― 短編箱 ―
最新 最初 🆕
#214 [栢]

冷たい夜空に両手を広げて

あのキラキラ光る
あの星たちが欲しかった


―‥幼い頃の夢

⏰:09/10/29 16:52 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#215 [栢]

だけど
どうしても手が届かない

「お星様‥、どうして?」

こぼす涙が月明かりに照らされて
キラキラと光る


この星たちを集めて
プレゼントしたい人がいた

「パパ‥」

⏰:09/10/29 16:57 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#216 [栢]

仕事中に急に倒れた。

「パパに‥パパにあげたいの」


なんとなく
星を集めてプレゼントしたら
元気になる気がしてた‥

"お星様は、
美知のお願い叶えてくれるんだよ"

だってパパがそう言ったから

⏰:09/10/29 17:01 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#217 [栢]

パパが倒れてから
毎晩、夜空を見上げては

お願い‥お願いと
泣きながら祈った。


「おもちゃも、お菓子も、
美知‥がまんするからぁ‥」

大好きなパパ
だけどずっと目を閉じてるの
笑ってくれないの‥

⏰:09/10/29 17:05 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#218 [栢]
パパに会いに行っても
いつもみたいに
お星様の話をしてくれない。

パパはお星様の専門家
いわゆる、 天文学者だった


"今見えるお星様の光はね
何万年も、何億万年も前の
昔の光なんだよ"

そんなことを教えてくれた。

⏰:09/10/29 17:47 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#219 [栢]

まだその時は幼すぎて
よく理解していなかったけど

夜星に魅了されたのは確か。


何度も何度も
掴もうとしたのに
お星様は、逃げてしまう

「美知‥
お星様に、嫌われちゃった」

泣きじゃくって
もうお願いなんてしないって決めた
だってパパ
元気にならないんだもん

⏰:09/10/29 18:22 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#220 [栢]

その日から
夜空を眺めるのをやめた


そんな私を見かねてか
お兄ちゃんが近寄ってきた。

「美知?
今日はお星様にお願いしないの?」

お兄ちゃんは6つ上の中学生

「もう、お願いなんてしないの」
しょぼくれながら
指で細い髪をくるくら巻き取った

⏰:09/10/29 18:26 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#221 [栢]

お兄ちゃんは
どうして? と優しく尋ねて
私と目線を合わせた

「だって、
パパにあげたかったのに‥
お星様、掴まらないんだもん」

大きな瞳に涙を溜めて
巻き取った髪をスルリと放す


お兄ちゃんの手が
私の頭を包むように撫でた。

⏰:09/10/29 18:31 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#222 [栢]

「じゃあ、美知
お星様の絵書いて
パパにプレゼントしようよ」

クレヨンと画用紙を手渡され
私はは浮かない顔をした

「美知‥下手くそだもん」

ふてくされて全てを放り投げた

パパに似て
いい言い方をするなら
こだわりが人一倍強かった

⏰:09/10/30 15:57 📱:D905i 🆔:d6Zud4xA


#223 [栢]

そしてお兄ちゃんは
パパに似て優しかった

「兄ちゃんがお星様書くよ!
だから、美知は色塗って?
美知色塗り上手でしょ?」

緩く笑ったその笑顔が
パパに似すぎてて
どこかキュッと痛くなる

だけど、
パパが笑ってくれた気がした

⏰:09/10/30 16:03 📱:D905i 🆔:d6Zud4xA


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194