ピンクな気分。U
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#362 [のの子]
 
「そっかぁ‥じゃ日傘借りちゃおっかな。」

前桜姉が使っていた黒いフリルのついた日傘を思い出す。

新しいの買ったからあげるってこの前いわれたんだっけ。

「ってかあんたいつ出掛けんのよ?」

「えっ‥と、13時ぐらいかな。」

時計の針は11時になるところだ。

「まだまだじゃない。部屋でも掃除すれば?」

確かに‥

ちょっと落ち着こうととりあえず部屋に向かう。

⏰:09/12/10 22:59 📱:SH06A3 🆔:OT8tecr2


#363 [のの子]
 
「あっつい‥」

クーラーをつけると早速ベッドに飛び込む。

だって部屋を片付けだしたら止まらないもんね。


‥彰君も今、緊張してんのかな?


‥‥‥

私は起き上がると静かな部屋を見渡す。

「まこ姉‥」
.

⏰:09/12/11 00:29 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#364 [のの子]
 
「彰君とね、今日これから会うの。」

部屋には私の声と微かなクーラーの機械音しか聞こえない。

「すごい緊張してるんだ‥緊張して恐くて手が震えちゃいそう。」

苦笑いしながら私は立ち上がると、棚にある写真立てを手にとる。

「でも‥逃げないよ?」

写真には仲良く三姉妹が笑っていた。

真ん中でまこ姉が笑っている。

⏰:09/12/11 00:37 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#365 [のの子]
 

―――― 13:07


「行ってきまぁす。」

私は黒いフリルのついた日傘をさして家を出た。

真夏の暑い日差しから守られた私は、ほんの少し涼しさを感じながら歩く。


一歩一歩、

この道の先にいる彼との距離が縮んでいくと

私の心臓も一つ一つ、

大きく締め付ける。

私の耳には蝉の音よりも
心臓の音がうるさく響く。
.

⏰:09/12/11 20:19 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#366 [のの子]
 
彼との待ち合わせは小さな公園。

学校へ行く時、竜二君と待ち合わせ場所にしていた公園だ。


ドクン ドクン ドクン

大丈夫‥大丈夫‥

心の中で何度も唱える。


「お姉ちゃん待ってよぉ〜!」

っ!

「ほらっ早く来ないと置いてっちゃうぞ!」

小さな姉妹が私の横を元気よく走り去る姿を見て思わず振り返る。

姉の手を握って一生懸命走ってく後ろ姿は、小さい頃の私とそっくりだ。

「まこ姉‥‥」
.

⏰:09/12/11 20:27 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#367 [のの子]
 
――――――

『まこ姉、私足遅いから運動会出たくない‥』

小学低学年の頃、運動会の50b走に出たくないとまこ姉に相談した事があった。

『えぇっ別に足遅くたっていいじゃん。』

『やだよっ‥ビリ恥ずかしいもん。』

『恥ずかしいって‥なんで?』

まこ姉が私と目線を合わせるようにしゃがみ込む。

『‥だってバカにされるもんっ。』

『誰もバカにしないよ〜。そんな奴いたら私がぶっ飛ばしてやるから。』

まこ姉が笑って私の頭を撫でる。
.

⏰:09/12/11 20:35 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#368 [のの子]
 
『でも‥やっぱ嫌だ‥』

『しょうがないなぁ。』

まこ姉は困った顔をしながら笑う。


運動会当日。

結局50b走に出なきゃいけなかった私は周りで笑う友達とは違って俯いていた。

どうせビリなのに‥

そう思いながらあっという間に私の番が来た。

『ヨーイッ‥』

パァン!!
.

⏰:09/12/11 20:53 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#369 [のの子]
 
案の定私は他の子の背中を追いかける。

やっぱり‥

走りながら目線が段々下に落ちていく。

『聡美っ!!』
グイッ

『うわぁっ!‥まこ姉!?』

まこ姉が笑いながら私の手を握って走り出す。

運動神経の良いまこ姉にグイグイ引っ張られ、私はいつの間にかまこ姉の背中だけを追いかけていた。

⏰:09/12/11 20:58 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#370 [のの子]
 
『あはははっあっという間に一位〜♪ほらっ行ってこい!』

まこ姉が私の手を離すと、私はそのまま走りつづける。

『ハァッハァッ‥』

パァンッ!

私は一番最初にテープを切った。


‥もちろんこれは無し。
結局私は時間もないからって事でビリにされた。

後々まこ姉は先生やお母さんから怒られるし、

私も皆にズルイって言われたけど、羨ましいって言ってくれる子もたくさんいた。

⏰:09/12/11 21:08 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


#371 [のの子]
 
『お姉ちゃんかっこよかったよぉ!』

『すっごい早かったもん!あんなお姉ちゃんいて羨ましいなぁ。』


まこ姉にその事を話すと

『でもせっかく一位になったのにビリになっちゃったのは私のせいじゃん。ごめんね?』

まこ姉はそう言って私の頭を撫でてくれた。

確かにズルをしたけど、私が一位になれたのはあれが最初で最後。
.

⏰:09/12/11 21:14 📱:SH06A3 🆔:674JS7fg


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