― 短編箱 ―
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#1 [栢]
:09/10/01 17:19 :D905i :N3I8OBHs
#2 [栢]
君の、 匂い。
_
:09/10/01 17:23 :D905i :N3I8OBHs
#3 [栢]
「太一の匂いだぁ‥」
にこにこしながら
俺を見上げたのは
あと少しで
付き合って2年になる彼女。
俺の胸元に鼻を押し当てて
犬みたいに
くんくんと匂いをかぐ
改めて
小さいんだなぁと思う。
:09/10/01 17:31 :D905i :N3I8OBHs
#4 [栢]
彼女は匂いフェチなのか
なんなのか‥
よくわかんないけど
こうするのが好きだった。
俺もなんとなく、
こうされるのが好きだった。
だだ、それだけ
:09/10/02 15:47 :D905i :xQZDlkoQ
#5 [栢]
「太一もドキドキするんだね」
そのたびに言われたもんだ。
そりゃぁ、するよ と言う答えに
満足そうに笑う彼女。
そして今日も
「太一もドキドキするんだね」
お決まりのセリフを言われた。
:09/10/02 15:50 :D905i :xQZDlkoQ
#6 [栢]
だけど、なんとなく今日は
お決まりの答えを
返す気分じゃなかったから
「なんでいつも聞くの?」
自分の中の
ちょっとした疑問をぶつけてみる
その答えが
不安げな顔と共に返ってきたもんだから
俺は少し戸惑ってしまうのだ。
:09/10/02 15:53 :D905i :xQZDlkoQ
#7 [栢]
「あたしのこと好きなのかなぁって思って」
女の子ってわからない。
好きだから付き合ってるのに
なんでそんなことを思うんだろう
いつだって俺は
彼女中心なフリをして‥
何ひとつわかっちゃいなかった。
ここで一言言ってあげるべきなのに‥
:09/10/02 15:57 :D905i :xQZDlkoQ
#8 [栢]
彼女の腕に
力が入るのがわかる。
その言葉を待っていたんだろう
ただ"好きだよ"と
言われたかったんだろう。
期待に応えられなかった俺。
情けない男だ
:09/10/02 15:59 :D905i :xQZDlkoQ
#9 [栢]
「太一、
好きって言ってくれたことない」
ふてくされたような
今にも泣き出しそうな
そんな声で言われちゃあ‥
グサッと棘がささる。
女の子ってわからない
:09/10/02 16:02 :D905i :xQZDlkoQ
#10 [栢]
なんで?
あたしのこと好きじゃない?
俺に問い詰める声が
だんだんと小さく
だんだんと安定感をなくしていく
2年間も不安にさせていたんだと
ここでやっと気づいたのだ。
だけど
女の子ってわからない
言わなきゃだめ?
:09/10/02 16:05 :D905i :xQZDlkoQ
#11 [栢]
そして遂に
彼女は泣き出してしまった。
いつだって笑ってた彼女
時々落ち込んだり、怒ったりはしたけど
俺の前で泣いたことはなかったのに
今目の前で泣いている彼女を
どうするべきなのか
わからなかった
本当に情けない男
:09/10/02 16:15 :D905i :xQZDlkoQ
#12 [栢]
どうしても
言ってやれなかった。
気持ちは確かなのに
言葉にすることを拒む口
この気持ちを
たった二文字で表すことを
惜しく思ってて、
今まで言葉にできなかったんだけど‥
:09/10/02 16:21 :D905i :xQZDlkoQ
#13 [栢]
黙り込む俺を見かねてか
「わかった」
と小さく呟いて
俺を抱きしめる手を話した。
そのまま言ってやればよかったのに
好きじゃ伝わりきらないって
言ってやればよかったのに、
‥情けない男は彼女を失った
:09/10/02 16:24 :D905i :xQZDlkoQ
#14 [栢]
あれから5年が経つ
「女の子ってわからんないよ」
「好きって言って欲しいのよ。
ただ言葉にしてもらえるだけで
安心するものなの」
「好きなんかじゃ足りない場合だって
あるんだからな?」
そんな口論は日常になった。
:09/10/02 16:28 :D905i :xQZDlkoQ
#15 [栢]
未だに好きだと言わない俺に
彼女はすでに呆れ
情けなく頑固な俺を受け入れてくれた
「太一の匂いだぁ
太一もドキドキするんだね」
相変わらずそんなことを言われる
そんな「‥好きだよ」と
俺は初めて言って見せた
:09/10/02 16:36 :D905i :xQZDlkoQ
#16 [栢]
彼女は驚いたようにぽかんとした
そりゃあそうだ。
7年経ってやっとだもんな
しかし彼女は
くすりと笑ってこう言うのだ。
「‥好きって言われるより、
あなたの匂いを感じてたほうが
よっぽど安心するみたい」
つられて俺も笑ってしまった。
そして、いつものように
抱き合って眠りについた。
:09/10/02 16:40 :D905i :xQZDlkoQ
#17 [栢]
>>2-16「君の、匂い。」
なんかよくわかんない第一作目
男の子と女の子の
典型的な考えの違いを
書いてみました(´・ω・`)
中途半端な終わりかたですね×
:09/10/02 16:59 :D905i :xQZDlkoQ
#18 [栢]
一番じゃなくても
_
:09/10/02 17:00 :D905i :xQZDlkoQ
#19 [栢]
好きな人に振られました。
もう一年も前の話だけど
忘れられずにいるのです。
:09/10/02 17:03 :D905i :xQZDlkoQ
#20 [栢]
高校も別々になってしまって
もう1年と半年が経ちました。
好きになって2年が経ちました。
あなたは変わらず
私の好きなあなたでいますか?
それとも、
変わってしまいましたか?
そんなことすらわからずに、
一度も会えずにいたのです。
:09/10/02 17:06 :D905i :xQZDlkoQ
#21 [栢]
会えないのに
どうしてこんなに好きなのでしょう。
会えないから、
どんどん好きになっていくのです。
会いたい気持ちが日に日に増して
時々寂しくなることでさえも
愛おしく感じています。
:09/10/02 17:08 :D905i :xQZDlkoQ
#22 [栢]
ただただ
なんの刺激もなく過ぎて行く日々に
飽き飽きしてしまいそうでした。
あの日あなたが言った
"一度の友達"と言う言葉に
私は涙を流しましたが、
今はもう一度
そんなことを言われてもいいから
会いたいと思ってしまうのです。
:09/10/02 17:13 :D905i :xQZDlkoQ
#23 [栢]
そして2年前に
大好きなあなたが祝ってくれた、
私の誕生日が
秋の澄んだ冷たい空気と共に
やってきました。
誕生日だから何があるとか
そんな期待はもうしなくなり、
いつもと変わらない帰り道を
ひとりとぼとぼと歩くのでした。
:09/10/02 17:19 :D905i :xQZDlkoQ
#24 [栢]
ついに、想いすぎて
幻聴が聞こえるようになってしまいました。
私のことを呼ぶ
あなたの声が聞こえてしまいました。
末期症状のようですね。
気のせいだと確信していましたが
振り向いてしまいたくなりました。
:09/10/02 17:25 :D905i :xQZDlkoQ
#25 [栢]
だけど、ここで振り向いて
あなたがいないことを目にしたら
あなたのことを
忘れなければならないような
そんな気がしたのです。
:09/10/02 17:26 :D905i :xQZDlkoQ
#26 [栢]
好きでいることが
苦ではなかったので、
振り向きはしませんでした。
付き合いたいわけじゃなくて
ただあなたを見ていたいのです。
ただあなたを想っていたいのです。
おかしいことでしょうか?
:09/10/02 17:29 :D905i :xQZDlkoQ
#27 [栢]
トントンと
右の肩を叩かれた気がして
無意識に振り向いてしまいました。
幻覚が見えてしまったのです。
あの時から
何ひとつ変わらない
あなたが見えてしまったのです。
もう私はどうかしていますね
:09/10/02 17:32 :D905i :xQZDlkoQ
#28 [栢]
「久しぶり」
現実なのだと気付きましたが
久しぶりに会ったものだから
実際に目の前にすると
心臓が破裂してしまいそうで、
「もしかして、忘れちゃった?」
不安そうに
私の顔を覗き込むあなたに
大きく頭を横に振って見せました。
夢のようです。
:09/10/02 17:36 :D905i :xQZDlkoQ
#29 [栢]
「同じ駅で同じ町なのに
全く会わないとか
ある意味すごいよね」
あの時と変わらない
無邪気な笑顔を見せて
私の横を歩くあなた。
涙が出そうなくらいうれしくて
言葉がぎこちなくなりました。
:09/10/02 17:40 :D905i :xQZDlkoQ
#30 [栢]
「あ、
誕生日おめでとうね」
覚えててくれたんだ‥
私のことなんて
忘れちゃったと思ってた。
ばいばいと手を振るあなたを
見えなくなるまで見届けて
嬉しくさが込み上げてきて
口元が緩んでしまうのです。
:09/10/02 17:45 :D905i :xQZDlkoQ
#31 [栢]
それから時間が合えば
一緒に帰るようになりました。
幸せすぎて
どうしよもありませんでした。
相変わらず
たわいもない話をして
私を笑顔にしてくれる
"友達"として接してくれるあなたは
やっぱり素敵な人なのです。
:09/10/02 17:48 :D905i :xQZDlkoQ
#32 [栢]
誕生日から
1ヶ月が経って
空気はさらに冷たくなり
吐息を白く染めるようになりました。
「今日公園寄っていかない?」
いつもより
たくさん話せると思うと
にやけてしまいそうで
あなたの顔をちゃんと見れませんでした
:09/10/02 17:53 :D905i :xQZDlkoQ
#33 [栢]
ベンチに座って
ふぅと真っ白な息を吐くあなたの隣に
少し距離を置いて座りました。
きっとあなたは
何かいつもとは違うことを話すために
ここに誘ったのでしょう。
だけど、
私は気持ちを押さえられませんでした。
:09/10/02 17:58 :D905i :xQZDlkoQ
#34 [栢]
「今、彼氏いるの?」
「いるわけないよ。
高校入ってから一人も‥」
そう言うと
あなたは驚きましたね。
「私ね、
別に付き合えなくてもいいやって思う。
付き合いたいから
好きでいるんじゃないし、」
私の今までの想いが
一気に溢れてきたのです。
:09/10/02 18:02 :D905i :xQZDlkoQ
#35 [栢]
「一番になりたくたって
なれない時だってあるでしょ?
無理に手に入れようとしたって
ただ辛いだけ。
一番になれないなら二番でいいの。
二番にもなれないなら
三番でもいい。」
あなたが私を
じっと見つめてるのがわかりました。
今にも涙がこぼれそうだったので
私は下を向きました。
:09/10/02 18:05 :D905i :xQZDlkoQ
#36 [栢]
もう一度告白するつもりなんて
なかったのですが‥
「だから今すごく幸せ。
友達だってかまわない。
彼女がいるなら見守るし
好きな人がいるなら応援するし
少しでもあたしのこと考えてくれてたら
それだけで幸せだし
今こうして話してくれるだけで
好きでいてよかったなって思う」
:09/10/02 18:10 :D905i :xQZDlkoQ
#37 [栢]
ぽたりと
涙が右の手の甲に落ちた瞬間に
一気に冬を通り越して
春がきてしまったかのような
優しいぬくもりを感じました。
「俺、お前じゃなきゃだめだ‥
振ってからずっと後悔してた。
ずっとお前のことしか、頭になくて
待たせてごめん。
二番でいいなんて言うなよ。」
あなたのぬくもりが
私を包み込みました。
:09/10/02 18:16 :D905i :xQZDlkoQ
#38 [栢]
「‥一番がいいよ。
ほんとは一番がいい‥」
「もう強がんなくていいよ。」
今まで自分が傷つかないために
自分を守るために
一番じゃなくていいと強がっていました。
そんな自分の隠れた思いに
私はやっと気づかされ、
あなたに強く優しく包まれて
今までで一番弱くなったのでした。
:09/10/02 18:22 :D905i :xQZDlkoQ
#39 [栢]
大切なあなたへ。
これからも、
あたしがずっと一番でいられるかは
わからないことですが
もしも一番でなくなってしまった時は
本当に本当に
二番になってもいいと思えます。
あなたは本当に素敵な人だから
それだけの価値がある人だから‥
だけど、
やっぱり一緒にいたいです。
毎日が幸せなのです。
ありがとう。大好きです。
:09/10/02 18:27 :D905i :xQZDlkoQ
#40 [栢]
>>2-16君の、匂い。
>>18-39一番じゃなくても
プチノンフィクションです ^^*
今の彼とのお話を元に
あの時のことを思い出しながら
書きました。
が
文章力に欠けててだめだめですね×
:09/10/02 18:30 :D905i :xQZDlkoQ
#41 [栢]
約束はしないよ。
_
:09/10/05 15:43 :D905i :C.j898XI
#42 [栢]
「どうして、男って約束破るの?」
泣きながら
そんなことを言う女がひとり。
「うーん‥」
複雑な気持ちに
答えを出せない男がひとり。
:09/10/05 15:47 :D905i :C.j898XI
#43 [栢]
「"ずっと一緒だよ"って言うくせに
すぐに他の子に行っちゃうじゃない。」
女は振られたのだ。
「うーん‥」
複雑な気持ちの男は
格好付けたかった。
:09/10/05 15:50 :D905i :C.j898XI
#44 [栢]
「最初から言わなきゃいいのに‥
なんのために約束してるの?」
振られたことが悔しかったのだ。
女は約束を果たすつもりだったから
「それはぁ‥」
下手に言葉にしてしまったら
反感を買ってしまうだろう。
:09/10/05 15:52 :D905i :C.j898XI
#45 [栢]
「結局その場しのぎなんでしょ?
誰にでもそんなこと言うのよ
もう男なんて信じない」
うつ伏して断言した女に
やっと口を開く。
:09/10/05 15:54 :D905i :C.j898XI
#46 [栢]
「その時は、
本当にそう思ってるんだよ
嘘ついてまで約束してるわけじゃないさ。
約束したときは
ずっと一緒にいたいって思ったんだよ。
破ったらそんなこと嘘になっちゃうけど
確かにその時は本気だったんだ。」
納得いかなそうに女は見つめる。
:09/10/05 15:57 :D905i :C.j898XI
#47 [栢]
「気持ちが変わってしまうなんて
誰にもわからないよ。
だから、仕方ないことなのさ。
約束した彼は素敵な人だ
ただ時間が邪魔をしただけ。」
男が優しく言葉をかけると
女はぶわっと泣き出した。
:09/10/05 16:00 :D905i :C.j898XI
#48 [栢]
「約束なんて、
ただの口約束なんだからさ
深く考えちゃいけないのさ。
安心するために縛りたいがために
みんなするんだから。
美しいものではないんだよ
夢をみちゃいけないよ。
夢を見ていたいなら
傷つくことを覚悟しなくちゃね」
:09/10/05 16:02 :D905i :C.j898XI
#49 [栢]
約束をして得るものは
身勝手な安心と束縛。
何もいい物なんて手に入らないから
約束なんて
しないほうが幸せでしょう。
だけど約束したくなるのは
絶え間ない不安が襲うから。
不安になんか勝てないでしょう
だから僕らは永遠を信じたくなる
:09/10/05 16:09 :D905i :C.j898XI
#50 [栢]
「永遠って信じる?」
「僕は信じるよ。
‥いや、信じたいな」
弱すぎて毎日が不安だからさ、
君との関係に高望みすらできない
だから僕はね、
今の君との永遠を信じたいんだよ。
:09/10/05 16:12 :D905i :C.j898XI
#51 [栢]
>>2-16君の、匂い。
>>18-39一番じゃなくても
>>41-50約束はしない。
好きな人が彼氏に振られて
チャンスなんだけど
いい奴ぶるのも気が引けて
だけどかっこつけたくて‥
結局このままが一番だと思っちゃう
弱虫な男の子がモデルです(・∀・)
相変わらずです (´・ω・`)
:09/10/05 16:48 :D905i :C.j898XI
#52 [栢]
あおぞら
_
:09/10/09 00:37 :D905i :3zmy2yhY
#53 [栢]
突然
目の奥がじんじんして
涙がぶわっと溢れ出した
それは、
彼と裸で抱き合っていた時のこと
温もりは感じるのに
こんなにそばにいるのに
この虚無感‥
:09/10/09 00:40 :D905i :3zmy2yhY
#54 [栢]
涙を止めようとする
あたしの手の動きでわかったのかな
彼は体を離して
あたしの顔を覗き込んだ
「どうした?」
いつもみたいに優しくて甘い声
やっぱり彼が大好きで、
だけど涙が止まらないの
ぽっかりと口を開けた心
:09/10/09 00:44 :D905i :3zmy2yhY
#55 [栢]
付き合って一年。
喧嘩もそんなにしたことないし
いつも安定期で
気持ちが薄れた事なんて一度もない
4ヶ月前、 付き合って半年で
あたしたちは繋がるようになった
こんなに
愛を感じたのは今までになくて
幸せを感じていたの
:09/10/09 00:46 :D905i :3zmy2yhY
#56 [栢]
「大丈夫?
言ってごらん?」
小さな子供をあやすように
あたしを落ち着かせる彼
こんなこと言ったら嫌われちゃう‥
だけど言わなきゃ
この穴は埋まらない。
彼を信じることにした
:09/10/09 00:49 :D905i :3zmy2yhY
#57 [栢]
「ここ最近‥さ、
会うたびエッチしてるでしょ?
それでなんかね‥
寂しくなっちゃって。
こんなにくっついてるのに
虚しくて‥うん、(笑)」
真剣に話したら
絶対に大泣きしちゃうから
あえて軽く冗談のように言った
すると彼は
何ともいえないような顔をしていた
:09/10/09 00:53 :D905i :3zmy2yhY
#58 [栢]
そしてベッドに倒れ込み
腕で目を覆って
深くため息をついた。
あぁ‥嫌われた
あぁ‥傷つけた
そう思ったから、
ごめんねごめんねと
涙をこぼしながら謝ったの
横に首を小さく振り
ぎゅっと手に力を入れたのがわかる
今、何を思っているの?
:09/10/09 00:56 :D905i :3zmy2yhY
#59 [栢]
あたしは諦めて
服を着て帰る支度をした。
はぁ、とため息をついた彼が
ゆっくりと体を起こし
Yシャツに手を通す
もしかしたら‥
体だけの関係だったのかな?
そんなことさえ考えてしまうくらい
緊迫した空間‥。
息をするのをためらう
:09/10/09 00:59 :D905i :3zmy2yhY
#60 [栢]
一番下のボタンを止めると
沈黙を破るようにして
やっと彼が口を開いた。
「公園 、行くか」
人が変わったかのような
くしゃっとした笑顔で
そんなことを言われたものだから
少し戸惑った
:09/10/09 01:02 :D905i :3zmy2yhY
#61 [栢]
2人で外に出るのは
久しぶりな気がした。
空がこんなに青いことさえ
忘れていたと思う
ー‥ 新鮮だ
まだぐずぐずしているあたしの手を
ぎゅっと優しく導いて
何ヶ月ぶりだろうか、
緑がきれいな夏の公園に着いた
:09/10/09 01:06 :D905i :3zmy2yhY
#62 [栢]
芝生のど真ん中に腰を下ろして
大きく息を吐いた
「ごめんな
気付いてやれなくて‥」
頭を優しく引き寄せられ
暖かい胸元に顔をうずめた。
「わがままでごめんね、
傷つけちゃったよね」
小さく小さく呟く
:09/10/09 01:10 :D905i :3zmy2yhY
#63 [栢]
「傷つけたのは俺のほうだから、
これからは
こうやって公園デートするか(笑)」
にっと笑った顔は
本当にまぶしかったけれど
少し切なそうで
胸が締め付けられた。
:09/10/09 01:12 :D905i :3zmy2yhY
#64 [栢]
「なんかあったら言えよ?
俺、バカだから
なかなかくみ取ってやれないからさ」
そう言ってわさっと寝転んだ
真似してあたしも寝転ぶ
空がきれいだった
なんて広いんだろう‥
真っ青な空を眺めて
彼は何を感じだのかな。
:09/10/09 01:16 :D905i :3zmy2yhY
#65 [栢]
「悪くないな、
こっちのが何倍も気持ちいい」
くるっとこっちを向いて
包み込むように
あたしを抱きしめてくれた、
「あったかい‥」
ふとこぼれた言葉に
彼は柔らかく微笑むの
:09/10/09 01:18 :D905i :3zmy2yhY
#66 [栢]
「もう、寂しくなんてさせないよ」
そう言って、額にキスをして‥
青空の下
ずっと2人で、笑っていたいね
:09/10/09 01:22 :D905i :3zmy2yhY
#67 [栢]
>>52-66実話を参考に ^^*
途中途中
タグなかったりで読みにくくて
ごめんなさい ××
ほんとのお付き合いは
やっぱり体より心だなあと
当たり前になりつつあった時に
改めて実感したって言うお話◎
:09/10/09 01:25 :D905i :3zmy2yhY
#68 [栢]
:09/10/09 01:26 :D905i :3zmy2yhY
#69 [栢]
ぶ キ よ ウ
_
:09/10/11 23:28 :D905i :yXrxNsNQ
#70 [栢]
じいちゃんは穏やかな人だった。
やっぱり昔の人だけあってか
頑固で無口なとこもあったけど
お酒とタバコが大好きで
酔っぱらうといつも
同じ昔の思い出を楽しそうに話してた
だけど
だんだんとじいちゃんは
表情をなくし言葉をなくした
:09/10/11 23:32 :D905i :yXrxNsNQ
#71 [栢]
ある時からじいちゃんは
ご飯を食べると
口の周りを汚していた
ご飯粒が口元についているのにも
全く気づかない。
口の場所がわからないのか
箸をうまく口に運べない。
何より
目が虚ろになっていて
私はそれに恐怖さえ覚えたものだ
:09/10/11 23:35 :D905i :yXrxNsNQ
#72 [栢]
じいちゃんのことは
単純に優しいから好きだった。
だけど
それを見たときから
なんだか嫌になってしまって
"汚い"と思うようになった
病気だとかそんなことも思わなくて
くちゃくちゃぼろぼろと
食べてる姿が不快だったから
:09/10/11 23:39 :D905i :yXrxNsNQ
#73 [栢]
「じいちゃん、これ食べる?」
お姉ちゃんが
修学旅行で買ってきたお菓子を
じいちゃんにあげた。
すると横からばあちゃんが
「いいんだよじいちゃんは!
どうせ食べらんないんだから」
と少し強めに言った。
じいちゃんは
食べたそうな顔をしていた
だけど言い出せないのか
黙ってタバコを吸い始めた
その姿を見るのがなぜか辛かった
見ていられなかった
:09/10/11 23:44 :D905i :yXrxNsNQ
#74 [栢]
それから
じいちゃんに決定権はなくなり
どんどん無口になっていった
それに比例するかのように
じいちゃんの行動が
おかしくなっていくのを
あたしは薄々感じていた。
:09/10/11 23:47 :D905i :yXrxNsNQ
#75 [栢]
相変わらず
ご飯粒を口元にくっつけてみたり
名前を呼ばれても
反応しなくなったり‥
終いには
ポットをやかんと間違えて
火にかけてしまったのだ。
底が真っ黒に焦げて溶けたポットを見て
ばあちゃんはじいちゃんに
怒鳴り散らした。
じいちゃんは
何も言わなかった
:09/10/11 23:51 :D905i :yXrxNsNQ
#76 [栢]
じいちゃんが
"ボケ"ていることがわかった私は
だんだんと切なくなり
かわいそうだと思うようになった。
あの時じいちゃんは
悲しいと思ってたかはわからないけど‥
かわいそうに感じて
厳しく言うばあちゃんを
嫌うようになった。
ばあちゃんはじいちゃんのこと
嫌いなんだ 、と‥
:09/10/11 23:53 :D905i :yXrxNsNQ
#77 [栢]
ある日
学校から帰ってくると
じいちゃんが家にいなくて
ばあちゃんに聞くと
「入院したんだよ」
とあっさり言われた。
じいちゃんがいなくなって
清々してるのか‥
更にばあちゃんへの憎悪は
大きなものになり
家が居心地悪かった。
:09/10/11 23:56 :D905i :yXrxNsNQ
#78 [栢]
"肺に水がたまってしまう病気"
詳しい病名は
まだ私も小さかったから
教えてもらえなかった。
:09/10/11 23:59 :D905i :yXrxNsNQ
#79 [栢]
お見舞いに行って
私は病室に入るのをためらった
じいちゃんは助からないと
どこかでわかっていたから‥
年も年だし
仕方ないとは思っていたけど
弱った姿を見たら
泣き出してしまいそうだった。
:09/10/12 00:00 :D905i :8HWp1nKk
#80 [栢]
お姉ちゃんに背中を押され
病室に入ると
ぐったりとした
たくさんの機械や管に繋がれた
じいちゃんがいた。
「ほらじいちゃん!
お見舞いに来てくれたんだよ!」
ばあちゃんが言うと
酸素マスクの下で小さな声で聞こえた
「ありがとう‥」
:09/10/12 00:04 :D905i :8HWp1nKk
#81 [栢]
久しぶりに聞いた声は
安定感を失っていた。
細く弱々しくなり
呂律がよく回っていなかった。
酔っぱらうたびに
げらげらと楽しそうに笑って
テンポよく話していたのに‥
そんな姿は
どこにももう見当たらない
:09/10/12 00:06 :D905i :8HWp1nKk
#82 [栢]
泣きたくなった
いや、少し泣いてしまっていた
笑うでもなく
辛そうにするでもなく
無表情なじいちゃん
何を思っているんだろう。
:09/10/12 00:15 :D905i :8HWp1nKk
#83 [栢]
水が飲みたくても
許されなかったじいちゃんは
白いコットンのようなものに
水を染み込ませて
それを吸っていた。
一生懸命、
「もっと飲みたいなぁ」と
わがままを言った。
もちろん
飲ませてはもらえなかったけど‥
人間らしいじいちゃんを見て
私はほっとした
:09/10/12 00:21 :D905i :8HWp1nKk
#84 [栢]
じいちゃんが
ばあちゃんの手を握り
途切れ途切れに話し始めた。
退院したらばあちゃんと
山に登って紅葉を見て
それから魚釣りをして‥
じいちゃんは
柔らかく笑っていた。
:09/10/12 00:24 :D905i :8HWp1nKk
#85 [栢]
「じいちゃん頑張ってね」
お姉ちゃんが
じいちゃんの手を握って
別れを告げている時
私はひとり
黙って病室を出た。
なんだか恥ずかしかった。
ただそれだけの理由で
じいちゃんにさよならを言えなかった
</Font>
:09/10/12 00:27 :D905i :8HWp1nKk
#86 [栢]
じいちゃんはなんで
あんなにキツいことを言うばあちゃんを
好きでいられるんだろう‥
不思議でならなかった。
何日かして
学校で授業を受けていたら
先生に呼び出された。
じいちゃんが亡くなった
:09/10/12 00:55 :D905i :8HWp1nKk
#87 [栢]
わかってはいたけど
驚いて言葉がでなかった。
目の奥が熱くなる。
すぐに帰る支度をして
お母さんの迎えを待っている時
ついに泣き出してしまった
信じたくなくて
夢だ夢だと言い聞かせてみたが
止まらない涙
:09/10/12 00:58 :D905i :8HWp1nKk
#88 [栢]
病室に駆け込むと
真っ白なベッドに
白いきれいな顔をした
じいちゃんが眠ってた。
私はその場に泣き崩れた。
声をあげて泣いた。
苦しかったはずなのに
じいちゃんは
あの柔らかい笑顔のままだったから
:09/10/12 01:01 :D905i :8HWp1nKk
#89 [栢]
治すために入院したのに
水だって我慢したのに
どうして死んじゃったの?
ばあちゃんと
紅葉見て魚釣りするんでしょ?
じいちゃん‥、
なんとか言ってよ
:09/10/12 01:03 :D905i :8HWp1nKk
#90 [栢]
その場に
ばあちゃんの姿はなかった
私はそれからずっと
自分の部屋に引きこもって
泣き続けた。
大好きだったじいちゃんが
もういないのだ
:09/10/12 01:05 :D905i :8HWp1nKk
#91 [栢]
それから
お葬式がやってきた
じいちゃんの写真が
きれいなお花に囲まれていた
無口な人だったけど
いろんな人に慕われていたんだろう
たくさんの人が参列していた
その間も
ばあちゃんは泣いていなかった
やっぱり‥、
:09/10/12 01:08 :D905i :8HWp1nKk
#92 [栢]
静かに眠ったじいちゃんの周りに
たくさんのお花と
大好きだったタバコを入れた
しっかりと蓋を閉めて
釘が打たれた。
そして運ばれていく‥
:09/10/12 01:11 :D905i :8HWp1nKk
#93 [栢]
あのばあちゃんが泣いていた
小さな体を
さらに小さくして
顔が崩れてしまいそうなくらい
くしゃっとシワを寄せて
ぼろぼろと涙を流していた
じいさん、じいさん‥
ただただ繰り返すだけだった
:09/10/12 01:13 :D905i :8HWp1nKk
#94 [栢]
じいちゃんは
白い煙になって天国に行った
これから長い旅に出るのだと
お坊さんが言っていた。
そして
紅葉の季節になる
:09/10/12 01:14 :D905i :8HWp1nKk
#95 [栢]
ばあちゃんが
近所の友達と家の居間で話しているのが
たまたま耳に入った。
「最初は信じられなかったよ
ほんとだってわかると
追いかけて逝きたくなっちゃうね
寂しいもんだ‥
癖でじいさんの湯飲みにも
お茶を入れちゃうんだから」
ばあちゃんは
確かにじいちゃんを愛していた
:09/10/12 01:18 :D905i :8HWp1nKk
#96 [栢]
「ひどいことを言ってばかりで
後悔してるよ‥
じいさんに嫌われてしまったね」
ばあちゃん、私知ってるよ
じいちゃんは確かに
ばあちゃんのこと愛していた
:09/10/12 01:21 :D905i :8HWp1nKk
#97 [栢]
じいちゃんが亡くなってから
私はお母さんから
手紙を受け取った
じいちゃんからの手紙。
"じいちゃんはとても不器用です
ばあさんはもっと不器用です。
あなたも不器用です。
だけどそこがまたいいのです
ばあさんは寂しがり屋だから
ん話し相手になってあげてください
きっと喜びます
じいちゃんはばあさんを
愛しています。
恥ずかしいので
秘密にしておいてください。"
:09/10/12 01:25 :D905i :8HWp1nKk
#98 [栢]
じいちゃんは不器用だった
誰よりも不器用だった
だけど一途な人だった
とても素敵な人だった
じいちゃんが亡くなってから
もう3年。
今でもばあちゃんは
じいちゃんのことを楽しそうに
幸せそうに話してくれます。
:09/10/12 01:28 :D905i :8HWp1nKk
#99 [栢]
>>69-98実話です
フィクションじゃなくて
ごめんなさい(´・ω・`)
夫婦ってすごいなーって
感じました ^^*
じいちゃんのこと尊敬してます
:09/10/12 01:30 :D905i :8HWp1nKk
#100 [あ]
一気に読みました
最後の話で
涙がでました
:09/10/12 20:09 :SH906i :OvK85Guw
#101 []
どれもなんとなくジーンとくるものがありました(・ω・`)最後のは自分も経験したこともあって泣いちゃいました(;д;`)
もっと読みたいです
がんばってください
:09/10/12 21:14 :SH903i :I0f8fTd2
#102 [栢]
>>100
コメントありがとうございます^^*
ほんとに文章力に欠けているので
コメントいただけると
とても嬉しいです ><
だらだらと
展開があまりない話ばかりですが
よかったらこれからも
読んでいただけたら嬉しいです◎
:09/10/13 16:17 :D905i :P2X.QV6s
#103 [栢]
>>101
コメントありがとうございます^^*
こんな駄作に
ジーンと来ていただけるなんて
嬉しすぎます(゚O゚)◎
自分と重なるものがあると
泣いてしまいますよね(´・ω・`)←
実は私も書きながら泣いてました(笑)
相変わらずな
作品ばかりになると思いますが
暖かく見守っててください *
:09/10/13 16:20 :D905i :P2X.QV6s
#104 [(^ω^)]
私もまるっきり
同じように何年か前に
祖父を亡くしました
見ていて涙が
溢れてきました
10分ぐらい
とまりませんK笑
大切なことが
思い出せた気がします。
ありがとうございますmイ
:09/10/13 20:11 :W61SH :iIy5WTlA
#105 [栢]
>>104
コメントありがとうございます^^*
涙止まりましたか?笑
もちろん悲しい涙ですが
おじいちゃんに対する思いがつまった
素敵な涙だと思います *
大切な人の死は
何かを教えてくれますから
忘れちゃいけませんよね
こちらこそ
お役に立てて嬉しいです (゚O゚)
ありがとうございました▼
:09/10/13 23:28 :D905i :P2X.QV6s
#106 [栢]
ある雨の日
_
:09/10/14 15:48 :D905i :U5TmC86c
#107 [栢]
毎日乗る電車の
同じ車両に乗ってくる子がいる
緩いパーマのかかった
可愛らしい子
わかんないけどたぶん同い年
俺の高校の近くの女子高の制服
どっちかって言うと
大人しそうなかんじかな、
:09/10/14 15:52 :D905i :U5TmC86c
#108 [栢]
いつも俺の前あたりに座る
ってか俺が
その子の前に座ってるんだけど(笑)
単語帳とか本とか読んでて
頭よさそう。
たまに眼鏡かけてたり‥
‥ちょっといくらか見すぎか?
:09/10/14 15:55 :D905i :U5TmC86c
#109 [栢]
そんなわけで、
可愛くて仕方がない。
もちろん話したことないし
名前も知らない
俺みたいなばかっぽい奴
相手にしてくれないかもなぁ‥
要は叶わぬ恋らしき一目惚れ
:09/10/14 15:57 :D905i :U5TmC86c
#110 [栢]
彼氏いんのかなー
いそうだなぁ‥。
そんなかんじで
ぼーっと眺めていると
ふと目があった
それだけで心臓やばかった、
その子はにこっと小さく笑って
また本を読み出した。
くそかわいいなこの野郎。
悶々とする思春期17才
:09/10/14 16:00 :D905i :U5TmC86c
#111 [栢]
思い切って
話しかけてみたいんだが、
なかなかタイミングがつかめずに早半年
眺めてるだけで
幸せって言えば幸せなんだけど‥
できるなら話してみたい。
できるなら‥うん。
話しかけようかと思っても
電車を降りると
友達と待ち合わせしてるらしく
ひとりでいないし‥あぁ
:09/10/14 16:04 :D905i :U5TmC86c
#112 [栢]
そんな日の帰りのこと。
いつも通り電車に乗って
駅につくと
ちょうど雨が降り出した。
「うわ‥最悪」
あいにく傘持ってきてなくて、
しかも雨のあの濡れた時の
べたべた感が苦手で
少し駅で雨宿りしていたんだ
:09/10/14 16:19 :D905i :U5TmC86c
#113 [栢]
すぐ止むかと思ったけど
なかなか止まなかった。
傘さしてる人たちを
ぼーっと見つめてるその間も
あの子のこと考えてて、
あの子いつもどこで乗るんだ?
俺よりも前の駅ってのは
わかってたけど‥。
まぁそれも
聞いてみなきゃわからない話で
やっぱり何一つ情報もなく
興味や勝手な妄想だけで
俺を支配してくあの子。
:09/10/14 16:23 :D905i :U5TmC86c
#114 [栢]
とりあえず
今度いい機会があったら
絶対話しかけると誓った。
そしてそのいい機会は‥
「早くやまねぇかな‥」
ふと横に目をやると、
あれ‥?なんで ?
:09/10/14 16:41 :D905i :U5TmC86c
#115 [栢]
あの子がいる。
俺の横にかわいいあの子
今さっき
自分に誓ってしまったことを
恨みたくなる‥
まだ心の準備できてないし、
自然と目が泳いでしまう
怪しく思われてないかなと
横目で様子をうかがう。
案の定
彼女は俺に目もくれていない
:09/10/14 16:45 :D905i :U5TmC86c
#116 [栢]
どうやらメールを打ってるようだ
やっぱり彼氏‥
あー‥なんかもう
話しかけるの怖い(笑)
やっぱり諦めようかななんて
考えていた‥
その時。
:09/10/14 16:48 :D905i :U5TmC86c
#117 [栢]
「すみません‥ちょっといいですか?」
とひとりのおばあさんが
彼女に話しかけた。
なぜか俺は息を潜め
様子をうかがっていた。
「西沼に行くバス停はどこですかね?」
:09/10/14 16:53 :D905i :U5TmC86c
#118 [栢]
彼女は困った様子だった
そりゃそうだろう
ここの人じゃないんだから、
‥これはチャンスだと思った。
「おばあちゃん、
西沼行きはあそこのバス停ですよ」
俺はうまく会話に入り込んだ
:09/10/14 16:56 :D905i :U5TmC86c
#119 []
わくわく(。・ω・。)
:09/10/14 17:42 :SH903i :/JGHqsj6
#120 [栢]
:09/10/14 23:46 :D905i :U5TmC86c
#121 [栢]
おばあさんはにっこり笑い
小さくお辞儀をして
お礼にと飴を2つくれた
雨の日に飴って‥(笑)
そんなことはどうでもよくて
さぁ、どうしようこの状況。
:09/10/14 23:48 :D905i :U5TmC86c
#122 [栢]
ちらっと様子をうかがった時に
ばちりと目が合った
「ありがとう‥ございます」
彼女は礼儀正しく深く頭を下げた
初めて聞いた
彼女の柔らかくて安心する声
尚も雨は降り続く
:09/10/14 23:53 :D905i :U5TmC86c
#123 [栢]
いえいえと笑いのける
それはもう、爽やか気取りで。
内心にやけっぱなし
口元緩んでたかも‥
「傘‥忘れたんですか?」
心配そうに彼女は言った。
「今日、天気予報見るの忘れてて(笑)」
なんだか照れくさい
:09/10/14 23:57 :D905i :U5TmC86c
#124 [栢]
すると彼女はくすっと笑って
「私もです」と言った。
なんか一気に事が進んで
運命とかロマンチックを気取りたくなる
むしろもう
雨止まないでくれ。
一瞬にして雨が好きになる俺
だけど天気は気まぐれで
そこまで味方はしてくれない
:09/10/15 00:01 :D905i :HzfhWb16
#125 [栢]
雨がだんだん弱くなる。
「飴‥!!どっちがいい?」
さっき貰った飴のことを
ふと思い出したのだ
彼女のきょとんとした顔も
初めて見た
「桃と林檎、どっち好き?」
俺の質問に
謙虚に透き通った声で答える
:09/10/15 00:39 :D905i :HzfhWb16
#126 [栢]
「じゃあ、林檎がいいです」
少し恥ずかしそうで嬉しそうな彼女
こっちまで
嬉しくさせる笑顔
雨が止んだ。
:09/10/15 00:41 :D905i :HzfhWb16
#127 [栢]
あっという間に時がすぎてしまって
彼女はまた深く頭をさげて
にこりと笑って去っていった。
夢のようだ‥。
まだあの優しい空間に包まれる
結局
名前も駅のことも彼氏のことも
何ひとつ聞けなかった
:09/10/15 00:44 :D905i :HzfhWb16
#128 [栢]
ただ一つ得た情報に頼るしかなかった俺
もう一回話したい
もう一回笑顔が見たい
ただそれだけのために‥。
あの日から行きの電車で
彼女の前に座るのが照れくさい
だけどあれから彼女とは
"知り合い"になったわけで
ぺこりと軽く頭をさげるようになった
:09/10/15 00:48 :D905i :HzfhWb16
#129 [栢]
そしてまた雨の日のこと
その日はちゃんと傘は持っていた
だけど俺の手が傘を開こうとしない
根拠もないままに
あの日と同じように
ぼーっとしながら彼女を想う
やっぱり雨好きだ
また彼女がやってきた
:09/10/15 00:51 :D905i :HzfhWb16
#130 [栢]
「こんにちは」
にこりとあの笑顔。
鼓動がじわじわと熱くなる
「あ‥飴なめる?」
とにかく話したくて
カバンの中をあさり
飴の袋を取り出した。
もちろん林檎味
彼女のために買った
俺には似合わない林檎の飴
:09/10/15 00:55 :D905i :HzfhWb16
#131 [栢]
彼女は少し驚き
そしてすぐにくすっと笑って
「ありがとう」
欲しかった笑顔を見せてくれた
「林檎‥好きなの?」
飴の袋を指差して
純粋な眼差しで見つめられる
:09/10/15 00:58 :D905i :HzfhWb16
#132 [栢]
君と話したくて‥
笑顔が見たくて‥なんて
言えたもんじゃない。
残念ながら
奥手具合は治らない(笑)
俺は一呼吸置いて
「うん、好き」
君のことがね、
:09/10/15 01:01 :D905i :HzfhWb16
#133 [栢]
雨がだんだん弱くなる
傘を広げて彼女はまた去っていく
「あの‥!」
雨が止んでうっすらと虹がかかる
滴がきらりと眩しい
もう雨には頼らない
:09/10/15 01:07 :D905i :HzfhWb16
#134 [栢]
>>106-134
まとまりがないです(´・ω・`)
全然展開を考えずに
書き始めてしまったので
わけわからんことになってしまいました
結局
名前とかいろいろと謎のままだし←
ほとんどがハッピーエンドなので
今回はもどかしい過程を書いてみました
このあとはご想像におまかせです ^^*
:09/10/15 01:10 :D905i :HzfhWb16
#135 [栢]
:09/10/15 01:18 :D905i :HzfhWb16
#136 [栢]
金木犀
_
:09/10/20 19:38 :D905i :vOnJO0u6
#137 [栢]
たくさんの金木犀の花束を
両手で抱えてくる
小さな亜季子を
橙色の花が覆う
まるで花束が歩いてるみたいだ
「ー‥虎太郎さん
具合はいかがですか?」
彼女はいつも
きっかりと5時にやってくる
花屋の看板娘であった
:09/10/20 19:46 :D905i :vOnJO0u6
#138 [栢]
三年前に彼女の店で知り合った
2人とも金木犀が好きで
仲を深め交際を初め‥
早2年と半月が過ぎる
柔らかい香りが包む
「虎太郎さん、
お元気ないですね‥」
小さな花を
細く白い指で愛でながら
ぽつりと呟く
:09/10/20 19:57 :D905i :vOnJO0u6
#139 [栢]
窓の外は
秋の世界が広がり
枯れ葉が淋しそうだった
「‥もう時が近いのでしょう。
最近、嫌な夢を見るので‥」
もう外への世界へは出れない
そう先々週に告げられた
ただ最期を待つしかないのだ
僕がそう言うと
亜季子は悔しそうに
きゅっと口を締める
:09/10/20 20:05 :D905i :vOnJO0u6
#140 [栢]
「最期などと‥
どうか、どうか
おっしゃらないで‥」
今にも溢れんばかりの雫を
こぼれぬようにと拭う彼女が愛おしい
強がりな彼女を僕は愛した
美しい黒髪に柔らかな声
おっとりしたように見えるが
どこかの親父のように頑固だ
涙をこぼしたことなどは
今までに一度もない
:09/10/20 20:14 :D905i :vOnJO0u6
#141 [栢]
「亜季子‥、
話を聞いていただけますか?」
一呼吸置いて
落ち着いた口調で言った
亜季子は改まったように
背筋をぴんと伸ばして
僕のことをじっと見つめた
:09/10/20 20:17 :D905i :vOnJO0u6
#142 [栢]
「もう‥
ここへは来なくてよいですよ」
微笑していたが
残酷すぎたか‥
今までにない表情を見せて
「どうしてです?」
僕の腕を掴む手に
ぎゅっと力が入っていくのがわかる
:09/10/20 22:15 :D905i :vOnJO0u6
#143 [栢]
「先は長くない‥。
死別はきっと
何よりも残酷でしょうから‥」
亜季子を想っての事であった
自分の最期を知ってから
何度も何度も考えたのだ
「私は‥決めたのです
死ぬまで虎太郎さんについて行くと
こころに誓ったのです‥
最期まであなたを‥」
小さく肩を震わせて
泣いているのか亜季子‥?
:09/10/20 22:22 :D905i :vOnJO0u6
#144 [栢]
「死に際など
見られたくはないのですよ
‥格好つきませんからね」
最期くらい
格好付けたかったのだ。
このように室内にいては
格好いいことなど見せられたことがない
亜季子には幸せになってほしい
まだ若くお美しい
10も離れた僕でなく
もっと素敵な人と‥
:09/10/20 22:29 :D905i :vOnJO0u6
#145 [栢]
枯れ葉がまた一枚
ひらり、
「虎太郎さん。
私は‥覚悟してきたのです
10も離れた貴方とでは
世間からの目は冷ややかです。
―‥ ですが、恋人として
何時かは妻として‥
貴方を支えようと強くなったつもりです。
貴方に肩を貸すために
涙を流さず生きて参りました。
私は‥頼りのない女でしょうか‥?」
:09/10/20 22:36 :D905i :vOnJO0u6
#146 [栢]
ぽたぽたと雫が落ちる
強き彼女が初めて泣いた
「亜季子‥」
ふわりと優しい香りが漂う。
ぎゅっと肩を抱き寄せた
小さな亜季子の肩は
以前よりも小さくなったように思えた
「どうしてです‥?どうして‥」
布に雫が染み渡る
確かに彼女は泣いていた
:09/10/20 22:43 :D905i :vOnJO0u6
#147 [栢]
「―‥亜季子!」
彼女を突き放すように
低く冷たく言いはなってしまった
唇を血が滲むまで噛んで
赤い目を擦った。
「‥虎太郎さん、
お待ちしております。必ず‥」
枯れ葉がまた一枚、また一枚
ひらり、ひらり
秋が終わる
:09/10/20 22:51 :D905i :vOnJO0u6
#148 [栢]
亜季子が来なくなった病室には
あの日のままに
枯れたままに残されている
生気をなくした金木犀。
何より残酷だったのは
この僕だったと、
やっと悟るのだった。
亜季子が死んだ。
:09/10/20 22:54 :D905i :vOnJO0u6
#149 [栢]
不慮の事故だと聞いた。
―‥自ら絶ったことなど
聞かずともわかっていた。
そうじゃない、
僕が‥殺したも同然か
亜季子‥ごめんよ
:09/10/20 22:56 :D905i :vOnJO0u6
#150 [栢]
亜季子‥
待っていてくれてるでしょうか
今すぐ貴女の元に
今すぐに‥肩を抱き寄せて
もう一度、その温もりを。
愛しき我が君。
気高き我が君‥
―‥枯れ葉がまた 、ひらり。
:09/10/20 23:00 :D905i :vOnJO0u6
#151 [栢]
>>136-151
金木犀の花言葉?は
「気高き人」らしいです ^^*
いろいろと表現が遠まわしすぎて
伝わりにくくなってしまいました×
ちょっとシリアスに
だけど純粋な昔ながらの女性が書きたくて
なんとなく昔風な丁寧語。笑
話の内容いまいちわからなかったら
聞いてください(´・ω・`)!
:09/10/20 23:05 :D905i :vOnJO0u6
#152 [栢]
:09/10/20 23:19 :D905i :vOnJO0u6
#153 [栢]
たった一度の反抗期
_
:09/10/23 19:57 :D905i :YKgWBHmg
#154 [栢]
高校に入って半年がすぎたころ
毎日が退屈で刺激がなくて
誰でもよかった。
ただなんとなく、
強引に連れ回してくれる
そんな人がほしくて
ただ周りより少し
大人ぶってみたかった‥
それだけ
:09/10/23 20:00 :D905i :YKgWBHmg
#155 [栢]
誰でもいい
このぽっかりと開いた穴
塞いでほしいの。
そしてサイトで知り合った人と
付き合うことになった。
サイトの人だなんて
友達にも、もちろん親にも
言ったりしなかった
:09/10/23 20:03 :D905i :YKgWBHmg
#156 [栢]
案の定
初めて会ってヤられてしまった。
あたしの"初めて"
簡単に奪われた
ただただ
激痛が走る下半身。
久しぶりに泣きわめいた
それでも無理やりする彼に
呆れて微笑した。
心が麻痺してしまったの
もう何でもいいや‥って。
:09/10/23 20:06 :D905i :YKgWBHmg
#157 [栢]
終わったあとぎゅっと抱きしめてくれた
なんだか嬉しくて
はまってしまったの
もしかしたら
あたしは浮気相手かもしれない
ただのセフレかもしれない‥
何度もそんなことを考えた
だけど周りより
一歩先に進めた気がして
そんな自分に自惚れたのね、私
:09/10/23 20:09 :D905i :YKgWBHmg
#158 [栢]
会うたびにやって
獣みたいでしょう?
ただ腰を振るだけ
白い液体が喉に絡まる
なんて、不快感
快感なんて一度も‥
演技してる自分に自惚れた
それに興奮してる彼がバカみたいで
おかしかった
:09/10/23 20:11 :D905i :YKgWBHmg
#159 [栢]
ある日
ゴミ箱の"使い捨て"を
お母さんに見つけられてしまった
どこか少し
過保護な気がしていた
過剰に心配して
嫌味のようにしつこく注意される
あたし思春期よ。
嫌気がさすじゃない
:09/10/23 20:14 :D905i :YKgWBHmg
#160 [栢]
「お母さんに
心配かけるようなことしないで!!」
そう怒鳴られたけど
あえて黙って部屋にこもった
むかつく。
勝手に心配してるだけでしょう
放っておいて
もう子供じゃない。
:09/10/23 20:16 :D905i :YKgWBHmg
#161 [栢]
小さいころから
お母さんが大好きだった。
優しくておもしろくて、
ほかの子のお母さんなんかとは
どこか違う独特の魅力‥
お姉ちゃんの
反抗期を知っているあたしは
「あたしは絶対反抗なんてしないよ!」
そう言ったのは
つい最近だった気がする、
:09/10/23 20:19 :D905i :YKgWBHmg
#162 [栢]
だけどやってきてしまった
思春期に負けた
あたしの反抗期。
それからなんとなくだけど
壁を感じるようになった
お母さんはいつも
不機嫌そうな顔をしていた
そんな顔を見るたびに
彼のもとへ行くあたし。
履き違えた"大人"の意味
:09/10/23 20:21 :D905i :YKgWBHmg
#163 [栢]
ふとカレンダーに目をやる
月末‥
生理がこない。
いや、まさか
あたしに限ってそんなこと‥ね
鼓動は正直に‥
周りの音をかき消した。
お願いだから‥
愚かなあたし無知なあたし
命の芽をつんでしまいたい。
:09/10/23 20:26 :D905i :YKgWBHmg
#164 [栢]
「生理こない‥」
彼に電話で告げた。
産んでと言われたらどうしよう‥
そんな心配は無駄だった
「どうするの!?
俺、育てられないよ‥
病院行ってこいよ」
心配とは裏腹に、
この言葉を受け入れる準備を
まだ整えていなかったの
孤独が襲う
:09/10/23 20:29 :D905i :YKgWBHmg
#165 [栢]
あたし‥死のうか
ねぇ、一緒にあたしも消えるよ
すぐにあたし追いかけるから
ママと一緒に天国で暮らそうか
何度自らの腹を殴っただろう
1人になると
無意識に泣きながら
力を込めて殴る
鈍い音が響く
:09/10/23 20:32 :D905i :YKgWBHmg
#166 [栢]
「あんた‥生理は?」
張り詰めた空間
冷たい痛いお母さんの声
「そろそろ来る」
根拠なんてないの
あたしの願いよ
愚かなあたし。
:09/10/23 20:35 :D905i :YKgWBHmg
#167 [栢]
1人孤独を抱えたまま
長い長い時間を過ごす
あれから彼とは
連絡もまめにしなくなった。
また無意識に自らを殴る
もはや軽い習慣‥
:09/10/23 20:39 :D905i :YKgWBHmg
#168 [栢]
「‥ねぇ、何してるの?」
後ろを向くと
青ざめたお母さんの姿
「これ、
お母さんを安心させて‥!」
渡された"現実"
逃げられない受け入れなきゃいけない
ママ‥なんてまだなりたくないよ
:09/10/23 20:42 :D905i :YKgWBHmg
#169 [栢]
「うるさいなあ!!
いちいち心配しすぎなの!
そうやってストレス溜めさせるから
来なくなるんでしょう?!」
今まで溜めてた
‥怒りじゃない
溢れ出したこの感情は
不安。
:09/10/23 20:45 :D905i :YKgWBHmg
#170 [栢]
睫が濡れる
息をするのを忘れる
「お願いだから‥!早く」
‥、結果はあたしの思い込み
あたしはまだひとりの少女。
:09/10/23 20:48 :D905i :YKgWBHmg
#171 [栢]
それを見て
お母さんが泣き崩れた。
今までの怒ったような顔が
一気に崩れた。
大きな雫をこぼして
「‥よかった‥よかった」
ただそう呟くの
:09/10/23 20:50 :D905i :YKgWBHmg
#172 [栢]
「お母さん‥
どうしようかと思った‥
毎日不安で、寝れなくて‥、」
久しぶりに視線を向ける
白髪が増えちゃったね‥
痩せこけちゃったね‥
だけど、"ごめんね"が
言えないあたし
:09/10/23 20:52 :D905i :YKgWBHmg
#173 [栢]
「自分の体は自分で守りなさい‥
自分をしっかり持ちなさい‥」
震えた声で力強く言うお母さんに
「わかってるよ!!
‥いちいちうるさいの!!」
泣きながら枕を投げつけた。
不安がほどけて
すべてが崩壊したように
泣き狂った
:09/10/23 20:55 :D905i :YKgWBHmg
#174 [栢]
あのときの
お母さんの寂しそうな後ろ姿
こんな姿にしてしまったのは
こんなに不安にさせてしまったのは
誰でもなくあたしなんだ。
大好きなのに、
:09/10/23 20:57 :D905i :YKgWBHmg
#175 [栢]
結局
ごめんねと言えなかった。
あの人と別れてから
お母さんを安心させようと
男の人と関わるのをやめた。
それでも
「どこ行くの?」
「生理は来たの?」
一年くらいはずっと
耳にべたりとへばりつくように
しつこく言われたものだ
:09/10/23 21:00 :D905i :YKgWBHmg
#176 [栢]
だけどもう反抗なんてしない
お母さんを追いつめたくないから、
誰よりも明るい人だけど
すごく心配性で傷つきやすい
大事にしなきゃいけない
初めてお母さんの弱いところに
真っ正面から向き合った。
強い人だ
:09/10/23 21:02 :D905i :YKgWBHmg
#177 [栢]
今となってはもう
そんなに心配はしなくなったけど、
親の気持ちを知ったから
今では考えられない反抗期。
そのしつこさもうるささも
全部があたしのためだなんて
気づくのは難しい
だけど、
お腹を痛めて産んでくれたんだもの
そんな風に言いたくなるのは
当たり前なのかな‥
なんて‥、
:09/10/23 21:06 :D905i :YKgWBHmg
#178 [栢]
恥ずかしくて
"いつもありがとう"なんて
言えやしないから
今日は肩でも揉んであげようか
お皿洗いでもしてあげようか
あたしに何ができるだろう
今でもあの涙が
忘れられないでいるの
あたし、たくさん愛されて育ったんだね。
ありがとうお母さん、
:09/10/23 21:09 :D905i :YKgWBHmg
#179 [栢]
>>153-179
過去のお話(´・ω・`)
またノンフィクションです←
最近ここでも
「妊娠したかもどうしよう」
「生理がこない‥」
なんて書き込みをよく見ます
あたしもそんな経験があったから
どうしてもそんな人たちに
後悔する前に伝えたくて、
ほんとに自分の体は自分でしか守れない
その場の雰囲気、快楽だけに
自分を安売りしないでください
両親が待ち望んだ人生です。
悲しむのは自分だけじゃない
もしもの命を
悲しい命にしないでください
無知なままに動かないでください
何か感じていただけたら
うれしいです^^
:09/10/23 21:16 :D905i :YKgWBHmg
#180 [栢]
春の青い芽
_
:09/10/24 15:50 :D905i :NjgA4wYU
#181 [栢]
「メイ!!明日頼みがある!!」
いきなり電話。
いきなりの依頼。
そんなことをするのは
ハルトくらいしかいない
「お金なら貸さないよ?」
ハルトの頼みごとと言えば
大概、お金
って言っても、
最高でも500円なんだけど(笑)
:09/10/24 15:55 :D905i :NjgA4wYU
#182 [栢]
「金じゃねーのよ今回は
ちょっと手伝ってー」
にこにこしながら
手を合わせて頭を下げる
なんとなく、犬を思わせる奴
ハルトは家が隣で幼なじみ。
一緒に遊んだりお泊まりしたり、
お風呂とかも‥入ったかも
お互いのことなんて
意識してるわけがない
普通に技かけられるし
下着姿で会えるし(笑)
:09/10/24 15:59 :D905i :NjgA4wYU
#183 [栢]
そんな感じの緩い関係も
もう何年立つのかな。
ってかいつから仲良くなったんだろ
「引っ越し手伝って!」
「は?」
そんなことかとか思ったけど
よくよく考えたら
力仕事な気がしてきて
やっぱりあたしは
女として見られてないと実感。
なんだか最近はそれが
あたしを締め付けるように痛い
:09/10/24 16:04 :D905i :NjgA4wYU
#184 [栢]
今日から大学生になるわけで、
ハルトは地元を離れることになった
もう、お隣さんも終わり。
「引っ越しって‥
まだ終わってなかったの!?
もう4月じゃん(笑)」
「荷物はあっちに届いてる
だから、整理手伝って(笑)」
雑用ねー‥はいはい
どことなく清々しい顔をしてる
そんな風に見えた
:09/10/25 18:03 :D905i :Bcm9GRAE
#185 [栢]
やっぱりあたしと隣って
やだったのかなぁ 、
ずしりとした物がのしかかる
もう会えないのかななんて
珍しく恋しく思う
「ちゃんと電車賃払うし!
帰りも送るからっ
俺の新しい部屋、見たいだろ?」
にこにこ嬉しそうだ
離れちゃうのを寂しがってるのは
あたしだけなんだなぁ‥
:09/10/25 18:06 :D905i :Bcm9GRAE
#186 [栢]
結局行くことになって
ハルトの新しい部屋は
すごくきれいで
周りの風景もいいとこだった
「隣の部屋、女なんだぜ♪」
なんでそんな嬉しそうなのよ‥
今までが嫌だったみたいに
笑わないでよばか、
隠れていた気持ち
:09/10/25 18:13 :D905i :Bcm9GRAE
#187 [栢]
やきもち‥?
―‥まさかね。
今まで彼氏できたって
妬いたことないし、
つまれた荷物の山
募る切なさ
気付いちゃいけない想い
あぁ、目眩がする。
:09/10/25 18:18 :D905i :Bcm9GRAE
#188 [栢]
あたりはもう暗かった。
なんだか早く帰りたい
「適当に箱開けて荷物出してー‥
服はそこのタンスでー‥」
ハルトの声が耳の奥で渦を巻く
鼻がつんとする。
服に染み付いた匂い
もう懐かしくなってる
:09/10/25 18:22 :D905i :Bcm9GRAE
#189 [栢]
「もうあれだなー、」
時計の音があたしを突き刺す
沈黙なんて‥似合わないのに
「なんかやっと解放されたって感じ
窮屈な生活も終わりだ(笑)」
ぐっと伸びをして
幸せそうな顔してるの?
それすら見たくない
あたしどうしちゃったんだろう
:09/10/25 18:25 :D905i :Bcm9GRAE
#190 [栢]
「全く、いちいちメイは煩いからなぁ
隣の子は
おしとやかな子であってほしいわ」
この場から消えたい
だめだ‥来る。
「もうおさらばだしなぁ、
案外呆気ないな(笑)」
悔しい‥弱い自分、
急に息が苦しくなる
この雫がこぼれたら
ハルトは馬鹿にして笑う?
:09/10/25 18:30 :D905i :Bcm9GRAE
#191 [栢]
―だめ‥、ばれる‥!
すべてを放り投げて駆け出した
体が動くままに。
ただ 訳の分からぬ気持ちが
あたしを狂わせた
「‥メイ!?
おい!どこ行くんだよ‥!」
すぐさまあたしの腕を掴んだ
止めて‥見られたくない
思い切り振り払って
真っ暗な夜に出た
:09/10/25 18:35 :D905i :Bcm9GRAE
#192 [栢]
ハルトごときに泣くなんて‥
どうかしてる
見知らぬ道を歩く
街灯が寂しそうに消えかかってる
何しに来たんだろう、あたし
「も‥、わけわかんない」
目の奥が火傷しそうに熱い
まだひんやりした空気が包む
:09/10/25 18:39 :D905i :Bcm9GRAE
#193 [栢]
月がぼんやりしてる
切ない、ばか
気付いていたのに
気付いちゃいけない気がするんだ
だってそうでしょ?
ただ辛いだけよ、こんなの
普通に学校とかで知り合ってたかった
幼なじみなんて、嫌。
:09/10/25 18:42 :D905i :Bcm9GRAE
#194 [栢]
もやもやする胸を抑えて
投げやりに目を擦った
―‥ここどこだろう。
真っ暗な空間が不安にさせる
「メイ!!」
つい、振り向いてしまった
嬉しいのに何かが引き止める
かっこ悪いの。あたし
:09/10/25 18:46 :D905i :Bcm9GRAE
#195 [栢]
「ばかかお前、
普通に寒みーから‥
それに、迷子になるだろ」
暗かったけど確かに見えた
ハルトの真剣な顔
「ごめ‥、」
言い終わる前に
暖かい手に包まれるあたしの冷たい手
「帰るぞ」
緩く笑ったのが見える
ハルトを近くに感じた
:09/10/25 18:50 :D905i :Bcm9GRAE
#196 [栢]
小さい頃にも
一度こんなことがあったっけ
何でだか忘れたけど
こうして手を引かれて夜道を歩いた
過去の自分が羨ましい
もっと一緒にいたかった‥
ハルトの背中はいつのまにか
大きくなっていた
気づかなかったな‥
あたしより、小さかったのに
:09/10/25 18:53 :D905i :Bcm9GRAE
#197 [栢]
玄関には
乱暴に脱ぎ捨てたスリッパ
部屋の灯りに目を細めた
「止めたのによー‥
何で振り払うんだよ、ばか」
少しふてくされてた
愛おしく想っちゃうよ‥もう
「止めが足りないのよ
もっとちゃんと止めなきゃ‥」
冗談よ冗談。
強がり‥わかってたの?
:09/10/25 18:57 :D905i :Bcm9GRAE
#198 [栢]
「これならもう‥
何処にも、行かない?」
ぎゅっと優しく包まれた
つま先立ちで戸惑う
ハルトはもう、こんなに成長したんだ
鼓動が速まる
ばれてしまわぬように
そっと息を吐く
こくり、と小さく小さく
頷いたの
:09/10/26 00:33 :D905i :0HxquaIU
#199 [栢]
どうしよう‥
もう、抑えられない
溢れ出す気持ちを
はっきりと感じた。
「‥何の日だったか、知ってる?」
その低い声が
体の奥底まで響く
「‥わかん ない、」
途切れる言葉をやっと繋げた
:09/10/26 00:37 :D905i :0HxquaIU
#200 [栢]
「嘘‥ついでもいい日。」
4月1日‥あぁそうか、
こんなにうまく行くはずないもんね
一気に涙が溢れ出す
いくら何でも
一番つらい嘘 つくなんて‥
「あたし‥バカなんだから、
期待しちゃう‥やめてよ」
そっと離れようとする体を
また優しく包む大きな手
:09/10/26 00:41 :D905i :0HxquaIU
#201 [栢]
「もう、終わった‥」
ふと時計を見る
―‥0時2分
「嘘‥」
嘘なんかじゃない、
この温もりが事実
「メイがいいや、やっぱり
ってか‥じゃなきゃ駄目っぽい」
耳元で囁く声が春を告げた
:09/10/26 00:46 :D905i :0HxquaIU
#202 [栢]
「ばかだよね‥。もう、ばか」
何かがほどけて雫になる
今までの不安も、隠してた想いも
全部が溢れ出る。
うるせぇよって緩く笑って
また荷物を整理し始めた
さっきとは違うわ‥
時計の音が愛おしい
:09/10/26 00:51 :D905i :0HxquaIU
#203 [栢]
さっきよりも少し
近くに座ってみた。
だけどもどかしい、初めての感覚
‥むずがゆいね
「あ‥懐かしい(笑)
これ、覚えてる?」
そう言って
小さな封筒を渡された。
:09/10/26 00:53 :D905i :0HxquaIU
#204 [栢]
"はるとくんえ
めいをおよめさんにしてね"
子供ながらに歪だけど
丁寧に書いたような字
何度も消した跡があった。
「幼稚園のとき、メイがくれたんだよ?」
正直記憶にはなかったけど
一気に体が熱くなった
:09/10/26 00:56 :D905i :0HxquaIU
#205 [栢]
「うわぁ‥恥ずかしい」
そんな何年も前の手紙を
持っててくれたなんてね、
嬉しくて仕方がない
くすりと隣で笑われた。
そして、ある一通の手紙が
あたしの手元に現れた
何年も前の
まだ渡していない小さな手紙
:09/10/26 00:59 :D905i :0HxquaIU
#206 [栢]
"めいちゃんえ
ぼくをおよめさんにしてね"
「やっぱり‥ばかだね」
思わず笑ってしまったの
可愛い文面
顔を赤くする"ぼく"が愛おしい
ねぇ‥
運命を信じたくなったよ
:09/10/26 01:02 :D905i :0HxquaIU
#207 [栢]
二通の手紙を重ねて
声を一つにして、笑った
―‥長年待ち続けた、春の訪れ。
:09/10/26 01:05 :D905i :0HxquaIU
#208 [栢]
>>180-108
なんかキュンとするやつが書きたかった
書きたかった‥(´・ω・`)
なかなか難しいですね ×
幼なじみとか
ありがちな設定だし、笑
最早ネタ切れです ´`。
後先考えずに書き始めたので
ごちゃごちゃになってしまいました
反省(・_・)
遠まわしすぎる表現も反省
もっと勉強します!
:09/10/26 01:18 :D905i :0HxquaIU
#209 [栢]
:09/10/26 01:20 :D905i :0HxquaIU
#210 [栢]
:09/10/26 01:22 :D905i :0HxquaIU
#211 [匿名]
春の青い芽?
とてもいい話です(゚ω゚)
:09/10/26 02:38 :P02A :☆☆☆
#212 [栢]
>>211
ありがとうございます ^^*
適当にタイトルつけたので
わかりにくいのになってしまいました×
一応
春の青→"青春"と
青い芽→"まだ始まったばかり"
って意味のつもりです(´・ω・`)笑
よかったらこれからも
よろしくです ><
:09/10/26 15:54 :D905i :0HxquaIU
#213 [栢]
星のブーケ
_
:09/10/29 16:50 :D905i :LGfwOJL.
#214 [栢]
冷たい夜空に両手を広げて
あのキラキラ光る
あの星たちが欲しかった
―‥幼い頃の夢
:09/10/29 16:52 :D905i :LGfwOJL.
#215 [栢]
だけど
どうしても手が届かない
「お星様‥、どうして?」
こぼす涙が月明かりに照らされて
キラキラと光る
この星たちを集めて
プレゼントしたい人がいた
「パパ‥」
:09/10/29 16:57 :D905i :LGfwOJL.
#216 [栢]
仕事中に急に倒れた。
「パパに‥パパにあげたいの」
なんとなく
星を集めてプレゼントしたら
元気になる気がしてた‥
"お星様は、
美知のお願い叶えてくれるんだよ"
だってパパがそう言ったから
:09/10/29 17:01 :D905i :LGfwOJL.
#217 [栢]
パパが倒れてから
毎晩、夜空を見上げては
お願い‥お願いと
泣きながら祈った。
「おもちゃも、お菓子も、
美知‥がまんするからぁ‥」
大好きなパパ
だけどずっと目を閉じてるの
笑ってくれないの‥
:09/10/29 17:05 :D905i :LGfwOJL.
#218 [栢]
パパに会いに行っても
いつもみたいに
お星様の話をしてくれない。
パパはお星様の専門家
いわゆる、 天文学者だった
"今見えるお星様の光はね
何万年も、何億万年も前の
昔の光なんだよ"
そんなことを教えてくれた。
:09/10/29 17:47 :D905i :LGfwOJL.
#219 [栢]
まだその時は幼すぎて
よく理解していなかったけど
夜星に魅了されたのは確か。
何度も何度も
掴もうとしたのに
お星様は、逃げてしまう
「美知‥
お星様に、嫌われちゃった」
泣きじゃくって
もうお願いなんてしないって決めた
だってパパ
元気にならないんだもん
:09/10/29 18:22 :D905i :LGfwOJL.
#220 [栢]
その日から
夜空を眺めるのをやめた
そんな私を見かねてか
お兄ちゃんが近寄ってきた。
「美知?
今日はお星様にお願いしないの?」
お兄ちゃんは6つ上の中学生
「もう、お願いなんてしないの」
しょぼくれながら
指で細い髪をくるくら巻き取った
:09/10/29 18:26 :D905i :LGfwOJL.
#221 [栢]
お兄ちゃんは
どうして? と優しく尋ねて
私と目線を合わせた
「だって、
パパにあげたかったのに‥
お星様、掴まらないんだもん」
大きな瞳に涙を溜めて
巻き取った髪をスルリと放す
お兄ちゃんの手が
私の頭を包むように撫でた。
:09/10/29 18:31 :D905i :LGfwOJL.
#222 [栢]
「じゃあ、美知
お星様の絵書いて
パパにプレゼントしようよ」
クレヨンと画用紙を手渡され
私はは浮かない顔をした
「美知‥下手くそだもん」
ふてくされて全てを放り投げた
パパに似て
いい言い方をするなら
こだわりが人一倍強かった
:09/10/30 15:57 :D905i :d6Zud4xA
#223 [栢]
そしてお兄ちゃんは
パパに似て優しかった
「兄ちゃんがお星様書くよ!
だから、美知は色塗って?
美知色塗り上手でしょ?」
緩く笑ったその笑顔が
パパに似すぎてて
どこかキュッと痛くなる
だけど、
パパが笑ってくれた気がした
:09/10/30 16:03 :D905i :d6Zud4xA
#224 [我輩は匿名である]
私は目を輝かせて
お兄ちゃんが書いた下書きを
丁寧に縁取って
一生懸命色を塗った
いつの間にか時間が過ぎ
11時になっていた
思った以上の完成度に
満足して
お兄ちゃんと私は
2人で一枚の毛布にくるまり
眠りについた
‥ぱぱが笑う夢をみた
:09/11/02 17:23 :D905i :j2q9RMHc
#225 [栢]
―‥朝
聞き慣れない声で目が覚めた
「美知ちゃん!起きて!」
「まだ眠い‥よ」
眠たい目を擦って
ぐずり気味の私に
そう言って起こしたのは
パパのお姉ちゃん
つまり、おばさんだった。
明らかに隠し切れていない動揺を
私は感じざるを得なかった
:09/11/02 17:27 :D905i :j2q9RMHc
#226 [栢]
お兄ちゃんは
すでに着替えていて
ぱたぱたと騒がしかった
訳もわからずに着替えさせられ
乱暴にラップに包んだ
おにぎりを手渡され
車に乗せられた。
わかってた‥
だって夢でパパが
にっこり笑ったんだもの
手を振って‥。
:09/11/02 17:30 :D905i :j2q9RMHc
#227 [栢]
「お兄ちゃん‥
お星様‥」
そう言いかけると
「大丈夫、
ちゃんと持ってきた」
と私の頭を撫でて言った。
喜んでもらえるだろうか‥
パパは見てくれるだろうか‥
早くパパの所に行きたくて
胸の奥が騒がしい
足が落ち着かない
:09/11/02 17:33 :D905i :j2q9RMHc
#228 [栢]
車を飛び降りて
お兄ちゃんに手を引かれて
思い切り走った。
ママ、おじさん、ばぁちゃんの
背中が囲んでいる
そして険しい顔のお医者さんが
パパをじっと見つめていた
「パパ、パパ!!
お星様!!お星様だよパパ!!」
みんなをかき分けて
パパの顔の前にあの絵を出した
:09/11/02 17:37 :D905i :j2q9RMHc
#229 [栢]
差し出した絵の端から
パパの真っ白な顔が見えた
「パパ‥?
お星様、美知とお兄ちゃんでね‥」
ママが静かに泣いている声が聞こえた
「‥書いたの一生懸命
お星様にお願いしたの!
パパが元気になりますようにって!」
遠退いていく呼吸を
見て見ぬ振りをして‥
:09/11/02 17:42 :D905i :j2q9RMHc
#230 [栢]
「ねぇお兄ちゃん?
昨日書いたんだよね?」
無邪気に振り返った私に
お兄ちゃんは
肩を震わせながら小さく頷いた
「パパ‥あのね、」
部屋の静けさに
何か話そうと必死だった
:09/11/02 17:45 :D905i :j2q9RMHc
#231 [栢]
ピ―‥
今までに聞いたことのない
耳に突き刺さる音を聞いた
パパの手が氷のように冷たかった
「あなたぁ‥!
いかないで‥いかないでぇ‥」
ママがパパに寄り添い泣き崩れる
お医者が時計を見て何かを言った
:09/11/02 17:48 :D905i :j2q9RMHc
#232 [栢]
嘘だよ‥パパ‥
お星様、
一生懸命書いたのに‥
美知が色塗り下手だったから?
美知が本物のお星様
集められなかったから‥?
ねぇパパ‥わかんないよ
「パパ‥お星様‥」
堪えていた涙が
体の奥から溢れ出しす
:09/11/02 17:51 :D905i :j2q9RMHc
#233 [栢]
「美知‥ありがと‥」
パパが確かにそう言った
消えそうな壊れそうな声で
確かに私にそう言った
その瞬間
魔法が溶けたように
子供らしく泣きわめいた
小さくなって泣く私を
お兄ちゃんは優しく包んでくれた
:09/11/02 17:55 :D905i :j2q9RMHc
#234 [栢]
子供の私たちは
家に帰らされた。
お兄ちゃんと2人きりの家。
風が窓を揺らす音が
さらに寂しくさせた
「お兄ちゃん‥
パパ‥元気にならなかった」
うつむいて目を擦って
少し震える声で
「美知‥パパの秘密知ってる?」
そう言った。
頑張って明るく振る舞うその声に
私は涙を止めた
:09/11/02 18:00 :D905i :j2q9RMHc
#235 [栢]
顔を上げ
首を横に振って見せる
するとお兄ちゃんは
にっと笑って小声で言った。
「パパって、
お星様の国の王様なんだよ!」
「おうさま?!」
驚いて胸を時めかせた私の口を
塞ぐ
暖かくて大きな手‥。
:09/11/02 18:04 :D905i :j2q9RMHc
#236 [栢]
「だからあんなに
お星様に詳しいんだよ?
それで、今日は帰らなくちゃいけない日
お星様の国のみんなだって
パパが居なくちゃ困ってるんだ」
一気に涙が乾く
とっさに思いついた優しさに
私は笑顔を浮かべた
「だけど‥パパは
美知のパパなんだよ?
勝手に連れてっちゃいや‥」
大好きな初めての"恋人"に
やきもちを焼くくらい大人になった
:09/11/02 18:08 :D905i :j2q9RMHc
#237 [栢]
「美知にもパパが必要なように‥
あっちのみんなにもパパが必要なんだ。
パパは人気者なの、
"お友達とは仲良く半分こ"って
パパと約束したでしょ?」
澄み切った空気に包まれて
私は大きく頷いた
:09/11/02 18:12 :D905i :j2q9RMHc
#238 [栢]
「じゃあ美知‥
お星様の絵パパにあげる!
それで、
みんなに自慢してもらうの!
美知はこんなに上手な絵を書くんだよって!」
にこにこと笑みを浮かべた
ちょっぴり大人になった。
大好きな"恋人"を
少しだけ独占したかった。
「そうしようか」
安心したようにお兄ちゃんが笑う
:09/11/02 18:16 :D905i :j2q9RMHc
#239 [栢]
たくさんの人に見送られて
パパはお星様の国に旅立った。
「美知!ほらあの白い煙‥
パパが馬車に乗ってるんだよ」
「わぁ‥!パパ王様だもんね!!」
笑顔でさよならをした
またいつか帰ってきてねと
:09/11/02 18:19 :D905i :j2q9RMHc
#240 [栢]
その日の夜は
星が満ちていた。
「パパが帰ったから
今日はお星様いっぱいだね」
白い息をリズムに乗せて
「今頃‥
美知の絵、自慢してるよ」
「そうだといいなぁ‥!」
流れ星が一筋
きらり、光って月に消えた
:09/11/02 18:23 :D905i :j2q9RMHc
#241 [栢]
>>213-241
まとまりなさすぎます(´;ω;`)笑
先日
流星群もあったと言うことで
星をネタにしたものが書きたくて
思いつきで書いてみました ^^
今回は恋愛ではなく
家族愛っぽいものを‥
死を暖かく見つめる事と
兄弟愛とパパに恋する娘と‥
いろいろ盛り込みシリーズ!←
何かしら
感じてもらえたら嬉しいです◎
:09/11/02 18:28 :D905i :j2q9RMHc
#242 [栢]
:09/11/02 18:38 :D905i :j2q9RMHc
#243 [栢]
淡い雪
_
:09/11/06 17:16 :D905i :Szu5HYiU
#244 [栢]
ため息白く染まる。
「帰ろっか」
眉をさげて
少し恥ずかしそうに
手を差し出した。
小さな白い手が
俺の手を軽く握る。
「相変わらず、
手‥あったかいね」
クスリと笑う姿が
とてつもなく愛おしい。
:09/11/06 17:22 :D905i :Szu5HYiU
#245 [栢]
「相変わらず‥冷え性だね」
それを理由にして
その手を握りしめて
そのままポケットに突っ込んだ。
「手が冷たい人は
心があったかいんだよー」
長い睫に白い雪が降る
少し冷たそうにして
彼女は片目を瞑った。
:09/11/06 17:28 :D905i :Szu5HYiU
#246 [栢]
「ねぇ?」
真っ赤な傘から
こちらに顔を出しす
少し切りすぎたと言った
眉の上の前髪が揺れた
「何?」
返事をするのを忘れそうなくらい
見とれているから
それくらい、惚れてるから‥
離したくないんだけどね。
:09/11/06 17:33 :D905i :Szu5HYiU
#247 [栢]
「‥んん。
やっぱり、前髪変かな?」
彼女は何かを飲み込んだ
本当に言いたいことは
いつも言ってくれない‥。
「あぁ‥似合ってるよ?
長いときもよかったけど、」
手を伸ばして
くしゃくしゃと撫でた
視線を惹きたくて。
:09/11/06 17:38 :D905i :Szu5HYiU
#248 [栢]
「ありがと
去年も‥失敗したんだよねぇ」
白く染まったため息を
惜しそうに眺めて
それがまた俺を切なくさせるから
「可愛いよ‥可愛い」
「‥ありがとう」
去年と重ねてる?
そんなに遠くを見て、
彼女には何が見えてるんだろう
:09/11/06 17:43 :D905i :Szu5HYiU
#249 [栢]
「ほんと?‥嬉しい
可愛いって、言ってもらえると
やっぱり‥」
そんな悲しそうに笑わないでよ
「あんまり、
言われたことないから」
アイツは‥言わなかったんだ。
俺はアイツとは違うよ?
あんな奴とは違うのに‥
:09/11/07 18:20 :D905i :B5ShcEsI
#250 [栢]
ねぇ教えて欲しいよ。
‥どこがいいの?
アイツは何を持ってるの?
嫉妬するよ
優しさには自信があるんだ
想う気持ちだって‥
誰よりも大きいはずなんだ。
灰色の空が渦をまく
ぼんやりした色。
:09/11/07 18:24 :D905i :B5ShcEsI
#251 [栢]
「あ‥クリスマス
一緒に‥いてくれる?」
未だに直視できないでいる
君の"笑顔"。
‥気づいてるよ。
ただ、見て見ぬ振りをしてるんだ
こんなに近くにいるのに
君に手が届かない。
いつまで経っても
俺の手じゃ暖められない
あの日から冷たい小さな手
:09/11/07 18:28 :D905i :B5ShcEsI
#252 [栢]
「一緒に過ごそうか」
独りよがり。
こんなの、愛じゃないさ
ただの自己満足なんだ‥。
いつかちゃんと見てくれる‥
そんな期待すら今では、抱かずに
君の足下を見つめるだけ。
「‥楽しみ」
雪が君の声を吸い取って邪魔をする
:09/11/07 18:33 :D905i :B5ShcEsI
#253 [栢]
「‥去年は、独りだったから
恋人と過ごすのは‥初めてなの」
君を独りにした
寂しい思いをさせた
アイツが憎いよ。
だけど俺にはきっと
そんな思いをさせることすら
できないんだろうな‥。
目頭に降った雪がじわっと溶けた。
:09/11/07 18:36 :D905i :B5ShcEsI
#254 [栢]
真っ赤な傘が
真っ白な雪の上に落ちる。
小さく君は驚いたけど、
‥それだけ。
壊れてしまいそうなくらい
強く強く抱きしめてみたけど
空気を抱いているみたいに、
虚しさを覚えた。
「ごめんね‥」
その言葉が
この想いへの返事な気がして
俺は目を閉じて‥
:09/11/07 18:43 :D905i :B5ShcEsI
#255 [栢]
いつまで
偽りの"笑顔"に浸ってるつもりだろう
「‥好きだ」
止むことを知らない淡い雪。
:09/11/07 18:46 :D905i :B5ShcEsI
#256 [栢]
>>243-256
冬なので冬のお話 ^^
今回は切ないかんじに書いてみました!
またわかりにくい話ですが
簡単に解説すると
付き合ってるんだけど
彼女が元カレ忘れられなくて
それに気づいてるのに
別れられない俺←
なんかもやもやしたかんじで
わかる人にはわかる気持ちなのかも
:09/11/07 18:50 :D905i :B5ShcEsI
#257 [栢]
:09/11/07 19:25 :D905i :B5ShcEsI
#258 [椎]
思い出と共に
_
:09/11/14 19:22 :D905i :lSHpUp5E
#259 [栢]
きっと釣り合わないから
君から身を引いたんだ。
:09/11/14 19:23 :D905i :lSHpUp5E
#260 [栢]
あまりに美しすぎて
あまりに眩しすぎて
きっと
見えないふりをした‥。
今更もう遅いこと
:09/11/14 19:24 :D905i :lSHpUp5E
#261 [栢]
艶やかな黒髪が風に揺れる
いつだって遠くから見てた。
「瑞希ちゃん!
今日暇ならご飯食べに行かない?」
「瑞希ちゃんアドレス教えてよ」
いつだって君は人気者で
ひとりでいる事なんて
なかなかなくて
タイミングが掴めなかった。
:09/11/14 19:29 :D905i :lSHpUp5E
#262 [栢]
「あ‥ごめんなさい。
夜は家で夕食を食べるので‥」
「ごめんなさい。
あまりメールが得意ではないので‥」
下心の塊たちに
ひとつひとつ丁寧に言葉を返す。
そして柔らかく笑う。
‥憧れ、夢、理想
枯れ葉のこすれる音が物寂しい。
:09/11/14 19:32 :D905i :lSHpUp5E
#263 [栢]
後ろ姿を
もうどれくらい見つめただろう‥
少し大人っぽくなった。
少し背が伸びた気がする
だけど
相変わらず君は眩しくて、
僕は大人になったのだろうか。
背は少し伸びたんだけど
君は知らないんだろうな‥
:09/11/14 19:36 :D905i :lSHpUp5E
#264 [栢]
「橘くん‥?」
「あ‥俺?」
嬉しそうに頷いた姿が
愛おしすぎた
そんな顔されたら
叶わない想いにも
期待してしまいそうだ‥
「ノート‥ありがとうございました。」
丁寧な言葉遣いが余計に距離を感じさせる
もう7年目なのに‥
そこがまた君の魅力
:09/11/14 19:39 :D905i :lSHpUp5E
#265 [栢]
慌ててノートを受け取った。
少し手が触れた
どうしても目が泳いでしまう。
俺こそもうすぐ6年目なのに‥
なにも進展がないなんてな。
「見にくかったでしょ?
ごめんね(笑)」
思わず笑ってごまかした。
手がじわりと汗をかいた。
:09/11/14 19:43 :D905i :lSHpUp5E
#266 [栢]
「いえ、とても見やすかったですよ。
また‥
もしもの時は貸していただきたいです。」
ゆっくりと深く頭を下げて
いつものように柔らかく笑った。
「こ‥こんなんでよければ‥!」
ごくりと唾を飲む
もうこの笑顔だけで
僕は救われた気がしてしまう。
だからなにもできないでいる
:09/11/14 19:46 :D905i :lSHpUp5E
#267 [栢]
「あ‥あのさ、」
僕の口が思わぬとこで先走った。
「なんですか?」
きょとんとした顔。
可愛すぎて‥だめだもう。
「み‥瑞希ちゃんって、
中学の時から変わらないよね!」
意味がわからない発言。
あぁもう‥
:09/11/14 19:53 :D905i :lSHpUp5E
#268 [栢]
君の様子を
恐る恐るうかがってみると
少し困ったように‥
「それは‥
喜んでいいのでしょうか?」
透き通った手を口元に寄せて
クスリと笑った。
「もちろん!!‥いい意味だよ」
「ありがとうございます」
きっと褒められるのは慣れてるだろう
それなのに本当に嬉しそうに
笑ってくれるから
諦めきれないんだよ‥。
:09/11/14 19:57 :D905i :lSHpUp5E
#269 [栢]
「橘くんも‥
お変わりないですよ?」
僕に向けられた言葉が
優しく虚しさをかき消す。
「背は‥少し伸びましたけど、」
付け足すように言った言葉に
なんだか暖かくなった。
じわりじわりと
何かがこみ上げてくる
「背‥あぁ、
中学の時は小さかったしね」
:09/11/14 20:01 :D905i :lSHpUp5E
#270 [栢]
「高校生あたりから‥ですかね?
ぐんと伸びましたよね」
すごい‥よく知ってるな
思わず緩む口元に必死に力を込めた
「よく知ってるね!(笑)
そこまで話したりしてなかったのに‥」
「えぇ‥まぁ。
それくらいわかりますよ」
話の途中に細い髪を耳にかける
たぶんこれは君の癖。
:09/11/14 20:08 :D905i :lSHpUp5E
#271 [栢]
「そっか‥そうだよね(笑)」
奇跡なんかが起きたらいいなと
思ってはいけないのだ。
空一面が淡い紫に染まる
消えてゆく赤をよそ目に
真上では白い星が輝いた。
「日が落ちるの‥早くなりましたね」
腕時計を見つめて
ぽつり君がつぶやいた
:09/11/14 20:11 :D905i :lSHpUp5E
#272 [栢]
もう帰らなきゃな‥
送っていくとか言ったら
迷惑なのかな。
「瑞希ちゃん‥
あっちの駅まで一緒に帰らない?」
今日の僕はきっと心に決めたんだ。
もう終わりにしようって
「え‥あ‥、はい!
ありがとうございます」
感謝したいのはこっちのほうなのに
君はいつだってそう言うね。
:09/11/14 20:20 :D905i :lSHpUp5E
#273 [栢]
人気の少ない無人駅。
あたりの稲穂が風に揺れて
寂しげに奏でてた。
地元同じでよかった‥ほんと。
同じ時間を刻むことに
ほんの些細なことに
君といると幸せを感じるんだ。
古びた小さな電車に乗って
穏やかに揺られて
「こうして一緒に帰るのは、
よく考えると初めてですね」
不器用に開いた2人の空間が
僕らの距離を表した
:09/11/14 20:25 :D905i :lSHpUp5E
#274 [栢]
「大学入ってから一回も
駅で会ったことないもんね」
電車の音など気にならない
向かいの窓に映る君しか見れない
「なんだか不思議な気がします」
またクスリと笑う君を
窓越しに見つめた。
いつの間にかアナウンスが
僕らの別れを告げた。
:09/11/14 20:30 :D905i :lSHpUp5E
#275 [栢]
地元はやっぱり落ち着く
君と出会ったこの地が好きだ。
「今日はありがとうございました。」
改札を出て振り向いた君を
このまま連れ去りたかった。
「いえいえ‥こちらこそ」
僕らの声しか見当たらない
静かな夜に
ほんのり駅の光が差し込む
:09/11/14 20:34 :D905i :lSHpUp5E
#276 [栢]
「あのさ、瑞希ちゃん
今日は‥伝えたいことが‥」
僕の言葉に被せるように
君が僕の名前を呼んだ。
「あの‥私、明日からもう‥
大学通えないんです。」
チカチカと消えかかる光から
小さな虫たちが去っていく
虚しくすぎる電車の音に
耳を塞ぎたくなった。
:09/11/14 20:38 :D905i :lSHpUp5E
#277 [栢]
「それって‥」
「アメリカに引っ越すんです。
父の仕事の関係で‥
とても急な話で、私も驚きました。
最近、大学を休んでいたのは‥
そういうわけで、」
だんだんと小さくなる声を
拾うように目を閉じた。
振られた気がした。
もう会えなくなる‥。
君の笑った顔も丁寧な言葉遣いも
もうこれっきり
:09/11/14 20:41 :D905i :lSHpUp5E
#278 [栢]
「‥そうなんだ‥。そっか‥」
自らに納得させるように
何度も呟いた。
笑顔で見送ろうとしたけど
僕はそんなにできた人間じゃなくて‥
「それで‥、ずっと‥」
君の手に力が入ったのがわかった。
「橘くんを‥もう‥
見ていられないと思うと‥
胸が‥苦しくなりました。」
小さく小さく君が震えるから
泣いた顔なんて見たことなかったから‥
:09/11/14 20:47 :D905i :lSHpUp5E
#279 [栢]
言葉が出ない僕をよそに
声を絞り出して‥
「少し‥遅すぎました、
どうせなら‥気付かなければ‥
私‥橘くんが‥好きでした。」
月明かりに照らされた君は
まるで天使のようで
その涙も愛おしく思えるほどに‥
口を不格好に開いて
支えるのがやっとなほどに
体の力が抜けていった。
:09/11/14 20:51 :D905i :lSHpUp5E
#280 [栢]
「瑞希‥ちゃん‥、
それ‥本当‥?」
冷静そうなその声に
君は大きく頷いた。
「‥先に言わせてよ‥。
瑞希ちゃんが、好きだよ
‥もう、夢でもいい‥。」
ぎゅっと小さな体を抱きしめた
温もりをかんじた。
たった一時の夢でも
僕は君に近づけた。
:09/11/14 20:57 :D905i :lSHpUp5E
#281 [栢]
いつもは大人びた君も
ぐしゃぐしゃに泣いて
子供のように僕に抱きついた。
「知らなかった‥
釣り合わないと思ってたから‥
本当に‥本当に」
「‥私も、
叶わないと思ってました‥」
不安定な声が耳の中をくすぐる
「ありがとう‥大好きだよ」
もう離したくないさ‥
どこにも行かせたくない‥。
君は僕をわがままにさせた
:09/11/14 21:01 :D905i :lSHpUp5E
#282 [栢]
たった一時の幸せに
浸ることなんて嫌いだった。
あとに残る虚しさに
僕は勝てるほど強くなかったから
だけど今は、君だけは‥
僕を一番強くした。
「ずっと‥ずっと見てました。」
涙を拭いて恥ずかしそうに顔をあげて
こんなに小さかったんだ‥
初めてこんなに近づけた。
:09/11/14 21:05 :D905i :lSHpUp5E
#283 [栢]
「ずっと‥って、
高校の時から‥?」
「ええ‥その前から、」
目を細めて僕を真っ直ぐに見つめた
長い睫が涙に濡れていた。
「前って‥中学?」
「もちろんです‥。
姿を見れるだけで、幸せでした」
はっきりと言ったその声に
僕は顔を赤く染めた。
:09/11/14 21:10 :D905i :lSHpUp5E
#284 [栢]
「もっと‥
早く言えばよかったね、
そしたらもっと‥。」
君の傍にいれたのに‥
「気持ちが伝われば
私はそれで、十分でしたから‥
今こうしていられるだけで‥」
僕は優しく口付けた。
君の温もりが伝わる。
時が止まればいいと願ったのは
これが初めてだった‥。
:09/11/14 21:13 :D905i :lSHpUp5E
#285 [栢]
>>258-284
純愛一途物語(´・ω・`)笑
最初は切なく終わるつもりでしたが
書いてるうちに
この2人には結ばれて欲しい!
と思いましてくっつけました←
終わりかた微妙ですが
感想などいただけたら
うれしいです^^
:09/11/14 21:17 :D905i :lSHpUp5E
#286 [み]
毎回楽しみにしています
感動とドキドキがあって、更新が待ち遠しいです
これからも頑張って下さい
:09/11/14 21:53 :SH903i :wubq7iT2
#287 [栢]
◎ みさん
ありがとうございます(;_;)
とても励みになります ^^*
気分屋なので不定期更新ですが
これからもよろしくです♭
:09/11/14 22:26 :D905i :lSHpUp5E
#288 []
:09/11/20 20:05 :SH904i :R8NxYGoA
#289 []
:09/11/21 09:30 :SH904i :B74zbu2g
#290 [栢]
:09/11/24 17:12 :D905i :6NafA9lE
#291 [栢]
:09/11/24 17:22 :D905i :6NafA9lE
#292 [栢]
先輩のポケットに私の宇宙
_
:09/11/24 17:43 :D905i :6NafA9lE
#293 [栢]
小さな頃から
私は"宇宙"に憧れた。
真っ暗な空間に
きらきらとした渦や
赤かったり青かったり
輪っかがついてたり‥
数え切れないほどの惑星
何度本を読んだって
何度写真集を見たって
すべてを知れない
そのもどかしさが
私を虜にしていたんだ
:09/11/24 17:47 :D905i :6NafA9lE
#294 [栢]
暇な日はもっぱら宇宙の本。
いつの日か飽きがくるだろうと
暖かく見守ってた両親も
今ではあきれ顔。
何かひとつ
新しいことを知るたびに
わくわくした。
そして今日も
わくわくを求めて
"宇宙"を求めて
地元の図書館に向かう
:09/11/24 17:51 :D905i :6NafA9lE
#295 [栢]
もうきっとすべて読み尽くした。
司書さんにも顔を覚えられた。
いつも休日はここへ来て
窓際のいすに座る
そしてひたすらに
日が暮れるまで"宇宙"に触れる
見た目は
少し田舎じみているが
普通の女子高生なはずだ
:09/11/24 17:55 :D905i :6NafA9lE
#296 [栢]
「‥紗代ちゃん。」
司書の中村さんが
小声で私を呼んだ。
不思議そうに近寄る私に
にこにこしながらこう言った
「屋上に‥いってごらんなさい
きっとあなたをわくわくさせる
素敵なものがあるわ」
やりなれたように
片目を瞑ってウィンクすると
中村さんはせかすように
私の背中をぐいと押した。
:09/11/24 18:00 :D905i :6NafA9lE
#297 [栢]
屋上‥?
検討もつかなかった
屋上から宇宙でも見えるのかな
‥それはさすがに有り得ない
じゃあ‥なんだろう。
非常階段を駆け上り
期待を胸に
勢いよく扉を開けた。
:09/11/24 18:02 :D905i :6NafA9lE
#298 [栢]
すぅっと
心地よい風が髪を撫でる
そこには
期待するものは何もなかった。
「中村さん‥意味わかんない」
小言を言いながらも
青い空に目をこらす。
「今日は‥星がよく見えますよ」
ふと目をやると
すらっとした少し華奢な男が
同じように空を眺めてた。
:09/11/24 18:06 :D905i :6NafA9lE
#299 [栢]
「紗代ちゃん‥でしたか?」
爽やかに笑われた。
少しばかり見とれた。
透き通るような白い肌に
真っ黒な縁の眼鏡
柔らかい声とは対照的な鋭い目
「中村にはめられたのでしょう」
少し参ったようにくすりと笑った
余裕ありげな言葉遣いが
気に入らなかった。
:09/11/24 18:11 :D905i :6NafA9lE
#300 [栢]
「‥誰?」
目を細めて警戒心を剥き出しにした。
「さぁ‥誰でしょうね」
からかわれてる。
面倒な人が少しばかり
いや‥大嫌いだった。
「何それ。バカにしないでよ」
あたしのこの威嚇もさらりと交わされる
一気に現る苦手意識。
:10/01/08 17:34 :D905i :TVGSibQw
#301 [栢]
そいつはあたしに目もくれず
ずっと空を眺めてた。
憎らしいのに
その美しさに見とれてしまうほど
透き通った肌‥
少し悩ましげな瞳
なんでだろう‥そいつは知りたくさせる
あたしの好奇心を掻き立てる。
:10/01/08 17:38 :D905i :TVGSibQw
#302 [松田DXさん]
「ねぇ‥あんた」
不完全な足から目が離せなかった
「あ‥足ですか?よく気づきましたね」
クスクスとまた余裕そうに笑う
固くて冷たそうなそいつの左足。
「生まれた時からないもんでね、
自分の中ではコレが僕の足です」
戸惑いも見せずに
悲しげな表情もせずに
:10/01/17 13:42 :D905i :fvQWoubw
#303 [松田DXさん]
「へぇ‥」
聞こうと思えば聞けたんだ
辛くない?痛くない?不便じゃない?
聞くまでもないような表情に
あたしは唇を噛んだ
「‥可哀想ですか?」
眉を下げて笑った
きっとみんな同情してきたんだ
"普通じゃない"
"自分と違う"
同情は何よりも身勝手で残酷
:10/01/17 13:48 :D905i :fvQWoubw
#304 [松田DXさん]
―――――――――‥
「紗代ちゃんって片方の目見えないんだってー」
「えー!?‥可哀想だねー」
「ほんと可哀想だねー」
小学校のころによく言われた
あたしは"可哀想"な子
ただ片方見えないだけ
それだけで人は"可哀想"な人間になる
:10/01/17 13:57 :D905i :fvQWoubw
#305 [松田DXさん]
「ねぇどうして見えないの?」
誰も他人の気持ちなんかわかりゃしないのに
"同情"なんてただ迷惑なだけ
「別にいいでしょ!!放っておいて!」
それからあたしは独りになった
宇宙にはまったのもこのせい
誰もまだ知り得ない世界
この世界で普通なことは
アッチでは普通ではないから
普通だとか可哀想だとか
そんな言葉がないとこに憧れた
:10/01/18 13:13 :D905i :IPeB6o1Y
#306 [松田DXさん]
――――――――‥
「別に可哀想じゃないよ
‥あたしも同じだから」
気が付けば心を開いてたようで
ソイツがあたしと同じように
孤独に生きてきたってわかった
あたしと同じ"可哀想"な目をしてる
「‥そうですか。」
深入りしようともせずに
また空を眺めてた
興味をもたれないことに
今のあたしは快感を得たんだ
:10/01/18 13:19 :D905i :IPeB6o1Y
#307 [松田DXさん]
「あたし、こんな世界に生まれたくなかった」
ぽろっと零れた不安は
さっき出会ったばかりの奴に向けられた
少しこちらに目を向けて
またクスっと笑った
同じように孤独だったはずなのに
なんでそんなに笑えるの?
やっと仲間を見つけたと思ったのに‥
するとそいつはゆっくり立ち上がり
少しだけぎこちなくあたしの目の前にきた
:10/01/18 13:25 :D905i :IPeB6o1Y
#308 [松田DXさん]
またゆっくりとしゃがんだ時に
左足の冷たい音が微かに耳に入った
「じゃあ、誰も知らない未来に行きますか?」
「‥は?バカにしてるの?」
「いえ‥相対性理論、知りません?」
「‥今そんな技術はないでしょ
あたしたちにとっては夢のまた夢
その頃には死んでるわ」
そいつは空を見て
いつも夢見てたんだろうか
:10/01/18 13:30 :D905i :IPeB6o1Y
#309 [松田DXさん]
いつか宇宙に行きたい
そんな夢でさえ
きっとそいつにとっては困難なのに
「‥つまらない人生ですね」
じっとあたしを見つめた眼差しが
捕らえて離さなかった
「夢を見るのはただですよ
ただでさえ僕らは普通の夢さえ
困難な状況に置かれてる
僕らが一番に願う夢は‥
みんなにとっては当たり前なんです」
:10/01/18 13:34 :D905i :IPeB6o1Y
#310 [松田DXさん]
そいつは愛おしそうに左足を撫でた
「これでも何かと不自由です
だけど不自由だからこそわかる世界があって
不自由だからこそ可能性を信じたくなる
目が見えたらいいなって
あなたもどこかで願ってる
だから僕も本物の足を得て
遠く離れた星に行きたい」
そいつは人と違うからと言って
下を向いては居なかった
:10/01/18 13:47 :D905i :IPeB6o1Y
#311 [栢]
名前変わってました(´・ω・`)
生活板の名前になってました
松田=栢です(;_;)
:10/01/18 13:50 :D905i :IPeB6o1Y
#312 [栢]
「諦めたら終わりですよ。
夢‥見ましょうよ
楽しいですよ」
また笑った
「‥夢か」
あたしの目の前に
何かがはっきり映った気がした
ぼやけた世界が
そいつの言葉で開けた気がした
:10/01/18 13:59 :D905i :IPeB6o1Y
#313 [栢]
>>292-313
わけわからん(´・ω・`)
タイトル全く関係ないし
内容ふわふわしすぎw
主人公は片目が不自由なことが原因で
人間嫌いになってた
そのため独り宇宙に没頭
"そいつ"は片足が不自由だったけど
前向きに生きている
同じ障害を抱えながらも
考え方が真逆な2人
ってかんじでスルーしてください;;
:10/01/18 14:06 :D905i :IPeB6o1Y
#314 [栢]
ア イ カ ギ
― 悠さまリク ―
:10/01/20 15:49 :D905i :cHfw0CBk
#315 [栢]
「おかえり」
「‥ただいまぁ♪」
車のドアを開くと
石けんみたいないい香りがする
大好きなたっちゃんの匂い
たっちゃんは大学1年生
去年まであたしと同じ学校で
サッカー部の副キャプテンしてた
その時あたしは高2でマネージャーで‥
「‥奈々?」
責任感強くて優しくて
だけど時々いじめてきて‥(笑)
そんなたっちゃんにいつの間にか‥
:10/01/20 16:00 :D905i :cHfw0CBk
#316 [栢]
「‥聞いてんの?」
「‥うわっあぁ///聞いてるよー!!」
たっちゃんはSだと思う
「だったら返事しろよー」
いつもクスって笑う
あの目にあたしは未だにドキドキする
「で‥でも耳元で言うことないでしょ//」
たっちゃんから見たらあたしは
まだまだ子供なんだと思うんだ
:10/01/20 16:04 :D905i :cHfw0CBk
#317 [栢]
「‥かわい、」
からかった後は
そう言って目を細めて頭を撫でてくれる
少し乱暴で髪がぐちゃぐちゃになるけど
それでも幸せなんだ
たっちゃんは時間ができると
わざわざ学校まで迎えに来てくれる
大丈夫だよって言っても来てくれる
一年経った今でも相変わらずベタぼれ
:10/01/20 16:14 :D905i :cHfw0CBk
#318 [栢]
「たっちゃん明日バイト?」
家に着くのはあっという間
その日のこととか
くだらないおふざけとか
音楽聞いてあたしが歌って
それを見てたっちゃんが笑って
特別何をしなくても
心が温かくなるこの感じは
たっちゃんが初めてなのです(笑)
:10/01/20 16:20 :D905i :cHfw0CBk
#319 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/28 08:16 :Android :HDgsN/jU
#320 [ん◇◇]
:22/10/28 08:18 :Android :HDgsN/jU
#321 [ん◇◇]
:22/10/28 08:18 :Android :HDgsN/jU
#322 [ん◇◇]
:22/10/28 08:19 :Android :HDgsN/jU
#323 [ん◇◇]
:22/10/28 08:20 :Android :HDgsN/jU
#324 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:22/12/06 02:31 :Android :uo62Tj4s
#325 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑(∩゚∀゚)∩age
:23/01/21 20:13 :Android :IhSnmgVI
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