― 短編箱 ―
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#201 [栢]
「もう、終わった‥」
ふと時計を見る
―‥0時2分
「嘘‥」
嘘なんかじゃない、
この温もりが事実
「メイがいいや、やっぱり
ってか‥じゃなきゃ駄目っぽい」
耳元で囁く声が春を告げた
:09/10/26 00:46 :D905i :0HxquaIU
#202 [栢]
「ばかだよね‥。もう、ばか」
何かがほどけて雫になる
今までの不安も、隠してた想いも
全部が溢れ出る。
うるせぇよって緩く笑って
また荷物を整理し始めた
さっきとは違うわ‥
時計の音が愛おしい
:09/10/26 00:51 :D905i :0HxquaIU
#203 [栢]
さっきよりも少し
近くに座ってみた。
だけどもどかしい、初めての感覚
‥むずがゆいね
「あ‥懐かしい(笑)
これ、覚えてる?」
そう言って
小さな封筒を渡された。
:09/10/26 00:53 :D905i :0HxquaIU
#204 [栢]
"はるとくんえ
めいをおよめさんにしてね"
子供ながらに歪だけど
丁寧に書いたような字
何度も消した跡があった。
「幼稚園のとき、メイがくれたんだよ?」
正直記憶にはなかったけど
一気に体が熱くなった
:09/10/26 00:56 :D905i :0HxquaIU
#205 [栢]
「うわぁ‥恥ずかしい」
そんな何年も前の手紙を
持っててくれたなんてね、
嬉しくて仕方がない
くすりと隣で笑われた。
そして、ある一通の手紙が
あたしの手元に現れた
何年も前の
まだ渡していない小さな手紙
:09/10/26 00:59 :D905i :0HxquaIU
#206 [栢]
"めいちゃんえ
ぼくをおよめさんにしてね"
「やっぱり‥ばかだね」
思わず笑ってしまったの
可愛い文面
顔を赤くする"ぼく"が愛おしい
ねぇ‥
運命を信じたくなったよ
:09/10/26 01:02 :D905i :0HxquaIU
#207 [栢]
二通の手紙を重ねて
声を一つにして、笑った
―‥長年待ち続けた、春の訪れ。
:09/10/26 01:05 :D905i :0HxquaIU
#208 [栢]
>>180-108
なんかキュンとするやつが書きたかった
書きたかった‥(´・ω・`)
なかなか難しいですね ×
幼なじみとか
ありがちな設定だし、笑
最早ネタ切れです ´`。
後先考えずに書き始めたので
ごちゃごちゃになってしまいました
反省(・_・)
遠まわしすぎる表現も反省
もっと勉強します!
:09/10/26 01:18 :D905i :0HxquaIU
#209 [栢]
:09/10/26 01:20 :D905i :0HxquaIU
#210 [栢]
:09/10/26 01:22 :D905i :0HxquaIU
#211 [匿名]
春の青い芽?
とてもいい話です(゚ω゚)
:09/10/26 02:38 :P02A :☆☆☆
#212 [栢]
>>211
ありがとうございます ^^*
適当にタイトルつけたので
わかりにくいのになってしまいました×
一応
春の青→"青春"と
青い芽→"まだ始まったばかり"
って意味のつもりです(´・ω・`)笑
よかったらこれからも
よろしくです ><
:09/10/26 15:54 :D905i :0HxquaIU
#213 [栢]
星のブーケ
_
:09/10/29 16:50 :D905i :LGfwOJL.
#214 [栢]
冷たい夜空に両手を広げて
あのキラキラ光る
あの星たちが欲しかった
―‥幼い頃の夢
:09/10/29 16:52 :D905i :LGfwOJL.
#215 [栢]
だけど
どうしても手が届かない
「お星様‥、どうして?」
こぼす涙が月明かりに照らされて
キラキラと光る
この星たちを集めて
プレゼントしたい人がいた
「パパ‥」
:09/10/29 16:57 :D905i :LGfwOJL.
#216 [栢]
仕事中に急に倒れた。
「パパに‥パパにあげたいの」
なんとなく
星を集めてプレゼントしたら
元気になる気がしてた‥
"お星様は、
美知のお願い叶えてくれるんだよ"
だってパパがそう言ったから
:09/10/29 17:01 :D905i :LGfwOJL.
#217 [栢]
パパが倒れてから
毎晩、夜空を見上げては
お願い‥お願いと
泣きながら祈った。
「おもちゃも、お菓子も、
美知‥がまんするからぁ‥」
大好きなパパ
だけどずっと目を閉じてるの
笑ってくれないの‥
:09/10/29 17:05 :D905i :LGfwOJL.
#218 [栢]
パパに会いに行っても
いつもみたいに
お星様の話をしてくれない。
パパはお星様の専門家
いわゆる、 天文学者だった
"今見えるお星様の光はね
何万年も、何億万年も前の
昔の光なんだよ"
そんなことを教えてくれた。
:09/10/29 17:47 :D905i :LGfwOJL.
#219 [栢]
まだその時は幼すぎて
よく理解していなかったけど
夜星に魅了されたのは確か。
何度も何度も
掴もうとしたのに
お星様は、逃げてしまう
「美知‥
お星様に、嫌われちゃった」
泣きじゃくって
もうお願いなんてしないって決めた
だってパパ
元気にならないんだもん
:09/10/29 18:22 :D905i :LGfwOJL.
#220 [栢]
その日から
夜空を眺めるのをやめた
そんな私を見かねてか
お兄ちゃんが近寄ってきた。
「美知?
今日はお星様にお願いしないの?」
お兄ちゃんは6つ上の中学生
「もう、お願いなんてしないの」
しょぼくれながら
指で細い髪をくるくら巻き取った
:09/10/29 18:26 :D905i :LGfwOJL.
#221 [栢]
お兄ちゃんは
どうして? と優しく尋ねて
私と目線を合わせた
「だって、
パパにあげたかったのに‥
お星様、掴まらないんだもん」
大きな瞳に涙を溜めて
巻き取った髪をスルリと放す
お兄ちゃんの手が
私の頭を包むように撫でた。
:09/10/29 18:31 :D905i :LGfwOJL.
#222 [栢]
「じゃあ、美知
お星様の絵書いて
パパにプレゼントしようよ」
クレヨンと画用紙を手渡され
私はは浮かない顔をした
「美知‥下手くそだもん」
ふてくされて全てを放り投げた
パパに似て
いい言い方をするなら
こだわりが人一倍強かった
:09/10/30 15:57 :D905i :d6Zud4xA
#223 [栢]
そしてお兄ちゃんは
パパに似て優しかった
「兄ちゃんがお星様書くよ!
だから、美知は色塗って?
美知色塗り上手でしょ?」
緩く笑ったその笑顔が
パパに似すぎてて
どこかキュッと痛くなる
だけど、
パパが笑ってくれた気がした
:09/10/30 16:03 :D905i :d6Zud4xA
#224 [我輩は匿名である]
私は目を輝かせて
お兄ちゃんが書いた下書きを
丁寧に縁取って
一生懸命色を塗った
いつの間にか時間が過ぎ
11時になっていた
思った以上の完成度に
満足して
お兄ちゃんと私は
2人で一枚の毛布にくるまり
眠りについた
‥ぱぱが笑う夢をみた
:09/11/02 17:23 :D905i :j2q9RMHc
#225 [栢]
―‥朝
聞き慣れない声で目が覚めた
「美知ちゃん!起きて!」
「まだ眠い‥よ」
眠たい目を擦って
ぐずり気味の私に
そう言って起こしたのは
パパのお姉ちゃん
つまり、おばさんだった。
明らかに隠し切れていない動揺を
私は感じざるを得なかった
:09/11/02 17:27 :D905i :j2q9RMHc
#226 [栢]
お兄ちゃんは
すでに着替えていて
ぱたぱたと騒がしかった
訳もわからずに着替えさせられ
乱暴にラップに包んだ
おにぎりを手渡され
車に乗せられた。
わかってた‥
だって夢でパパが
にっこり笑ったんだもの
手を振って‥。
:09/11/02 17:30 :D905i :j2q9RMHc
#227 [栢]
「お兄ちゃん‥
お星様‥」
そう言いかけると
「大丈夫、
ちゃんと持ってきた」
と私の頭を撫でて言った。
喜んでもらえるだろうか‥
パパは見てくれるだろうか‥
早くパパの所に行きたくて
胸の奥が騒がしい
足が落ち着かない
:09/11/02 17:33 :D905i :j2q9RMHc
#228 [栢]
車を飛び降りて
お兄ちゃんに手を引かれて
思い切り走った。
ママ、おじさん、ばぁちゃんの
背中が囲んでいる
そして険しい顔のお医者さんが
パパをじっと見つめていた
「パパ、パパ!!
お星様!!お星様だよパパ!!」
みんなをかき分けて
パパの顔の前にあの絵を出した
:09/11/02 17:37 :D905i :j2q9RMHc
#229 [栢]
差し出した絵の端から
パパの真っ白な顔が見えた
「パパ‥?
お星様、美知とお兄ちゃんでね‥」
ママが静かに泣いている声が聞こえた
「‥書いたの一生懸命
お星様にお願いしたの!
パパが元気になりますようにって!」
遠退いていく呼吸を
見て見ぬ振りをして‥
:09/11/02 17:42 :D905i :j2q9RMHc
#230 [栢]
「ねぇお兄ちゃん?
昨日書いたんだよね?」
無邪気に振り返った私に
お兄ちゃんは
肩を震わせながら小さく頷いた
「パパ‥あのね、」
部屋の静けさに
何か話そうと必死だった
:09/11/02 17:45 :D905i :j2q9RMHc
#231 [栢]
ピ―‥
今までに聞いたことのない
耳に突き刺さる音を聞いた
パパの手が氷のように冷たかった
「あなたぁ‥!
いかないで‥いかないでぇ‥」
ママがパパに寄り添い泣き崩れる
お医者が時計を見て何かを言った
:09/11/02 17:48 :D905i :j2q9RMHc
#232 [栢]
嘘だよ‥パパ‥
お星様、
一生懸命書いたのに‥
美知が色塗り下手だったから?
美知が本物のお星様
集められなかったから‥?
ねぇパパ‥わかんないよ
「パパ‥お星様‥」
堪えていた涙が
体の奥から溢れ出しす
:09/11/02 17:51 :D905i :j2q9RMHc
#233 [栢]
「美知‥ありがと‥」
パパが確かにそう言った
消えそうな壊れそうな声で
確かに私にそう言った
その瞬間
魔法が溶けたように
子供らしく泣きわめいた
小さくなって泣く私を
お兄ちゃんは優しく包んでくれた
:09/11/02 17:55 :D905i :j2q9RMHc
#234 [栢]
子供の私たちは
家に帰らされた。
お兄ちゃんと2人きりの家。
風が窓を揺らす音が
さらに寂しくさせた
「お兄ちゃん‥
パパ‥元気にならなかった」
うつむいて目を擦って
少し震える声で
「美知‥パパの秘密知ってる?」
そう言った。
頑張って明るく振る舞うその声に
私は涙を止めた
:09/11/02 18:00 :D905i :j2q9RMHc
#235 [栢]
顔を上げ
首を横に振って見せる
するとお兄ちゃんは
にっと笑って小声で言った。
「パパって、
お星様の国の王様なんだよ!」
「おうさま?!」
驚いて胸を時めかせた私の口を
塞ぐ
暖かくて大きな手‥。
:09/11/02 18:04 :D905i :j2q9RMHc
#236 [栢]
「だからあんなに
お星様に詳しいんだよ?
それで、今日は帰らなくちゃいけない日
お星様の国のみんなだって
パパが居なくちゃ困ってるんだ」
一気に涙が乾く
とっさに思いついた優しさに
私は笑顔を浮かべた
「だけど‥パパは
美知のパパなんだよ?
勝手に連れてっちゃいや‥」
大好きな初めての"恋人"に
やきもちを焼くくらい大人になった
:09/11/02 18:08 :D905i :j2q9RMHc
#237 [栢]
「美知にもパパが必要なように‥
あっちのみんなにもパパが必要なんだ。
パパは人気者なの、
"お友達とは仲良く半分こ"って
パパと約束したでしょ?」
澄み切った空気に包まれて
私は大きく頷いた
:09/11/02 18:12 :D905i :j2q9RMHc
#238 [栢]
「じゃあ美知‥
お星様の絵パパにあげる!
それで、
みんなに自慢してもらうの!
美知はこんなに上手な絵を書くんだよって!」
にこにこと笑みを浮かべた
ちょっぴり大人になった。
大好きな"恋人"を
少しだけ独占したかった。
「そうしようか」
安心したようにお兄ちゃんが笑う
:09/11/02 18:16 :D905i :j2q9RMHc
#239 [栢]
たくさんの人に見送られて
パパはお星様の国に旅立った。
「美知!ほらあの白い煙‥
パパが馬車に乗ってるんだよ」
「わぁ‥!パパ王様だもんね!!」
笑顔でさよならをした
またいつか帰ってきてねと
:09/11/02 18:19 :D905i :j2q9RMHc
#240 [栢]
その日の夜は
星が満ちていた。
「パパが帰ったから
今日はお星様いっぱいだね」
白い息をリズムに乗せて
「今頃‥
美知の絵、自慢してるよ」
「そうだといいなぁ‥!」
流れ星が一筋
きらり、光って月に消えた
:09/11/02 18:23 :D905i :j2q9RMHc
#241 [栢]
>>213-241
まとまりなさすぎます(´;ω;`)笑
先日
流星群もあったと言うことで
星をネタにしたものが書きたくて
思いつきで書いてみました ^^
今回は恋愛ではなく
家族愛っぽいものを‥
死を暖かく見つめる事と
兄弟愛とパパに恋する娘と‥
いろいろ盛り込みシリーズ!←
何かしら
感じてもらえたら嬉しいです◎
:09/11/02 18:28 :D905i :j2q9RMHc
#242 [栢]
:09/11/02 18:38 :D905i :j2q9RMHc
#243 [栢]
淡い雪
_
:09/11/06 17:16 :D905i :Szu5HYiU
#244 [栢]
ため息白く染まる。
「帰ろっか」
眉をさげて
少し恥ずかしそうに
手を差し出した。
小さな白い手が
俺の手を軽く握る。
「相変わらず、
手‥あったかいね」
クスリと笑う姿が
とてつもなく愛おしい。
:09/11/06 17:22 :D905i :Szu5HYiU
#245 [栢]
「相変わらず‥冷え性だね」
それを理由にして
その手を握りしめて
そのままポケットに突っ込んだ。
「手が冷たい人は
心があったかいんだよー」
長い睫に白い雪が降る
少し冷たそうにして
彼女は片目を瞑った。
:09/11/06 17:28 :D905i :Szu5HYiU
#246 [栢]
「ねぇ?」
真っ赤な傘から
こちらに顔を出しす
少し切りすぎたと言った
眉の上の前髪が揺れた
「何?」
返事をするのを忘れそうなくらい
見とれているから
それくらい、惚れてるから‥
離したくないんだけどね。
:09/11/06 17:33 :D905i :Szu5HYiU
#247 [栢]
「‥んん。
やっぱり、前髪変かな?」
彼女は何かを飲み込んだ
本当に言いたいことは
いつも言ってくれない‥。
「あぁ‥似合ってるよ?
長いときもよかったけど、」
手を伸ばして
くしゃくしゃと撫でた
視線を惹きたくて。
:09/11/06 17:38 :D905i :Szu5HYiU
#248 [栢]
「ありがと
去年も‥失敗したんだよねぇ」
白く染まったため息を
惜しそうに眺めて
それがまた俺を切なくさせるから
「可愛いよ‥可愛い」
「‥ありがとう」
去年と重ねてる?
そんなに遠くを見て、
彼女には何が見えてるんだろう
:09/11/06 17:43 :D905i :Szu5HYiU
#249 [栢]
「ほんと?‥嬉しい
可愛いって、言ってもらえると
やっぱり‥」
そんな悲しそうに笑わないでよ
「あんまり、
言われたことないから」
アイツは‥言わなかったんだ。
俺はアイツとは違うよ?
あんな奴とは違うのに‥
:09/11/07 18:20 :D905i :B5ShcEsI
#250 [栢]
ねぇ教えて欲しいよ。
‥どこがいいの?
アイツは何を持ってるの?
嫉妬するよ
優しさには自信があるんだ
想う気持ちだって‥
誰よりも大きいはずなんだ。
灰色の空が渦をまく
ぼんやりした色。
:09/11/07 18:24 :D905i :B5ShcEsI
#251 [栢]
「あ‥クリスマス
一緒に‥いてくれる?」
未だに直視できないでいる
君の"笑顔"。
‥気づいてるよ。
ただ、見て見ぬ振りをしてるんだ
こんなに近くにいるのに
君に手が届かない。
いつまで経っても
俺の手じゃ暖められない
あの日から冷たい小さな手
:09/11/07 18:28 :D905i :B5ShcEsI
#252 [栢]
「一緒に過ごそうか」
独りよがり。
こんなの、愛じゃないさ
ただの自己満足なんだ‥。
いつかちゃんと見てくれる‥
そんな期待すら今では、抱かずに
君の足下を見つめるだけ。
「‥楽しみ」
雪が君の声を吸い取って邪魔をする
:09/11/07 18:33 :D905i :B5ShcEsI
#253 [栢]
「‥去年は、独りだったから
恋人と過ごすのは‥初めてなの」
君を独りにした
寂しい思いをさせた
アイツが憎いよ。
だけど俺にはきっと
そんな思いをさせることすら
できないんだろうな‥。
目頭に降った雪がじわっと溶けた。
:09/11/07 18:36 :D905i :B5ShcEsI
#254 [栢]
真っ赤な傘が
真っ白な雪の上に落ちる。
小さく君は驚いたけど、
‥それだけ。
壊れてしまいそうなくらい
強く強く抱きしめてみたけど
空気を抱いているみたいに、
虚しさを覚えた。
「ごめんね‥」
その言葉が
この想いへの返事な気がして
俺は目を閉じて‥
:09/11/07 18:43 :D905i :B5ShcEsI
#255 [栢]
いつまで
偽りの"笑顔"に浸ってるつもりだろう
「‥好きだ」
止むことを知らない淡い雪。
:09/11/07 18:46 :D905i :B5ShcEsI
#256 [栢]
>>243-256
冬なので冬のお話 ^^
今回は切ないかんじに書いてみました!
またわかりにくい話ですが
簡単に解説すると
付き合ってるんだけど
彼女が元カレ忘れられなくて
それに気づいてるのに
別れられない俺←
なんかもやもやしたかんじで
わかる人にはわかる気持ちなのかも
:09/11/07 18:50 :D905i :B5ShcEsI
#257 [栢]
:09/11/07 19:25 :D905i :B5ShcEsI
#258 [椎]
思い出と共に
_
:09/11/14 19:22 :D905i :lSHpUp5E
#259 [栢]
きっと釣り合わないから
君から身を引いたんだ。
:09/11/14 19:23 :D905i :lSHpUp5E
#260 [栢]
あまりに美しすぎて
あまりに眩しすぎて
きっと
見えないふりをした‥。
今更もう遅いこと
:09/11/14 19:24 :D905i :lSHpUp5E
#261 [栢]
艶やかな黒髪が風に揺れる
いつだって遠くから見てた。
「瑞希ちゃん!
今日暇ならご飯食べに行かない?」
「瑞希ちゃんアドレス教えてよ」
いつだって君は人気者で
ひとりでいる事なんて
なかなかなくて
タイミングが掴めなかった。
:09/11/14 19:29 :D905i :lSHpUp5E
#262 [栢]
「あ‥ごめんなさい。
夜は家で夕食を食べるので‥」
「ごめんなさい。
あまりメールが得意ではないので‥」
下心の塊たちに
ひとつひとつ丁寧に言葉を返す。
そして柔らかく笑う。
‥憧れ、夢、理想
枯れ葉のこすれる音が物寂しい。
:09/11/14 19:32 :D905i :lSHpUp5E
#263 [栢]
後ろ姿を
もうどれくらい見つめただろう‥
少し大人っぽくなった。
少し背が伸びた気がする
だけど
相変わらず君は眩しくて、
僕は大人になったのだろうか。
背は少し伸びたんだけど
君は知らないんだろうな‥
:09/11/14 19:36 :D905i :lSHpUp5E
#264 [栢]
「橘くん‥?」
「あ‥俺?」
嬉しそうに頷いた姿が
愛おしすぎた
そんな顔されたら
叶わない想いにも
期待してしまいそうだ‥
「ノート‥ありがとうございました。」
丁寧な言葉遣いが余計に距離を感じさせる
もう7年目なのに‥
そこがまた君の魅力
:09/11/14 19:39 :D905i :lSHpUp5E
#265 [栢]
慌ててノートを受け取った。
少し手が触れた
どうしても目が泳いでしまう。
俺こそもうすぐ6年目なのに‥
なにも進展がないなんてな。
「見にくかったでしょ?
ごめんね(笑)」
思わず笑ってごまかした。
手がじわりと汗をかいた。
:09/11/14 19:43 :D905i :lSHpUp5E
#266 [栢]
「いえ、とても見やすかったですよ。
また‥
もしもの時は貸していただきたいです。」
ゆっくりと深く頭を下げて
いつものように柔らかく笑った。
「こ‥こんなんでよければ‥!」
ごくりと唾を飲む
もうこの笑顔だけで
僕は救われた気がしてしまう。
だからなにもできないでいる
:09/11/14 19:46 :D905i :lSHpUp5E
#267 [栢]
「あ‥あのさ、」
僕の口が思わぬとこで先走った。
「なんですか?」
きょとんとした顔。
可愛すぎて‥だめだもう。
「み‥瑞希ちゃんって、
中学の時から変わらないよね!」
意味がわからない発言。
あぁもう‥
:09/11/14 19:53 :D905i :lSHpUp5E
#268 [栢]
君の様子を
恐る恐るうかがってみると
少し困ったように‥
「それは‥
喜んでいいのでしょうか?」
透き通った手を口元に寄せて
クスリと笑った。
「もちろん!!‥いい意味だよ」
「ありがとうございます」
きっと褒められるのは慣れてるだろう
それなのに本当に嬉しそうに
笑ってくれるから
諦めきれないんだよ‥。
:09/11/14 19:57 :D905i :lSHpUp5E
#269 [栢]
「橘くんも‥
お変わりないですよ?」
僕に向けられた言葉が
優しく虚しさをかき消す。
「背は‥少し伸びましたけど、」
付け足すように言った言葉に
なんだか暖かくなった。
じわりじわりと
何かがこみ上げてくる
「背‥あぁ、
中学の時は小さかったしね」
:09/11/14 20:01 :D905i :lSHpUp5E
#270 [栢]
「高校生あたりから‥ですかね?
ぐんと伸びましたよね」
すごい‥よく知ってるな
思わず緩む口元に必死に力を込めた
「よく知ってるね!(笑)
そこまで話したりしてなかったのに‥」
「えぇ‥まぁ。
それくらいわかりますよ」
話の途中に細い髪を耳にかける
たぶんこれは君の癖。
:09/11/14 20:08 :D905i :lSHpUp5E
#271 [栢]
「そっか‥そうだよね(笑)」
奇跡なんかが起きたらいいなと
思ってはいけないのだ。
空一面が淡い紫に染まる
消えてゆく赤をよそ目に
真上では白い星が輝いた。
「日が落ちるの‥早くなりましたね」
腕時計を見つめて
ぽつり君がつぶやいた
:09/11/14 20:11 :D905i :lSHpUp5E
#272 [栢]
もう帰らなきゃな‥
送っていくとか言ったら
迷惑なのかな。
「瑞希ちゃん‥
あっちの駅まで一緒に帰らない?」
今日の僕はきっと心に決めたんだ。
もう終わりにしようって
「え‥あ‥、はい!
ありがとうございます」
感謝したいのはこっちのほうなのに
君はいつだってそう言うね。
:09/11/14 20:20 :D905i :lSHpUp5E
#273 [栢]
人気の少ない無人駅。
あたりの稲穂が風に揺れて
寂しげに奏でてた。
地元同じでよかった‥ほんと。
同じ時間を刻むことに
ほんの些細なことに
君といると幸せを感じるんだ。
古びた小さな電車に乗って
穏やかに揺られて
「こうして一緒に帰るのは、
よく考えると初めてですね」
不器用に開いた2人の空間が
僕らの距離を表した
:09/11/14 20:25 :D905i :lSHpUp5E
#274 [栢]
「大学入ってから一回も
駅で会ったことないもんね」
電車の音など気にならない
向かいの窓に映る君しか見れない
「なんだか不思議な気がします」
またクスリと笑う君を
窓越しに見つめた。
いつの間にかアナウンスが
僕らの別れを告げた。
:09/11/14 20:30 :D905i :lSHpUp5E
#275 [栢]
地元はやっぱり落ち着く
君と出会ったこの地が好きだ。
「今日はありがとうございました。」
改札を出て振り向いた君を
このまま連れ去りたかった。
「いえいえ‥こちらこそ」
僕らの声しか見当たらない
静かな夜に
ほんのり駅の光が差し込む
:09/11/14 20:34 :D905i :lSHpUp5E
#276 [栢]
「あのさ、瑞希ちゃん
今日は‥伝えたいことが‥」
僕の言葉に被せるように
君が僕の名前を呼んだ。
「あの‥私、明日からもう‥
大学通えないんです。」
チカチカと消えかかる光から
小さな虫たちが去っていく
虚しくすぎる電車の音に
耳を塞ぎたくなった。
:09/11/14 20:38 :D905i :lSHpUp5E
#277 [栢]
「それって‥」
「アメリカに引っ越すんです。
父の仕事の関係で‥
とても急な話で、私も驚きました。
最近、大学を休んでいたのは‥
そういうわけで、」
だんだんと小さくなる声を
拾うように目を閉じた。
振られた気がした。
もう会えなくなる‥。
君の笑った顔も丁寧な言葉遣いも
もうこれっきり
:09/11/14 20:41 :D905i :lSHpUp5E
#278 [栢]
「‥そうなんだ‥。そっか‥」
自らに納得させるように
何度も呟いた。
笑顔で見送ろうとしたけど
僕はそんなにできた人間じゃなくて‥
「それで‥、ずっと‥」
君の手に力が入ったのがわかった。
「橘くんを‥もう‥
見ていられないと思うと‥
胸が‥苦しくなりました。」
小さく小さく君が震えるから
泣いた顔なんて見たことなかったから‥
:09/11/14 20:47 :D905i :lSHpUp5E
#279 [栢]
言葉が出ない僕をよそに
声を絞り出して‥
「少し‥遅すぎました、
どうせなら‥気付かなければ‥
私‥橘くんが‥好きでした。」
月明かりに照らされた君は
まるで天使のようで
その涙も愛おしく思えるほどに‥
口を不格好に開いて
支えるのがやっとなほどに
体の力が抜けていった。
:09/11/14 20:51 :D905i :lSHpUp5E
#280 [栢]
「瑞希‥ちゃん‥、
それ‥本当‥?」
冷静そうなその声に
君は大きく頷いた。
「‥先に言わせてよ‥。
瑞希ちゃんが、好きだよ
‥もう、夢でもいい‥。」
ぎゅっと小さな体を抱きしめた
温もりをかんじた。
たった一時の夢でも
僕は君に近づけた。
:09/11/14 20:57 :D905i :lSHpUp5E
#281 [栢]
いつもは大人びた君も
ぐしゃぐしゃに泣いて
子供のように僕に抱きついた。
「知らなかった‥
釣り合わないと思ってたから‥
本当に‥本当に」
「‥私も、
叶わないと思ってました‥」
不安定な声が耳の中をくすぐる
「ありがとう‥大好きだよ」
もう離したくないさ‥
どこにも行かせたくない‥。
君は僕をわがままにさせた
:09/11/14 21:01 :D905i :lSHpUp5E
#282 [栢]
たった一時の幸せに
浸ることなんて嫌いだった。
あとに残る虚しさに
僕は勝てるほど強くなかったから
だけど今は、君だけは‥
僕を一番強くした。
「ずっと‥ずっと見てました。」
涙を拭いて恥ずかしそうに顔をあげて
こんなに小さかったんだ‥
初めてこんなに近づけた。
:09/11/14 21:05 :D905i :lSHpUp5E
#283 [栢]
「ずっと‥って、
高校の時から‥?」
「ええ‥その前から、」
目を細めて僕を真っ直ぐに見つめた
長い睫が涙に濡れていた。
「前って‥中学?」
「もちろんです‥。
姿を見れるだけで、幸せでした」
はっきりと言ったその声に
僕は顔を赤く染めた。
:09/11/14 21:10 :D905i :lSHpUp5E
#284 [栢]
「もっと‥
早く言えばよかったね、
そしたらもっと‥。」
君の傍にいれたのに‥
「気持ちが伝われば
私はそれで、十分でしたから‥
今こうしていられるだけで‥」
僕は優しく口付けた。
君の温もりが伝わる。
時が止まればいいと願ったのは
これが初めてだった‥。
:09/11/14 21:13 :D905i :lSHpUp5E
#285 [栢]
>>258-284
純愛一途物語(´・ω・`)笑
最初は切なく終わるつもりでしたが
書いてるうちに
この2人には結ばれて欲しい!
と思いましてくっつけました←
終わりかた微妙ですが
感想などいただけたら
うれしいです^^
:09/11/14 21:17 :D905i :lSHpUp5E
#286 [み]
毎回楽しみにしています
感動とドキドキがあって、更新が待ち遠しいです
これからも頑張って下さい
:09/11/14 21:53 :SH903i :wubq7iT2
#287 [栢]
◎ みさん
ありがとうございます(;_;)
とても励みになります ^^*
気分屋なので不定期更新ですが
これからもよろしくです♭
:09/11/14 22:26 :D905i :lSHpUp5E
#288 []
:09/11/20 20:05 :SH904i :R8NxYGoA
#289 []
:09/11/21 09:30 :SH904i :B74zbu2g
#290 [栢]
:09/11/24 17:12 :D905i :6NafA9lE
#291 [栢]
:09/11/24 17:22 :D905i :6NafA9lE
#292 [栢]
先輩のポケットに私の宇宙
_
:09/11/24 17:43 :D905i :6NafA9lE
#293 [栢]
小さな頃から
私は"宇宙"に憧れた。
真っ暗な空間に
きらきらとした渦や
赤かったり青かったり
輪っかがついてたり‥
数え切れないほどの惑星
何度本を読んだって
何度写真集を見たって
すべてを知れない
そのもどかしさが
私を虜にしていたんだ
:09/11/24 17:47 :D905i :6NafA9lE
#294 [栢]
暇な日はもっぱら宇宙の本。
いつの日か飽きがくるだろうと
暖かく見守ってた両親も
今ではあきれ顔。
何かひとつ
新しいことを知るたびに
わくわくした。
そして今日も
わくわくを求めて
"宇宙"を求めて
地元の図書館に向かう
:09/11/24 17:51 :D905i :6NafA9lE
#295 [栢]
もうきっとすべて読み尽くした。
司書さんにも顔を覚えられた。
いつも休日はここへ来て
窓際のいすに座る
そしてひたすらに
日が暮れるまで"宇宙"に触れる
見た目は
少し田舎じみているが
普通の女子高生なはずだ
:09/11/24 17:55 :D905i :6NafA9lE
#296 [栢]
「‥紗代ちゃん。」
司書の中村さんが
小声で私を呼んだ。
不思議そうに近寄る私に
にこにこしながらこう言った
「屋上に‥いってごらんなさい
きっとあなたをわくわくさせる
素敵なものがあるわ」
やりなれたように
片目を瞑ってウィンクすると
中村さんはせかすように
私の背中をぐいと押した。
:09/11/24 18:00 :D905i :6NafA9lE
#297 [栢]
屋上‥?
検討もつかなかった
屋上から宇宙でも見えるのかな
‥それはさすがに有り得ない
じゃあ‥なんだろう。
非常階段を駆け上り
期待を胸に
勢いよく扉を開けた。
:09/11/24 18:02 :D905i :6NafA9lE
#298 [栢]
すぅっと
心地よい風が髪を撫でる
そこには
期待するものは何もなかった。
「中村さん‥意味わかんない」
小言を言いながらも
青い空に目をこらす。
「今日は‥星がよく見えますよ」
ふと目をやると
すらっとした少し華奢な男が
同じように空を眺めてた。
:09/11/24 18:06 :D905i :6NafA9lE
#299 [栢]
「紗代ちゃん‥でしたか?」
爽やかに笑われた。
少しばかり見とれた。
透き通るような白い肌に
真っ黒な縁の眼鏡
柔らかい声とは対照的な鋭い目
「中村にはめられたのでしょう」
少し参ったようにくすりと笑った
余裕ありげな言葉遣いが
気に入らなかった。
:09/11/24 18:11 :D905i :6NafA9lE
#300 [栢]
「‥誰?」
目を細めて警戒心を剥き出しにした。
「さぁ‥誰でしょうね」
からかわれてる。
面倒な人が少しばかり
いや‥大嫌いだった。
「何それ。バカにしないでよ」
あたしのこの威嚇もさらりと交わされる
一気に現る苦手意識。
:10/01/08 17:34 :D905i :TVGSibQw
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