― 短編箱 ―
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#143 [栢]
「先は長くない‥。
死別はきっと
何よりも残酷でしょうから‥」
亜季子を想っての事であった
自分の最期を知ってから
何度も何度も考えたのだ
「私は‥決めたのです
死ぬまで虎太郎さんについて行くと
こころに誓ったのです‥
最期まであなたを‥」
小さく肩を震わせて
泣いているのか亜季子‥?
:09/10/20 22:22 :D905i :vOnJO0u6
#144 [栢]
「死に際など
見られたくはないのですよ
‥格好つきませんからね」
最期くらい
格好付けたかったのだ。
このように室内にいては
格好いいことなど見せられたことがない
亜季子には幸せになってほしい
まだ若くお美しい
10も離れた僕でなく
もっと素敵な人と‥
:09/10/20 22:29 :D905i :vOnJO0u6
#145 [栢]
枯れ葉がまた一枚
ひらり、
「虎太郎さん。
私は‥覚悟してきたのです
10も離れた貴方とでは
世間からの目は冷ややかです。
―‥ ですが、恋人として
何時かは妻として‥
貴方を支えようと強くなったつもりです。
貴方に肩を貸すために
涙を流さず生きて参りました。
私は‥頼りのない女でしょうか‥?」
:09/10/20 22:36 :D905i :vOnJO0u6
#146 [栢]
ぽたぽたと雫が落ちる
強き彼女が初めて泣いた
「亜季子‥」
ふわりと優しい香りが漂う。
ぎゅっと肩を抱き寄せた
小さな亜季子の肩は
以前よりも小さくなったように思えた
「どうしてです‥?どうして‥」
布に雫が染み渡る
確かに彼女は泣いていた
:09/10/20 22:43 :D905i :vOnJO0u6
#147 [栢]
「―‥亜季子!」
彼女を突き放すように
低く冷たく言いはなってしまった
唇を血が滲むまで噛んで
赤い目を擦った。
「‥虎太郎さん、
お待ちしております。必ず‥」
枯れ葉がまた一枚、また一枚
ひらり、ひらり
秋が終わる
:09/10/20 22:51 :D905i :vOnJO0u6
#148 [栢]
亜季子が来なくなった病室には
あの日のままに
枯れたままに残されている
生気をなくした金木犀。
何より残酷だったのは
この僕だったと、
やっと悟るのだった。
亜季子が死んだ。
:09/10/20 22:54 :D905i :vOnJO0u6
#149 [栢]
不慮の事故だと聞いた。
―‥自ら絶ったことなど
聞かずともわかっていた。
そうじゃない、
僕が‥殺したも同然か
亜季子‥ごめんよ
:09/10/20 22:56 :D905i :vOnJO0u6
#150 [栢]
亜季子‥
待っていてくれてるでしょうか
今すぐ貴女の元に
今すぐに‥肩を抱き寄せて
もう一度、その温もりを。
愛しき我が君。
気高き我が君‥
―‥枯れ葉がまた 、ひらり。
:09/10/20 23:00 :D905i :vOnJO0u6
#151 [栢]
>>136-151
金木犀の花言葉?は
「気高き人」らしいです ^^*
いろいろと表現が遠まわしすぎて
伝わりにくくなってしまいました×
ちょっとシリアスに
だけど純粋な昔ながらの女性が書きたくて
なんとなく昔風な丁寧語。笑
話の内容いまいちわからなかったら
聞いてください(´・ω・`)!
:09/10/20 23:05 :D905i :vOnJO0u6
#152 [栢]
:09/10/20 23:19 :D905i :vOnJO0u6
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