― 短編箱 ―
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#52 [栢]
あおぞら
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:09/10/09 00:37 :D905i :3zmy2yhY
#53 [栢]
突然
目の奥がじんじんして
涙がぶわっと溢れ出した
それは、
彼と裸で抱き合っていた時のこと
温もりは感じるのに
こんなにそばにいるのに
この虚無感‥
:09/10/09 00:40 :D905i :3zmy2yhY
#54 [栢]
涙を止めようとする
あたしの手の動きでわかったのかな
彼は体を離して
あたしの顔を覗き込んだ
「どうした?」
いつもみたいに優しくて甘い声
やっぱり彼が大好きで、
だけど涙が止まらないの
ぽっかりと口を開けた心
:09/10/09 00:44 :D905i :3zmy2yhY
#55 [栢]
付き合って一年。
喧嘩もそんなにしたことないし
いつも安定期で
気持ちが薄れた事なんて一度もない
4ヶ月前、 付き合って半年で
あたしたちは繋がるようになった
こんなに
愛を感じたのは今までになくて
幸せを感じていたの
:09/10/09 00:46 :D905i :3zmy2yhY
#56 [栢]
「大丈夫?
言ってごらん?」
小さな子供をあやすように
あたしを落ち着かせる彼
こんなこと言ったら嫌われちゃう‥
だけど言わなきゃ
この穴は埋まらない。
彼を信じることにした
:09/10/09 00:49 :D905i :3zmy2yhY
#57 [栢]
「ここ最近‥さ、
会うたびエッチしてるでしょ?
それでなんかね‥
寂しくなっちゃって。
こんなにくっついてるのに
虚しくて‥うん、(笑)」
真剣に話したら
絶対に大泣きしちゃうから
あえて軽く冗談のように言った
すると彼は
何ともいえないような顔をしていた
:09/10/09 00:53 :D905i :3zmy2yhY
#58 [栢]
そしてベッドに倒れ込み
腕で目を覆って
深くため息をついた。
あぁ‥嫌われた
あぁ‥傷つけた
そう思ったから、
ごめんねごめんねと
涙をこぼしながら謝ったの
横に首を小さく振り
ぎゅっと手に力を入れたのがわかる
今、何を思っているの?
:09/10/09 00:56 :D905i :3zmy2yhY
#59 [栢]
あたしは諦めて
服を着て帰る支度をした。
はぁ、とため息をついた彼が
ゆっくりと体を起こし
Yシャツに手を通す
もしかしたら‥
体だけの関係だったのかな?
そんなことさえ考えてしまうくらい
緊迫した空間‥。
息をするのをためらう
:09/10/09 00:59 :D905i :3zmy2yhY
#60 [栢]
一番下のボタンを止めると
沈黙を破るようにして
やっと彼が口を開いた。
「公園 、行くか」
人が変わったかのような
くしゃっとした笑顔で
そんなことを言われたものだから
少し戸惑った
:09/10/09 01:02 :D905i :3zmy2yhY
#61 [栢]
2人で外に出るのは
久しぶりな気がした。
空がこんなに青いことさえ
忘れていたと思う
ー‥ 新鮮だ
まだぐずぐずしているあたしの手を
ぎゅっと優しく導いて
何ヶ月ぶりだろうか、
緑がきれいな夏の公園に着いた
:09/10/09 01:06 :D905i :3zmy2yhY
#62 [栢]
芝生のど真ん中に腰を下ろして
大きく息を吐いた
「ごめんな
気付いてやれなくて‥」
頭を優しく引き寄せられ
暖かい胸元に顔をうずめた。
「わがままでごめんね、
傷つけちゃったよね」
小さく小さく呟く
:09/10/09 01:10 :D905i :3zmy2yhY
#63 [栢]
「傷つけたのは俺のほうだから、
これからは
こうやって公園デートするか(笑)」
にっと笑った顔は
本当にまぶしかったけれど
少し切なそうで
胸が締め付けられた。
:09/10/09 01:12 :D905i :3zmy2yhY
#64 [栢]
「なんかあったら言えよ?
俺、バカだから
なかなかくみ取ってやれないからさ」
そう言ってわさっと寝転んだ
真似してあたしも寝転ぶ
空がきれいだった
なんて広いんだろう‥
真っ青な空を眺めて
彼は何を感じだのかな。
:09/10/09 01:16 :D905i :3zmy2yhY
#65 [栢]
「悪くないな、
こっちのが何倍も気持ちいい」
くるっとこっちを向いて
包み込むように
あたしを抱きしめてくれた、
「あったかい‥」
ふとこぼれた言葉に
彼は柔らかく微笑むの
:09/10/09 01:18 :D905i :3zmy2yhY
#66 [栢]
「もう、寂しくなんてさせないよ」
そう言って、額にキスをして‥
青空の下
ずっと2人で、笑っていたいね
:09/10/09 01:22 :D905i :3zmy2yhY
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