A 🆔:0eHX26cc


#155 [chimu◆Hi9o8eIXuA]



なんとか完食した。

僕とりこは異様に膨れた腹を撫でながら、ウンウン唸っていた。

そんな僕らを満足げに見つめながら、直央はアイスココアを優雅にすすっていた。

…もう甘いものはしばらく食べたくないし、見たくもない。

⏰:09/08/10 20:41 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


#156 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
トイレに行こうか迷っていると、僕たちの前に女の子が現れた。

両手に数冊の本を持っていた。

肩までに切り揃えられた、艶のある黒髪。

丁寧にアイロンがけされて、パリッとしたブラウスが、彼女の几帳面さを物語っている。

一本の棒のように凛と立って、眉根にしわをよせて、ぶすっとしていた。

⏰:09/08/10 20:48 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


#157 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
明らかに不機嫌そうだった。

可愛い顔立ちをしてるのに、すこしもったいないなと思った。


「野村先輩」

彼女は言った。

呼ばれたりこは吐き気に耐えるひどい顔を上げて、ひらひらと手を振った。

酔っぱらいみたいだった。

⏰:09/08/10 21:26 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


#158 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「や、早紀ちゃん。…悪いけどオネーサン気分がすぐれなくてさ、……うぇ、うぇぇ……、打ち合わせだったら放課後にしてくれないかな、……ぐぇ」

「いえ、打ち合わせじゃないです。借りていた小説をお返ししたくてきました」

早紀さんは手にしていた小説をりこに返すと、踵をかえしてさっさと中庭を出ていった。

あっさりした人だった。

⏰:09/08/10 21:53 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


#159 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕は早紀さんから返却されたりこの小説を手に取って、ぱらぱらとおおざっぱに中身を見た。

トリックだとかアリバイだとか殺人だとか血だとか、そんな単語がいくつもあった。

ちなみに小説のタイトルは「緊急病院殺人事件」。


「りこ、おまえってミステリー小説なんか読むのか?」

いくぶんか回復したらしいりこは、むっくり起き上がって言った。

⏰:09/08/10 22:01 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


#160 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「読むもなにも、あたしはミステリーマニアだからね。ついでにいうと、早紀ちゃんもそう。二人でミステリー同好会しちゃってるくらい愛してるよ」

「ミステリー同好会ってなになにぃ〜? 気になるなぁ」

直央が訊いた。


「ふふん」

りこはひとつ咳払いをし、足を組みなおした。

⏰:09/08/10 22:25 📱:N03A 🆔:1ut1iRZA


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