|| DEATH † LIFE ||
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#1 [遥]
 
私の名前は遥(ハルカ)。

遥彼方を、幸せな未来を、どこまでも見渡せるようにと、付けられた名前。

幸せな未来を…。それは名前の由来に限らず、誰もが生まれながらにして持っている権利。

私はその両方を持っていた。


持って…いた。


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⏰:09/08/03 14:46 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#2 [遥]
 
「遥、放課後のゴミ捨て当番代わってくれない?」

「え…」


高校に入って約2ヶ月が経ち、ようやく校舎の居心地にも慣れてきた頃、私は教室の中で数人と昼食を食べていた。

そこへ、このクラスのギャルのグループにいる1人が、私に話し掛けてきた。


「えっと…何で?」


あんまりにも上からの態度でゴミ捨てを代われというので、私は少しムッとなり、返事をする前に理由を聞くことにした。


「はぁ?んなもん決まってんじゃん、遊び行くから、ゴミ捨てなんかしてたら時間もったいないでしょ?」

「な…何それ」


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⏰:09/08/03 14:53 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#3 [遥]
 
なんとなく分かってたけど、そんな言い方ってないと思う。下手な言い訳された方が、まだマシだった。

苛つく。


「…分かった、いいよ、私が捨てとく」

「本当!?ありがとぉ〜!!」


苛つく…でも、私は面倒事になる方が嫌だ。

断ったりしたら、後でどんな事になるかって、想像するだけで胃がキリキリ痛む。

弱い私は何も言えない、何も出来ない。

だからいつも安全な場所にいる。私の周りの人達だって、きっと同じことを考えている。

⏰:09/08/03 14:56 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#4 [遥]
 
でもどんなに同じ境遇にいて、一緒に昼食をとったり、話しをしたりしても、私はその人達のことを決して"友達"とは呼ばない。

呼びたくない。


「遥さ、あのコ達に嫌われてるよね?でも気にしなくていいよ」

「困るよねぇ、でも頼まれたら断れないもん仕方いよ…遥?」


うるさい…。嫌われてるのは私だけじゃない、あんた達も同じなんだよ。


「うん、ごめん…ちょっと飲み物買ってくる」


私を慰めるそぶりをして、優越感に浸ろうとする奴らを後に、私は教室を出た。

⏰:09/08/03 14:58 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#5 [遥]
 

「ハァー…」


ため息が出た。

飲み物を買うというただの口実を実行することはなく、校舎の屋上に行った。

まるで自分の心を現したかのような、灰色の重い空を見上げる。


屋上は立入禁止になっているから、入る所を見られないか警戒しながら通路を進んだのに、廊下ですれ違う人々は、誰も私を見ていない。




「汚い世界…」


私が見る世界は汚れている。でも、あの私にゴミを押し付けてきたコから見る世界は…きっと、キラキラしてて、毎日が楽しいんだろうな。

⏰:09/08/03 15:01 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#6 [遥]
 

「死ねばいいのに…」


こんなこと口に出して言うなんて子供じみてる、バカみたい。

いくら相手を悪く言っても、その通りにならないと、こっちが余計に惨めになるだけなのに。


「……っ」


いろんな事がマイナスに思えてきて、泣きたくなる。

あと5分で昼休みが終わる。こんな気分のままで教室に戻りたくない。

⏰:09/08/03 15:35 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#7 [遥]
 

サボりなんて、したことないけど…


「…帰ろ」


午後の授業が始まり、廊下や階段に人がいないことを確認しながら、私は校舎を出た。

今にも雨が降り出しそうで、自然に早歩きになる。

何処に行くあてもなくて、私は家に向かう。

この時間なら誰もいないはずだから。

⏰:09/08/03 16:35 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#8 [遥]
 

「ただいまぁ…なんて」


やっぱり誰もいない。安心した…けど、少しだけいてほしかった。

怒られてもいいから、私に構ってほしい。

また、子供みたいなこと考えてる…。


「明日の、言い訳考えないと…面倒くさいな」


この日は何事もなく終わった。ただ学校から連絡があり、親から注意を受けただけ。

普通の家系で育ち、成績も身体能力も普通。容姿は…自分ではよく分からないけど、普通だと思う。

だから今日の早退は、親からすればけっこうな大事だったんだと思う。

⏰:09/08/03 17:13 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#9 [遥]
 
―‐‐


「行ってきます」

「遥、もうあんな事は無いようにしてね?」

「うん、ごめんね…」


念を押されながら、私は心配をかけないように笑顔で家を出る。

久しぶりに怒られて、なんだか嬉しくなった。

昨日のあの苛立ちや、暗い気分が嘘のようだ。

学校には親が、体調不良で早退してしまった。と説明しておいてくれたので、気にすることなく登校できた。

⏰:09/08/03 17:38 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#10 [遥]
 
「おはよう」

昨日、一緒にいたコ達に挨拶をした。

大丈夫?とか、来て平気なの?とか…本気で心配してくれてるみたいで、卑屈に思ってしまったことを謝りたくなった。


「うん、もう平気!ねぇ、昨日の午後の授業ノート見せてくれない?」

「いいよ…あ、あのね!面白いもの持ってるんだけど見る?」


面白いもの、と聞いて、勉強の復習よりも当然興味が湧き、今の私はテンションが上がった。

⏰:09/08/03 18:03 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


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