らぶずっきゅん!!!!
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#201 [七瀬]
>>199 髑髏-ドクロ-さん

すいません><

気になるとこで、
止めちゃいました。笑


当分更新できないですが、どうか楽しみに待っててくれたらなぁ、とお願いします(*^^*)
 

⏰:09/08/22 11:41 📱:N703iD 🆔:UBtSTtrg


#202 [七瀬]
 
 
No.6 願い
 
 

⏰:09/08/29 22:28 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#203 [七瀬]
 
 
ドクンドクン‥―

胸の鼓動を抑えることが、できなかった。


「じゃあ」


"なんでも"、なんて。

俺の願いは一つに決まってる。


そのために、俺は千頼にとって、悲しい頼みをする。 

⏰:09/08/29 22:29 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#204 [七瀬]
 
 
喉に、すぐそこに
出掛かっているのに、

いざ言葉に出そうとしたらなにかが邪魔をする。

脈がドクドクと
波打っているのが分かる。


俺が黙っているあいだ、
千頼は不思議そうに、
目をくりくりさせている。


意を決しって、口を開いた。 

⏰:09/08/29 22:29 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#205 [七瀬]
 
 
「‥て」

「え、なんて?」


「貸して、充電器」

「は?」

「いや‥携帯の充電なくなっちまって」



‥やっぱりダメだ。
言えない。
 

⏰:09/08/29 22:30 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#206 [七瀬]
 
 
「なにそれー!もっとすごいお願いしなさいよぉ!」

千頼はけらけらと笑う。


「いいだろ、別に。和希とは、合わねーんだよ。機種」

「もぉー!」

千頼は、
パンパンと俺の肩を叩く。


言えるわけないだろ。
こんなに笑ってる千頼に。 

⏰:09/08/29 22:31 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#207 [七瀬]
 
 
「じゃあ、うち来る?」

千頼は立ち上がった。


「うん」

俺も立ち上がろうとしたとき、「あ」思い出したように声を発する千頼。

「ママ帰って来てるかも。家、電話してみるから、待ってて」

と言って、
携帯を取り出した。
 

⏰:09/08/29 22:32 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#208 [七瀬]
 
 
5メートルほど先で、電話している千頼の背中を確認して、

目線を
右後ろのバイクへやった。

グースカと寝てる和希は
起きる気配もしない。


――和希

頼むから、千頼に悲しい顔させないでくれ。

千頼が、欲しい
なんて言わない。

⏰:09/08/29 22:32 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#209 [七瀬]
 
 
ただ、俺は、


俺の願いは‥――



「はるーっ!ママまだ帰ってきてないみたいだから、うちおいでっ!」

「‥わかった」


胸の内をしまって、
千頼の家へと向かった。

憎い親友を抱えて。

⏰:09/08/29 22:33 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#210 [七瀬]
――――――――――‥


「さ、入ってー。
 ちらかってるけど」

ひさびさに踏み入れる千頼の家には、女の子独特の
甘いにおいでいっぱいだった。


「和希‥どこ置けばいい?」

「あー、そうだねぇ。
悪いけど、カズはあたしの部屋に運んでくれるかな」 

⏰:09/08/29 22:34 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#211 [七瀬]
 
「わかった。お前の部屋って、二階に上がった右のつきあたりだよな」

「うん。そうだよー。
悪いけどよろしくね。
あたし、リビングでお茶入れてくるから」

「ん。了解」


階段を上がった。

一歩一歩踏みしめるたびに香りは濃度を増す。

⏰:09/08/29 22:35 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#212 [七瀬]
 
 
何年ぶりだろう千頼の部屋は、幼いころ来たときと、あまり変わってなくて、
緊張した。


「‥よいしょっと」

黄色いベッドに、和希を寝かした。


俺のほうが、千頼と出会った期間は早かったのに、

こいつのほうが、きっと
この部屋に来た回数は多い。

⏰:09/08/29 22:35 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#213 [七瀬]
 
このベッドの上で、
千頼を抱き締めて

キスして

押し倒して


そして―――



むしゃくしゃする。


ここで寝ている和希や
いま、下にいる千頼が

すごく遠い存在に感じた。

⏰:09/08/29 22:36 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#214 [七瀬]
 
 
「お待たせ!」

バーンと、お盆片手にドアを開けた千頼。


「陽?」


ああ、俺。


―――嫉妬してる
 
 

⏰:09/08/29 22:37 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#215 [七瀬]
 
 
「‥なんでもない。
 葉山、充電器貸して」


簡単に、
下の名前で呼べる和希―

何度も、千頼の乱れるすがたを見てる和希――

それでも、千頼を大切にしない和希に―――


嫉妬、してるんだ。
 

⏰:09/08/29 22:38 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#216 [七瀬]
 
「あ、うん」

引き出しのなかを探す千頼との距離は、さっきと1ミリも縮まっていなかった。


「あったぁ。はい陽」

「さんきゅ」


むしろ遠い。

さっきよりも、ずっと。


ずっと、ずっと――遠い。

⏰:09/08/29 22:38 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#217 [七瀬]
 
 
「陽がうちに来るの、めちゃくちゃ久しぶりだよね」

「ああ」

「昔はよく来たよねぇ。
遊びに来たり、ごはん食べに来たり!」

「ん‥」

「線香花火のことといい、なつかしいなー、ほんと」

「だな」


途切れてしまう、会話。

⏰:09/08/29 22:40 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#218 [七瀬]
 
 
それは、
めずらしいことじゃない。

いや、当たり前だった。
少なくとも俺にとっては。


だけど、

いつも流れてるような、
穏やかな沈黙じゃない。


どんよりとした空気。
 
 

⏰:09/08/29 22:40 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#219 [七瀬]
 
 
「陽?どうかしたの?」

たぶん、それは俺のせい。


「なんでもない」

相変わらず流れる沈黙。

千頼は、心配そうに
じっと俺を見ている。


――なにか話さないと。

柄にもなく、そう思った。 

⏰:09/08/29 22:41 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#220 [七瀬]
 
 
「‥‥帰るわ、俺」


そう思ったけど、なにも
思いつくはずなく、

沈黙に耐えられなくなって出されたお茶に手をつけず立ち上がった。


「え、充電、したばっかだよ?」
 

⏰:09/08/29 22:42 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#221 [七瀬]
 
 
「ん?ああ‥いいよ。
 帰って、うちでするわ」

「そう?」

携帯を充電器から、外した。

ピピッと音がする。


「和希は、このまま寝かせてやっといて。明日は学校も休みだし」

二人で、
ゆっくりしたらいい。
 

⏰:09/08/29 22:43 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#222 [七瀬]
 
「うん、わかった。迷惑掛けてごめんね、ほんと」

「いや、大丈夫。今日はありがとな」

「ううん‥こちらこそ。
 花火楽しかった」


あ、

「‥打ち上げ花火」

完全に忘れてた。


「悪い‥結局できなかったな」

⏰:09/08/29 22:44 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#223 [七瀬]
 
「ううん!気にしないで。また夏にやろうよ!今度はみんなで」


みんなで、か。

「‥そうだな」

俺、いますごい
情けない顔してると思う。


「おやすみなさい」


おやすみ、と言って
部屋を出た。
 

⏰:09/08/29 22:45 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#224 [七瀬]
 
階段に足を踏み出すと
足音が一つ、寂しく響く。

来たときよりも、
千頼の香りは薄まったような、気がした。


靴に足を押し込んでいると

今度は、いつここに来れるんだろう、と思った。


ただの幼なじみの俺が、

和希のいる千頼の部屋に
ふたたび入れる日なんて、くるのだろうか。

⏰:09/08/29 22:46 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#225 [七瀬]
 
 
――カチャ―
ドアを開いた瞬間、


「はるっ!!」

振り向くと、
少し息の荒い千頼。


「きょ‥今日はほんとにありがと!」

「あ、うん」


驚いた。
 

⏰:09/08/29 22:46 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#226 [七瀬]
 
 
千頼が俺のために、こんな顔してくれるなんて。


「そ、それだけ!
 気を付けて帰ってね」

「うん」

「‥ばいばい」


最後に、
ばいばい、って笑った顔は

今まで見たなかで
最高の笑顔だった。
 

⏰:09/08/29 22:47 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#227 [七瀬]
 
 
 
千頼宅を
肌寒い外から見上げる。




――俺の願いは一つ。



千頼が
幸せになること、だ。


だから、
ずっと笑ってて。千頼
 

⏰:09/08/29 22:48 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#228 [七瀬]
―――――――――…


陽、なんか変だった。
なにか、あったのかな?



「んー‥ちよ‥?」

カズがベッドから、
上半身だけ起こした。


「あ、起きた?」

「‥‥ここどこ‥」

目をこするカズ。

⏰:09/08/29 22:49 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#229 [七瀬]
 
 
「あたしの部屋だよ」

「そっかあ‥水、ほしい」

甘えた声で言うカズ。


時計の針は、もう1時30分を差している。


「わかった。リビング行ってくるね」
 
 

⏰:09/08/29 22:49 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#230 [七瀬]
 
水の入ったコップを持ってカズの待つ部屋に戻る。


「はい。水」

「ありがと‥」

カズはコップを手に取り、ごくごくと喉を鳴らして、水を飲んだ。


「‥あ〜っ!すっきりした。ん?誰か来たの?」

机の上に二つコップが乗ってるのを見て、カズは首を傾げた。

⏰:09/08/29 22:50 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#231 [七瀬]
 
 
「ああ。陽だよ」

「‥陽?」

「うん!酔っ払たカズを運んでくれたんだよ!
ちゃんと、お礼言っといきなさいよー?」

「‥ああ‥わかった」


黙るカズ。


なんか、さっきの陽みたい。 

⏰:09/08/29 22:51 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#232 [七瀬]
 
 
「‥カズ?」

今日、カズも陽も変だよ?



「‥っわあ!!
 ちょっとカズ!??」



あたしの気のせい?

二人とも、
ただ酔っ払ってるだけ?
 
 

⏰:09/08/29 22:53 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#233 [七瀬]
 
 
「どうしたの?急に」

「‥なんか、ぎゅうーってしたくなった」

カズは、ベッドに座ったまま、あたしを抱き締めた。


「‥ダメ、かな?」

耳元で、甘くささやく。


「‥っ‥‥ママたち‥帰ってくる、かも‥」
 

⏰:09/08/29 22:53 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#234 [七瀬]
 
「ちゅうだけ‥だめ?」

そんな声で、こんなところで言われたら


「だめ‥じゃない」

いやなんて、言えない。


「ありがと」


大きな手が、
あたしの頬に触れる。

――ちゅ
 

⏰:09/08/29 22:54 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#235 [七瀬]
 
 
「‥ん‥はぁっ‥カズ‥」


口内を荒らされて、
なにも考えられない。

激しく、長いキスだった。



――カズ、お願い

ずっと傍にいてね、ずっと。


18歳、まだ幼かったあたしの願い。
 

⏰:09/08/29 22:55 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#236 [七瀬]
 
 
 
カズはこのとき、
なに願っていたのかな?


その茶色い瞳に、なにを映していたのだろう?




それは、
大人になった今でも

わからない。
 
 

⏰:09/08/29 22:56 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#237 [七瀬]
 
 
少し時間ができた
更新しました(*´`*)

よかったら感想下さい♪
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/
 
 

⏰:09/08/29 22:58 📱:N703iD 🆔:k2/mIJPU


#238 [七瀬]
 
 
No.7 種
 
 

⏰:09/09/03 20:35 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#239 [七瀬]
 
 
「頭いた〜い!」

「‥はぁ。昨日はいったいどれだけ飲んだのよ‥」


翌日、

雲が太陽に隠れて、
ちょうどいい気温。


せっかくのお出かけ日和
なのにカズったら、まったくもう‥。

「頭ん中、
 ギンギンする〜!」

⏰:09/09/03 20:36 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#240 [七瀬]
 
「‥しょーがない。どっか行きたかったけど、今日は家でのんびりしますか」

「さんせいさんせーい!」

カズは両手を上げながら、バンザイする格好になる。


「今日はねー。一日中ちよとイチャイチャすんのー」

どうやらカズは、
昨日のキスだけでは足りないらしい。

けっこうアルコール
入ってたくせに。

⏰:09/09/03 20:36 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#241 [七瀬]
 
 
「はいはい。でもその前にシャワー浴びてきたら?」

「ちよ、なんかエロい‥」

「そういう意味じゃない!昨日あのまま寝たでしょ‥お風呂も入らないで!」

もー、頭の中は、そういうことしかないのか!


「わかったわかった」

カズはしぶしぶと言った
感じでベッドから立ち上がる。

⏰:09/09/03 20:38 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#242 [七瀬]
 
「じゃー、
 お風呂借りまーす」

そうやって、
ドアノブに手を掛けた。


その瞬間、

「‥上がったら、昨日の続き、いっぱいやろーねー。覚悟、しててよ?」

ニヤッて八重歯を見せた。


一気に体温が上昇するのがわかる。
 

⏰:09/09/03 20:38 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#243 [七瀬]
 
 
「じゃーねー。
 ちよりちゃん?」

パタンとドアが閉まってもあたしの温度は高いまま。


あたしもカズのこと、どうこう言えないんだよね。


だって、

やっぱりあたしも
カズを求めているから。
 
 

⏰:09/09/03 20:40 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#244 [七瀬]
 
 
「‥ああ〜っ‥もう!」

ワケのわからない衝動に
駆られて恥ずかしくなる。

それを紛らわすために、
枕に顔を押しつけた。



‥カズの匂いがする。


あたしを一瞬で心地よくさせるワックスの香り。
 

⏰:09/09/03 20:41 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#245 [七瀬]
 
それは、
あたしを安心させる。

カズがそばにいるようで、ドキドキする。

ずーっと、
こうしていたい。

ずーっと、
カズのそばにいたい。


今日も、あたしはあなたにずっきゅんなのです。

悔しいほどに。
 

⏰:09/09/03 20:42 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#246 [七瀬]
――――――――――…


「上がったよー!ちよ!」


まだ体から湯気が昇る。


「ちよ?」

暑い暑い。


「‥ったく」

熱い。

⏰:09/09/03 20:56 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#247 [七瀬]
 
 
そこには、

さっき
俺のいたベッドの上で

スースーと
寝息を立てる彼女。



「‥‥かわい‥」

その無防備なすがたに
思わず見とれてしまう。
 

⏰:09/09/03 20:56 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#248 [七瀬]
 
 
「ちーよ」

優しく呼びながら、
目に掛かる髪をそっと、
耳に掛けてやった。


「んー‥」

すると、小さく反応する。


それが、
俺の神経全てを刺激する。 

⏰:09/09/03 20:58 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#249 [七瀬]
 
 
「千頼‥好きだよ」


俺、幸せだなぁ。


ぷっくりとした唇に
自身の唇を近付けようとしたとき、

あるモノが目に入る。



【進路希望調査】

‥たしか、千頼は
進学するんだったよな。

⏰:09/09/03 20:58 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#250 [七瀬]
 
 
気になって、
机のそばに行ってみる。



「‥これ‥」


そこには、きれいな字で
消しゴムで消した跡もなく

はっきりと書かれていた。 

⏰:09/09/03 20:59 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#251 [七瀬]
 
俺は目を見開く。


なにかの
間違いであってほしい。

そう祈りながら、
何度も何度も見直した。


しかし、
そんな祈りも虚しく、

俺の目の前にあるのは


"D外国大学"

この5文字だけ。

⏰:09/09/03 21:00 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#252 [七瀬]
 
 
うそ、だろ?

これは夢なのだろうか。


体から、一気に熱が
引いていくのを感じた。



そんな俺を余所に、

ただ隣で眠る千頼の寝顔はとても幸せそうだった。

まるで、
さっきの俺のように。

⏰:09/09/03 21:00 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#253 [七瀬]
 
 
 
 
 
 
 
 
そこは
東京の大学だった。
 
 
 
 
 

⏰:09/09/03 21:01 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#254 [七瀬]
――――――――――…


「おっはよー」


いつもと同じ朝。

多果子は、いつものようにあたしにおはよー、とあいさつする。


「今日、これ提出だねー」

多果子は、それをペラペラと指で摘む。
 

⏰:09/09/03 21:02 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#255 [七瀬]
 
 
「ずいぶん迷ったけど」

多果子は、困ったとでも
言うように両手を広げる。


「多果子、就職?」

「うん。だよー」

「そっかぁ」


時間は確実に過ぎていて、

どうしようとも、目を反らせない現実があたしたちを直面していた。

⏰:09/09/03 21:04 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#256 [七瀬]
 
 
宮高は総合学科だからか、かなり高い就職率を誇る。

「正直、大学行くよりも、就職率いいじゃん?こっちのが」

でも数人の生徒たちは、大学、専門学校、短大へ進学する。


「‥まぁ、千頼みたいに、具体的にしたいことがあるなら、別だけどねぇ‥」

多果子は
苦笑しながら、言った。

⏰:09/09/03 21:05 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#257 [七瀬]
 
進学するのは、
かなりの少人数。

あたしは、
そのなかの一人。


ちなみに、
カズと陽も進学。

カズは親が大学行けって、うるさいから、とりあえず行くみたいなことを言っていた。

陽は、中学校か高校の
先生になりたいらしい。
 

⏰:09/09/03 21:06 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#258 [七瀬]
 
 
「んま、頑張って下さいよぉー。受験生!」

「もぉっ!止めてよー。
気ぃ重いじゃん!」


先生には、「葉山の成績で就職はもったいない!」
と言われたのと

英語が好きだから、私立の外国語学科にと決めた。

そして、これを機に
見知らぬ土地へ。

⏰:09/09/03 21:07 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#259 [七瀬]
 
 
「あれ?」

「どーした?千頼」


‥ない。

「ないないない!」

うそ!うそうそうそー!

「ない、ってまさか‥」

「進路希望調査!!」


うそでしょー!??
 

⏰:09/09/03 21:07 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#260 [七瀬]
――――――――――…


さて。


どーしよーか。


俺の手には、

【進路希望調査
3年5組28番 葉山千頼】

と記されたプリント。


‥やべーよな。
 

⏰:09/09/03 21:08 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#261 [七瀬]
 
 
早く返さないと。
千頼、困ってるよな。


今日、提出だし‥うん。
ぜったい困ってる。


でもなぁ‥。


「‥D外国大学」

「お前の成績じゃ
 100%、無理だな」
 

⏰:09/09/03 21:09 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#262 [七瀬]
 
 
「‥なんだよ」

「ってか、和希のいちばんの苦手科目じゃん。英語って」

そうやって、
俺の隣に腰掛けた陽。


「‥なんで、
 こんなとこ、いんだよ」

陽のことばを無視して、
逆に質問で返してやった。 

⏰:09/09/03 21:09 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#263 [七瀬]
 
 
「そうだな。お前がここに行きたいなら、死ぬほど勉強しなきゃな。
夏休みなんてなし。
‥いや、死ぬほど勉強しても無理だな、無理」

が、こいつも俺の質問を無視しやがった
―上にバカにした―。


裏庭は、じめじめしていて少し暗いけど、
誰も来ないので、屋上につづいて、俺の格好のサボり場なのに。
 

⏰:09/09/03 21:10 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#264 [七瀬]
 
 
「質問に答えろよ」

じろりと
目線を陽に向けると


「じゃあはじめに、俺の
質問に答えてくれるか」

俺の持ってた
プリントを奪われた。


「なんで、葉山の
進路希望調査を和希が持ってるんだ?」
 

⏰:09/09/03 21:11 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#265 [七瀬]
 
 
「‥‥えーと」

言い淀む俺に、


「葉山、さっき教室で、
ないないないー!って騒いでた」

容赦も情けもない。


「あの感じじゃ、葉山は
忘れたわけではない」

そうやって陽は、自身の額に人差し指を押しつけた。

⏰:09/09/03 21:12 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#266 [七瀬]
 
 
「俺の推測では‥盗まれたんだ。何者かによって」

陽は、深刻そうに、

そんでもって、大げさに、頭を振った。


「‥そして、
 犯人は和希。お前だ」


‥そりゃ、いまこの手に
持ってますからね。

俺は、ため息をついた。
 

⏰:09/09/03 21:13 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#267 [七瀬]
 
 
「昨日、葉山の家にいて、最も葉山に近付ける。
不自然さもなく。
よって‥」

「‥俺だよ、俺。犯人」

めんどくさくなって、
そう答えると、

陽はにやりと笑う。


「俺の推理は、まだまだ続いているんだ」

そう言って、
また探偵ごっこを始めた。

⏰:09/09/03 21:13 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#268 [七瀬]
 
 
「犯人は判ったところで、俺は動機について考えてみた。
犯人はなんのために、
葉山の進路希望調査なんて盗んだのだろう。
気まぐれか、
ただの愉快犯か。
はたまた、葉山のストーカーか‥」


陽はふだんクールだけど、こういう冗談が好きなヤツ。

ってか、千頼の
ストーカーって‥。笑

⏰:09/09/03 21:21 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#269 [七瀬]
 
「俺はありとあらゆる可能性を考えた。犯人になったつもりで。でも解らない」


俺は、こいつの
こういうとこが嫌いじゃない。


「でも、もう謎な解けた。解く鍵はこれだったんだ」

そうやって、指差す先。


でも、今じゃ
それも悪い冗談だぜ‥陽。

⏰:09/09/03 21:21 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#270 [七瀬]
 
 
「俺の推理はこうだ。
D外国大学。ここは東京都内にあるまあまあなレベルの大学。
犯人は葉山を東京に行かせたくなかったんだ。
そして、そこにも」

陽の差すプリントは、
少しくしゃくしゃになっていた。


「そして、なぜ行かせたくないのか。ここが肝心なところだ」
 

⏰:09/09/03 21:22 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#271 [七瀬]
 
一つ、呼吸する陽。

「その大学には、犯人が会わせたくないヒトがいる。葉山がそのヒトに会うのを、犯人は最も恐れていた」

そこで、
陽は口を告ぐんだ。

さらさらと吹く風が
俺らを包む。


「‥ちょっと無理あるんじゃね?その推理」

笑って言うと、
陽も少し笑った。

⏰:09/09/03 21:23 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#272 [七瀬]
 
 
「まー、お前にしちゃよくデキタ方だと思うけど‥」

そう言って、
俺は下を向いた。




「和希‥切れてないんだろ?」


それは、
とてもおだやかな声で

怒りも悲しみも、なにも漂わせてはいなかった。

⏰:09/09/03 21:24 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#273 [七瀬]
 
 
「世間は狭いっていうけど、やっぱり東京は人も多いし、よっぽどなことがない限り会うことなんてない。楽観主義なお前が、こんなに心配そうな顔してるなんて、大学が一緒なんだろうって思った」


陽は、俺のことを
よく知ってるんだな‥。

皮肉にも、こういうときに友達の大切さが感じられた。
 

⏰:09/09/03 21:25 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#274 [七瀬]
 
 
「でも、もうなにもないなら、会ったっていいじゃないか。しょせんは元カノなのだから。
‥でも、お前は心配で心配で仕方なかった」



その続きは、
また今度にしてほしいなー。

なんて思いながら、
ほどけた靴ひもを、ぼんやり見ていた。
 

⏰:09/09/03 21:26 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#275 [七瀬]
 
 
「なぜなら‥」

「そうだよ」

言い訳もなにもしない。

だって、ぜんぶこいつの
言うとおりだから。



「‥そうか」


なんで‥


「‥そんな顔すんだよ‥」

⏰:09/09/03 21:27 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#276 [七瀬]
 
 
陽の悲しげに笑った顔は、俺を困惑させた。


殴ってくれてもいいのに。

最低だって、
罵ってくれてもいいのに。


いや、そうしてくれ。



そんな瞳で見んな。
    メ
 
 

⏰:09/09/03 21:28 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#277 [七瀬]
 
 
「‥怒らないわけ」

「怒らない」

優しく静かに。
でも、はっきりと陽は言う。





「でも、もう引かない」


陽は立ち上がった。
 

⏰:09/09/03 21:28 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#278 [七瀬]
 
 
「俺は、ただ葉山に笑っててほしいだけ。
でも、いまお前には、
任せられないと分かった」


俺は、なにも言わず
ただそれを聞く。



「遠慮、しないから」


陽はそう言って校門前へと、戻って言った。

⏰:09/09/03 21:29 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#279 [七瀬]
 
 
ってか、あいつセコくね?

自分は、言うだけ言って‥なんかかっこいーじゃん。

あんな風に言われたら、
俺だってうなずくしか
できないし。

あの
良いとこ取りヤローめ。


ほんとは、もっと
‥責めてほしかった。


変な意味じゃなくってね。

⏰:09/09/03 21:30 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#280 [七瀬]
 
話が多少ずれたけど、





「‥俺もけじめ‥着けないとな」



いい加減にしないと、
また千頼泣かせちゃう。
 
 

⏰:09/09/03 21:31 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#281 [七瀬]
――――――――――…


「ふぅ〜‥よかったぁ」

「もう、しっかりしなよ?千頼は、いつもなんか抜けてるんだからー!」

「ごめんごめん」


さんざんないない
騒いだ挙句、

先生にもう一度プリントをもらうことにした。

いまは、職員室から
教室へ帰っているところ。

⏰:09/09/03 21:32 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#282 [七瀬]
 
 
廊下を歩く、カズの
うしろすがた発見!


「カズー!」

呼ぶと、立ち止まって
振り向いたカズ。


「ごめーん!今日は一緒に帰れないっぽい」

カズはいいよ、と言うように、うなずく。
 

⏰:09/09/03 21:33 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#283 [七瀬]
 
 
「あたし、これ忘れちゃってさー。もう一枚もらったはいいけど、判子いるみたいだから、取りに帰らないといけないみたい」

もう最悪だよー、
と笑って見せた。


「‥そっか。でもよかったじゃん」

「えへへー。ありがとー」

⏰:09/09/03 21:34 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#284 [七瀬]
 
 
「陽が言ってたよ?
 ちよ騒いでた、って」

「えー、うそぉ!
 もー恥ずかしいなぁ‥」


「ははは!ご苦労さまでーす!‥じゃあまた後で」

そう言って、カズは
階段を上がって行った。



‥気のせいだろうか。
元気がないように見えた。

⏰:09/09/03 21:35 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#285 [七瀬]
 
 
 
あたしはこのとき、
知る由もなかった。



今、にぎっている
紙切れが




あたしとカズを

――引き離す
  "種"になるなんて‥― 
 

⏰:09/09/03 21:36 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#286 [七瀬]
 
 
よかったら、
感想をどうぞ★

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/
 
 

⏰:09/09/03 21:40 📱:N703iD 🆔:wDwXTER2


#287 [七瀬]
 
 
No.8 変化
 
 

⏰:09/09/05 22:39 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#288 [七瀬]
――――――――――…


放課後。


「はっるー!」

ぶんぶんと、手を振っているのに、陽は振り向くだけで、あまり反応しない。


「掃除当番、
 いっしょだねぇ」

駆け寄ると、
やっと「ん」と反応した。 

⏰:09/09/05 23:09 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#289 [七瀬]
 
 
大広場の掃除に、二人というのは、いくらなんでも少なすぎると思う。


「あっつーい‥」

先日の一緒に花火をしたときから、

なんとなく陽の態度が
よそよそしく感じたけど


「んー、だな」

今のところ、大丈夫みたい。

⏰:09/09/05 23:10 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#290 [七瀬]
 
 
「日焼けしちゃーう」

とか言って、木陰に入ると


「日焼けしないうちに、
 さっさと、終わらすぞ」

ほうき渡された。


「はぁい‥」

しょうがない!
一回、家帰んないといけないしやりますか‥。

ほうきを握った。

⏰:09/09/05 23:11 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#291 [七瀬]
 
 
「この前まで、肌寒かったのに、今日は少し蒸し蒸しするねー」

昨日と同様に晴れ渡る空のせいか、気温が少し高い。

長袖に汗が薄らとにじむ。


「ほんと、
 時間経つの早ーい!」

「そうだなぁ‥。
葉山がもうすぐ女子大生
なんて信じられない」

クスクスと笑う陽。

⏰:09/09/05 23:12 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#292 [七瀬]
 
 
「もぉーっ!陽ったら‥」

「ごめんごめん」

陽は、まだおかしそうに
笑っている。


「ひどーい‥」

ぷくっと膨れて見せると


「悪かったって」

ポンポンと頭をなでた。

⏰:09/09/05 23:13 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#293 [七瀬]
 
 
「‥なにその子ども扱い」


まだそっぽを向いていると


「冗談だよ。冗談」

「どーせあたしは、ガキんちょですぅー」

陽は苦笑しながらも
完璧楽しんでいる。

だって口元緩んでるもん。目じり下がってるもん。

⏰:09/09/05 23:14 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#294 [七瀬]
 
 
「‥かわいいよ」



‥‥うえっ?


「かわいい。葉山は」


あたしは、
かなりびっくりしながら、

フイと横を向いていた
顔を陽に戻した。
 
 

⏰:09/09/05 23:15 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#295 [七瀬]
 
 
‥なんてやさしい
目をしているんだろう。



カズ‥ごめんっ!


不覚にも、ちょっと
どきっとしちゃった。



「なんか、妹みたいで」


「‥‥‥は?」

⏰:09/09/05 23:16 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#296 [七瀬]
 
 
「いとこにいるんだよー。まだ4歳なんだけど、葉山にそっくり」

クククと思い出すように、陽は、一人笑いだす。

さっきとは違って、
爆笑に近い感じの笑い。



「なにそれ〜〜‥」


‥もう。

どきどきしたじゃん。

⏰:09/09/05 23:17 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#297 [七瀬]
 
 
「いやー、うん。でも」

「"いやー、うん。でも"
 なによ」


「うん。だから」

陽は笑いを止めて、
顔を下へと向けた。



「その‥葉山のが
 かわいい、よ‥‥」
 
 

⏰:09/09/05 23:18 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#298 [七瀬]
 
 
――カアアァア

顔が熱くなる。


「‥あ、ありがと」



よくよく考えると

いとこの4歳児と
比べられても!
って感じなんだけど、

陽が、そんな
明らか照れてます、みたいに言うから‥‥。

⏰:09/09/05 23:19 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#299 [七瀬]
 
 
こっちまで
恥ずかしーじゃんかぁっ!

しかも、なんか
いつもとキャラ違うし‥。




それから
掃除終了までの約10分。


あたしと陽の間には

花火をしたときとは、
また違った
ビミョーな雰囲気が流れた。

⏰:09/09/05 23:20 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#300 [七瀬]
――――――――――…


まずかった、よなぁ‥。


うーん。まずかった。
かなりまずかった。


いとこと、しかも4歳児と比べるなんて、

きっと気を悪くしたに
違いない。


だって、葉山あれ以降、
掃除中ぜんぜんしゃべらなかったし。

⏰:09/09/05 23:21 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


#301 [七瀬]
 
 
「‥んー‥謝るべきか‥」

「陽」

部屋の中、一人で
ぶつぶつ呟いていると、


「ちょっといい?」

コンコンと
母さんがドアを叩いた。

「どうしたの、母さん」



いやな予感がした。

⏰:09/09/05 23:22 📱:N703iD 🆔:PSrvbbbw


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