ピンクな気分。U
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#101 [のの子]
 
今は一人にならない方がいいよ、そう言ってるように聞こえた。


「そういえば‥みなさんは元気ですか?」

「うんっ。でも馬鹿ばっかだけどねぇ。」

ニコニコと笑う昇さんは、この辺りを占める『スノードロップ』の総長だったりする。

「いや〜でも本当なんか不思議だねぇ。」

「‥?何がですか?」

「こうやって話してんの。前は話せなかったじゃん?」
.

⏰:09/10/24 01:07 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#102 [のの子]
 
昇さんの髪が扇風機の風に揺れてるのをじっと見つめる。

「…‥そう、でしたね‥」

「声‥いつからでるようになった?」

「いや、あの時は一時的に話せなくなってただけで‥でも‥普通に話せるようになったのは高校入る前ぐらいです。」

私はある時期、突然声の出し方を忘れてしまったかのように話せなくなった。

その時に昇さん達スノードロップに会ったのだ。

「…そっか。良かったじゃーんっ♪」
.

⏰:09/10/24 01:18 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#103 [のの子]
 
頭をクシャクシャに撫でながら昇さんは笑ってくれたけど、このことで私は前から思っていた事がある。


「でも…お姉ちゃんが死んでから話せるようになるなんて私‥おかしくないですか?」


ピタッ

昇さんの手が止まる。

「私‥ひどい妹ですよね。」

扇風機の風に揺れた髪の毛が私の顔を隠す。

「恐いって‥喜んでるみたいだって言われました‥そんな事あるわけないのに。」

⏰:09/10/24 18:00 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#104 [のの子]
 
‥‥‥‥‥

私の頭の上で止まったままの昇さんの手。

昇さんもそう思ったんだろうか‥不安になった私は昇さんを見ないように、窓から見える夕焼け空を見つめた。

「…誰にそんな事言われた?」

昇さんの真剣な声。

「忘れました。覚えていたくもなかったんで‥」


………‥

バァンッ!!
.

⏰:09/10/24 18:05 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#105 [のの子]
ビクッ!

私の頭にあった昇さんの手がすぐ横にあったテーブルを叩いた。というより殴った‥

「なっなんですかっ?」

「そんな事言った奴ら全員ぶっ飛ばしてやるよ!覚えてる奴らの名前言えっ。‥姉貴が死んで喜ぶわけねぇだろっ!っざけんじゃんねぇぞコラァ!あ゛ぁーっマジでムカつくムカつくムカつく…」

…‥こっ恐い。

さっきまでとは違うすっごい怒った顔で怒鳴る昇さんからは、スノードロップの総長なんだってのがジワジワ伝わってきた。
.

⏰:09/10/24 18:12 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#106 [のの子]
 
「のっ昇さん落ち着いてください。もう過ぎた事なんでっね?」

「‥‥‥ッチ‥」

思いっきり舌打ちされたけど、それから昇さんは怒った顔をしたまま静かになった。


‥シーン。


これもこれで気まずい。

「ねぇさとちゃん‥」
.

⏰:09/10/24 20:20 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#107 [のの子]
 
いつもの口調に戻った昇さんは私の両手をとると、ギュッと握る。

「俺、さとちゃんとこうやって話せんのすげぇ嬉しいよ?あいつの思い出話も笑ってできるし、これからの事も話せる。でしょ?」

私は昇さんを見つめてただ小さく頷く。

「ありがと‥よく頑張りました。」

そう言ってまた私の頭を撫でてくれた。

その姿が少し竜二君とかぶって見えて私はまた泣きそうになった。
.

⏰:09/10/24 20:29 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#108 [のの子]
 




「あっ俺の事、昇お兄ちゃんって呼んでもいいよ。」

「‥‥えっなんでですか?」

「だってさとちゃん可愛いんだもーんっ。それに俺は妹だと思ってるし。」

照れながら話す昇さんを見て私はつい笑ってしまった。

「いやっでもマジ兄貴だと思って頼っていいよ!」
.

⏰:09/10/24 20:35 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#109 [のの子]
 
「まぁあいつの代わりになんてなれないんだろうけどさっ‥なんかあったら守ってやるよ?

『真琴』の大切な妹のさとちゃんを。」


「あははっありがとうございます。嬉しいです。」



竜二君に別れを切り出された私は、運命に手繰りよせられるように昇さんに再会した。

それはこれから私と彰君の運命を大きく変える事になる。
.

⏰:09/10/24 20:43 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#110 [のの子]
彰Side

「ありがとうございました〜。」

あれから結局トボトボ家に帰ったけど、暇すぎて駅の本屋に来た。

が、買ったのは祐輔への絵本一冊のみ。

「はぁ〜‥マジで俺何してんだろ?ってかつまんねぇー。」

こういう時に限って誰も遊ぶ相手がいない。お決まりのパターンだ。

これからどうすっかぁ‥

ふっと携帯を開いてみるとメールが一通届いていた。

誰だ?
.

⏰:09/10/24 20:54 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#111 [のの子]
 
ドキッ

「竜二かよ…」

さっきの事もあるし今メールを貰ってもあんま嬉しくない相手No.1。

カチッ

――――――

聡美にお前の分のプリント持たせた。貰っといて。

あと聡美と別れた。

じゃ。

――――――


「…はっ?」

メールを読んだ瞬間、心臓が痛くなったのがわかる。.

⏰:09/10/24 20:58 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#112 [のの子]
 
俺の心臓を痛めつけるメールを何回も何回も読み返す。

その度俺の心臓はバクバクと痛くなって、早く動く。

「マジかよ。嘘だろ…?」

嘘じゃない事ぐらいわかってる。

竜二はこういう冗談は言わない。

なんでっ…ってかあの後なんかあったのか?
.

⏰:09/10/24 21:02 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#113 [のの子]
 
聡美から別れようなんて言わなそうだし…

でも俺とキスした罪悪感からとかなら有り得る。

いや、でもメールの内容から竜二から‥?

やっぱ気づいてたのか?


「あぁ〜っもうどっちにしろあいつは今何してんだよっ。」


.

⏰:09/10/24 21:07 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#114 [のの子]
 
あーゆー女は絶対泣いてるに決まってる。

聡美の泣き顔と竜二の無表情の顔が頭に浮かぶ。

「‥ったく、竜二の野郎〜。」

カチカチッ

聡美の電話番号が画面に写ると指が止まる。

‥今俺が電話してどうなる?

本当に別れたならもうどうもならないし、それにあいつは今俺と話したくもないだろう…
.

⏰:09/10/24 21:22 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#115 [のの子]
 
そうだよな‥

「ってか別れたとかわざわざ俺に言うなっつーの‥俺に関係ねぇじゃん。」

そう言ったものの、聡美の電話番号を見つめながらじっと立ち止まる。


ドンッ
っ!!

体格のいいサラリーマンにぶつかられて携帯が1b先にぶっ飛んだ。

「っいってぇな、クソじじい‥」

小さくなっていくサラリーマンの後ろ姿を睨みつけてぶつぶつ文句を言いながら携帯を取りに歩く。
.

⏰:09/10/24 21:27 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#116 [のの子]
 
別に何回も落としてるし傷とか気にしてないけど一応手にとって確認。

大丈夫か‥

「はぁっなんかマジついてねぇー。」

ため息をついて顔を上げると、俺の視界に見覚えのある金髪男が入った。

「あれって‥」
.

⏰:09/10/24 23:31 📱:SH06A3 🆔:iEIVt7Sg


#117 [のの子]
 
スノードロップの‥

「昇さん‥久しぶりに見たな。」

駅前は人通りが多いのに何bか先を歩いてる昇さんは髪の毛の色ですぐわかった。

向こうは気づいてないみたいだけど、俺からはニコニコ笑ってるのがわかる。

‥隣にいんの女か?

昇さんの隣に小さな頭があるのがわかった。

それにしても

「Tシャツにジャージってラフすぎだろ、あの女‥」
.

⏰:09/10/25 10:39 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#118 [のの子]
 
ふんわりした髪を揺らしながら昇さんの隣を歩く女。

ダボダボのTシャツに裾半分切ったジャージ姿で、駅前というのもありちょっと目立つ‥

でも女連れてるなんて珍しいな。

「‥まっ帰るか。」

気づいてないし、女といるのに声をかけるのも気まずいからそのまま帰る事にした。

携帯を見ると落ちた衝撃か電源が切れて画面は真っ暗になっていた。
.

⏰:09/10/25 21:35 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#119 [のの子]
 
‥今頃泣いてんだろうな。

真っ暗な画面に写る自分の顔は情けない顔をしていてちょっと笑えた。

何もできない。

俺は二人の関係にとっては部外者だ。

しょうがない。ってか当たり前だし‥

でも‥今のあいつは一人。

竜二がいなくなったあいつは一人。

なら俺が‥
「昇さんっ!」
.

⏰:09/10/25 21:41 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#120 [のの子]
 
「やっと見つけたっ!ったく何してんすかぁ〜。今日集まるって言ってたじゃないっすかぁ!」

「うわっ何探してんだよ、気持ち悪いなぁ!後で行くし俺いなくても亮くんいんだからいいじゃんっ!今デート中なのっバカ!」

「いやっその亮さんに探してこいって言われて
「あぁーっ!亮くんのせいにすんのとか最低っ。」

「ちょっ勘弁してくださいよぉ。」

‥‥‥‥‥うるさっ。
.

⏰:09/10/25 21:48 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#121 [のの子]
 
デカい声のする方向にはやっぱ昇さん。

相変わらずの自由人だな‥

昇さんと下っ端っぽい茶髪の男が話す少し後ろに女がキョロキョロと慌てるように立っていた。

可哀相ー‥とか思って見ていると、さっきは見えなかった女の顔が見えた。

困ったように苦笑いしながら昇さんをなだめだしたのは紛れも無い


「…っ‥聡美?」

.

⏰:09/10/25 21:56 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#122 [のの子]
聡美Side

「のっ昇さんデートじゃないですし、私ここで大丈夫なのでっ‥」

「いや、良い雰囲気が壊れたしこのままバイバイはちょっとお兄ちゃん寂しいぞ。」

駅まで送ってもらったものの後輩?の人が現れて昇さんの機嫌は何故か悪くなってしまった。

「亮さんの命令無視したら俺が殺されるんですからぁ〜。マジで早く来てくださいよぉ!」

後輩さんも必死。

「えぇ〜‥確かに亮くん怒ったら恐いけどさー‥」

チラッと私を見てきたので、ニコッと笑うと昇さんは大きなため息をつく。
.

⏰:09/10/25 22:05 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#123 [のの子]
 
「はぁあぁっ‥俺こんなんでもこいつらの総長だからさ、行かなきゃ‥こんなバイバイでごめんね?」

ヨシヨシ、と頭を撫でる昇さんは本当に寂しそうでなんか胸が暖かくなった。

「はい。Tシャツ返しにまた来ますね。」

「うん。連絡して?今度はもっとゆっくり話そう。」
優しく笑う昇さんに私も笑うと‥‥

ガバッッッ!!
っ!

.

⏰:09/10/25 22:13 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#124 [のの子]
 
体を何かに引っ張られたかと思うと、その何かに包まれた。

温かい‥

ビックリしてその何かを見上げるとそこには

「えっ彰君っ?なんで

「お前は黙ってろ。‥お久しぶりです、昇さん。」

「うわぁ〜何この再会‥久しぶりだね、少年。何してんの?」

昇さんも一瞬驚いた顔をしたけどすぐニコッと笑った。

.

⏰:09/10/25 22:21 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#125 [のの子]
 
「ちょっと本屋に‥」

「なんすか、こいつ?」

「ん〜‥腐れ縁てやつ?まぁ悪い子じゃないからお前は黙って見てろって。」

後輩さんが彰君を睨んでるのを見て、私は喧嘩になるんじゃないかって一気に不安が沸く。

「あっ彰君、喧嘩はダメだよ?」

彰君に抱きしめられるようになっていた私は、彰君の服を引っ張って小さな声で話す。
.

⏰:09/10/25 22:29 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#126 [のの子]
 
「しねぇよっバカ。昇さんに勝てるわけねぇだろっ!」

なっなら良いんだけど‥

「二人って知り合いなの?」

昇さんがニコッと笑いながら私達を指差す。

でもなんだか作り笑いみたで、空気もあまり和やかではない気が‥

「高校が一緒なんです。」

「なるほどぉ。そりゃすごい偶然だ。と言うか運命?」

⏰:09/10/25 22:34 📱:SH06A3 🆔:wL13Kal2


#127 [のの子]
 
彰君はムッとして眉間にシワを寄せる。

運命だなんて大袈裟じゃ‥

私もつい苦笑いする。

「そんなくっついて二人は仲良しみたいだねぇ。」

ドキッ

そっそうだよ!いつまでくっついて
グッ!

「っ!‥彰君?」

慌てた私を見て彰君は私を包む手に力を入れてきた。

私の肩が彰君の胸に食い込む。

⏰:09/10/26 00:47 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#128 [のの子]
 
ドクン ドクン

さっきの事もあったせいか、彰君に抱きしめられてると思うと心臓が早く鳴る。

「まぁ仲良くやってますけど。」

「じゃもしかしてさとちゃん泣かしたの少年のせいだったり?」

っ!

昇さんはきっとそうなら彰君を怒るつもりなんだろうけど、実際は違う。

彰君は悪くない。

「俺のせいかはこいつに聞かないとわかりませんけど‥もしそうならちゃんと謝りますよ。」
.

⏰:09/10/26 00:55 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#129 [のの子]
 
「謝るって言ったってさとちゃんを守るお兄ちゃんとしてはそう簡単に許せないんだけどなぁ。」

「お兄ちゃんっ?!また適当な事言って‥俺達の問題なんですから口ださなくて結構です。」

彰君が昇さん横目にふんっと嫌みったらしく言う。

「カッチーン‥俺はさとちゃんのお兄ちゃんみたいなもんなんなのっ!急に現れたただの同級生に言われたくないしっ。ってかやっぱお前が泣かしたんだろ!」

「なっ!昇さんこそこんなチビにダボダボの服着させて変な趣味持ってんじゃないっすか?!ってかお前今日髪結んでたよなっ?‥まさかあんたこいつに変な事したんじゃっ‥」

「してねぇしっ!お前とは違って俺はちゃんと―‥」

‥‥どっどうすればいいの?

⏰:09/10/26 11:43 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#130 [のの子]
 
二人のペースに入れなくて止める事もできない私は、周りからの冷たい視線に気付かないよう彰君の胸に顔を隠す。

もう二人とも恥ずかしいからもうやめてよ〜っ!

「だいたいスノードロップの総長の昇さんとこいつがなんで知り合いなんですかっ?」

っ!

昇さんが話すのか気になって私も顔を上げて昇さんを見つめる。

「‥お前なんかに教えないしね。さとちゃんも教えなくていいからね?」

ニコッと笑う昇さんを見て私はほっとした。
.

⏰:09/10/26 11:50 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#131 [のの子]
 
でも彰君はさらに眉間にシワを寄せて昇さんを睨みだす。

「そう睨むなよ。昔と変わんないなぁ。」

‥っというか二人こそ知り合いなの?

「のっ昇さん、そろそろマジで行かないと亮さんが〜‥」

後輩さんが昇さんの顔を伺いながらそろりと二人の間に入る。

「時間も時間ですし‥彼女さんも帰らなきゃじゃ〜?」

ね?っと困った顔付きで私を見つめる後輩さんに言われて私も頷く。
.

⏰:09/10/26 19:57 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#132 [のの子]
 
もうすぐ時計の針は8時をさそうとしている。

さすがにもう帰らないと‥

「そうだね。じゃさとちゃんは俺が送る
「俺が送りますっ。」

彰君は私をさっと背中にまわすと昇さんの手が宙で浮いたまま止まる。

ガシッ

「彼が送ってくれるならもう安心ですねっ!ささっ早いとこ行きましょー!」

「えっちょっ!やだやだっ!俺送るって!」
.

⏰:09/10/26 20:03 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#133 [のの子]
後輩さんに掴まれて昇さんが遠ざかっていくのを私達は手を振って見送る。

「さとちゃんちゃんと連絡してっ!気をつけてねぇ!」

それだけ叫ぶと昇さんは見えなくなった。


「「‥‥‥‥ふぅ。」」


二人して一息つくと手を下ろす。
.

⏰:09/10/26 22:52 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#134 [のの子]
 
急に二人っきりになって私達はただボーッと立ち尽くす。

「‥昇さんと何してた?」

こっちを見ずに前を向いたまま彰君が話す。

「別にお風呂借りて話してただけだよ。」

「なんかされ
「されてませんっ。」

「あっそー。ならいいんだけど‥」

ポリポリと頭をかく彰君を横に私はまた小さなため息つく。

⏰:09/10/26 22:58 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#135 [のの子]
 
「私帰るね。ばいばい。」

彰君をチラッと見上げ軽く手を振りながら一本踏み出すと、すぐに彰君の手に捕まった。

「ちょっと待てよ。送るって‥」

「いいよ。彰君電車乗らなきゃだし。」

「俺は平気だから、送る。」

「‥大丈夫。」

「送るっ。」

キュッと彰君の手に力が入ったのがわかると、竜二君に掴まれた感覚が蘇る。
.

⏰:09/10/26 23:04 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#136 [のの子]
 
あの冷たい目に胸に刺さる言葉。

ゾクッ

「やっやだ‥離してっ!」

「えっあぁ‥ごめん。」

彰君はすぐ手を離すとその手を隠すかのように背中にまわす。

その姿を見た私はハッとして彰君に背を向けた。

「ごっごめんなさい。」

「ん‥平気。手‥痛かった?」

⏰:09/10/26 23:22 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#137 [のの子]
 
「ちょっとだけ‥」

「そっか。ごめん‥」

私達の横を同い年ぐらいの男女グループが笑いながら通っていく。

私達も昨日まではあんなに笑ってたのにな‥

今日は色々起こりすぎた。

初めて竜二君の家に行って

竜二君のお母さんに会って

彰君にキスされて

竜二君に別れを告げられた。

そしたら昇さんとも久しぶりに再会して

今もあれから竜二君からの連絡はないのに

私は彰君といる。

色々起こりすぎて
もう何もわからない。
.

⏰:09/10/26 23:33 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#138 [のの子]
 
‥わかりたくない。

なら‥考えなければいい。

力が抜けていくように、私の心はどんどん空っぽになっていく。

そんな事を考えていると彰君が私の目の前に来て私の手を優しく握る。

「何?‥‥彰君、もう知ってるんでしょ?」

「‥知ってる。」

「やっぱり‥私、振られたの。」

「知ってる。」

「言っとくけど彰君のせいじゃないよ?」
.

⏰:09/10/26 23:40 📱:SH06A3 🆔:gooTw2M2


#139 [のの子]
 
「竜二君ね、私に冷めたんだって。‥もういらないって。」

「‥なんだそれ。」

悲しそうにふっと笑う彰君を私はただ見つめる。

「‥恋愛ってこんな簡単に終わるものなの?」

私も彰君の手を握る。

「全部初めてでわからないの‥そういうものなの?」

こんな事彰君に聞いたって何も変わらない。

でもどうにかして平然を装うには、どこかに納得してないと今にもこの顔が崩れてしまいそうで恐い。

⏰:09/10/27 09:18 📱:SH06A3 🆔:lVj2utXE


#140 [のの子]
 
こういうものなんだ‥
少しでも客観的にそう思えれば私は泣かずにいられる。

「ごめん‥俺もよくわかんない。‥でも、終わりは突然来る。」

彰君は私を見つめたかと思うと俯く。

「‥永遠なんてないんだ。」

ドクンッ

永遠なんてない。

‥わかってた。

私も永遠なんてこの世界にはない事ぐらいわかってたのに

何をしていたんだろう。
.

⏰:09/10/28 00:44 📱:SH06A3 🆔:ahpBJeHc


#141 [のの子]
 
「私っ‥永遠なんてないってわかってたのに、ある気がしてた‥」

竜二君と永遠に、

永遠に一緒にいれるって

そう思ってた。

「バカみたいっ‥わかってたのに‥」

結局全てに永遠なんてない。

時間にも、命にもタイムリミットはある。

ポロッ

また溢れ出した涙が頬をつたう。
.

⏰:09/10/30 20:55 📱:SH06A3 🆔:cpOf21Ts


#142 [のの子]
 
「でもっそれじゃっ‥それじゃあまりにも寂しいじゃないっ?哀しいじゃんっ?」

永遠なんてない。
‥‥だから仕方がない。

そう納得できたらどんなに楽なんだろう。

でも

私が竜二君を好きになって、彼と一緒に過ごした時間が過去になっていく今も

あの時の私は幸せで愛されてたってそう思える。

納得してしまったらあの時を全部否定するようで、

あまりにも哀しすぎる。

永遠なんてない。
でも永遠の愛を信じてた。
竜二君が好きだった。
.

⏰:09/10/30 21:38 📱:SH06A3 🆔:cpOf21Ts


#143 [のの子]
 
「聡美っ‥」

握っていた手を支えに私はうなだれるように体を曲げる。

それと同時に涙が地面にボロボロと落ちていく。

「ッ‥好きだったのぉっ‥本当にっ好きでっ‥大好きだったのぉ‥」

グイッ

「わかった‥わかったから。」

それでも私は彰君の胸の中で何度も何度も叫んだ。
私の涙が彰君の胸に大きな染みを作る‥

もう竜二君に届かない言葉は、夏の街のざわめきと彰君の胸に消えていった。
.

⏰:09/10/31 00:15 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#144 [のの子]
彰Side

「あっここ左‥」

「ん?あぁ。」

聡美が真っ直ぐ進もうとした俺の裾を掴み左を指差す。

結局あの後聡美を一人で送るのは心配で送る事になった俺だが、聡美に案内されながら歩いている。


「うぅ〜目痛いよぉ‥喉も痛ぁい。」

目を手で押さえながら聡美が口を尖らせる。

「そりゃあんだけ泣いてデカい声だせばなるだろ。ってかちゃんと前見て歩けよ。」
.

⏰:09/10/31 00:30 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#145 [のの子]
 
「はぁい‥」

うぅっと唸ると恥ずかしそうに目から手を離す。

赤くなって腫れた目は今も潤んでいて、キラキラ光ってるようにも見える。

「はぁっ‥こんな顔で帰ったらみんな驚くだろうなぁ。」

「服も男物着てるしな。」

「あっそうだよね。」

うーん、とTシャツを引っ張ってどうしようか考える姿からはさっきよりは元気になったように見える。
.

⏰:09/10/31 17:54 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#146 [のの子]
 
もう吹っ切れた。‥って訳ではないだろう。

でもどことなくスッキリしたみたいなのはわかる。


「あっ!彰君、宿題のプリント。私のと混ざってたよ。」

「あぁ〜、忘れてた。」

そういや竜二にメールで言われたんだっけ。

「サンキュ。ってクシャクシャだな‥」

バッグから出されたプリントは誰が見てもクシャクシャで、若干破けてる。

「ごっごめんねっ?構わずバッグに入れちゃったから‥でもほらっ私のもこんなクシャクシャ!」
.

⏰:09/10/31 20:14 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#147 [のの子]
 
そう言って見せてきたプリントは確かに俺と同じぐらいクシャクシャだった。

「別にいいけど。」

きっとその時はそんな事に気使ってる余裕なんてなかったんだろうし‥

ごめんね、とまたクシャクシャのプリントをバッグに入れるその姿が聡美をより小さく見せる。

「お前さぁ‥平気なの?」

「えっ何が?竜二君の事?」

「うん。」

聡美は俺の横を歩きながら首を傾げる。
.

⏰:09/10/31 20:24 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#148 [のの子]
 
「うーん‥もうどうしようもないし、とりあえず落ち着いた感じ?それに超泣いたしね。」

へへっと恥ずかしそうに笑う。

「これから夏休みで良かった。会わないですむし‥さすがに会ったらまだ凹むから。でも明日から暇だよ〜。」

バッグを大きく揺らしながら聡美が一歩先を歩く。

「‥竜二の事は?まだ好きっしょ?」

「うん。でもこれからは友達、になれるのかな?」

.

⏰:09/10/31 20:34 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#149 [のの子]
 
「‥なれたらいいなぁ。」
聡美の背中からは寂しがってるのが伝わってくる。


「バーベキューとかどうすんだよ。」

「ん〜‥やっぱ私行かない方がいい?みんな気使うよねぇ。」

振り返る聡美が困ったように笑う。

ってかさっきからなにヘラヘラ笑ってんだよっ‥

「お前さぁ、あんだけ俺の前で泣いてんだから強がんなよっ。逆にイライラする。」

.

⏰:09/10/31 20:42 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


#150 [のの子]
 
聡美の頭をグッと押すと聡美がよろける。

「ったく‥バカ女。」

「‥バカって言うなぁ、バカ。」

聡美が弱々しいパンチを俺の腹にいれる。

「バーベキューも来いよ。何かあったら俺が責任持って面倒見てやるから。」

「‥ありがと、あっきー。」

聡美が笑いながら照れ隠しなのか相変わらずパンチをいれてくる。

「‥あっきーって人前で呼ぶなよ。」

「はぁい。あっきー♪」
.

⏰:09/10/31 20:55 📱:SH06A3 🆔:jvctchn.


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