― 短編箱 ―
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#230 [栢]

「ねぇお兄ちゃん?
昨日書いたんだよね?」

無邪気に振り返った私に
お兄ちゃんは
肩を震わせながら小さく頷いた

「パパ‥あのね、」

部屋の静けさに
何か話そうと必死だった

⏰:09/11/02 17:45 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#231 [栢]

ピ―‥

今までに聞いたことのない
耳に突き刺さる音を聞いた

パパの手が氷のように冷たかった


「あなたぁ‥!
いかないで‥いかないでぇ‥」

ママがパパに寄り添い泣き崩れる
お医者が時計を見て何かを言った

⏰:09/11/02 17:48 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#232 [栢]

嘘だよ‥パパ‥
お星様、
一生懸命書いたのに‥

美知が色塗り下手だったから?
美知が本物のお星様
集められなかったから‥?

ねぇパパ‥わかんないよ

「パパ‥お星様‥」

堪えていた涙が
体の奥から溢れ出しす

⏰:09/11/02 17:51 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#233 [栢]

「美知‥ありがと‥」

パパが確かにそう言った
消えそうな壊れそうな声で
確かに私にそう言った


その瞬間
魔法が溶けたように
子供らしく泣きわめいた

小さくなって泣く私を
お兄ちゃんは優しく包んでくれた

⏰:09/11/02 17:55 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#234 [栢]

子供の私たちは
家に帰らされた。

お兄ちゃんと2人きりの家。
風が窓を揺らす音が
さらに寂しくさせた

「お兄ちゃん‥
パパ‥元気にならなかった」

うつむいて目を擦って
少し震える声で
「美知‥パパの秘密知ってる?」
そう言った。

頑張って明るく振る舞うその声に
私は涙を止めた

⏰:09/11/02 18:00 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#235 [栢]

顔を上げ
首を横に振って見せる

するとお兄ちゃんは
にっと笑って小声で言った。

「パパって、
お星様の国の王様なんだよ!」

「おうさま?!」

驚いて胸を時めかせた私の口を
塞ぐ

暖かくて大きな手‥。

⏰:09/11/02 18:04 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#236 [栢]

「だからあんなに
お星様に詳しいんだよ?
それで、今日は帰らなくちゃいけない日
お星様の国のみんなだって
パパが居なくちゃ困ってるんだ」

一気に涙が乾く
とっさに思いついた優しさに
私は笑顔を浮かべた

「だけど‥パパは
美知のパパなんだよ?
勝手に連れてっちゃいや‥」

大好きな初めての"恋人"に
やきもちを焼くくらい大人になった

⏰:09/11/02 18:08 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#237 [栢]

「美知にもパパが必要なように‥
あっちのみんなにもパパが必要なんだ。
パパは人気者なの、

"お友達とは仲良く半分こ"って
パパと約束したでしょ?」

澄み切った空気に包まれて
私は大きく頷いた

⏰:09/11/02 18:12 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#238 [栢]

「じゃあ美知‥
お星様の絵パパにあげる!
それで、
みんなに自慢してもらうの!
美知はこんなに上手な絵を書くんだよって!」

にこにこと笑みを浮かべた
ちょっぴり大人になった。
大好きな"恋人"を
少しだけ独占したかった。


「そうしようか」

安心したようにお兄ちゃんが笑う

⏰:09/11/02 18:16 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#239 [栢]

たくさんの人に見送られて
パパはお星様の国に旅立った。

「美知!ほらあの白い煙‥
パパが馬車に乗ってるんだよ」

「わぁ‥!パパ王様だもんね!!」

笑顔でさよならをした
またいつか帰ってきてねと

⏰:09/11/02 18:19 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#240 [栢]

その日の夜は
星が満ちていた。


「パパが帰ったから
今日はお星様いっぱいだね」

白い息をリズムに乗せて

「今頃‥
美知の絵、自慢してるよ」

「そうだといいなぁ‥!」

流れ星が一筋
きらり、光って月に消えた

⏰:09/11/02 18:23 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#241 [栢]

>>213-241

まとまりなさすぎます(´;ω;`)笑

先日
流星群もあったと言うことで
星をネタにしたものが書きたくて
思いつきで書いてみました ^^
今回は恋愛ではなく
家族愛っぽいものを‥

死を暖かく見つめる事と
兄弟愛とパパに恋する娘と‥
いろいろ盛り込みシリーズ!←

何かしら
感じてもらえたら嬉しいです◎

⏰:09/11/02 18:28 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#242 [栢]

>>213-241
星のブーケ

>>180-208
春の青い芽

>>153-179
たった一度の反抗期

>>136-151
金木犀

>>135
前作

⏰:09/11/02 18:38 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#243 [栢]
 
 
     淡い雪

_

⏰:09/11/06 17:16 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#244 [栢]

ため息白く染まる。


「帰ろっか」

眉をさげて
少し恥ずかしそうに
手を差し出した。

小さな白い手が
俺の手を軽く握る。

「相変わらず、
手‥あったかいね」

クスリと笑う姿が
とてつもなく愛おしい。

⏰:09/11/06 17:22 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#245 [栢]

「相変わらず‥冷え性だね」

それを理由にして
その手を握りしめて
そのままポケットに突っ込んだ。

「手が冷たい人は
心があったかいんだよー」

長い睫に白い雪が降る
少し冷たそうにして
彼女は片目を瞑った。

⏰:09/11/06 17:28 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#246 [栢]

「ねぇ?」

真っ赤な傘から
こちらに顔を出しす

少し切りすぎたと言った
眉の上の前髪が揺れた

「何?」

返事をするのを忘れそうなくらい
見とれているから
それくらい、惚れてるから‥

離したくないんだけどね。

⏰:09/11/06 17:33 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#247 [栢]

「‥んん。
やっぱり、前髪変かな?」

彼女は何かを飲み込んだ
本当に言いたいことは
いつも言ってくれない‥。

「あぁ‥似合ってるよ?
長いときもよかったけど、」

手を伸ばして
くしゃくしゃと撫でた
視線を惹きたくて。

⏰:09/11/06 17:38 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#248 [栢]

「ありがと
去年も‥失敗したんだよねぇ」

白く染まったため息を
惜しそうに眺めて
それがまた俺を切なくさせるから

「可愛いよ‥可愛い」

「‥ありがとう」

去年と重ねてる?
そんなに遠くを見て、
彼女には何が見えてるんだろう

⏰:09/11/06 17:43 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#249 [栢]

「ほんと?‥嬉しい
可愛いって、言ってもらえると
やっぱり‥」

そんな悲しそうに笑わないでよ

「あんまり、
言われたことないから」

アイツは‥言わなかったんだ。
俺はアイツとは違うよ?

あんな奴とは違うのに‥

⏰:09/11/07 18:20 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#250 [栢]

ねぇ教えて欲しいよ。
‥どこがいいの?
アイツは何を持ってるの?

嫉妬するよ
優しさには自信があるんだ
想う気持ちだって‥
誰よりも大きいはずなんだ。

灰色の空が渦をまく
ぼんやりした色。

⏰:09/11/07 18:24 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#251 [栢]

「あ‥クリスマス
一緒に‥いてくれる?」

未だに直視できないでいる
君の"笑顔"。

‥気づいてるよ。
ただ、見て見ぬ振りをしてるんだ

こんなに近くにいるのに
君に手が届かない。

いつまで経っても
俺の手じゃ暖められない
あの日から冷たい小さな手

⏰:09/11/07 18:28 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#252 [栢]

「一緒に過ごそうか」

独りよがり。
こんなの、愛じゃないさ
ただの自己満足なんだ‥。

いつかちゃんと見てくれる‥
そんな期待すら今では、抱かずに
君の足下を見つめるだけ。

「‥楽しみ」

雪が君の声を吸い取って邪魔をする

⏰:09/11/07 18:33 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#253 [栢]

「‥去年は、独りだったから
恋人と過ごすのは‥初めてなの」

君を独りにした
寂しい思いをさせた
アイツが憎いよ。

だけど俺にはきっと
そんな思いをさせることすら
できないんだろうな‥。

目頭に降った雪がじわっと溶けた。

⏰:09/11/07 18:36 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#254 [栢]

真っ赤な傘が
真っ白な雪の上に落ちる。

小さく君は驚いたけど、
‥それだけ。

壊れてしまいそうなくらい
強く強く抱きしめてみたけど
空気を抱いているみたいに、
虚しさを覚えた。

「ごめんね‥」

その言葉が
この想いへの返事な気がして
俺は目を閉じて‥

⏰:09/11/07 18:43 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#255 [栢]

いつまで
偽りの"笑顔"に浸ってるつもりだろう

「‥好きだ」


止むことを知らない淡い雪。

⏰:09/11/07 18:46 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#256 [栢]

>>243-256

冬なので冬のお話 ^^
今回は切ないかんじに書いてみました!

またわかりにくい話ですが
簡単に解説すると
付き合ってるんだけど
彼女が元カレ忘れられなくて
それに気づいてるのに
別れられない俺←

なんかもやもやしたかんじで
わかる人にはわかる気持ちなのかも

⏰:09/11/07 18:50 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#257 [栢]

>>242
前作

⏰:09/11/07 19:25 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#258 [椎]
 
 
   思い出と共に

_

⏰:09/11/14 19:22 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#259 [栢]

きっと釣り合わないから




君から身を引いたんだ。

⏰:09/11/14 19:23 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#260 [栢]

あまりに美しすぎて
あまりに眩しすぎて


きっと
見えないふりをした‥。


今更もう遅いこと

⏰:09/11/14 19:24 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


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