― 短編箱 ―
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#29 [栢]
「同じ駅で同じ町なのに
全く会わないとか
ある意味すごいよね」
あの時と変わらない
無邪気な笑顔を見せて
私の横を歩くあなた。
涙が出そうなくらいうれしくて
言葉がぎこちなくなりました。
:09/10/02 17:40 :D905i :xQZDlkoQ
#30 [栢]
「あ、
誕生日おめでとうね」
覚えててくれたんだ‥
私のことなんて
忘れちゃったと思ってた。
ばいばいと手を振るあなたを
見えなくなるまで見届けて
嬉しくさが込み上げてきて
口元が緩んでしまうのです。
:09/10/02 17:45 :D905i :xQZDlkoQ
#31 [栢]
それから時間が合えば
一緒に帰るようになりました。
幸せすぎて
どうしよもありませんでした。
相変わらず
たわいもない話をして
私を笑顔にしてくれる
"友達"として接してくれるあなたは
やっぱり素敵な人なのです。
:09/10/02 17:48 :D905i :xQZDlkoQ
#32 [栢]
誕生日から
1ヶ月が経って
空気はさらに冷たくなり
吐息を白く染めるようになりました。
「今日公園寄っていかない?」
いつもより
たくさん話せると思うと
にやけてしまいそうで
あなたの顔をちゃんと見れませんでした
:09/10/02 17:53 :D905i :xQZDlkoQ
#33 [栢]
ベンチに座って
ふぅと真っ白な息を吐くあなたの隣に
少し距離を置いて座りました。
きっとあなたは
何かいつもとは違うことを話すために
ここに誘ったのでしょう。
だけど、
私は気持ちを押さえられませんでした。
:09/10/02 17:58 :D905i :xQZDlkoQ
#34 [栢]
「今、彼氏いるの?」
「いるわけないよ。
高校入ってから一人も‥」
そう言うと
あなたは驚きましたね。
「私ね、
別に付き合えなくてもいいやって思う。
付き合いたいから
好きでいるんじゃないし、」
私の今までの想いが
一気に溢れてきたのです。
:09/10/02 18:02 :D905i :xQZDlkoQ
#35 [栢]
「一番になりたくたって
なれない時だってあるでしょ?
無理に手に入れようとしたって
ただ辛いだけ。
一番になれないなら二番でいいの。
二番にもなれないなら
三番でもいい。」
あなたが私を
じっと見つめてるのがわかりました。
今にも涙がこぼれそうだったので
私は下を向きました。
:09/10/02 18:05 :D905i :xQZDlkoQ
#36 [栢]
もう一度告白するつもりなんて
なかったのですが‥
「だから今すごく幸せ。
友達だってかまわない。
彼女がいるなら見守るし
好きな人がいるなら応援するし
少しでもあたしのこと考えてくれてたら
それだけで幸せだし
今こうして話してくれるだけで
好きでいてよかったなって思う」
:09/10/02 18:10 :D905i :xQZDlkoQ
#37 [栢]
ぽたりと
涙が右の手の甲に落ちた瞬間に
一気に冬を通り越して
春がきてしまったかのような
優しいぬくもりを感じました。
「俺、お前じゃなきゃだめだ‥
振ってからずっと後悔してた。
ずっとお前のことしか、頭になくて
待たせてごめん。
二番でいいなんて言うなよ。」
あなたのぬくもりが
私を包み込みました。
:09/10/02 18:16 :D905i :xQZDlkoQ
#38 [栢]
「‥一番がいいよ。
ほんとは一番がいい‥」
「もう強がんなくていいよ。」
今まで自分が傷つかないために
自分を守るために
一番じゃなくていいと強がっていました。
そんな自分の隠れた思いに
私はやっと気づかされ、
あなたに強く優しく包まれて
今までで一番弱くなったのでした。
:09/10/02 18:22 :D905i :xQZDlkoQ
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