― 短編箱 ―
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#27 [栢]
トントンと
右の肩を叩かれた気がして
無意識に振り向いてしまいました。
幻覚が見えてしまったのです。
あの時から
何ひとつ変わらない
あなたが見えてしまったのです。
もう私はどうかしていますね
:09/10/02 17:32 :D905i :xQZDlkoQ
#28 [栢]
「久しぶり」
現実なのだと気付きましたが
久しぶりに会ったものだから
実際に目の前にすると
心臓が破裂してしまいそうで、
「もしかして、忘れちゃった?」
不安そうに
私の顔を覗き込むあなたに
大きく頭を横に振って見せました。
夢のようです。
:09/10/02 17:36 :D905i :xQZDlkoQ
#29 [栢]
「同じ駅で同じ町なのに
全く会わないとか
ある意味すごいよね」
あの時と変わらない
無邪気な笑顔を見せて
私の横を歩くあなた。
涙が出そうなくらいうれしくて
言葉がぎこちなくなりました。
:09/10/02 17:40 :D905i :xQZDlkoQ
#30 [栢]
「あ、
誕生日おめでとうね」
覚えててくれたんだ‥
私のことなんて
忘れちゃったと思ってた。
ばいばいと手を振るあなたを
見えなくなるまで見届けて
嬉しくさが込み上げてきて
口元が緩んでしまうのです。
:09/10/02 17:45 :D905i :xQZDlkoQ
#31 [栢]
それから時間が合えば
一緒に帰るようになりました。
幸せすぎて
どうしよもありませんでした。
相変わらず
たわいもない話をして
私を笑顔にしてくれる
"友達"として接してくれるあなたは
やっぱり素敵な人なのです。
:09/10/02 17:48 :D905i :xQZDlkoQ
#32 [栢]
誕生日から
1ヶ月が経って
空気はさらに冷たくなり
吐息を白く染めるようになりました。
「今日公園寄っていかない?」
いつもより
たくさん話せると思うと
にやけてしまいそうで
あなたの顔をちゃんと見れませんでした
:09/10/02 17:53 :D905i :xQZDlkoQ
#33 [栢]
ベンチに座って
ふぅと真っ白な息を吐くあなたの隣に
少し距離を置いて座りました。
きっとあなたは
何かいつもとは違うことを話すために
ここに誘ったのでしょう。
だけど、
私は気持ちを押さえられませんでした。
:09/10/02 17:58 :D905i :xQZDlkoQ
#34 [栢]
「今、彼氏いるの?」
「いるわけないよ。
高校入ってから一人も‥」
そう言うと
あなたは驚きましたね。
「私ね、
別に付き合えなくてもいいやって思う。
付き合いたいから
好きでいるんじゃないし、」
私の今までの想いが
一気に溢れてきたのです。
:09/10/02 18:02 :D905i :xQZDlkoQ
#35 [栢]
「一番になりたくたって
なれない時だってあるでしょ?
無理に手に入れようとしたって
ただ辛いだけ。
一番になれないなら二番でいいの。
二番にもなれないなら
三番でもいい。」
あなたが私を
じっと見つめてるのがわかりました。
今にも涙がこぼれそうだったので
私は下を向きました。
:09/10/02 18:05 :D905i :xQZDlkoQ
#36 [栢]
もう一度告白するつもりなんて
なかったのですが‥
「だから今すごく幸せ。
友達だってかまわない。
彼女がいるなら見守るし
好きな人がいるなら応援するし
少しでもあたしのこと考えてくれてたら
それだけで幸せだし
今こうして話してくれるだけで
好きでいてよかったなって思う」
:09/10/02 18:10 :D905i :xQZDlkoQ
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