月蝕
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#22 [まぐろ]
「…寝かせてあげても、いいのではないかしら」
「…」
眉間に皺を寄せる澪。
その眼光は鋭く、私は睨まれてるのだと分かった。
でも、これはあんまりだ。
太陽を思っていない。
「澪は、厳しすぎる」
:09/09/23 16:56 :SH705i :☆☆☆
#23 [まぐろ]
ん、と太陽が寝返りをうったが…起きる様子はない。
「…月夜さん」
澪の、咎めるような口調。
それに思わず俯いてしまった。
…こんな空気、嫌いなのに。
「…僕は、太陽に厳しくする必要があると思っているんです」
しっかりとした、意志の強い言葉だ。
:09/09/23 17:00 :SH705i :☆☆☆
#24 [まぐろ]
「だって…」
言葉が、途切れた。
それを不思議に感じ、俯いていた顔を上げる。
目前の澪は真っすぐに私を見つめ、そして…
冷たく、笑った。
「もうじき、貴女はいなくなるのですからね」
:09/09/23 17:04 :SH705i :☆☆☆
#25 [まぐろ]
一瞬を、こんなにも永く感じたのは初めてだ。
…何も言えなかった。
言葉が出なかった。
「…貴女がいなくなったら、太陽は今まで通りではいられなくなるでしょうから」
起きない太陽に呆れを見せ、言いながら彼を担ぎ上げる。
何か言い返したいのに、やはり声が出ない。
:09/09/23 17:09 :SH705i :☆☆☆
#26 [まぐろ]
口から出るのは、震える吐息のみ。
…それに気づいたのか、澪は薄く笑い、失礼しますと部屋を出た。
「…」
“いなくなる”
慣れるわけが、ない。
:09/09/23 17:11 :SH705i :☆☆☆
#27 [まぐろ]
.
月蝕が起こったら、
もう…
お日様には
会えないのですか?
.
:09/09/23 17:13 :SH705i :☆☆☆
#28 [まぐろ]
.
目を覚ますと
そこにあった温もりは
消えていた。
.
:09/09/26 08:30 :SH705i :☆☆☆
#29 [まぐろ]
「…んー…」
重い瞼を無理矢理こじ開けながら、辺りを見回す。
眠る直前まで確かに傍にあった、優しい温もりを感じない。
見ると俺は、冷たい布団に横たわっていた。
…もう、慣れてしまったが。
:09/09/26 08:34 :SH705i :☆☆☆
#30 [まぐろ]
「…澪」
「はい?」
気配を感じなくとも、俺が呼ぶと必ず現れるそいつ。
今日も例外でなく、縁側にいたでろう澪は障子を開けた。
複雑なことに、俺はこいつを嫌いになれない。
…たとえ月夜が澪を嫌っていても。
:09/09/26 08:39 :SH705i :☆☆☆
#31 [まぐろ]
「…月夜さんはもうお休みになりましたよ」
月夜のことを考えている俺に、思い出したように言う。薄く笑っている澪の表情が少し暗く見えた。
「澪、追い出されたのか?」
まさか、と澪は笑った。
:09/09/26 08:46 :SH705i :☆☆☆
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