月蝕
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#21 [まぐろ]
一応、主人の姉であると思ってか、控えめに入ってくる澪。

太陽の姿を目に捉えると、大きくため息をついた。



「、まったくこの人は…」



起きてください、と彼の横に膝をついて揺さぶる。

…無理に起こしてしまうなんて、可哀相ではないか。

⏰:09/09/23 16:51 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#22 [まぐろ]
「…寝かせてあげても、いいのではないかしら」


「…」



眉間に皺を寄せる澪。
その眼光は鋭く、私は睨まれてるのだと分かった。

でも、これはあんまりだ。
太陽を思っていない。



「澪は、厳しすぎる」

⏰:09/09/23 16:56 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#23 [まぐろ]
ん、と太陽が寝返りをうったが…起きる様子はない。


「…月夜さん」



澪の、咎めるような口調。
それに思わず俯いてしまった。
…こんな空気、嫌いなのに。


「…僕は、太陽に厳しくする必要があると思っているんです」


しっかりとした、意志の強い言葉だ。

⏰:09/09/23 17:00 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#24 [まぐろ]
「だって…」


言葉が、途切れた。

それを不思議に感じ、俯いていた顔を上げる。
目前の澪は真っすぐに私を見つめ、そして…


冷たく、笑った。




「もうじき、貴女はいなくなるのですからね」

⏰:09/09/23 17:04 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#25 [まぐろ]
一瞬を、こんなにも永く感じたのは初めてだ。

…何も言えなかった。
言葉が出なかった。



「…貴女がいなくなったら、太陽は今まで通りではいられなくなるでしょうから」



起きない太陽に呆れを見せ、言いながら彼を担ぎ上げる。
何か言い返したいのに、やはり声が出ない。

⏰:09/09/23 17:09 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#26 [まぐろ]
口から出るのは、震える吐息のみ。

…それに気づいたのか、澪は薄く笑い、失礼しますと部屋を出た。



「…」



“いなくなる”



慣れるわけが、ない。

⏰:09/09/23 17:11 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#27 [まぐろ]
.



月蝕が起こったら、
もう…

お日様には
会えないのですか?



.

⏰:09/09/23 17:13 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#28 [まぐろ]
.



目を覚ますと
そこにあった温もりは
消えていた。



.

⏰:09/09/26 08:30 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#29 [まぐろ]
「…んー…」



重い瞼を無理矢理こじ開けながら、辺りを見回す。

眠る直前まで確かに傍にあった、優しい温もりを感じない。

見ると俺は、冷たい布団に横たわっていた。



…もう、慣れてしまったが。

⏰:09/09/26 08:34 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


#30 [まぐろ]
「…澪」


「はい?」



気配を感じなくとも、俺が呼ぶと必ず現れるそいつ。
今日も例外でなく、縁側にいたでろう澪は障子を開けた。


複雑なことに、俺はこいつを嫌いになれない。
…たとえ月夜が澪を嫌っていても。

⏰:09/09/26 08:39 📱:SH705i 🆔:☆☆☆


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