ピンクな気分。U
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#51 [のの子]
 
「うん。」

またほっぺをを赤くする聡美が憎たらしい。

竜二が初めてって事はこいつ‥

「へぇ‥じゃ竜二とキスした?」

「ふぇっ??!なな何急にっ!」

ピンクだった頬がどんどん真っ赤になる。

「キス。したの?」

俺は頬杖をつきながら普通に聡美を見つめる。
.

⏰:09/10/16 20:12 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#52 [のの子]
 
「おっ教えるわけないじゃんっ!エッチ!」

フンッとそっぽを向く聡美。

ふ〜ん‥したんだ。
ってかこれぐらいでエッチはないだろ。

それに聡美の反応見てれば誰だってわかるし。

「じゃ一応もうキスは済ましたとして〜‥次は何すんのかねぇ?」

聡美がピクッとすると顔が段々俯いていく。

‥まだキスだけか。
.

⏰:09/10/16 20:17 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#53 [のの子]
 
でもこいつの初めては全部竜二なんだろうな‥

そんな目でそっぽを向いたままの聡美を見つめる。

イラッ

‥‥なんかムカつく。

キシッ

気づかれないようにゆっくりと聡美の後ろに近づいてく。

「初めては大事にしなね、聡美ちゃん?」

聡美の肩を掴み耳元で小さな低い声で呟く。

ビクッ!

「やっっ‥‥!」
.

⏰:09/10/16 20:25 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#54 [のの子]
 

チュッ‥‥‥‥


「‥っ!‥‥‥」

顔を真っ赤にしながら唇を隠す聡美とは逆に俺の唇は笑う。

「うわぁー‥何?セカンドキスは竜二じゃなくて俺が良かったの?」

俺と聡美の距離はもう30aもない。

「ちがっ!い今のは‥事故だもん。」

目をそらす聡美を俺は冷静な目で見つめる。

「事故って言ってもキスじゃん、今の。」
.

⏰:09/10/16 20:38 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#55 [のの子]
 
俺の声に驚いて振り返ってきた聡美の唇と俺の唇は、上手い具合に重なった。

「違う?」

聡美は混乱してるのか何も言い返してこない。

そんな聡美を見て俺は、今もまだ唇を隠す手を掴んでゆっくりおろす。

微かに震えている手には力なんてなかった。

「下に竜二いんのに他の男とキスするなんて‥最低な彼女。」

「そっそんな‥だって今のは‥」

涙目になる聡美。

別に泣かしたかったわけじゃないし、泣いてほしくもなかった。
.

⏰:09/10/16 20:49 📱:SH06A3 🆔:Yv7.jsPw


#56 [のの子]
 
俺の汚い手で汚すつもりもなかった。

ただ、竜二の色に染まっていくなら俺の手で汚してしまおう‥そんな考えが聡美を掴んだんだ。


「なんでっ‥こんなひどい事‥‥」

俺の目を見ない聡美。


「好きだから‥」



.

⏰:09/10/17 20:12 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#57 [のの子]
 


「‥‥えっ?」


聡美が俺の目を見つめた瞬間、聡美の目から涙がこぼれる。

ギシッ

竜二だろうか。階段をゆっくりと上って来る音が聞こえてきた。

それでもまだ見つめ合う俺達二人だけの時間は、もう終わる。

ギシッ

階段を上ってくる音はカウントダウン。

ギシッ
.

⏰:09/10/17 20:21 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#58 [のの子]
 

今日、本当に二人だけで会っていたらどうなっていたんだろう。

ふっと考える。


グイッ

これが最後だから‥

聡美の肩を引っ張り優しく抱きしめる。


「うそだよ。ごめん‥お前は竜二の彼女だ。」



「あきらくっ

.

⏰:09/10/17 20:24 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#59 [のの子]
 
ガチャッ

「お待たせ。」

竜二がケーキを持ってドアを開ける。

俺と聡美の距離はさっきまでと同じに戻っていた。

「ん〜‥何ケーキ?」

「今日はチーズケーキ。聡美チーズ大丈夫?」

「えっ‥あっうん、チーズケーキ大好き。」

そっか、と笑う竜二とは逆に聡美は目を伏せる。

バレたいのかよ、バカ‥


.

⏰:09/10/17 20:31 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#60 [のの子]
 
俺は平然を装うように聡美を無視した。

でも竜二が気づいてるのか気になって俺も自然と目を伏せた。

おばさんの手作りケーキを一口食べるとなんだか落ち着く。

やっぱ上手いなぁ‥


「なんかあった?」

「はっ‥何が?」

「二人‥なんか変だよ。」

竜二がチーズケーキを食べながら笑う。

その笑い方はまるで何もかもお見通しのような余裕さを感じた。

.

⏰:09/10/17 20:40 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#61 [のの子]
 
「別に何もないけど。」

俺はフォークの先を見つめて言う。

「そう。じゃ聡美は何かあった?」

「ぇっ‥」

聡美を見ないようにしていた俺もつい聡美に目がいく。

「何もないよ?それよりチーズケーキ美味しい。」

そう言って笑う聡美の目はいつも見たく笑えてない。

「‥‥ありがとう。母さん料理教室の先生なんだよ。」

「そうなんだ!すごぉい。」
.

⏰:09/10/17 20:48 📱:SH06A3 🆔:DD4V5KJo


#62 [のの子]
 
竜二は笑いながらそんな事ないよ、と言うとケーキを口に運ぶ。

聡美も笑いながらケーキを食べる。

‥まるで仮面をかぶってるみたいだな。

今の二人を見てるとそうとしか見えなかった。


「俺さぁ‥」

この空間に耐えられなくなった。

聡美はピクッと肩を揺らすと俺をじっと見つめてきた。

竜二は目をふせたまま‥
.

⏰:09/10/21 14:22 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#63 [のの子]
 

「用事思い出したから帰るわ。」


まだチーズケーキが半分も残っているのが名残惜しかったけど、もう無理。

ここから逃げ出したい。

二人を見ていると、自分のした事の罪の重さが伝わってくる。

‥恐かった。

二人を傷つけた事も、失う事も、恐くて見てられなかったんだ。

バッグを手に俺は竜二の部屋を出る。
.

⏰:09/10/21 14:28 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#64 [のの子]
 
気持ちは焦るがゆっくり落ち着きながら階段を下りていく。

「あれっ彰君もう帰るの?」

キッチンにいたおばさんが顔をだしてきた。

「これから用事あって。久しぶりのおばさんのケーキ美味しかったですよ。」

そう笑うとおばさんもふふっと笑う。

「はいっこれ♪」

「なんすか、これ?」

おばさんがくれたのは小さな白い箱。

「チーズケーキ♪祐輔君の分もあるから家食べて?」.

⏰:09/10/21 14:34 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#65 [のの子]
 
「あぁ〜なんかすみません。」

「いいえ〜♪気をつけてね。」

おばさんに見送られながら俺は西岡家を出た。



「はぁ〜〜〜っ‥」

誰かん家の木でできた影に入ると壁に寄り掛かる。

あの重い空気。
あの仮面みたいな笑顔。

竜二‥感づいてる。

⏰:09/10/21 14:38 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#66 [のの子]
 
「ってかマジで何してんだよ、俺‥」

二人にイラついて
聡美にキスして
聡美に好きって言って


「俺が好きなのはあいつだって言ってんのに‥なんでっ‥‥なんでだよクソッ!!」

うずくまるように地面に座る。


なんで なんで

「なんでいなくなっちゃったんだよ、真琴‥」

.

⏰:09/10/21 14:43 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#67 [のの子]
聡美Side

「彰君‥本当に帰っちゃった。」

「うん。」

彰君を引き止める事も、さよならも言わないまま出てってしまった。

美味しいチーズケーキを半分も残して‥

さっきの事気にしてるのかな。

ってそりゃ気にしてもらわなきゃ納得行かない!

けど‥
.

⏰:09/10/21 19:01 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#68 [のの子]
 

『好きだから』

その言葉が今も私の胸を鳴らし続ける。

ドクン  ドクン

彰君の茶色い髪の毛が外の光で明るく見えたあの時、彼の言葉と瞳が私の何かを掴んだ。


ってコラコラッ!
何考えてんの私っ!!

私が好きなのは竜二君だもん。

竜二君だけだもんっ。
.

⏰:09/10/21 19:07 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#69 [のの子]
 
彰君を気にしちゃってるのはあの事があったからで、やましい気持ち一切ないんだからっ!
ぜった
「何考えてるの?」

「っっ!」

竜二君が私の手を掴んだ。

ビックリしたぁ。

「今何考えてたの?」

「えっ別に何も‥」

ギュッと掴んだ手はうっすら痛く感じる。

「本当かな?彰じゃない?今聡美のここにいるの。」

竜二君が頭を人差し指でコツコツと叩く。
.

⏰:09/10/21 19:12 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#70 [のの子]
 
「そっそんな事ない‥手‥痛いよ。離して?」

竜二君の言ってた事は半分以上は合ってる。

図星に近い。

でも私の中には竜二君だっているんだ。

「‥竜二君っ‥‥」

冷たい目で私を見つめる竜二君は黙ったまま手を離さない。

「この手を離したら彰ん所にでも行くの‥?」

ドクン ドクン
.

⏰:09/10/21 22:12 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#71 [のの子]
 
「俺を残して行くの?」

ドクン ドクン

竜二君の手にグッと力が入ると、私の心臓も捕まれたかのように締め付けられる。

痛っ‥

「行かないってばぁ‥」

俯いた私から涙がこぼれる。

こんなに‥

こんなに近くて私の手を握り締めているのに

私の隣にいた竜二君はいなくなっていく。

竜二君の目は今までで一番冷たくて悲しげで‥

もう私なんか見てない。


「俺、嘘つきは嫌い。」


.

⏰:09/10/21 22:28 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#72 [のの子]
竜二Side

守りたくて離したくなくて

しっかり掴んでいた手を

今、ここで俺から離すよ。

悲しくて辛くて苦しい。

でも君の為に。

彼の為に。

彼女の為に。

俺は大好きな君の前からいなくなる。
.

⏰:09/10/21 22:40 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#73 [のの子]
 
二人を守りたかったし

幸せになってほしかった。

ドアの前で聞いた彼の小さな言葉。

『好きだから』

その言葉を聞いてわかった。

二人を想うなら俺がいなくなればいいんだって‥

簡単な事だった。

こんな簡単な事なんで気付かなかったんだろう。

なんてね‥
本当は気づきたくなかったんだ。
.

⏰:09/10/21 22:49 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#74 [のの子]
 
わかってた。

わかってたんだけどどうしても離したくなかった。

あまりにも君が

愛くるしくて

愛しくて

‥本当に愛してた。


でも俺が手を離しても
君の手を彼がすぐ掴まえるよ。

大丈夫。
.

⏰:09/10/21 22:54 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#75 [のの子]
 

だから  



だから‥



‥‥‥‥だから



さよなら。




.

⏰:09/10/21 22:57 📱:SH06A3 🆔:.AlQ1Whc


#76 [のの子]
 

「俺、嘘つきは嫌い。」


うん。
こんな嘘ついて君を傷つける俺なんて大嫌い。


「っ!‥竜二くっ
「もういいから。もう終わりにしよう‥『聡美ちゃん』ばいばい。」


こんな俺を大嫌いになって。

忘れて。

幸せになって。

.

⏰:09/10/22 01:35 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#77 [のの子]
 
「やだ‥やだやだやだっ!なんで?なんで急にそん
「そこまで好きじゃなかった。冷めたの。わかる?」

俺は端に置いてあったプリントを手にとると、自分の分だけ抜く。

「はい。もう帰って。」

プリントを聡美に渡す。

「怒ってるの?謝るから‥だからっ‥」

俯いて涙を流す聡美はプリントをなかなか受け取ろうとしない。
.

⏰:09/10/22 10:59 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#78 [のの子]
 
今すぐ抱きしめて、その涙を止めたい衝動を押さえる。

「怒ってないよ?ただ俺ら終わりにしようって言ってんの。こういうのもう飽きたし、冷めた。」

クシャッ

聡美の手に無理矢理プリントを渡すと、プリントか聡美の心の音なのか‥潰されるような音が聞こえた。

「終わりって‥‥別れ‥るの‥?」

「そうだよ。」

「きっ昨日‥まであん‥な笑って‥笑ってたの、に?」
.

⏰:09/10/22 11:09 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#79 [のの子]
 
「そうだよ。」

「な‥んで‥‥っ‥‥」

ポロッと落ちた涙がプリントに染みを作る。

「恋愛ってこういうもんなんだよ。‥呆気ないもんなんだよ。」

大丈夫。

君なら大丈夫だから。

俺がいなくても大丈夫。
.

⏰:09/10/22 11:12 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#80 [のの子]
 
だから

「さよなら。」

聡美が立ち上がって俺の横を小走りで去っていく。

その姿がスローモーションに見えて、手を伸ばせばすぐ捕まえられる‥
そう思ったら振り返らずにはいられなかった。

バタンッ

でも目の前でドアが閉じると我にかえる。

ミーンミーン

うるさい蝉の声が部屋に響く。

⏰:09/10/22 19:32 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#81 [のの子]
 
「竜二っ?聡美ちゃん帰っちゃったけどいいの〜?」

母さんの声が下から聞こえたけど、俺は返事をしなかった。

「さ‥とみ‥」

今もまだドアを見つめたまま固まる俺。

これで良かったんだ。

これで、君も彼も

幸せに  幸せに‥

‥‥‥‥


「俺の手で‥幸せにしたかったなぁ‥」


ベッドに倒れこむようにねっころがる。

聡美、さよなら。
.

⏰:09/10/22 19:38 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#82 [のの子]
聡美Side

ドンッ

「‥‥いった‥っ‥」

こけた。

めっちゃ走ってたらこけました。

高2にもなってこけました。

高2になって初めての彼氏に振られました。

痛いです。

痛くて痛くて

涙が止まりません。
.

⏰:09/10/22 19:42 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#83 [のの子]
 
「‥‥っ‥なんで‥」

何これ

知らない

こんな気持ち知らない

悲しくて寂しくて辛くてムカついて‥‥痛い。


「痛い‥痛い痛い痛い痛いっ。」

もう立ち上がれない。

竜二君がいなきゃダメなのに‥

なんでっ なんで

.

⏰:09/10/22 19:45 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#84 [のの子]
 
 
「そこの君、どこが痛いのよ?」

っ?


ボロボロの私に声をかけてきたのは、金に近い髪の毛が似合うお兄さん。

あれ‥?どこかで見た事ある?

「ん?ほらっお兄さんに言ってみなさい。」

そう言って笑うとお兄さんのほっぺに笑窪ができた。

「っ?‥昇さん?」
.

⏰:09/10/22 22:23 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#85 [のの子]
 
「あれまっ‥俺の事知ってんの?」

道の真ん中で座り込んで首を傾げながら笑うお兄さんは、間違いなく昇さんだ。

「ん〜‥でも君誰だっけ?ってかメイクも落ちてるしボロボロだしわかんないっ!」

笑ってたかと思うとふんっとそっぽを向く自由な感じ‥

懐かしい。

「あっ‥私‥聡美です。『さとちゃん』です。」

自分で『さとちゃん』なんて言うのも恥ずかしい。

「さとちゃん‥?」
.

⏰:09/10/22 22:29 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#86 [のの子]
 
いつの間にか止まった涙の跡を拭ってちゃんと顔をあげる。

じっと昇さんは私を見る。



「‥‥えぇっっ!!あの『さとちゃん』っ?」

「はい‥お久しぶりです。」

覚えててくれた‥

「えっ全然わかんなかった!綺麗に‥いやっなんか凄まじくボロボロだね。」
.

⏰:09/10/22 22:32 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#87 [のの子]
 
「すみません‥」

身も心もボロボロです‥

苦笑いする私を見て昇さんは優しく笑う。

「‥でも元気そうで良かった。久しぶりだね。」

「はい。昇さんもお元気そうで‥」

二人にしかわからない優しくて寂しい空気が流れる。

スッと昇さんが右手を出す。

「おいで。そのままじゃ帰れないっしょ?」

「そんな‥久しぶりなのに悪いです。」
.

⏰:09/10/22 22:39 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#88 [のの子]
 
「いや‥久しぶりにあってこんなボロボロなさとちゃんほったらかすのも気が引けるし。それにさっきまで大声で泣いてたじゃん。」

ほっとけないよ、と私の手をとるとゆっくり立ち上がらせてくれた。

「まっそんな詳しくは聞かないから甘えなさいって。」

そう言って私の肩をしっかり掴んでくれた。


‥‥‥

‥‥‥‥‥


「‥昇さん‥ありがとうございます‥」

⏰:09/10/22 22:44 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#89 [のの子]
 
膝が擦りむけてうっすら血がでているのをじっと見つめながら、私は昇さんについていった。


――――――


「はいっじゃメットかぶってねぇ。」

連れて来られたのは駅近くの駐輪場。

目の前には大きな黒いバイク。

「このバイク‥懐かしい。」

「よく乗っけてたからねぇ。ってかさとちゃん乙女だし聞くけど‥マジで俺ん家でいい?」

真剣な目で私を見つめる昇さん。

「‥‥はい。」

「‥お兄さんも男だけど絶対何もしないから安心して。」

「‥ぷっ‥はい。」

.

⏰:09/10/22 22:55 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#90 [のの子]
 
「笑わなーい。」

私のメットをコツンと叩くと、昇さんは先に私を後ろに座らせた。

「じゃ出発しまぁす♪」

ブロロロロロッ

低いエンジン音が響くと、何人かの通行人がビクッとこっちを見てきた。

昇さんは気づいていないのか気にしないでバイクを走らせる。

「のっ昇さん‥まだ‥やってるんで‥すか?」

「えぇ〜?なぁに〜?」
.

⏰:09/10/22 23:10 📱:SH06A3 🆔:uwLS1etM


#91 [のの子]
 
風を切る音とエンジンの音で普通の声の大きさじゃ聞き取りづらいのをすっかり忘れていた。

「あっ‥えっと〜‥まだやってるんですかぁ?」

さっきまで泣いてたせいか、喉が痛いのを我慢して大きな声を出す。

「何を〜?」

昇さんは軽く私の方を見る。

「総長ですよぉ!」

「あははっうん、まだ現役でやってるー♪」

昇さんが笑うと襟足がくるっとはねて揺れる。
.

⏰:09/10/23 00:03 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#92 [のの子]
 
「でも俺これでも大学生〜♪」

「えっ!大学行ってるんですかっ?」

「うん。全く、本当学業と両立すんの大変だよねー。俺にはやっぱキツイわぁ。」

あははっと笑う昇さんに私もクスッと笑う。

「でも毎日充実しているよ。」

そう言った昇さんな背中からはどこか寂しげに見えた。

.

⏰:09/10/23 01:13 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#93 [のの子]
 
「私も‥もう高2になりましたっ。」

「高2ぃっ?!うわぁ‥なんか時間過ぎんのマジ早いねぇ。」

「‥はい。本当に‥」

それから二人共黙ったまま、生温い強い風の音とエンジンの音だけが響く。


――――――― 

「はぁい。到着っ!」

バイクが止まったのは小さな茶色いアパート。

メットを外そうとすると昇さんが外してくれた。

「あっごめん。お兄さんぶっちゃった。」

照れ笑いをしながらメットを置くと、私の手を握って一階の端から二番目の部屋に向かう。
.

⏰:09/10/23 01:33 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#94 [のの子]
 
前から一人暮らしだった昇さん。

「懐かしいです‥」

「また懐かしいって‥おばぁちゃんじゃないんだから。せめて心ん中で思ってくださぁい。」

ガチャ

ドアが開くと昇さんは先に私を中に入れてくれた。

「んじゃとりあえず風呂入ろっか。

中に入ると大学の教科書とプリントらしき物が重なっているのが見えた。

「どこの大学に行ってるんですか?」

「ん〜?‥灘崎大学。あいつが行きたがってたとこ。」

.

⏰:09/10/23 18:56 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#95 [のの子]
 
灘崎大学は、この辺じゃ良い所の大学だ。

「うわぁ‥すごい。」

「めちゃくちゃ頑張ったからねー。今の俺頭いいよぉ?」

ははっと笑う昇さんがクローゼットからTシャツとジャージを出してきた。

「ほれっ着替え。行ってきんしゃーい♪」

肩を押されてお風呂場に入ると、居間の方からテレビの音が聞こえてきた。


スルッ‥‥

服を脱いでから初めて鏡を見ると思っていたより擦りむいたり小さな痣があった。

⏰:09/10/23 19:04 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#96 [のの子]
 
それにしても

「本当ボロボロ‥」

鏡に映る私の目は赤いのに、目の回りやほっぺは所々化粧で黒くなっていた。

カチャ

シャーーッ

熱いシャワーで一気に浴室は湯気に包まれていく。

私はシャワーを頭から浴びる。

「 ‥‥‥‥‥‥ 」

擦りむいた所がチクチク痛む。
.

⏰:09/10/23 19:10 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#97 [のの子]
 



『冷めた』



『終わりにしよう』



『さよなら』




.

⏰:09/10/23 19:12 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#98 [のの子]
 

シャーーッ


「‥ッ‥‥‥ック‥‥嫌だぁ‥‥ッ‥」

膝を抱え込むように座りこむ。


『もし俺が別れようって言ったらどうする?』

『泣いて泣いて、空っぽになるよ』


…空っぽになる。

空っぽになっていくのを

感じる。
.

⏰:09/10/23 19:33 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#99 [のの子]
 

「‥りゅっじく‥ッ…‥」

シャーーッ

居間からのテレビの音とシャワーの音に隠れて私は泣きつづけた。


――――――

「おっ!お帰り〜。」

「あっお風呂ありがとうございました。」

.

⏰:09/10/23 19:54 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


#100 [のの子]
 
結局メイクを落とすのにも時間がかかって1時間も入っていた。

「いいえ〜。ってかスッピンになるとやっぱさとちゃんだねぇ。」

「はははっ‥」

部屋にある時計に目をやるともう6時を過ぎているのに気づく。

「ちょっとゆっくりしてきな?バイクで送るし。」

「‥はい。」
.

⏰:09/10/23 22:39 📱:SH06A3 🆔:LIBWp1MQ


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