黒猫の唄。
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#37 [あんず]
その涙がポタリと床に落ちて滲む。
…これが、ご主人様の流した涙……。
私はぐいっと涙を拭い、ドアへ手を掛けた。
泣いてる暇なんてない。今はとりあえずこの家から出よう。
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#38 [あんず]
“この家から出る”
そう決心し、私はドアを引いた。
ドアを引き、狭い隙間から外を覗く。
…………あ、やばい。
一瞬で私はそう思い、
静かに上を見上げた。
:09/08/20 23:29
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#39 [あんず]
大好きなご主人様の甘い香りが鼻を掠める。
そして視界いっぱいに広がるご主人様の、柔らかいふわふわな蜂蜜色の髪。
「…君は………?」
不思議そうな顔をした
ご主人様が、ドア越しの目の前に立っていた。
:09/08/20 23:34
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#40 [あんず]
「……………っ!!」
驚き過ぎて声が出なかったのか、私は口をパクパクしながらご主人様を見上げる。
ご主人様は目を見開く。
まさかこんな所で
ご主人様と鉢合わせになるなんて―――。
:09/08/21 22:38
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#41 [あんず]
するとご主人様は私の肩をぐいっと掴んだ。
その手は震えていて、
力強くて、少し痛かった
「…………っっ、」
私はただ固まってるだけ。頭の中は大パニックだ。
:09/08/21 22:41
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#42 [あんず]
肩を掴んでる手は、次第に強くなる。
少し痛いけど、それどころではなかった。
そしてゆっくりと、ご主人様は口を開いた。
「………リナ………?」
:09/08/21 22:53
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#43 [あんず]
………リ…ナ?
なぜか聞き覚えのある名前だった。
どこか切なくて、懐かしい気持ちになる。
でも“リナ”って、
誰なの――――?
:09/08/21 22:56
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#44 [あんず]
未だに声の出ない私を、ご主人様はじっと見つめる。
そしてご主人様は肩を掴んでる手を離し、頭を抱えて笑った。
「……な、訳ないよな。ごめんね、人違いだったよ。」
その笑顔はこの前見た笑顔と同じ、無理しているような笑顔だった。
:09/08/21 23:01
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#45 [あんず]
私はただ顔を横に振る。
「あはは、そんな悲しそうな顔しないで。………で、君の名前はなんて言う?」
ご主人様は変わらない笑顔でそう言った。
「……私、は……。」
やっとの思いで絞り出した声は、あまりにも弱々しくて、小さかった。
:09/08/21 23:05
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#46 [あんず]
なんて言ったらいいんだろう……。
リアって言っても、大丈夫かな………?
私は不安に感じながらも
「…リア、です。」
と呟いた。
:09/08/21 23:07
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