ーひとりぼっちの窓際ー
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#1 [[道楽]]
春。


俺は今日から晴れて中学生になる。期待と不安が頭をかき混ぜていくけど、この真っ黒な学ランを身に纏う事で『俺は大人の仲間入り』だとか思ってた。

勉強・部活・友達。そして恋愛。全てを両立しようと意気込み、入学式を終えた。


それぞれのクラスに向かう。3つの小学校から生徒が入学してくるこの学校。知らないヤツばかりだ。

⏰:09/08/21 13:21 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#2 [[道楽]]
まぁ小学校から同じヤツも沢山いるけど。

クラス全員で一人一人自己紹介。みんな緊張からか、面白くもない自己紹介を続ける。元気が取り柄だと自負?してる俺は、最初が肝心だと元気よく自己紹介した。

「俺、[田口 恭吾]って言います!好きなものは唐揚げ!嫌いなものはもずくと椎茸!よろしく!」

なぜかクラスからドッと笑い声が!掴みはオッケー!目立ちたがり屋でよかった!

⏰:09/08/21 13:29 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#3 [[道楽]]
自己紹介最後の一人、一番後ろの席の一番窓際の女。

「[合川 るあ]です、ヨロシクお願いします!」

透き通った声に、俺は振り返り顔を見る。

『うわ…可愛いじゃん!』

長い前髪を6:4くらいで分け、他の生徒よりも少し大人っぽい印象を受けた。

『どこの小学校だったんだろ…モテただろーなー』

⏰:09/08/21 13:36 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#4 [[道楽]]
担任の教師から、ウダウダと学校の説明や注意点等を説明され、入学式はめでたく解散となった。

「おい!あの合川るあって女可愛くね!?」

小学校からの友達、修司が言った。

「あ、修司も思った?どこの小学校だったんだろ」

「さぁ…」

「俺明日話し掛けるよ!」

「ホントかよ恭吾ー?」

⏰:09/08/21 13:44 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#5 [[道楽]]
俺にとっては、女子に話し掛けるなんて簡単な事だ。ましてや別に好きになった女じゃない、『あら可愛いな』って思っただけだし。




翌日――

学校には、8時20分までに登校すればいいところを7時30分に着いた俺。

どんだけ中学校を楽しみにしてんだって話。

一年生はA〜Dクラスまであり俺は1-C。三階の階段横に教室がある。

⏰:09/08/21 13:50 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#6 [[道楽]]
昨日の学校説明で、教室へ一番乗りした生徒は、職員室へ鍵を取りに行き教室を開けなければいけない。

職員室は二階だが、とりあえず俺は三階まで上がり教室に向かった。

シーーンと静まり返った早朝の校舎。我が教室の扉を開けてみた。

『あれ鍵開いてる』

ガラッ

俺は扉を勢いよく開けた。

⏰:09/08/21 13:54 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#7 [[道楽]]
教室を見渡す。

あっ!一人だけ誰かいる!

一番後ろの窓際、長い前髪を分けた女子。

「おはよーっ!」

俺は元気いっぱいで挨拶した。

「お、おはよ!」

合川は見ず知らず?の俺からの急な挨拶に少しビックリした感じだ。

俺は自分の席に荷物を置き、そこから合川に話し掛けた。

⏰:09/08/21 14:00 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#8 [[道楽]]
「来るの早いね!合…川…だっけ?」

ハッキリ覚えてる名前をうろ覚えのように尋ねた。

「うん!合川るあだよ♪あたし家が遠いから今日バスで来たんだけど、バスの時間が合わなくって早く着いたんだよー」

昨日は少し大人っぽいクールな印象を受けたが、ニコッとした彼女は可愛い普通の中学生だった。

「へー家遠いんだ!てか俺の名前覚えてる?」

⏰:09/08/21 14:08 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#9 [[道楽]]
「覚えてるよ♪恭吾君でしょ?」

「おっ正解!よく覚えてたね!」

「なんか自己紹介面白かったもんっ!」

名前を覚えてもらえるのはすごく嬉しい!しかも下の名前で「恭吾君」なんて…!

俺は立ち上がり、合川の席の前の席に後ろ向きで座った。

合川は少しキョトンとした顔をしてる。

「合川は小学校どこだったん?」

⏰:09/08/21 14:14 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#10 [[道楽]]
「えっ……」

合川は少し言葉につまった後、

「あ、あたしの学校はちょっと遠いとこだから知らないと思うよ!」

と焦った感じで言った。その言い方を不思議に思いながらも、俺はそれ以上小学校については聞かなかった。

「ふーん。じゃあこの学校に小学校からの友達っていないの?」

「うん…」

「よしっ!じゃあ俺が合川の友達第一号になるよ!」

⏰:09/08/21 14:19 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#11 [[道楽]]
「…え?ホント?」

「ホントも何も一緒のクラスになった時点で友達だろ?仲良くしよーなっ!」

「うんっ!!」

合川は満面の笑みを浮かべ頷いた。

『修司、俺は有言実行する男だ!』

⏰:09/08/21 14:23 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#12 [[道楽]]
それから30分くらい、2人で色々話をした。

「恭吾君は部活とか入るん?」

「うんバスケ部に入るつもり!合川は?」

「あたしは…帰宅部♪」

「ブッ!なんでー?」

「部活とかすると家帰るの遅くなるじゃん?あたし家遠いし大変だからさー」

「あぁ…家ってバスでどのくらいかかる?」

「20分くらい…かな」

⏰:09/08/21 15:12 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#13 [[道楽]]
「なかなか遠いねー」

「うん。だから早起きしなくちゃいけなくてさー」

ガラッ

教室の扉が開き、女子が登校してきた。すると合川は

「恭吾君!そこあの人の席だよっ」

と小さな声で言った。

「マジで?あ、ごめん!この席借りてた!」

「?いいよいいよ唐揚げ君♪」

へ?唐揚げ君?俺の事?

「」

⏰:09/08/21 19:57 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#14 [[道楽]]
「唐揚げ君って…何?」


俺がキョトンとしていると

「唐揚げが好きなんでしょ?」

とニヤニヤしてその女子が言った。コイツと話すのは初めてなのに、初対面から馴れ馴れしいヤツだ。

「だから唐揚げ君ってか?」

「うん♪」

合川はクスッと可愛い笑顔を見せた。

⏰:09/08/21 20:01 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#15 [我輩は匿名である]
面白いっ(´^Д^`)
頑張ってください!

⏰:09/08/21 21:14 📱:N03A 🆔:xNTYShMA


#16 [[道楽]]
>>16
あざーっすm(_ _)m頑張ります☆

⏰:09/08/21 21:42 📱:D905i 🆔:Jxb9yHD6


#17 [[道楽]]
入学二日目にして化粧までしてきてるその女子。いわゆる派手(ヤンキー)系かな?

「お前名前は?」

「神田優香よ、こんなに可愛いあたしの自己紹介を覚えてないの?唐揚げ!」

「か、唐揚げって…。合川、なんか言ってやってよ!」

俺の無茶振りに合川は戸惑った。

「あ、え?…」

「あたしアナタ覚えてるよ!合川るあちゃんでしょ!珍しい名前だから」

「あ、ありがとう。あたしも覚えてたよ!」

⏰:09/08/22 03:49 📱:D905i 🆔:.AWzJCko


#18 [[道楽]]
「ホント?席近いし仲良くしよーねっ♪」

「うんっ!よろしくっ!」

2人だけで盛り上がる合川と神田。俺は疎外感?

ガラッ

「おっは!お、恭吾いるじゃん!早いなお前!」

朝からテンションの高い修司が現れた。

合川は修司にペコッとお辞儀をする。

「なんだよ恭吾お前手が早いなぁー」

⏰:09/08/22 03:53 📱:D905i 🆔:.AWzJCko


#19 [[道楽]]
「ん?どーゆー意味だよ。」

「こんな可愛い女子2人相手によー」

ニヤニヤしながら言う修司は大の女好きで、小学校時代もよく女子と遊んでた。

「高杉修司!あたし覚えてる!」

神田が言った。コイツ記憶力いいなー。

「マジで?ありがとう優香ちゃん!」

コイツもよく覚えてんな。

「おっ!正解♪」

⏰:09/08/22 03:58 📱:D905i 🆔:.AWzJCko


#20 [[道楽]]
「っでー…そっちは…るあちゃんだよな?」

「記憶力いいね、高杉君!」

合川はニコッと笑う。

ちょっと待て…俺には下の名前で「恭吾君」、修司には上の名前で「高杉君」……何この違い。

ま、まさか…

根拠のないプラス思考。初対面に近いのに。

「ま、ここでこうしてこの4人が集まったって事は何かの縁だろうし、仲良くしよーな!」

俺がそう言って締めると、クラスメート達がぞろぞろと登校してきた。

⏰:09/08/22 04:04 📱:D905i 🆔:.AWzJCko


#21 [[道楽]]
しらない人に声をかけるヤツ、小学校からの友達としか話さないヤツ、人それぞれだ。

「なぁ屋上行ってみようぜ!」

と修司が言った。

「今の学校ってどこも屋上入れないでしょ?」

と神田。

「それが入れるらしいんだ!A組のヤツが言ってた!」

「マジで?行こうぜ!」

合川も軽く頷き4人で屋上へ行く事に。

⏰:09/08/22 20:40 📱:D905i 🆔:.AWzJCko


#22 [[道楽]]
教室隣の階段を駆け上がり屋上へのドアを開ける。

「うわっ!すげぇ!!」
「すごーい!」

そこはこの町を一望できる場所だった。この校舎自体が丘の上にある事も相まって、まさに展望台のようだ。

「ここはすげぇな!俺等の秘密基地にしようぜ!」

テンションの上がった時の修司は意味の分からない事を言う。秘密基地って…ここ知ってるの俺等だけじゃないんだろ?

「なんか…これから三年間の中学校生活、楽しくなりそう!」

合川は遠くに霞む青空を眺めながら、笑顔で言った。

⏰:09/08/22 20:52 📱:D905i 🆔:.AWzJCko


#23 [[道楽]]
「げっ!やべぇ!もう8時20分じゃん!ホームルーム始まるぞ!」

「マジかよ、バタバタ教室戻ろう!」

俺達は走って教室に戻った。



「お前たち4人!遅刻にするぞー?」

教室にはもうすでに担任の境先生が来ていた。

「すんません!」

生徒もみんな席についている。

⏰:09/08/23 00:36 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#24 [[道楽]]
「早く席につけよー!」

俺達はそそくさと席に着いたと同時にホームルームが始まった。これが小学校でいう「おはようの会」か。

出席簿や先生の話を聞く。小学校と何ら変わりないように見えた。


先生が黒板に向かって何かを書いている時、後方から紙屑が飛んできた。パッと振り向くと、修司がニヤニヤしている。

その紙屑を開いてみると、「今日学校終わったらさっきの4人で遊び行こうぜ」と汚い字で書いてあった。

⏰:09/08/23 00:48 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#25 [[道楽]]
「OK!」と書いて、先生の目を盗んで投げ返す。

その時チラッと合川と目が合った。合川はニコッとして微笑みかけてきたから、俺もピースして返すと、その前の席の神田がピースしてきた。

『お前じゃねーよ。』

とか思ったり思わなかったり。合川の笑顔は確かに可愛く、爽やかで、惹かれるものがあった。



今日までは授業もなく、半ドン。ホームルームとオリエンテーションをして下校となった。

⏰:09/08/23 00:56 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#26 [[道楽]]
「るあちゃんと優香ちゃんカモーン♪」

「修司と2人で考えたんだけど、今からどっか遊び行かね?」

「どっかって?」

「んー…まぁカラオケとか?」

「あたしはいいよ!どうせ暇だし♪るあちゃんは?」

「あたしは…あんまり遅くならないなら大丈夫だよ♪♪」

「オッケー!じゃあこのまま行くか!」

⏰:09/08/23 12:24 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#27 [[道楽]]
俺達はとりあえず昼ご飯を食べる事に。学校の近くに安くておいしいと評判の定食屋があって、そこに入った。

「優香ちゃんが行ってた小学校って○○小だよな?」

修司は、神田の事が気になってるのが見て取れる。

「うん、そーだよ♪唐揚げ君と修司君は同じ●●小なんでしょ?」

「唐揚げ君て……」

「そうそう!恭吾とはクラスもずっと一緒でさ、腐れ縁てヤツだな!」

「るあちゃんはどこなん?遠いらしいけど。」

⏰:09/08/23 12:30 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#28 [[道楽]]
「えっ?た、たぶん言っても皆分かんないよ!」

小学校の話になると、また合川は焦ったような態度をとる。俺はそれが妙に気になった。

「とりあえずおしえてよ!知ってるかもしれないしさ?」

「………うん」

合川は少し暗い表情をして俯いき、重そうに口を開いた。

「あたし…実は小学校には行ってなくてさ。施設で…育ったから。」

⏰:09/08/23 12:38 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#29 [[道楽]]
「…施設?」

俺達三人は声を揃えて言った。

「うん…。あたし小さい時から両親いなくてさ、今も施設から中学に通ってるの。」

「なるほど…だから夜遅くなる部活とかできないんだ。」

「うん、施設は厳しい門限があるから。」

少しの間、四人は沈黙した。その沈黙が何によるものなのかは分からなかった。

「るあちゃん、大変…なんだね」

⏰:09/08/23 19:03 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#30 [[道楽]]
「大変そう…」

優香と修司は口をそろえてそう言ったが、俺はその「大変」が理解できない。

「……何が大変なんだ?」

「何がって…両親いないなんて俺達には分かりっこない大変さがあるだろだろうし…。」

修司の言う事は確かに間違っていないが、どうも俺には腑に落ちないところがある。

「あ、あたしは全然大変じゃないよ!施設の皆も優しい人ばっかりだし、それにこうして中学生になってすぐ友達もできたし…さ!」

⏰:09/08/23 19:10 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#31 [[道楽]]
合川は作り笑顔のような表情で言った。合川が強がってそう言っているのは目に見えたし、優香と修司が言う事もわからなくはないけど、俺の考えはまったく違った。

「合川、俺は合川を"可哀想"とか"大変そう"とか思わん。親が居ようが居なかろうが、今の生活に苦しんでるヤツはいっぱいいるし、それを同情の目で見るのは本当の友達って言えないだろ?友達ってのはいつでも対等なんだから。もし今、合川に親がいても、合川が合川である事に変わりはないし。」

俺は思った事を素直に言った。

⏰:09/08/23 19:19 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#32 [[道楽]]
「まぁ、それも分かるけど…」

優香がボソッと呟く。

俺が言った事が正解かどうかは関係ない。ただ、俺は友達を同情の目で見るようなマネはしたくなかったんだ。

「…初めてそんな事言われた。」

合川は驚いたような目で俺を見る。

その時、店員が注文品を持ってきた。

「じゃあこの話終わり!とりあえず食おうぜ!」

⏰:09/08/23 19:24 📱:D905i 🆔:yvMOANTA


#33 [[道楽]]
ピリリリリリ・・・

急に携帯の着信音が鳴った。

「修司、お前の携帯だろ?」

「あ、本当だ……母さんからだ。……もしもし?うん…うん…今友達と飯食ってる。うん…はぁ!?………分かった。」

修司は電話を切ると曇った表情をしてみせた。

「お母さん、何て?」

⏰:09/08/24 09:39 📱:D905i 🆔:G4WyPEWg


#34 [道楽]
「用事ができたから帰って来いって…」

「マジで?……なら今日はカラオケ中止だな」

「いや気ぃ使うなって!三人で行ってこいよ、な?」

「ばーか、4人の仲を深める為に行く予定だったろ?また今度にしようぜ!合川と神田もいいだろ?」

「うん、しょうがないね。」

「なんか悪いな。」

食事を終えた俺達は定食屋を出た。

⏰:09/08/25 19:51 📱:D905i 🆔:xsl8vmnM


#35 [道楽]
「じゃあ俺は学校に母さんが迎え来るから!また明日な!」

修司はそう言うと学校へ走って行った。

「私は家こっち側だから、また明日♪バイバーイ!」

優香はそう言うと手を振って歩いて行った。

「合川は…バス停だよな?じゃあ俺と同じ方向だな」

「うん♪帰ろっか!ちょうどいい時間のバスあるかなぁ…」

俺と合川は2人でバス停に向かって歩き出す。

⏰:09/08/25 19:56 📱:D905i 🆔:xsl8vmnM


#36 [道楽]
バス停まで約五分間の道のりを俺達は無言で歩いた。なんでって?自分でも分からない。

バス停についた。

「あぁ…あと30分バス来ないみたい…」

「マジで!?じゃあバス来るまで一緒待ってるよ!」

「本当に?ありがとう♪」

このバス停にはベンチがないから、裏の公園で待つ事にした。

滑り台の前にある二人掛けのベンチに座る。

⏰:09/08/26 01:27 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#37 [道楽]
「ねぇ…恭吾君。ありがとう。」

「え?何が?」

「恭吾君のおかげですぐに友達できたから♪」

「ははは!別に俺のおかげじゃないだろっ」

「恭吾君みたいな人に初めて出逢ったよ」

「ん?」

「"あたし"を見てくれる人…。」

「…どうゆう事?」

⏰:09/08/26 01:31 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#38 [道楽]
「さっきの話だけど、あたしに…両親がいない事を話すと、決まって皆"可哀想に"とか"辛いでしょ"って言うんだよね。そうゆう風に"あたし"を見るの。あたしは同情なんてされたくない。親がいてもいなくてもあたしはあたし!そう思うのにさ…」

下を向いて話す合川に、俺はただ頷いていた。

「だから、恭吾君がさっき言った事すごく嬉しかった。どんな過去があっても、あたし自身を見てくれる人っているんだ、って思ったよ。」

合川は顔を上げ、可愛い笑顔を見せた。

⏰:09/08/26 01:44 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#39 [道楽]
「なんで合川の両親はいないんだ?」

「…そろそろそれを聞かれると思った。…小学二年生の時にね、急にいなくなったんだ。」

「……え?」

「ある日学校から帰ると家に誰もいなくてさ、テーブルに置き手紙だけがあって…。『るあ、ごめんなさい。お母さんとお父さんは遠くに行きます。ここに電話して下さい。』って親戚の電話番号が書いてあったの。それから連絡も何もなく、いなくなっちゃったんだ。」

俺は驚いた。てっきり亡くなったのかと思ってたからだ。

⏰:09/08/26 01:55 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#40 [我輩は匿名である]
これわ続きが気になる♪

主さん頑張って(◎ω◎)

⏰:09/08/26 02:48 📱:S001 🆔:Ojln9vRo


#41 [道楽]
>>40匿名さん
ありがとうm(_ _)m頑張ります!!

⏰:09/08/26 11:56 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#42 [道楽]
「…だから平たく言えば"捨てられた"のかな。」

「そっか…。…ありがとう、話してくれて。」

「うん。でも今はもう大丈夫!確かに最初は辛かったし、いっぱい泣いたりもしたけど、もう割り切れてる。今は本当に楽しいし♪」

誰が見ても見透かされそうな作り笑顔。あんな風に言った俺も、『辛かったろうな…』と思った。

強がり....

最も彼女に当てはまる言葉だ。

⏰:09/08/26 12:07 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#43 [道楽]
「…なんかごめんね。こんな話、付き合わせて。」

「いやいや、そんな事…」

「今までは…あんまりこの事を他人に話したくなかった。同情されるのは目に見えてるし、一線置いてあたしを見る人もいるから。だから、恭吾君や皆にもできれば施設の事言いたくなかったんだ。でも恭吾君は違ったよ。」

「…俺は、正直言えば今の話を聞いて『辛かっただろうな』と思った。でもその経験が今の合川を作ってるんだと思う。今の合川の笑顔は可愛いからさ、大事なのは過去じゃなくて今だよ。俺は"今"の合川を見てく!」

⏰:09/08/26 12:34 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#44 [道楽]
「……なんか本当、恭吾君ってやさしいね♪」

「そうかな?」

合川はまたニコッと笑顔を見せた。

「あ、そろそろバス停行かなきゃ…」

「あのさ!施設の門限って何時なの?」

「え…?6時だけど」

「じゃあ2人でどっか遊び行かない?まだ1時半だし!」

「……デート?」

合川は冗談っぽい上目遣いで言う。

⏰:09/08/26 12:42 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#45 [道楽]
「おう!デート!」

理由は分からないけど、もう少し合川と一緒に居たかった。

「じゃあ少し遠いとこに住む合川の為に、この町を案内したげるよ!」

「あっ、超嬉しいかも♪」

「じゃあとりあえずこの公園はT公園って言って〜…」




俺達はこの町を歩いて見てまわった。合川といる時間はすごく心地良くて、素直に楽しかった。

⏰:09/08/26 12:53 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#46 [道楽]
あっという間に時間は過ぎる。

「今日は色々ありがとう!楽しかった♪」

「いや、こちらこそだよ!」

到着するバス。

「じゃあまた明日ね、恭吾君♪」

「うん!」

「朝一番に窓際の席で待ってるからっ!」

笑いながらそう言うと、合川はバスに乗り込み一番後部の座席に乗った。

⏰:09/08/26 12:58 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#47 [道楽]
走り出すバスの後ろ窓から、合川が手を振ってる。俺もそれに振り返す。

やがてバスは見えなくなった。






『俺、合川に少し惚れたかも…』

チクチクと何かが心臓に刺さるこの感覚。気のせいではなかった。

⏰:09/08/26 13:02 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#48 [道楽]
翌日―


俺は昨日と同じ時間に学校へ向かった。昨日合川が言った「待ってるから」の言葉がすごく嬉しくて。

ガラガラ

「あ、おはよう恭吾君♪」

窓際の一番後ろの席に笑顔の合川がいた。

「おはよう!今日も早いな!」

「恭吾君こそっ!」

⏰:09/08/26 13:11 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#49 [道楽]
それから俺達はいつも朝一番にこの窓際の席で喋るのが日課になっていった。

「そろそろ優香来るかな♪」

「また、"私の席取らないでー"とか言われるかもな!」

「もう入学して一週間かぁ。だいぶ学校にも慣れてきたね!」

「うん、大体のクラスメートとは話したしな!」

「あ、来月に一年生全員で一泊二日のふれあい合宿があるみたいねっ」

「おう!なかなか俺楽しみしてるよ!」

⏰:09/08/26 23:27 📱:D905i 🆔:67MjxsTs


#50 [道楽]
ガラ

「あ!おはよう、優香♪」

「優香、今日お前化粧濃くない?」

「おはよ♪今日は少し気合い入れて化粧してきた…って恭吾!私の席とらないでよ!」

「あはは、優香が恭吾にそう言うのも日課になってるよ!」

俺達はこの一週間で、かなり仲を深めた。お互いの呼び方も下の名前。

「あ、部活の入部届の提出今日までじゃん!」

⏰:09/08/27 00:06 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#51 [道楽]
「俺と修司はバスケ部に入る予定だけど……。るあは帰宅部だよな?優香は?」

「あたしも帰宅部でーす!」

「え?なんで?」
「え?なんで?」

声を揃えて言う俺とるあ。

「だってやりたい事ないしっ」

「ふーん。じゃあ女の子2人は帰宅部かぁー」

「あたしも何か部活したかったなぁ…」

るあはボソッと言った。

⏰:09/08/27 00:20 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#52 [道楽]
ガラ

「ちーっす!毎メン!」

「お前やっぱこの中で一番遅いな!」

「低血圧なんで♪」

「あはははは!」





俺は正直、るあの事が好きだ。話す度に惹かれていく。一緒にいて楽しいし、何よりも笑顔が可愛い!

いつの間にか俺の瞳は、彼女を追っていた。

⏰:09/08/27 00:25 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#53 [道楽]
「るあは好きな人とかいる?」

ある朝、いつもの窓際で俺は質問した。ここ最近、そればかり気になって仕方がないのだ。

「な、何!?急にっ」

「いや、いるのかなぁーって思ってさ。」

「……気になる人は…いるかな。」

「ま、マジで!?誰っ!?」

「えー…おしえないっ」

「ちょ、いいじゃん、誰にも言わないからさ!」

⏰:09/08/27 00:31 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#54 [道楽]
俺に対する、るあの態度を見てきても、その"気になる人"が俺じゃない事は確かだと思った。自分から聞いたくせに、結構ショックは大きい。

「恭吾は…いるの?好きな人」

「……いない。」

なぜか嘘が出てしまった。

「そっか…」

ガラッ

「おはよう、お二人さん!何の話?」


『はぁ…やっぱ好きな人くらいいるよな…』

⏰:09/08/27 00:37 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#55 [道楽]
それから俺は無意識の内に、るあを一線置いて見てしまうようになった。どこか冷たい態度を取ってしまう。いつの間にか、本気でるあに惚れてしまっていたんだろう。

『るあは好きな人が居る。』

るあの笑顔を見る度、頭をよぎる。

『はぁ…なんかどうでもよくなったな…』

俺は8時過ぎに登校するようになった。

「恭吾最近来るの遅いね、寝坊?」

「別に…」

⏰:09/08/27 00:43 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#56 [道楽]
るあに話し掛けられるたびに、心に何かが刺さる。それが痛くて痛くて、避けるしかなかった。

「別にって…あたし朝一人の窓際は寂しいんだよっ」

冗談ぽく言うるあ。

『そうゆう事は好きな人に言えよ!』

「なんか早く起きるのめんどくさくなってさ。」

「……そんな…。」

「じゃあ俺部活あるから。」

⏰:09/08/27 00:48 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#57 [道楽]
「…分かった。部活頑張ってね!」

「…うん」

何やってんだ俺……これじゃまるっきり子供だ。




「恭吾、お前最近るあに冷たくないか?」

修司は勘が鋭いみたいで、すぐに気付いた様子。

「そうか?普通だよ。」

「何かあったんだろ?言えよ!」

⏰:09/08/27 00:53 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


#58 [道楽]
「だから何もねぇって!」

「何隠してんだよ水くせぇな、言えよ!」

「………」

こんな事話したって笑われるだけだ。実際俺だったら笑ってるだろう。

今まで修司とは何でも話す仲だったのに、今俺はそれをためらっている。

「……恭吾、お前るあちゃんの事好きなんだろ?」

やっぱり勘は鋭い。

⏰:09/08/27 09:38 📱:D905i 🆔:10Hw43oc


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