― 短編箱 ―
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#261 [栢]

艶やかな黒髪が風に揺れる

いつだって遠くから見てた。


「瑞希ちゃん!
今日暇ならご飯食べに行かない?」

「瑞希ちゃんアドレス教えてよ」


いつだって君は人気者で
ひとりでいる事なんて
なかなかなくて
タイミングが掴めなかった。

⏰:09/11/14 19:29 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#262 [栢]

「あ‥ごめんなさい。
夜は家で夕食を食べるので‥」

「ごめんなさい。
あまりメールが得意ではないので‥」

下心の塊たちに
ひとつひとつ丁寧に言葉を返す。
そして柔らかく笑う。


‥憧れ、夢、理想
枯れ葉のこすれる音が物寂しい。

⏰:09/11/14 19:32 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#263 [栢]

後ろ姿を
もうどれくらい見つめただろう‥

少し大人っぽくなった。
少し背が伸びた気がする
だけど
相変わらず君は眩しくて、

僕は大人になったのだろうか。
背は少し伸びたんだけど
君は知らないんだろうな‥

⏰:09/11/14 19:36 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#264 [栢]

「橘くん‥?」

「あ‥俺?」

嬉しそうに頷いた姿が
愛おしすぎた

そんな顔されたら
叶わない想いにも
期待してしまいそうだ‥

「ノート‥ありがとうございました。」

丁寧な言葉遣いが余計に距離を感じさせる
もう7年目なのに‥

そこがまた君の魅力

⏰:09/11/14 19:39 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#265 [栢]

慌ててノートを受け取った。
少し手が触れた
どうしても目が泳いでしまう。

俺こそもうすぐ6年目なのに‥
なにも進展がないなんてな。

「見にくかったでしょ?
ごめんね(笑)」

思わず笑ってごまかした。
手がじわりと汗をかいた。

⏰:09/11/14 19:43 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#266 [栢]

「いえ、とても見やすかったですよ。
また‥
もしもの時は貸していただきたいです。」

ゆっくりと深く頭を下げて
いつものように柔らかく笑った。

「こ‥こんなんでよければ‥!」

ごくりと唾を飲む
もうこの笑顔だけで
僕は救われた気がしてしまう。
だからなにもできないでいる

⏰:09/11/14 19:46 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#267 [栢]

「あ‥あのさ、」

僕の口が思わぬとこで先走った。

「なんですか?」

きょとんとした顔。
可愛すぎて‥だめだもう。

「み‥瑞希ちゃんって、
中学の時から変わらないよね!」

意味がわからない発言。
あぁもう‥

⏰:09/11/14 19:53 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#268 [栢]

君の様子を
恐る恐るうかがってみると
少し困ったように‥

「それは‥
喜んでいいのでしょうか?」

透き通った手を口元に寄せて
クスリと笑った。

「もちろん!!‥いい意味だよ」

「ありがとうございます」

きっと褒められるのは慣れてるだろう
それなのに本当に嬉しそうに
笑ってくれるから
諦めきれないんだよ‥。

⏰:09/11/14 19:57 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#269 [栢]

「橘くんも‥
お変わりないですよ?」

僕に向けられた言葉が
優しく虚しさをかき消す。

「背は‥少し伸びましたけど、」

付け足すように言った言葉に
なんだか暖かくなった。
じわりじわりと
何かがこみ上げてくる

「背‥あぁ、
中学の時は小さかったしね」

⏰:09/11/14 20:01 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#270 [栢]

「高校生あたりから‥ですかね?
ぐんと伸びましたよね」

すごい‥よく知ってるな
思わず緩む口元に必死に力を込めた

「よく知ってるね!(笑)
そこまで話したりしてなかったのに‥」

「えぇ‥まぁ。
それくらいわかりますよ」

話の途中に細い髪を耳にかける
たぶんこれは君の癖。

⏰:09/11/14 20:08 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


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