― 短編箱 ―
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#120 [栢]
:09/10/14 23:46 :D905i :U5TmC86c
#121 [栢]
おばあさんはにっこり笑い
小さくお辞儀をして
お礼にと飴を2つくれた
雨の日に飴って‥(笑)
そんなことはどうでもよくて
さぁ、どうしようこの状況。
:09/10/14 23:48 :D905i :U5TmC86c
#122 [栢]
ちらっと様子をうかがった時に
ばちりと目が合った
「ありがとう‥ございます」
彼女は礼儀正しく深く頭を下げた
初めて聞いた
彼女の柔らかくて安心する声
尚も雨は降り続く
:09/10/14 23:53 :D905i :U5TmC86c
#123 [栢]
いえいえと笑いのける
それはもう、爽やか気取りで。
内心にやけっぱなし
口元緩んでたかも‥
「傘‥忘れたんですか?」
心配そうに彼女は言った。
「今日、天気予報見るの忘れてて(笑)」
なんだか照れくさい
:09/10/14 23:57 :D905i :U5TmC86c
#124 [栢]
すると彼女はくすっと笑って
「私もです」と言った。
なんか一気に事が進んで
運命とかロマンチックを気取りたくなる
むしろもう
雨止まないでくれ。
一瞬にして雨が好きになる俺
だけど天気は気まぐれで
そこまで味方はしてくれない
:09/10/15 00:01 :D905i :HzfhWb16
#125 [栢]
雨がだんだん弱くなる。
「飴‥!!どっちがいい?」
さっき貰った飴のことを
ふと思い出したのだ
彼女のきょとんとした顔も
初めて見た
「桃と林檎、どっち好き?」
俺の質問に
謙虚に透き通った声で答える
:09/10/15 00:39 :D905i :HzfhWb16
#126 [栢]
「じゃあ、林檎がいいです」
少し恥ずかしそうで嬉しそうな彼女
こっちまで
嬉しくさせる笑顔
雨が止んだ。
:09/10/15 00:41 :D905i :HzfhWb16
#127 [栢]
あっという間に時がすぎてしまって
彼女はまた深く頭をさげて
にこりと笑って去っていった。
夢のようだ‥。
まだあの優しい空間に包まれる
結局
名前も駅のことも彼氏のことも
何ひとつ聞けなかった
:09/10/15 00:44 :D905i :HzfhWb16
#128 [栢]
ただ一つ得た情報に頼るしかなかった俺
もう一回話したい
もう一回笑顔が見たい
ただそれだけのために‥。
あの日から行きの電車で
彼女の前に座るのが照れくさい
だけどあれから彼女とは
"知り合い"になったわけで
ぺこりと軽く頭をさげるようになった
:09/10/15 00:48 :D905i :HzfhWb16
#129 [栢]
そしてまた雨の日のこと
その日はちゃんと傘は持っていた
だけど俺の手が傘を開こうとしない
根拠もないままに
あの日と同じように
ぼーっとしながら彼女を想う
やっぱり雨好きだ
また彼女がやってきた
:09/10/15 00:51 :D905i :HzfhWb16
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