死に至る病
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#344 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「どんなやつ?」
「王子様みたいな人かなっ」
「誰なの」
直央が困ったように眉を八の字にして、
もう止めようよぅ、
と言うのを――愚かにも僕はいじらしいと感じて、まだ続けた。
:09/08/22 13:52
:N03A
:SNme/9P6
#345 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
ひときわ大きな花火が上がり、僕達を明るく照らした。
――そして、言った。
直央は、何々だよ、と可愛いらしく首をかしげて、言った。
思考が停止した。
目の前が真っ暗になった。
:09/08/22 13:53
:N03A
:SNme/9P6
#346 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
全身がぴりぴりと刺すようにひどく痛み、麻痺したように動かなくなった。
直央の言葉。
僕はそれをきちんと聞き取れていたのに、僕の全細胞が拒否して、すぐに記憶の隅へと追いやられてしまった。
心臓が早鐘を打つ。
:09/08/22 13:54
:N03A
:SNme/9P6
#347 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
そんな馬鹿なことがあるものか、と、震える拳を握りしめて、訊いた。
「い、今、なんて、言った?」
情けなく震えた声に、直央はにっこりと天使みたいに笑って(悪魔みたいに?)、
聞いたこともない甘い声で、
ささやくように、
恥ずかしそうに、
言ってしまった。
:09/08/22 13:54
:N03A
:SNme/9P6
#348 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「私の好きな人はねぇ」
ひときわ大きな花火が上がり、僕達を明るく照らした。
「渉ちゃんじゃない人」
:09/08/22 14:01
:N03A
:SNme/9P6
#349 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
頭が、無で満たされた。
体が冷たくなっていく。
手先や足の爪先から、どろどろとした氷水が這ってくるように、じわりじわりと冷たくなっていった。
現実と幻想の狭間で、僕は言葉を知らない獣のように叫び続けた。
:09/08/22 14:07
:N03A
:SNme/9P6
#350 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
無垢ゆえの残酷だった。
親友に好きな人を素直に教えた、喜んでくれると思って。
それ以外のなにものでもない。
では僕が間違っている。
:09/08/22 14:08
:N03A
:SNme/9P6
#351 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
目の前の少女にとってのハグ、キス、異性への嫉妬の定義を教えてください。
なにがいけなかった?
親友なんて、恋人なんて、きれいごとに縛られなければよかったのか?
奪えばいいのか?
:09/08/22 14:10
:N03A
:SNme/9P6
#352 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
無理矢理、真っ白いこいつを、欲望のままに汚せばいいのか?
好きになりやがれと、想いを押しつければいいのか?
だいたい好きな人って誰だよ、滅茶苦茶にしてやる、
――そうじゃなくて、ああ、もう、これは悪い夢なのか?
誰か僕に、教えてください。
:09/08/22 14:10
:N03A
:SNme/9P6
#353 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕は無意識のうちにゆっくりと、花火を見上げる直央に手を伸ばした。
もう、いい。
もう、壊してやる。
好きな人がいるんだはいそうなんだ、じゃすまないくらいおまえを愛している。
:09/08/22 14:11
:N03A
:SNme/9P6
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