ピンクな気分。U
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#276 [のの子]
 
駅から少し歩いて裏道に入ると昇さんが小さな喫茶店に入っていった。

今時の喫茶店じゃなくて、昔からあるような古い喫茶店。

一瞬戸惑ったけど、私も黙ったまま喫茶店に入っていく。

カラーン

ドアについていたベルが鳴る。

「さとちゃん、こっち。」

昇さんはもうソファ席に座っていた。
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⏰:09/11/25 20:42 📱:SH06A3 🆔:cBOFVBZU


#277 [のの子]
 
私もソファ席に着くと周りを見渡す。

意外にもアンティークの置物や絵がたくさんあってお洒落な喫茶店だった。


「ここ亮と二人でよく来るんだ。人に聞かれたら困る話とかしやすくてね‥あっ飲み物アイスティーでいい?」

「はい。」

確かに私達以外に人はサラリーマンの人がいるぐらいだ。
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⏰:09/11/25 23:52 📱:SH06A3 🆔:cBOFVBZU


#278 [のの子]
 
「あっ湯上さん、アイスティー二つで。」

「‥かしこまりました。」

湯上と呼ばれた人はカウンターの奥で本を読んでいたのか、パタンッと本を閉じるとカチャカチャと動き出す。

私は喫茶店に流れるクラシックと湯上さんの丁寧な動きが見事に合っている気がしてじっと見つめていた。

「あの人ここのマスターなんだけどまだ32歳なんだ。無口だけど優しいんだよ。」

昇さんが優しく笑う。

「それにコーヒーと紅茶が美味しいのもここの店の魅力。」

⏰:09/11/26 00:03 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#279 [のの子]
 
「へぇ‥」

「お待たせしました。」

湯上さんはアイスティーを置くと私をチラッと見て

「彼女に似てますね‥」

「ん?あぁ、この子妹なんですよ。」

「どうりで‥ごゆっくり。」

そう言って湯上さんはカウンターの奥に入って行った。

「彼女ってまこ姉‥?」

「うん、俺らよりもとは真琴が常連だったんだよ。」

⏰:09/11/26 00:11 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#280 [のの子]
 
「‥知らなかった。」

「あいつここで一人考え事したり、勉強するのが好きでさ〜。俺らに教えるのもちょっと嫌がってた。」

ははっと笑う昇さんに私もつられてクスッと笑う。

「まぁそれよりも‥何があったか教えてごらんよ。」

黙ったままアイスティーを口にすると喉が渇いていたのか、ここのが特別なのか‥とっても美味しい事に少し心が和む。

⏰:09/11/26 09:11 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#281 [のの子]
 
「昇さん、」

「ん?」

「‥彰君、まこ姉の事知ってたんですね。」

昇さんは相変わらず優しい表情で笑っている。

「だから昇さんとも知り合いだったんですよね?」

私は昇さんの目を真っ直ぐ見れない。

「その話か‥うん、まぁそうだね。俺と真琴と、亮とかも知ってるよ。」

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⏰:09/11/26 09:15 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#282 [のの子]
 
「‥なんでですか?いつから知り合いだったんですか?」

私は相変わらず昇さんの目を見れないのに、はっきりと質問する。

「ん〜‥それはちょっと言いにくいというか、少年から聞いてほしいんだけどなぁ。」

少年。
昇さんは彰君を時々少年って呼ぶ。

「彰君は私がまこ姉の妹だって知らなかったんです‥でも、たぶん今日‥気付いたと思います‥」

「そっか。」
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⏰:09/11/26 09:20 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#283 [のの子]
 
「知られたくなかった?」

違う、と頭を左右にふって否定する。

「じゃ教えてあげれば良かったじゃん。真琴は自分の姉貴だって‥」

また私は左右に頭をふる。

「さとちゃ
「私っ‥私まだ恐いんです。話せるようになった時の‥周りの冷たい目や言葉がっ‥」

乗り越えたと思ってた。

全ての人じゃなくていい

私の気持ちをわかってくれる人が少しでもいてくれたらそれでいいんだって‥

でも、やっぱり人に冷たくされるのは辛くて恐い。
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⏰:09/11/26 09:30 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#284 [のの子]
 
それが深い関係な分、恐くて仕方がない。

間違えれば、その人を失うのだから‥

「彰君を信じてない訳じゃなくって‥どうしても、失う恐さの方が勝つんですっ。」

「さとちゃん‥」

昇さんが複雑そうな目で私を見つめる。


「一人になりたくないっ‥」

そう呟くと一粒の涙が落ちていった。
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⏰:09/11/26 09:39 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


#285 [のの子]
 
ポロポロと落ちる涙を隠すように俯く。

「‥似てるなぁ。」

「えっ?」

顔を少し上げると昇さんは優しく笑っていた。

「さとちゃんと少年。そっくり。」

彰君と‥私が?

「俺から言えるのはね、さとちゃん‥あいつはさとちゃんの気持ちわかってくれると思うよ?もしかしたらさとちゃんの気持ちを1番理解できる奴かもしれない。」

昇さんはそう言いながら少し悲しげな目で私を見つめる。

⏰:09/11/26 20:25 📱:SH06A3 🆔:TD34CvsU


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