その手に触れさせて (短編集)
最新 最初 全 🆕
#1 [さ う す ぽ ー]

さ う す ぽ ー です(^ω^)
小説を書くのは初めてで
思いっきり素人です(笑)

頑張って書きますので
温かく見守って下さい*

⏰:09/07/26 20:06 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#2 [さ う す ぽ ー]

*アンカー
>>004-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

⏰:09/07/26 20:11 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#3 [さ う す ぽ ー]

*主は趣味で書いているので、
更新はかなりスローペースです。

*小説更新を催促する書き込みは
ご遠慮ください(´・ω・`)

⏰:09/07/26 20:14 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#4 [さ う す ぽ ー]


その手に触れさせて

⏰:09/07/26 20:16 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#5 [さ う す ぽ ー]

私は人の手の温かさを忘れた。

最後に握った手は冷たかった。

人の手なんて、握っちゃいけない気がして。

未だに触れることが出来ない。

⏰:09/07/26 20:19 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#6 [さ う す ぽ ー]

──「美弥ちゃんっ!」

そう、あたしの名前を呼ぶのは近所に住む「悠真くん」だった気がする。

「なに?」

歳は1つ下。…と言っても、当時はまだ5歳だった。
「あーそぼ!」
「だめ!今からパパとママと一緒におでかけなの」
「あそぼ!」

⏰:09/07/26 20:23 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#7 [さ う す ぽ ー]

「だめって言ってるの!」

あたしは手を振り払った。まだ何も知らない、4歳の悠真くんの手を。

小さな彼の体を突き飛ばすには、あたしの力で充分だった。

「…うわぁーーっ!!!!」

悠真くんは車に轢かれ、意識不明の重体。あたしが覚えているのは、パパとママが必死に頭を下げている姿だけ。

⏰:09/07/26 20:28 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#8 [さ う す ぽ ー]

病院から家に帰ることになった。ママと手を繋いで帰った。

ママの手は冷たかった。


「美弥ぁ?負のオーラ出てますけど。大丈夫なんですか?」
「…大丈夫だよ」

あれから10年もの年月が経った。悠真くんの居た街からは引っ越し、今は冴えない女子高生をやっている。

「んじゃ綾、パン買ってくるからー」
「わざわざ言わなくても良かったのに」
「…冷めてんね」

⏰:09/07/26 20:34 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#9 [さ う す ぽ ー]

「…いいから。行ってきなよ」

中学時代からの友達・綾那を送り出して、溜めた息を吐き出す。

未だ消えない、罪悪感。

パパとママが話していたのを聞いていると、どうやら悠真くんは元気にやっているらしい。

…だけど。

アタシガ、ヤッタ。

それは、紛れもない事実。消すことも隠すことも出来ない。

勿論、許されることでもない。

⏰:09/07/26 20:44 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#10 [さ う す ぽ ー]

「もっかい会えたらな」

せめて謝ることくらいは出来るのに。あたし…自分の口から謝ってないよ…

「なになにっ?誰に?」
「…羽山さん!」
「羽山ぁ?ああ、芸人の」
「面白いんだから」
「美弥って、地味系な割にはお笑い好きだよね」

余計なお世話。
って言うのは我慢しておいた。

「さっ!食べようっ」

⏰:09/07/26 20:54 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#11 [さ う す ぽ ー]

威勢良く言ってから袋を開け始める綾那は、さっきの自分の発言なんて気にしていない様子。

あたしもそれに乗っかって、弁当箱の蓋を開ける。

「あっそういえばー」
「…なに?」
「綾、今度の土曜に隣町の人と遊ぶんだー」
「へぇ。それが?」

「美弥も来ない?」

はい?
今、何と?

⏰:09/07/26 21:01 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#12 [さ う す ぽ ー]

『だーかーら、美弥も行こ?』

見事な綾那の口車に乗せられ、土曜日。何故かあたしも駅前に居た。

少しだけ、お洒落をして。

「あれ、美弥早いね」
「別に。10分前行動は常識」
「えー5分前で良いってー!まあいいや。電車来ちゃうし、行くよっ」

人を待たせておいて、綾那はせっせと歩き出す。…それに着いていってしまうのはあたしだけど。

「ちょ、待ちなさいって」
「美弥が遅いのー!」

⏰:09/07/26 21:15 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#13 [さ う す ぽ ー]

「ふーっ!暑いねー」
「う、うん」

着いたのは、あたしが昔住んでいた街。今も多分…悠真くんが居るところ。

もしかしたら、会うかも。なんて期待してみるけれど…そんなことはないか。

「ねえ、そういえば何で隣町の子と遊ぶの?」
「んー?元は別の子の知り合いなんだけどね、今日来れなくなったからさっ」
「あたしその子の代わり?」
「そうそう!」

悪びれもせずに、飄々と言ってのける。あたしは呆れるしかない。

⏰:09/07/26 21:34 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#14 [さ う す ぽ ー]

「ねえ、まだ「あれかもっ!」

「まだ来ないの?」と言おうとしたら、綾那の弾んだ声が重なった。

「ど、どれ…?」
「ハヤトくーん!ユウマくーん!」
「えっ…」

心臓が大きく波打った。

“ユウマくん”って。まさか。

まさかまさかまさか。有り得ないよね?だって…遊べるような体なの?違うよね…

“悠真くん”じゃないよね…

⏰:09/07/26 21:43 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#15 [さ う す ぽ ー]

綾那の声に気付き、やって来るのは2人の男。優しそうな人と、クールな感じの人。

クールなのがハヤトくんで、優しそうなのがユウマくんかな。

「ハヤトでーす!」
「ユウマ…です」

あたしの予想は見事に外れた。こっちがユウマっていうなら、あたしの知ってる「悠真くん」じゃないな。

「綾那です!」
「美弥です」

話は綾那とハヤトくんが勝手に進めてくれた。明るい綾那と優しげなハヤトくんはお似合いだった。

⏰:09/07/26 21:59 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#16 [さ う す ぽ ー]

何も聞かされていなかったあたしは、初めて遊園地に行くことを知らされた。

「そうなんだ」と軽く流してはみたものの、内心ヒヤヒヤしていた。

2:2で分かれたりしないよね…。もし分かれるなら確実にあたし…ユウマくんとだし。

「綾、ハヤトくんタイプだから一緒に回るね!美弥は…ユウマくんでいいでしょ?」

今のは、あたしにもユウマくんにも失礼でしょ。

「あの…最初から最後まで2人でっていうのは…ちょっと」
「安心して!最初は4人で回る」

⏰:09/07/26 22:06 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#17 [さ う す ぽ ー]

その言葉どおり、最初は4人で回った。あたしは綾那にベッタリだったけど。

しかし、その時間にも終わりが来てしまった。

「そろそろ…2:2で分かれよーっ!綾、ハヤトくんがいいなぁ」

ハヤトくんは少しニタリと笑う。そりゃ、綾那のあんな目に見つめられれば仕方ない。

「じゃあ俺、綾那ちゃんと行くから。そっちは大丈夫?」
「ああ」
「そか。じゃ、行こ!」

行ってしまった。

⏰:09/07/26 22:11 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#18 [さ う す ぽ ー]

「ねえ、あんた。何か乗んの?乗りそうには見えないけど」
「あんたって……ジェットコースターくらい、乗って帰るわよ…」
「あっそ。なら行く?」
「うん…」

失礼だし、気遣いがない。ただ単に冷たいだけ。

「名前なんていうの」
「…美弥」
「ふーん」

聞いてなかったんだ。やっぱり失礼な人。

それに、横に並ぶことさえしてくれない。あたしが見れるのは、後ろ姿だけ。

⏰:09/07/26 22:17 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#19 [さ う す ぽ ー]

後ろ姿だけなのに、なんとなく威圧感がある。羽織っている白いパーカーに黒髪がよく映える。

「俺いいわ。あんた乗ってきなよ」
「えっ?…苦手なの?」
「そうじゃねえ」

苦手なんだ。
黙っといてあげるけどさ。

「行ってくる…ね」
「行ってらー」

ユウマくんは、どこまでもテキトーな雰囲気を醸し出す。あたしにとっては、少し絡みづらい。

⏰:09/07/26 22:24 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#20 [さ う す ぽ ー]

「早かったね」
「そうでもなかったけど」

ジェットコースターが一周して、ユウマくんの待つベンチへ向かう。ユウマくんは目を瞑って寝ていた。

「遊園地…嫌い?」
「そうじゃねえ」
「それ…口癖?」
「そうじゃねえ…っ」
「口癖かぁ」

クールで絡みづらいんだけど、からかうと面白い。…あたしってSなのかな?

少し笑った後、ユウマくんから「お化け屋敷に入ろう」と提案があった。

時間も稼げそうだし、面白そう!迷わずOKした。

⏰:09/07/26 22:35 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#21 [さ う す ぽ ー]

「お化け屋敷とか…あんた怖がらないんだな」
「あたし結構得意なの」
「へぇ」

あたしの呼び方は変わってなかったけど、そんなことは気にしない。気にしてたらユウマくんとは付き合えない。

「行ってらっしゃーい」

妙にニコニコしているスタッフに見送られて、照明の落とされた建物内に入った。中は寒くて、身震いする。

「寒くないの」
「平気。上着持ってきたから」
「準備万端だな…可愛いげのない女」
「失礼なこと言わないでよね」

⏰:09/07/26 22:42 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#22 [さ う す ぽ ー]

「…あんた高2だろ」
「そうだけど…?」
「俺高1」
「…へーっ」

焦って、活動を早めるあたしの心臓。お化け屋敷が怖いのか、ユウマくんの言葉に動揺してるのか分からない。

だって「悠真くん」は1歳年下。

まさかまさかまさか。そんなはずはないよね?「悠真くん」はこんな人じゃないもん。人懐っこくて、明るい子だもん…ね?

「ハヤトくんは…1年?」
「2年だよ」
「そうなんだっ…」
「…幼なじみだから、引っ張られてきた」
「ふーん」

⏰:09/07/26 22:53 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#23 [さ う す ぽ ー]

1歳年下で、この街に住んでいる。可能性…低くはない。

“ユウマくん”は“悠真くん”?

「俺さ、小さい頃事故に遭ったんだよね」
「…」
「どうした?お化けが怖くなった?」
「違うよ…」
「ふーん?…4歳の時だったかなー、痛かったなー」

謝ってしまいそうになるのを直前で止める。まだ…まだ分からないんだから。

「車に轢かれた」

ユウマくんがぽつりと嘆いた瞬間、外の明るい世界が目に飛び込んできた。

⏰:09/07/26 23:08 📱:P705i 🆔:KoR1J.Ug


#24 [さ う す ぽ ー]

「…気付いてんだろ」

ドキッとする。
やっぱり…悠真くんなの?

「美弥ちゃん」
「へっ」
「仲良かったんだよね。1歳年上でさ、この街に住んでた」

気付いてる。ユウマくんも。あたしが「美弥」だということ。

あたしが悠真くんの手を振り払った、美弥だってこと。

「…ごめん」

それしか言えなかった。伝えることも、それだけだったかな。

⏰:09/07/27 14:11 📱:P705i 🆔:O8avHoUs


#25 []
面白いです
続き気になる〜

⏰:09/07/27 14:53 📱:N906i 🆔:j.CHTS4o


#26 [さ う す ぽ ー]

>>25 さま

ありがとうございます!!
そう言って貰えて本当に
感激ですっ(´pωq`)
続き書くの頑張ります*

感想板にも※待ってます
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

⏰:09/07/27 15:02 📱:P705i 🆔:O8avHoUs


#27 [さ う す ぽ ー]

>>24

自然とユウマくんの手に目が行く。…あたしはこの手を、

「手、触ってもいい?」
「…ああ」

何の躊躇いもなく、あたしはユウマくんの手を持ち上げる。

「ごめん…ごめんねぇ…」

涙が溢れる。
あたしには温かすぎる。ユウマくんのこの手は。

「俺…さ、」

⏰:09/07/27 15:10 📱:P705i 🆔:O8avHoUs


#28 [さ う す ぽ ー]

話しかけられて、あたしは顔を上げた。想像してたよりも、ずっと綺麗な顔。

「“美弥ちゃん”のこと、好きだったんだよ」

驚きを隠す術を、あたしは知らなかった。繋いだままの手を、ユウマくんは自分の方に引き寄せた。

「美弥ちゃん」
「…悠真、くん」

記憶が一気に蘇ってくる。たくさん遊んだね。たくさん笑ったね。悠真くん。

好きだったよ、悠真くん。

「付き合って、美弥ちゃん」

⏰:09/07/27 15:22 📱:P705i 🆔:O8avHoUs


#29 [さ う す ぽ ー]

冗談とは思えない、真剣な目。本気だ。

「う…ん」
「…ほんとに?」

ほんとだよ。嘘なんかじゃないよ。だって…あたしは知ってたよ。

悠真くんがあたしのこと好きだってこと。ずっと知ってたんだ。

「今度はこの手、振り払ったりしないでね?」

いつになくにっこりと微笑んで、手の甲に軽くキスを落とす。


──「美弥ちゃん好きっ!」

*fin*

⏰:09/07/27 15:35 📱:P705i 🆔:O8avHoUs


#30 [さ う す ぽ ー]

>>4-29 その手に触れさせて

スローペース更新とか言いながら
わずか2日で完結しました(^ω^)

うーん…何か微妙だったなあ…。
ちゃんと計画は立てたんですがw

感想お待ちしております!
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

⏰:09/07/27 15:42 📱:P705i 🆔:O8avHoUs


#31 [さ う す ぽ ー]

その手を握らせて

⏰:09/07/28 23:26 📱:P705i 🆔:MQDAGHX.


#32 [さ う す ぽ ー]

※読む前に

「その手を握らせて」は
「その手に触れさせて」
の続編になります(^ω^)

「その手を握らせて」を
読む場合には、前作を読
んで頂くことをおすすめ
します……(´・ω・`)*

⏰:09/07/28 23:31 📱:P705i 🆔:MQDAGHX.


#33 [さ う す ぽ ー]


月日はあっという間に過ぎ去り。悠真くんと付き合い始めてからもう2ヶ月が経とうとする。

ちなみに、あたしたちより1週間遅れではあったものの、綾那とハヤトくんも付き合い始めたらしい。

「ダブルデートしようよ!」

だからこそ、こんなことを言うのだ。

「ダブルデート…って言ったってどうせ最初だけじゃん」
「それはー…そうじゃん?」
「何それっ…」

⏰:09/07/29 00:03 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#34 [さ う す ぽ ー]

「だってほら…“ダブルデート”って響きが良くない!?」
「響きの問題なの?」
「…美弥だって遊びたいんじゃないの〜?進展したいんじゃないの〜?」
「なっ…」

それはそうだ。

悠真くんとは週に2日か3日は会う。会って話して、たまにキスしちゃったりして。

…まあ、その先は無いわけで。

「綾、2人が仲良く手繋いで姿が見たいな!」

うっ…。
手、繋がなきゃ駄目ですよね。

⏰:09/07/29 00:09 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#35 [さ う す ぽ ー]

>>34 綾の台詞「る」が抜けてました(´;ω;`)すみません。

‐‐‐‐‐


「ねっ?行こ!」
「分かったぁ」

結局流されるのはあたし。着いていくのはあたし。


「久しぶりだね、美弥ちゃん」
「あー…はい」
「知ってるとは思うけど、俺…綾那の彼氏になりました!」
「おめでとうございます」

今日は、綾那の楽しみにしていた“ダブルデート”の日。

⏰:09/07/29 00:17 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#36 [さ う す ぽ ー]

ハヤトくんのテンションの高さに驚きながら、何とか挨拶を済ませる。悠真くんと綾那も何か話していたようで、笑い合っている。

あたしの前であんなに笑う?

「うわー怖いな。悠真かっこいいから綾那奪われそう」
「ハヤトくんもかっこいいですから大丈夫ですよ、きっと」
「へへ…そう思う?」

照れ笑いをしながら頭を小さく掻く姿は、悠真くんには見当たらない。ハヤトくんが新鮮に思える。

「お話は終わったのかよ」
「そろそろ行こっかー」

綾那と悠真くん…美男美女で、これもお似合い。大人みたい。

それに比べてあたしは、

⏰:09/07/29 00:26 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#37 [さ う す ぽ ー]

「行くぞ」

視界が揺れて、悠真くんに腕を捕まれたことを理解する。

ふと横を見ると、綾那とハヤトくんはカップル繋ぎをしていた。甘い洋菓子みたいな雰囲気。

「いいなぁ…」

あたしたちは一体どんな雰囲気なんだろう。あたし、連行されてる人みたい。それにやっぱり…

後ろ姿しか見れない。

「ハヤトっ、綾これのこと言ってたんだぁ!美弥たちも来てっ!」

綾那たちの足が止まった。綾那の指先が巨大な建物を指差す。

「巨大迷路?」

綾那の説明によれば、迷路は迷路でもゴールは何種類かあるらしく。それぞれのゴールに『心が元気になる言葉』が書いてあるらしい。

⏰:09/07/29 00:36 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#38 [さ う す ぽ ー]

「綾たち、先行ってくる!ゴールまで行ったら、あとは自由ってことにしよ!」
「うん、分かった」

ニコニコ笑顔の2人は、瞬く間に暗闇の中に吸い込まれていった。

「俺らも入る?」
「うん…」

あたしたちも中に入った。入場料を払うときに「兄妹じゃないよね?」って言われたのは…誰にでも言ってると分かってるけど、ショックだった。

手と手が、遠い。

「…今日、2ヶ月記念日だって知ってた?」
「ああ」
「そっか…だよね!」

暗闇なのを良いことに、あたしの涙腺はどんどん緩んでいく。理由も分からぬままに。

⏰:09/07/29 00:45 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#39 [さ う す ぽ ー]

「当たり前だよね〜…っ」

無理してること。気付かないで欲しい。気付いて欲しい。

バラバラの感情がひとつになろうとして、あたしの中で渦巻いた。

「美弥の友達。綾那さん?綺麗だったな…美弥ももっと色気出せよ」
「…う、ん」

軽い冗談…ってことにさせてね?じゃないとあたし、耐えられそうにない。声を上げてしまいそうだから。

「話すこと無くなってきたよな、最近」
「そっ…うかなぁ…」
「最初は思い出話で盛り上がってたけどさ…もうネタ切れ?」

⏰:09/07/29 00:53 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#40 [さ う す ぽ ー]

──「美弥ちゃん好きっ!」

あれは…恋愛感情じゃなかったのかな。…そうだよね。小さいのに、そんなの分かるわけないし。

たとえ恋愛感情だったとしても…それがずっと続くことなんて、あるのかな?

教えてよ…っ

「別れ「やっ…」

思わず声を上げてしまったことに自分でも驚く。今あたし、何を思い浮かべた?

「どうかした?」
「何でもない…」

その声が…いかにも「面倒な女」だと言われているようで、傷付く。チクチクと痛い。

⏰:09/07/29 01:01 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#41 [さ う す ぽ ー]

「分かれ道だけど…どっち行く?って聞いたのに。何考えたの?」

すっと血の気が引く。嫌だ…悠真くんと別れたくなんかない。好きなのに…別れるなんて…

「ねえ、」

あたしは走り出した。

聞きたくない。別れ話なんて。

もし悠真くんの口から別れ話しか出てこないなら、あたしは口を閉ざすよ。話せなくてもいいから、傍に居たいんだ。

「う…っ」

一心不乱に走った。ねえ、早くあたしの心を元気にして…

言葉を頂戴。

⏰:09/07/29 01:08 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#42 [さ う す ぽ ー]

小さく小さく、光が見えた。きっとあの先に、言葉があるんでしょう?“元気”にしてくれるんでしょう?

「はぁっ…っ…ぅっ」

あった。

ご丁寧に額縁に入れられて、役目を果たそうとしている文字が。

「…あれ?おひとり、ですか?」

声を掛けられたけれど、そんなのもう気にしてられない。

早く、行かなきゃ。
あたしはいつも、あと一歩を踏み出せないだけ。

⏰:09/07/29 01:14 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#43 [さ う す ぽ ー]

来た道を戻る。悠真くんに辿り着けるのか分からないけれど。

『大丈夫。案外うまくいくよ』

こんなにぴったりの言葉に出会えるなんて。

「ゆ、悠真くんっ!」

あたしが頑張らなきゃいけないんだよね。人任せじゃ駄目なんだよね。

「なんだよ」

思ったとおり冷たい。でも、あなたのこの手にしがみついていたいの。

「あっ…綾那のこと、好き…みたいな言い方しないで!」

⏰:09/07/29 08:59 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#44 [さ う す ぽ ー]

「は?」
「冷たくしないでっ…ふぇ」
「何言ってんの?」
「好きなの…離れてかないで」

馬鹿みたい。バカ。
こんなので分かってくれるかな。こんなあたしの言葉で…

「…へ、」

悠真くんに抱き締められる。

「離れてったのそっちじゃん」

顔が見たいのに、見れない。後ろ姿さえも、見れない。

「俺の台詞だから」

⏰:09/07/29 09:09 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#45 [さ う す ぽ ー]

「離れてくなよ」
「離れないよ…絶対」

悠真くんのことが、こんなに好きだとは知らなかった。

「…美弥こそ、あんまハヤトと仲良さそうにすんなよ」

悠真くんの腕から解放されて、真っ先に顔を見る。あ…赤くなってる?

「ハヤトのこと好きになんじゃねえかって、滅茶苦茶心配だったんだからな」
「悠真くん…?」

やきもち、かなぁ…。そうだったらちょっと嬉しいかも。

「だから、八つ当たりした。ごめん」

しゅんとしてしまう悠真くんに、不覚にも胸がときめいた。

⏰:09/07/29 09:28 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#46 [さ う す ぽ ー]

「あたしのこと、好き?」

聞いちゃった。図々しいけど、確かめずには居られない。

「うん…自分で思ってたより好きみたい」

嬉しさに、引っ込んでいた涙がまた顔を出す。

「手…っ、繋ごう?」
「うん」

躊躇してしまって、ゆっくりゆっくり腕を伸ばしていると、ぱっと手を掴まれた。

「やっと繋げたね?」
「う、うん」

ドキドキする。体が振動しているんじゃないかっていうくらいに。

「今夜はお泊まりだよね?記念日だし」

⏰:09/07/29 09:41 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#47 [さ う す ぽ ー]


「なんか美弥…肌つやつやしてるよねー?もしかして、「言わないでっ!」
「へえ〜ついに美弥が」
「もう…っ」

そりゃ、あの日の夜は…甘い時間を、ね。

「あっ、美弥お迎えじゃなーい?ラブラブじゃんっ!」
「ーっ!じゃーね!」
「ばいばーい」

帰りは悠真くんのお迎えが当たり前になって、手も繋ぐようになった。

これからもこの手を握らせてね。

*fin*

⏰:09/07/29 09:48 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#48 [さ う す ぽ ー]

>>31-47 その手を握らせて

完結しました\(^^)/の
ですが…ぐだぐだです;;
「続き」は出るし、字は
間違うし。読みにくい…

くっそー…!!(´;ω;`)

感想お待ちしております*
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

⏰:09/07/29 09:54 📱:P705i 🆔:YRmdH/U.


#49 [さ う す ぽ ー]

意地っぱりデイズ

⏰:09/07/31 00:05 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#50 [さ う す ぽ ー]

『はぁ?好きなんかじゃないよ、あんな奴!寧ろ嫌い…みたいな?』

小学6年の初夏だったと思う。あたしの所属する仲良しグループでは、クラスメイトの村山 翔(むらやま かける)の話題で持ちきりだった。

『猿じゃんね〜あれは!』

良い意味ではなく、悪い意味で。実はその村山。グループ内では嫌われ者だったのだ。

⏰:09/07/31 00:29 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#51 [さ う す ぽ ー]

あたしは、村山を嫌いではなかった。いや…「好きだった」と言った方が早い。

しかし、グループの中で一人だけ「村山のことが好きだ」と言うことは出来なかった。

小学校を卒業するまでずっと、このことは誰にも言わなかった。


中学生になり、同じ中学に進んだ村山とはクラスが離れた。しかし、何も感じなかった。

気持ちを押し込めていたから。

⏰:09/07/31 00:37 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#52 [さ う す ぽ ー]

「花菜のコイバナって全然聞かないんだけど」

満山 花菜(みつやま かな)。それがあたしの名前。

どうしてこんな名前になったのか教えてくれないけど、今はすごく感謝している。

だって…

「そもそも好きな人が居ないの」

村山とイニシャルが同じだから。…これじゃまさに「恋する乙女」。

⏰:09/07/31 00:44 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#53 [さ う す ぽ ー]

「違ったらごめん…レズ?」
「違うしっ!!」

それにね、苗字の「山」も一緒なの。運命みたいでしょ?

「花菜の好きになりそうな人…」
「探さなくていいのっ!」

まあ…今は村山のこと、そこまで好きなわけでもないんだけどさ。

小学生の頃は、独りでキャッキャしてたんすよ。共通点探してみたりしてね。…今思えば相当恥ずかしいけどさ!!

⏰:09/07/31 00:49 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#54 [さ う す ぽ ー]

「でも…瑠衣(るい)がこんなに早く彼氏つくるとはね…」
「しょーがないじゃん!告られたんだもーん」
「っ、自慢?」
「そっ!自慢」

数は少ないものの、周りはカップルだらけ。あたしにはまだ彼氏というものは居ない。

だってまだ…中2じゃん。

「前から気になってたんだけど、付き合って何するの?みんな形だけじゃない?」
「それはそうだな〜」

みんな「付き合っている」とは言いながら、何もしていない。

⏰:09/07/31 08:44 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#55 [さ う す ぽ ー]

カレカノで一緒に帰っている姿を見ることは稀にしかない。ましてや休日に遊ぶなんて、聞いたこともない。

「今の2年って“お利口さん”って感じじゃん?その分、消極的とみた!」
「ふーん…」

確かに、今の2年は大人しい。1年と3年はどちらも男女仲が良い。

3年に関しては、一緒に帰るのを見るのは普通だ。遊んでいる姿も何度か見た。

⏰:09/07/31 08:52 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#56 [さ う す ぽ ー]

「あたしは“彼氏”要らないや」
「え〜…何で?」
「高校生になってからで充分」
「…まあねー」

まあねーとか言うんなら別れれば良いのに。瑠衣、矛盾だよ。

* * *


「満山、ちょっと」

…?誰だ?

「いーから、早く」

…何も良くないと思うんですが。

「着いてきて」

⏰:09/07/31 08:59 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#57 [さ う す ぽ ー]

「一体何だっていうのよ…大体こいつ誰?」
「聞こえてるからな」

体が強張って、あたしは口を閉ざした。返り討ちにあうなんてとんでもない。

「入って」
「ちょ、だってここ」
「いーから」
「何も良くない…っ」

あたしは教室に放り込まれた。それも違うクラスの。

違うクラスの教室には、入っちゃいけないのに…

⏰:09/07/31 09:04 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#58 [さ う す ぽ ー]

もしかしてイジメ?とか思いながら辺りを見回すと、真ん中に座っている人を見つけた。

やっぱりイジメなの!?でも男子だよね?男子が女子をいじめるなんて、卑怯だぞ!!

「あっ…!」

その人がゆっくりとこっちを向いた。

「…よぉ」
「なに…何するの!」

村山…もしかして小学生の時の恨みを今、あたしにぶつけようと!?

⏰:09/07/31 09:26 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#59 [さ う す ぽ ー]

た、確かに…気持ち悪いだの嫌いだの言ったかもしれないけど!本気じゃなかったよ…許してー!

「満山…ごめん」

嫌だ…殺さないで…
まだ生きたいの!

「俺、満山のことが好きです。付き合ってください」

あ、なーんだ。そういうことね。殺されるとか、あたし馬鹿らしいね!

…て、えー!!!!????

「あたっ、あたしあんたのこと嫌いなんだからねっ!?覚えてないわけ?」
「覚えてるよ」

⏰:09/07/31 09:31 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#60 [さ う す ぽ ー]

「ずっと好きだった。嫌いだってばかり言われて、ちょっと傷付いてた」
「ちょっ…」
「まあ…考えといて」

村山はそれだけを言って、そそくさと教室を出ていく。

「考えといてって…」

“好き”なの?村山があたしのことを?あれだけ嫌って…るフリしてても。

* * *


「瑠衣…あたしね…告られたっぽいんだぁ」

⏰:09/07/31 09:40 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#61 [さ う す ぽ ー]

「えっ!?花菜が?すごいじゃん!で、誰に?」
「村山…」
「…あちゃー」

瑠衣は小学校が同じ。当時は特別仲が良かったわけじゃないけど、事情は知っている。

だけど、あたしが村山のことを好きだったということは知らない。

「断ったの?」
「返事する前に帰っちゃったの!考えといてって」
「ふーん」
「ね、どうすればいいと思う?」
「そんなの自分で考えな」
「えーっ!!」

⏰:09/07/31 09:46 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#62 [さ う す ぽ ー]

「あ、でもー」
「なになにっ?」
「返事は早くした方が良いと思いまーす」
「えーっ!!」

正直、迷っている。本当は気になってる。付き合っても構わない。

けど…周りの目が。

小学校が同じ人はいくらでも居る。ほとんどの人が事情を知っている。

そんな中で付き合うのは、恥ずかしい。

「…花菜?」
「へっ、何?」
「お顔が赤いでちゅよー?」
「大丈夫っ!!」

⏰:09/07/31 09:55 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#63 [さ う す ぽ ー]


数日後。グループの中に居た、リーダー格のリサがあたしを訪ねてきた。

「村山に告られたって、ほんとの話?…軽く噂になってたよ」
「あ…うん。ほんと」
「返事…は?」
「まだ、してない」
「そっか…じゃ」
「うん…」

噂の真相を知りたかっただけなのか、リサは自分の教室に戻っていった。

* * *


“リサが村山に告ったらしいよ”

⏰:09/07/31 10:06 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#64 [さ う す ぽ ー]

「リサちゃん…村山のこと好きなのに嫌いとか言ってたのかな?愛情の裏返し?」
「そう、かもね」
「これで村山がOKしたら、花菜は何だったんだって話だよねー」
「瑠衣…どうしよ」

心臓の音が鳴り止まない。焦る気持ちが先走りする。
「…どした?」
「あたし…あたし」

言ってしまっていいの?
あたしの中に潜む、もう1人のあたしが囁く。

言ってしまったら、あたしだってリサと同じ。「愛情の裏返し?」って笑われてもおかしくない。確実に笑われ者。

⏰:09/07/31 10:14 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#65 [さ う す ぽ ー]

「…花菜。好きなら好きって言いな?ほんとの気持ち分かんなくなっちゃうよ」
「うん…そうだね」

結局、瑠衣に本当の気持ちは打ち明けられなかったけど。もう気付いただろう。
でも…村山に言うなんて、そんなこと。出来そうにないよ…

* * *


「いつまで待たせんの」
「あんたには関係ないでしょ!?」
「関係ある」

⏰:09/07/31 10:21 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#66 [さ う す ぽ ー]

ある日の放課後。あたしを呼び出した人物・永井にまた呼び出された。

「返事はちゃんとする」
「…あんまり遅いと藤崎の方にOKするかもよ」
「リサに…あたしには関係ないことだし」
「意地っぱりだね」
「違うしっ」

永井の言うことは当たっている。事情もある上、あたしは意地を張ってしまう性格なのだ。

村山も何も言わないから、ついつい先延ばしにしてしまう。うじうじして、答えを出せない。

⏰:09/07/31 16:02 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#67 [さ う す ぽ ー]


このまま、まだ先延ばしにするつもりだったのに。答えを出さなければならない時が来てしまった。

「ごめん…俺、せっかちで」
「あぁ、や、うん」

今度は村山から呼び出しを食らった。さすがに待たせすぎた…よね。

「少しは…考えた?」

少しどころじゃない。迷いに迷った。今もその途中なんだ。

言うか、言わないか。
気持ちはもう1つに絞られてしまったのに、こんなことで悩むなんて。

⏰:09/07/31 22:52 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#68 [さ う す ぽ ー]

好きなのに。
好きなのに、好きなのに。
どうして好きだと言えないの?自分に苛立つ。自分に呆れる。意地っぱりも良いところだ。

「あの…?」
「あのっ!順を追って説明したいの。…今日、一緒に帰れない?」

自分自身が言ったことに、自分自身が驚いてしまう。

「いいっ、いいよ!?」

部活への言い訳とか、帰りのルートとか。色々言い出しちゃって、思わず吹き出してしまう。

⏰:09/07/31 23:09 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#69 [さ う す ぽ ー]

「じゃあ、帰りね」
「正門で待ってるよ」
「うん」

残りの授業は、終わるのが待ち遠しかった。帰りのことを想像しては、胸を躍らせていた。


「お待たせー」
「いやっ、待ってない」
「行こ!うまく言い訳出来た?」
「それは…大丈夫」

案外落ち着いて話せている自分が不思議に思えてくる。

「あそこの階段なら死角になってて見えないんだー。3年の人がいっつもここで話してるの」

⏰:09/07/31 23:33 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#70 [さ う す ぽ ー]

帰宅部のあたしは、よく3年のカップルによく遭遇する。見るのは決まってこの階段。

遊歩道の途中にあって、人目も気にならない。

「じゃ、ここで」
「うんっ」

2人並んで階段に座る。遊歩道より高さが低いため、何処か安心する。

「…返事の前に、ちょっとだけ話聞いてくれない?」
「もちろん」
「…ごめん。小学生の時は。あたしほんとは…気持ち悪いとか嫌いとか、思ってなかったよ」

⏰:09/07/31 23:40 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#71 [さ う す ぽ ー]

>>70 「よく」が2つもあるし…(´pωq`)すみません

‐‐‐‐‐


「流されてた部分もあったんだ…ごめんね」
「そんな、謝らなくていいよ!俺だって、自分のこと気持ち悪いと思うし」
「そんなことないよ…」

たくさんの言葉が、態度が、村山をどれだけ傷付けたのだろう。

「村山はかっこよくなったよ…かっこいいよ!」
「いやぁ…そんな」

⏰:09/07/31 23:45 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#72 [さ う す ぽ ー]

「村山はかっこいいよ」

あぁ…感じ取ってくれないかな。あたしのこの気持ち、この想い。

好きだと言えないの。
意気地無しのあたしは。

「…分かった!」
「え!?」
「無理に付き合ってとは言わないから。俺のこと、嫌ってないって言ってくれない?」

え?…何だか拍子抜け。

「嫌って…ない」
「うん!サンキュ!それだけで充分っす!」

充分って…

⏰:09/07/31 23:54 📱:P705i 🆔:gyOo3Cyg


#73 [さ う す ぽ ー]

「人来ちゃうとまずいでしょ?噂って怖いから、変な方向に行っちゃうし」
「あ、あの…」
「じゃー!話せて良かった。夢みたいだった」
「村山っ」

すたすたと歩き去っていく村山。このままで…良いわけないじゃん!!

「村山ぁーっ!!」

村山は無言であたしの方を振り返る。言わなきゃいけないんだ。

「あたし、村山のこと好き!」

⏰:09/08/01 00:02 📱:P705i 🆔:CTlrkpX6


#74 [さ う す ぽ ー]

それだけを言って「言っちゃった…叫んじゃった…」なんて思っていると、村山が走ってくる。

あたしとの間を2メートルくらい開けて、村山は立ち止まる。

「…はあっ…作戦成功」
「…は?」
「だから言っただろ」
「お前の言うことに間違いはねえって分かったよ」
「ふんっ」

え、何?何の話?着いていけてないんですが。

「何?」
「俺がちょっと入れ知恵してあげたの。あんたが好きだって言うようにね」

さらっと言ってしまったのは、永井。そういえばこいつ…テストいつも1番!

⏰:09/08/01 00:09 📱:P705i 🆔:CTlrkpX6


#75 [さ う す ぽ ー]

「満山…俺と付き合って」
「断っても、あんたが翔のこと好きだっていうのはバレるけどな」

お…脅し!?
まあ…あたしだって

「断るつもりなんて、これっぽっちも無いんだけど?」

*fin*

⏰:09/08/01 00:12 📱:P705i 🆔:CTlrkpX6


#76 [さ う す ぽ ー]

>>49-75 意地っぱりデイズ

完結しました(´pωq`)
何かオチが限りなく微妙
でしたねー…しかも長く
なってしまいました(泣)

ま、花菜の意地っぱりが
治ったよってことです←
自分的に永井が好きww

感想お待ちしております*
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

⏰:09/08/01 00:18 📱:P705i 🆔:CTlrkpX6


#77 [さ う す ぽ ー]

忘れたのは、

⏰:09/08/02 00:14 📱:P705i 🆔:l1TuNHaQ


#78 [さ う す ぽ ー]

「あの…くるみ?」
「なーに?けーちゃんっ」

今日はけーちゃんの家にお邪魔して、2人でDVD鑑賞。

2人きりだから、少し緊張…。

「突然だけど…1週間後アメリカ行くことにした」
「えっ…?」

どういうこと…?
けーちゃん…アメリカ行くの?
なんで…なんでー!?

「いやっ、そーじゃなくて」
「やだっ!やだやだ!!」
「あの、聞いて?」

⏰:09/08/02 21:50 📱:P705i 🆔:l1TuNHaQ


#79 [さ う す ぽ ー]

「行かないって言うまで、もう会わないんだからねっ!!」
「くるみ、お願いだから…」

* * *


「…で、逃げてきたわけねー」
「うん…独りは寂しかった」
「恵太さんも大変だ…」

今は、場所を喫茶店に変えて、友達の有紗とお話中。
有紗は頼りになるお姉さん的存在なんだ!

「だって…もうちょっと早く言ってくれたら私だって…」

ちょっとだけなら、考えたかもしれないのに…!!

「くるみは子供っぽいとこあるからね…年上の恵太さんとよく釣り合ってるよ」

⏰:09/08/02 22:03 📱:P705i 🆔:l1TuNHaQ


#80 [さ う す ぽ ー]

「子供っぽくなんかないよ!標準だよー!!」
「はいはい。で、あんたどーするつもり?軽くケンカみたいな状態なんでしょ?」
「うん…どうしよう!?」
「あんたね〜ちょっとぐらい後先考えなさいってば!」
「ごめーん…」

こうやって有紗のとこに相談を持ち込むのは毎度のこと。
悪いとは分かってるけどー…

「大体あんたが一方的にやってんだから、さっさと謝っちゃえばいーじゃん」
「そしたらっ!アメリカ行っちゃうもん…」

それだけはいや!!
絶対一緒に居る!!

⏰:09/08/02 22:10 📱:P705i 🆔:l1TuNHaQ


#81 [さ う す ぽ ー]

「有紗ぁーどうにかしてー!」
「どうにかって言われましても…あたしには」
「有紗さまっ!!」
「今回はあたしの関わる問題じゃないでしょ?くるみが自分で解決しなさい」

えー…!!
私が?無理だよ…。

でも、どんな手を使ってでもけーちゃんを止めなきゃ!

* * *


「あの、さぁ…自分でどうにかしろって言ったよね?あたし」
「やっぱり独りじゃ寂しいの。有紗の所に泊めてっ!」
「なんでよー!てか、毎晩独りだったよね!?」

⏰:09/08/02 22:17 📱:P705i 🆔:l1TuNHaQ


#82 [さ う す ぽ ー]

「いいでしょ!入ーれーてー」
「明日、ちゃんと恵太さんと話すって約束する?」
「…するからっ」
「…どうぞ」

明日かぁ…言わなきゃ。私も、根性あるってとこ見せなきゃ!

「…って、あれ?」
「どしたの?」
「やばい…」
「何がよ?」

明日、けーちゃん行っちゃうんじゃない!?明日…だよね?えー!!どうしよう!?

「明日…行っちゃうのかも」
「かもって…」
「行っちゃう!!」

⏰:09/08/05 21:38 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#83 [さ う す ぽ ー]

「あんったねぇ〜!毎日毎日、ぼけっとして過ごしてんじゃないわよ!!」
「ごめーん…」
「どーすんの!?もうあたしは知らないよー」
「…けーちゃん家行く」

いつ日本に帰ってくるのかも分かんないのに、アメリカなんて遠い所…

「着いてきて…?」
「…わかった」

私は、けーちゃん家に行くことにした。けーちゃんと話をしに。

* * *


「え〜っ!?」

⏰:09/08/05 21:47 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#84 [さ う す ぽ ー]

「なに?」
「鍵かかってる…けーちゃん、ここに居ない」

もう…行っちゃった?でも、1週間後って。確かにそう言ったのに。嘘なの?

「どこ…に…」
「あー…ほら!実家じゃない?実家だったら空港にも近いって、言ってなかった?」

そうだ…。前に言ってたことがある。じゃあ今は…実家に居る。

でも…実家なんて行ったことないよー…。

⏰:09/08/05 22:48 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#85 [さ う す ぽ ー]

「くる「決めた!」

私…

「明日…誰よりも早く空港に行って、けーちゃんを待つ!けーちゃんを止める!」

きっと会える。絶対会うもん。

「そんなに簡単じゃないとは思うけど……頑張ってね」

有紗…そんなこと言ってくれたの初めてじゃない?…嬉しすぎるっ!!

「ありがとーっ!!」
「うん…っ」

有紗も私も疲れたから、そのまま有紗の家へ帰った。何だかんだ言って、有紗はやっぱり優しい。

⏰:09/08/05 22:56 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#86 [さ う す ぽ ー]


「くーるーみー!?誰よりも早く空港に行って、恵太さん止めるんじゃなかったっけー?」
「んー…あぁあ!!」

寝ぼけてた!あ、いや、寝てたんだけど…ってどうでもよくて!!

「行く!行こう!?」
「おっけ〜」
「ん!?有紗何でお洒落してるの?メイクまで…」
「早起きしたのー」
「ずるいっ!!何で私も早く起こしてくれなかったの?」

Tシャツと短パンにサンダルを引っかけて、しかも素っぴんのままで、有紗の家を飛び出した。

⏰:09/08/05 23:16 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#87 [さ う す ぽ ー]

タクシーに乗り込んだ。間に合いますように!

「ずるいよ〜私にも何かして」
「何か…?じゃ、簡単にねっ」
「わぁ!やったー!!」

運転手さんが近道をしてくれたのか、思っていたよりも早く空港に着いた。

「どこっ!?けーちゃーん!!」

なかなか見つからない。相当早く出てきたはずなのに、もうこんなに人が居るもんなのー?

泣けてくる。

「…けー、ちゃん」

⏰:09/08/05 23:29 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#88 [さ う す ぽ ー]

もう、行くとか行かないとかどうでもいいから、早く会いたい…

「うっ…泣くな!泣くな泣くな」

ここは空港。ここで泣いたら、色んな人に迷惑かけちゃうじゃん。

「駄目っ!泣いたらだめーっ」

もうっ!止まんないよ!どうしてくれんのよ!けーちゃん!!

ぼろぼろ、ぼろぼろ。しゃっくりみたいなのも止まんない。呼吸が落ち着いてくれない。

「どうされました?」

やば…っ

「…お嬢ちゃんいくつ?」

⏰:09/08/05 23:38 📱:P705i 🆔:gVz9PZ4.


#89 [我輩は匿名である]
おまんこ

⏰:09/08/06 02:56 📱:N705imyu 🆔:VTKNjFr2


#90 [ゆか]
>>1-100

⏰:09/08/06 03:50 📱:P01A 🆔:VwJZeZSY


#91 [さ う す ぽ ー]

書き込みびっくりした…
続き書きます(´・ω・`)

‐‐‐‐‐

>>88

お…お嬢ちゃんっ!?どう見たってそんな年じゃないでしょ!

「なんでも…ないっ、です!」

うわぁ…説得力ないな。って自分で思った。

「大丈夫…なんですか?」

うるさいなぁ…!!

「もうっ「すみません」

⏰:09/08/07 23:34 📱:P705i 🆔:dqDpUo.w


#92 [さ う す ぽ ー]

「あっ…お連れ様、ですか?」
「はい、まあ…そんなのです」

そんなのって…けーちゃん?どうしてここに居るの?まだ…行ってなかったの?

「け…けーちゃん?」

無言で引っ張られていたけど、聞きたいことがいっぱいある。

「アメリカは…?まだ行ってなかったんだねっ…」
「忘れ物したの」

忘れ物…かぁ。だよね。行くの止めたとか、そんな都合のいいような話じゃないよね…

⏰:09/08/07 23:45 📱:P705i 🆔:dqDpUo.w


#93 [さ う す ぽ ー]

「大事なもの…忘れてた」
「大変っ…何忘れたの?」
「…くるみ」
「え?なに?」
「くるみ連れてくの、忘れてた」

えっ…
それって…

「早く準備してね、ただの旅行なんだからさ」

旅行、だったんだぁ…
私、何勘違いしてたの?
早とちりしてたの?

「もうっ!忘れないでよ〜」

けーちゃんとの初海外旅行だ♪

*fin*

⏰:09/08/07 23:51 📱:P705i 🆔:dqDpUo.w


#94 [さ う す ぽ ー]

>>77-93 忘れたのは、

最後の最後で「続き」
出ちゃった(´;ω;`)
「続き」出さないよう
頑張ってたのにさっ←

またまたオチが微妙で
ございます(´pωq`)
お許しくださいませ。

>>94 おまけ(side有紗)

⏰:09/08/07 23:57 📱:P705i 🆔:dqDpUo.w


#95 [さ う す ぽ ー]

「あはっ、私けーちゃんと一緒にアメリカ行くんだよ〜♪」
「準備はいいの?」
「いーかな?有紗チェックして」
「何であたしが!?」

くるみはずるい。

「ごめんね有紗ちゃん、くるみが迷惑かけて」
「いえ、そんな」
「けーちゃん!行こっ」

一気に静かになった。

「いいなーあのポジション」

くるみに飽きたらあたしのとこに来てよ、恵太さん。
──ほんとにおわり*

⏰:09/08/08 00:05 📱:P705i 🆔:fsU2qBIY


#96 [さ う す ぽ ー]

>>93 アンカーミス×

>>95 おまけ(有紗side)

⏰:09/08/08 00:06 📱:P705i 🆔:fsU2qBIY


#97 [さ う す ぽ ー]

*感想板*
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

もうgdgdすぎて笑えるw
正しくは>>94でした…。

⏰:09/08/08 00:09 📱:P705i 🆔:fsU2qBIY


#98 [さ う す ぽ ー]

ヤサシイヒト

⏰:09/08/12 23:02 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#99 [さ う す ぽ ー]

──英里奈、絶対お金持ちの人と結婚するんだ〜!!

…小学生の頃からこんなことを言っていたあたし。
高校生になった今でも、お金への執着心は抜けていない。

そんなタチの悪いあたしは、自分で稼ごうとはせずに男に頼ってしまった。

最初は罪悪感もあった。

もうそんなもの…消え去ったけどね。

⏰:09/08/12 23:16 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#100 [さ う す ぽ ー]

「隣歩かせるには良い女だと思ってたけどさー…あんまり酷かったから。別れよう」
「ふーん…だよねぇ。じゃーね」

フラれた。「彼氏」に。
あ、でも悲しくないです。
そこに愛情は無かったですから。

「あー…でもバッグくれたな…ヤサシイじゃん」

優しいのか。
易しいのか。

あたしには分からないけど。

「新しい人見つけなきゃー…」

⏰:09/08/12 23:21 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#101 [さ う す ぽ ー]

泣く?有り得ません。
寧ろ笑顔です。
だって没収されなかったし。
あたしにくれた、たくさんのプレゼント。

前の彼氏とか「今まで貢いだ分返せ」なんて言ったからね。
あれは最低。

「ははっ、あたしの言うことじゃなかったし!」

まだ財布買ってもらってない!欲しいなぁ…

って。
また次のこと考えてるしねー。

⏰:09/08/12 23:27 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#102 [さ う す ぽ ー]

* * *


「す…好きですっ!付き合ってください!」

まさかこんなあたしが。
告白されるとはね。

今までは自分からだったし。
それ以前に年上ばっかだったし。

「うーん…」

同級生とか新鮮!

「はい…よろしくお願いします」
「あ、えっと…うん」
「井上…優樹くん」
「優樹でいいよ!」
「わかった」

⏰:09/08/12 23:34 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#103 [さ う す ぽ ー]

「優樹…」
「わぁぁ!すごい!城崎さんに名前呼んでもらえるなんて」
「大したことじゃないよー」

やっぱり年上の人とは違うな。喜んでる姿が可愛く思えてくる。

「あのっ…一緒に帰ってもらっていいかな!?」
「もちろんっ!」

今度はガッツポーズ。堪えきれずに爆笑してしまった。

「ふはははっ!!」
「え?何が可笑しいの?」
「優樹だよっ」
「え?…え?」

⏰:09/08/12 23:39 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#104 [さ う す ぽ ー]

あたしと付き合って、良いことなんてあるのだろうか。きっとないのに。

「俺って、そんなに変?おかしいかな?」

こんなに喜ぶなんて…

「あ、優樹も。英里奈って呼んでね!“城崎さん”は変だから」

昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴って、慌ててメアドを交換した。
優樹は本当に嬉しそうだった。


「何か嬉しそうじゃなーい?英里奈さーん」
「別に…嬉しいわけじゃないんだけどさっ…井上 優樹に告られた」
「へぇー付き合うの」

⏰:09/08/12 23:45 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#105 [さ う す ぽ ー]

「うん…付き合うよ」

頭に財布がちらついた。

「英里奈…いいの?」
「え?」
「同級生だよ?」
「…いいよ」

自分で言うのは恥ずかしいけど、あたしはそこそこ綺麗な顔立ちをしていると思う。

今まで上手く欲しい物を手に入れてきたのも、この容姿のおかげ。

どうせ今までのあいつらなんて、あたしの顔目当てだ。

だからこっちも遠慮なく物をねだることが出来た。

⏰:09/08/12 23:52 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#106 [さ う す ぽ ー]

どーせあっちだって、見栄張りたいだけなんだから。そのためにあたしを利用してるんだから。

その分の報酬。


「しろ…英里奈!」
「優樹ー」

裏門で待つようにメールが来ていた。あたしも早めに出たつもりだったけど、優樹の方が早かった。

「優樹、家どこ?」
「駅前のマンションだよ」
「…正門からのが早くない?」

優樹抜けてる。

⏰:09/08/12 23:57 📱:P705i 🆔:ZTvoy6.Q


#107 [さ う す ぽ ー]

「何でわざわざ、裏門なの?」

あたしは半笑いしながら、優樹に聞いた。

「だって…英里奈の家はこっちからのが近いじゃん」

びっくりした。
…それだけ。

まさかそこであたしの名前を出してくるとは、思わなかった。

「どうして、知ってるの?」
「そりゃー見てましたから!」

自然に。自然現象で。
あたしの顔面が笑った。

⏰:09/08/13 00:02 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#108 [さ う す ぽ ー]

「ありがと」
「いーえっ!」

優樹は色んな話をしてくれた。
どこかに触れているわけではないのに、ふたりの距離は近かった。

べたべた触ってるだけで、距離が遠かったあの時とは違う。

「あっという間だー…」
「近いからこの高校選んだんだもん。…ははっ!」
「酷っ!笑わなくていーじゃん」
「だって…優樹の落ち込み様」

今日。付き合い始めたとは思えない。
まるで幼なじみみたい。

⏰:09/08/13 00:09 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#109 [さ う す ぽ ー]

「今度は…寄り道しよーね」
「うんっ!そうだね」
「じゃ」
「またねー」

素っ気ないのに。
暖かいのは何故?

言葉がないのに。
伝わるのは何故?


ご飯を食べていても、お風呂に入っていても。思い浮かぶのは優樹の顔。

あれ?おかしい。
財布のこと考えてたはずなのに。

どうして?

⏰:09/08/13 00:15 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#110 [さ う す ぽ ー]

まあ。一応“初めて”告白されたんだし。意識しないわけがないよね。

* * *


「英里奈っ!」
「優樹ー…何で今日は正門?」
「言ったじゃん。寄り道」
「あ、そっか!」

どこに連れてってくれるのかな〜って期待しながら優樹の後に続く。

「…あの、俺じゃ思い付かなかったからさ。ぶらぶらして気になったとこに入ろうよ」
「うんっ」

⏰:09/08/13 10:49 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#111 [さ う す ぽ ー]

好きなとこ行っていいんだぁ…でも、優樹は高校生。ちょっとは遠慮するよね…。

「アイス食べたいんだけど…それで良いかな?」
「アイス…で良いの?」

あれ?もっと高価なものが良かったですか?

「もちろんっ!」

美味しいと評判のお店に入ってから、お気に入りのアイスを頼む。

席に座って待っているとアイスが運ばれてきた。

「美味しーいっ」

⏰:09/08/13 10:59 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#112 [さ う す ぽ ー]

あーあっ。でも“高校生だから”って遠慮してちゃ、ただのカップル止まりだよねー…。
それは駄目だ。

「英里奈と食べれてるから倍美味しい!」
「あははっ」

どうやってねだろうか。まあ…優樹のことだし、何でもやってくれそうだけどさ。

「英里奈、誕生日いつ?」
「あたし?9月12日」
「9月12日ね。覚えた!」
「優樹は?」
「えー教えない」

⏰:09/08/13 11:05 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#113 [さ う す ぽ ー]

「何でよー教えて?」
「やだよ。教えたら英里奈、プレゼントとか買いそうだもん」
「え?…買っちゃだめなの?」
「だーめっ」

意味分かんない。どうしてだめなの?何がだめなの?

「9月12日…は…日曜だ!一緒に居てもいいかな!?」
「当たり前じゃん!」

先のことなのに。まだずーっと先のことなのにね。優樹は別れてるとか考えてないのかな。


「ねー、優樹の誕生日って知ってる?…知らないよね」
「知りたいの?」
「や…別に」

⏰:09/08/13 11:14 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#114 [さ う す ぽ ー]

隠されたら余計知りたくなるってやつ。知ったからって、プレゼントとか買わないし。

「調べてあげるよ、英里奈のためにねーっ」
「わざわざしなくていいよ!」
「知りたいんでしょ?珍しいねーあの英里奈ちゃんが」
「何、その言い方」

知りたいのは知りたいけど。何て言うんだろ。そんなんじゃない。


放課後。優樹のとこに向かう直前だった。

「分かった、英里奈。7月5日」
「は?」

⏰:09/08/13 11:20 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#115 [さ う す ぽ ー]

「は?じゃないし!井上の誕生日だよ!…てかもう終わってんね」
「7月…5日」
「じゃ、愛しのダーリンのとこに行ってらっしゃーい」

7月5日。
あの日じゃん。

アイス食べた、あの日。

「優樹!」
「英里奈ー帰ろっか」
「…うん」

このこと。言った方が良いの?でも終わってるんでしょ?…知らなくても知ってても、変わんないじゃん。

「英里奈、大丈夫?」
「へっ?…大丈夫だよ?」
「…ごめんねー」
「何が?」

⏰:09/08/13 11:25 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#116 [さ う す ぽ ー]

「無理矢理付き合ってもらってるみたいで」
「や、そんなんじゃ…」
「優しいから、断れなかったんでしょ?もー嫌だったらフっちゃっていーよ」

優しい…だなんて。
あたしは、その正反対なのに。
利用しようとしてたのに。

だけど…正直、優樹に何かを買うように仕向けるのは出来なさそう。どこまでも遠慮が付いてくる。

だったら…フった方が。
別れた方が都合が良い…?

⏰:09/08/13 11:30 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#117 [さ う す ぽ ー]

言い訳はいくつでも思い付いた。なのに、それを声に出来ない。あたしには、言えないよ。

「着いたね…ごめん、あんな話するつもりなかったのに」
「ううん」
「じゃ」

あたしが家の中に入るまで見てる優しさ。今までには無かったんだ。

あたしは…優しさが欲しかっただけなのかな。だから、まだ手放せないのかな。
易しい人よりも
優しい人を

求めていたのかな。

⏰:09/08/13 11:35 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#118 [さ う す ぽ ー]

静まり返った家に「ただいま」を告げて、自分の部屋に入る。

3週間…とちょっと。
優樹の彼女だった。

月日が流れるのは、早かった。
あっという間だった。

この関係は…壊れてしまうの?

* * *


夏休みになった。
優樹と会わなくなった。
会う機会が無くなった。

優樹が気になってしょうがない。

思いきってケータイを手に取る。

⏰:09/08/13 11:43 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#119 [さ う す ぽ ー]

[優樹、元気にやってる?]

初めて自分から送る。たったこれだけの文章を打つのに、20分はかかった。

返信を待つのに、これ程ドキドキしたことはない。

しばらくして、着信音が鳴った。

[元気ちょーだい]

げ…元気じゃないのかな。風邪?

[大丈夫?風邪ひいた?]

⏰:09/08/13 11:51 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#120 [さ う す ぽ ー]

[ひいた(~_~;)]

風邪…なんだ。

[お見舞い行こうか?]

駅前のマンションって言ってたよね。だったら迷わずに行ける。

[いいよ。来ないで]

…突き放されたみたいで、悲しくなった。

明るい文面のメールも作ったのに送信ボタンが押せなかった。

[優樹に会いたい]

⏰:09/08/13 11:55 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#121 [さ う す ぽ ー]

―送信しました―

「え…あっ!!…送っちゃった」

画面に表示される文字に、自分が驚いてしまった。まさかあたしがあんなことを書くなんて。
恥ずかしすぎる。


[俺も会いたい]


階段を駆け下りて、全速力で走った。迷ったけど、学校の中に入って近道をした。

「はぁ…はあっ…」

着いた。

⏰:09/08/13 12:04 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#122 [さ う す ぽ ー]

マンションに住んだことはなくて何が何だか分からない。何とか自動ドアが開いて、エレベーターに飛び乗る。

7階…7階…早く…
7階に着いて「開」ボタンを連打する。壊れても…そんなの知らない!

「あったー…」

何故か涙が溢れてきた。涙を流す理由はないのに。声を抑えて、震える手でインターホンを押す。

ガチャ…

「…ほんとに来てくれた」

⏰:09/08/13 12:19 📱:P705i 🆔:hDTGunTk


#123 [さ う す ぽ ー]

本当に風邪をひいてるみたい。弱々しく嘆いてからあたしにもたれ掛かる。

あたし…どうして

「来ないでって言ったじゃん」
「う、うん…っ」

どうしてここに来ちゃったの?

「……入りな」
「うん…」

テキトーに理由つけて行かないことだって出来た。来て、何か得するわけでもない。

あたし

⏰:09/08/14 08:53 📱:P705i 🆔:v2g8J2Eo


#124 [さ う す ぽ ー]

優樹のこと好きなのかな

「風邪移っちゃうよ」
「…っ、いいよ」

自覚した途端に恥ずかしくなってきた。でも…嘘つけない。この気持ちは…恋。

「…ここおいで」

妙に緊張した空気の中で、優樹が自分の隣を指差す。黙って隣に座ると、優樹は珍しく手を握ってきた。

「英里奈、俺のこと好き?」
「えっ…?」

⏰:09/08/14 09:04 📱:P705i 🆔:v2g8J2Eo


#125 [さ う す ぽ ー]

「…だよね。そーだよね…」
「何言ってるの…」
「英里奈は優しいから…だから我慢してくれてるんだよね」
「違うよっ!!優しくなんかない」

利用しようとしてるのに。金づるだとしか考えてないのに。あたしは優しくなんかない。

「優しいからそんなこと言えるんだよ?英里奈は心の綺麗な優しい女の子なんだよ」

違う…のに。

⏰:09/08/16 20:54 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#126 [さ う す ぽ ー]

「好き…だよ。優樹のこと」

…言っちゃったよ。

顔が熱い。熱を持ってる。隣に優樹が居るから、また熱さを増す。

「ありがとう、英里奈」
「本当だよ…?」
「別れようか」

なんで…?なんでなの?
どうしてそんなこと言うの?

「…うっ…、やだって…言ってんじゃん!…絶対別れないっ」

…泣いちゃったよ。

⏰:09/08/16 21:01 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#127 [さ う す ぽ ー]

「ちょ…英里奈?泣かないで」
「優樹のせい…だよ!…っ、別れるとか言うから…だからね…!!」

あー…完全にキャラ崩れちゃったんじゃない?あたし。
なんて冷静に考えていると。

「ごめん!!…別れないから泣き止んで?ね?」

子供をあやすように、大きな手が背中を擦る。

⏰:09/08/16 21:06 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#128 [さ う す ぽ ー]

必死にわき上がってくる嗚咽を抑えて、優樹にしがみつく。

「英里奈…?」
「なに?」
「…キスするよ?」
「え」

優樹の熱い唇があたしの熱い唇を覆った。そっか…優樹、風邪だったんだよね…。

「っあ!!ごめん…風邪移るかも」

優樹の口癖って…「ごめん」だよね…口を開けばごめんばっかり。

⏰:09/08/16 21:13 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#129 [さ う す ぽ ー]

「もー…いいよ、そんなの」

優樹のものなら、何でも移してくれて構わない。ふたりで一緒に共有したい。
そう思えたの、初めて。

「ついでにその“ごめん”って言う癖まで移しちゃってよ」
「ごめん…あ」
「ふ…ははっ」

可愛くて、かっこよくて

愛しい人は

優しい人。

⏰:09/08/16 21:18 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#130 [さ う す ぽ ー]

>>98-129 ヤサシイヒト

終わり方がはっきりしま
せんが完結です\(^^)/

読んでいる方が、もしも
いらっしゃいましたら…
ご意見・ご感想をお待ち
しております(´pωq)*

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4492/

⏰:09/08/16 21:25 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#131 [さ う す ぽ ー]
*まとめ*

>>004-029 その手に触れさせて

>>031-047 その手を握らせて

>>049-075 意地っぱりデイズ

>>077-093 忘れたのは、
>>095   おまけ

>>098-129 ヤサシイヒト

⏰:09/08/16 21:36 📱:P705i 🆔:sI7630cY


#132 [ねこちむ]
ヤサシイヒト
大好き

⏰:09/08/20 15:53 📱:D904i 🆔:SErhok9k


#133 [さ う す ぽ ー]

>>132 ねこちむ様

ありがとうございます!!
そう言って頂けて本当に
嬉しいです(´pωq`)
とゆーかぐだぐだで本当
ごめんなさい(´;ω;`)

是非他の作品も読んで
みてくださいね(^ω^)

⏰:09/08/21 11:17 📱:P705i 🆔:3wtaS6xA


#134 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/26 21:22 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


#135 [ん◇◇]
>>100-130

⏰:22/10/26 21:34 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
↑ msgβ
💬
🔍 ↔ V 📝
C-BoX E194.194